劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

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第二十章 悪役令嬢VS悪役令嬢!?

117本目

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「「はぁはぁはぁ」」

「大丈夫ですかアーリャさん?」

「キャレル、凄い汗だぞ?」

 わたし達二人は授業が始まる前だと言うのに疲れ切ってしまっていた。わたしは孔雀の、キャレルさんは金箔の扇を使って汗を少しでも引かせようとパタパタ扇いだ。

「あ、あんた……こんなにしつこくして……はぁはぁ……見苦しすぎるわよ……」

「はぁはぁ……あら言葉遣いが庶民丸出しですよ……貴族学部に来る前に礼儀のお勉強をするべきではないですか? はぁはぁ……」

「アーリャさん、授業始まるわ」

 わたし達は一時休戦となり授業が始まった。教師が拡声の魔道具を使って講堂の後ろにもしっかりと声が届く。

「それでは教科書の三ページ目を開くように……」

 既にこの教室の生徒達は全員教科書を所持しているみたい……あ、全員じゃ無かった。

「マクシス様~、私、貴族学部の授業が初めてなので教科書が無いんです。見せて頂いて宜しいですか~?」

「なっ!?」

「もちろんだ、もう少しこちらへ……」

 キャレルさんはなんと、教科書持っていないから意中の相手に寄り添って見せてもらおう作戦を実行しようとしている。なんて恥知らずな!! そんな見え透いた浅ましい作戦でまーくんの気を引こうなんて言語道断……なんかブーメラン的な何かがわたしに返ってきた様な気がするけどそれは無視して……わたしは即座に教科書を『複製』した。

 ドン!!

 まーくんとキャレルの間に本の山が置かれた。

「親切なわたしはキャレルさんのために教科書を用意して差し上げました……どうぞ、この学年の全ての教科書がありますのでお使い下さい。存分に感謝してくれても良いですよ」

「ちょっと、さっきまでこんな物持っていなかったじゃ無い!!」

「そうか、さすがアーリャは用意が良いな。良かったなキャレル」

 ……あれ? まーくんの『相棒』の効果が切れている? よくわからないけれどラッキー。

「わ、わかりました、アーリャさんあり、あり、ありが……とうございます」

 凄い不本意な感じでお礼を言ってくるキャレルさん。教科書を手に取ると一枚の紙がはらりと落ちる。

「これは何ですか?」

「請求書です」

「お金取るの!?」

「当たり前じゃ無いですか。この講堂の生徒も学院で教科書を使っている生徒の方はみんな教材費を払っていますよ? まさか公爵令嬢であらせられるキャレルさんが払えないわけ無いですよね?」

「くっ、あとでちゃんと払うわ」

「それは良かったです」

「あー、もう授業初めて良いか?」

 よし、先生には注意されたけど『教科書無いから二人で仲良くひとつの教科書でラブラブ作戦』を潰す事が出来た。これは快挙だよ。だけどまだ油断禁物……泥棒猫なキャレルさんはどんどんまーくんにアプローチをかけてくるに違いないよ。

 わたしの予想通りキャレルさんは些細な切っ掛けからもまーくんに近づこうとしてきた。そうはさせないから!!



「マクシス様ここがわからな……」

「ここは五代目の王が作られた法令ですよ」

「あんたには聞いていないわよ」



「マクシス様、ここを見て欲し……」

「あらごめんなさい、ペンが落ちてしまいました」

「なんでこっち側に落ちるのよ!! やだ、インクが飛んでるじゃ無い!!」



「あの、マクシス様……「はいはい先生!! そこの答えはマクシミリアン伯爵が広めたものです!!」」

「アーリャさん、これは別に生徒に回答を求めていないからね」

「くっ……」



 今日一日、とにかくわたしはキャレルさんがまーくんに近づこうとした途端ありとあらゆる方法で妨害を行った。やっぱり戦いは相手の背後を取るのが基本だよね。
 後ろから観察していて分かったんだけど、キャレルさんのギフトジョブ『相棒』は相手の目を見つめる事で発動するみたい……おそらく五秒くらいだと思う……そしてまーくんは転生者だからなのかすぐにその効果が切れているようで、その度に気付いたキャレルさんが『相棒』を掛け直そうとしているのが分かった。
 ふふ、お馬鹿なキャレルさん……今日は自重して能力を見せるべきでは無かったと思うよ。



 ……こうしてわたしとキャレルさんの戦いは再び始まったのでした。
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