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第二十章 悪役令嬢VS悪役令嬢!?
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キャレルさんが侯爵家の養女として貴族学部にやって来てから数日が経った。
あれからわたし達はまーくんに気付かれぬように激しい攻防を繰り返した。どうしてもキャレルさんのギフトジョブのせいで朝まーくんが相棒化してしまうと後手に回らざるを得ないのだけど、わたしがしっかりと妨害する甲斐があって少なくともキャレルさんとまーくんの仲が進展しているようには見えない。
だけど同時にわたしとまーくんの仲もちっとも進展していないわけで、二人の戦いは膠着状態に陥っている……とはいえお互いに手を緩めるわけにはいかないので、わたしとキャレルさんの戦いは学院の風物詩となりつつあった。
……そんなある時変化があった。
「ご機嫌ようみなさん」
「「「「「!?」」」」」
わたし達……今日もベスさんとヘレナさんと一緒……が教室に入ってきた途端に授業開始前のざわめきが消える。教室の皆が一斉にわたしを見ている……え? 一体何? 驚きつつもわたしは自分の席の近くまで来ると……その机には汚い字で落書きやゴミが散乱していた。わたしが周りを見ると生徒達は一斉に目を逸らす。
「な、なんですこれ」
「酷いです」
ベスさんとヘレナさんもあまりの惨状に口元を押さえている。
「あの、これはどなたがやったかご存じですか?」
「わ、私が教室に来た時には既にこうなっていて……私じゃ無いですよ!」
声をかけられた隣の席の女子生徒は慌てて弁解をした。まぁ、そうだよね、こんな真似をする人がわかりやすい証拠を残すはず無いもんね。
「どなたか、わたしの席に悪戯をした方をご存じですか?」
「……」
誰も答えない。この場で犯人を見つけるのは難しいよね……犯人捜しは後にしてこれを何とかしないと。そう思って学院の御用掛を呼ぼうと席を離れようとすると……
「おはようございます……あら? あら嫌だ汚らしい机だこと。誰の机かと思ったらアーリャさんの机じゃ無いですか~一体どうされたの?」
「さぁ、朝来たらこのようになっていました。貴族でありながらこのような下劣な真似をするお方はこの学院にいるなんて信じたくは無いですけど」
「あれ? 貴族とは限らないですわよ~この学校には経済学部の一般市民もいますし。それよりもアーリャさんは誰かから恨まれているんじゃ無いかしら? 庶民から男爵、男爵から伯爵と汚い事をして成り上がったと噂を聞きましたしね」
「そんな噂初めて聞きましたが……何にせよ身分がどうあれこのような真似をする人間の品性はきっと家畜小屋のように汚れているに違いないですね」
わたし達は互いに扇で口元を隠すと顔は笑顔のままだけど心の中でにらみ合った。
「一体どうしたんだこれは!?」
その時、まーくんが教室に入ってきた。キャレルさんが動く前にわたしは視線を塞ぐように目の前に立つと……
「マクシス様……わたしの机にこんな酷い事が……わたし、わたし……」
「!? アーリャ!?」
「ちょっ、はやっ!?」
……わたしは涙を流した。そしてキャレルさんの驚きの声を無視しながらその勢いでまーくんの胸に身体を預ける。ふふん、この状況を最大限に利用しないとね。
「誰がこんな事を……」
「マクシス様、わたし、ショックで……」
「アーリャさん、机は私達が御用掛の方を呼んで片付けてもらいますから」
「マクシス様、アーリャさんを休息室へお連れ下さい」
「ああ、わかった」
ナイスアシスト!! ベスさんとヘレナさんが息の合った連携でわたしをまーくんに任せてくれた。
「ちょ、ちょっと待ちなさい……マクシス様!!」
「お優しいキャレルさん、私達と一緒に机を片付けてもらえますか?」
「キャレルさんはこんな状況で無視する方では無いですよね?」
「え? ええっ!?」
「行こうアーリャ」
「はい、マクシス様」
友情の援護射撃を受けてわたし達は休息室へ向かうのでした……持つべき物はお友達だね。
あれからわたし達はまーくんに気付かれぬように激しい攻防を繰り返した。どうしてもキャレルさんのギフトジョブのせいで朝まーくんが相棒化してしまうと後手に回らざるを得ないのだけど、わたしがしっかりと妨害する甲斐があって少なくともキャレルさんとまーくんの仲が進展しているようには見えない。
だけど同時にわたしとまーくんの仲もちっとも進展していないわけで、二人の戦いは膠着状態に陥っている……とはいえお互いに手を緩めるわけにはいかないので、わたしとキャレルさんの戦いは学院の風物詩となりつつあった。
……そんなある時変化があった。
「ご機嫌ようみなさん」
「「「「「!?」」」」」
わたし達……今日もベスさんとヘレナさんと一緒……が教室に入ってきた途端に授業開始前のざわめきが消える。教室の皆が一斉にわたしを見ている……え? 一体何? 驚きつつもわたしは自分の席の近くまで来ると……その机には汚い字で落書きやゴミが散乱していた。わたしが周りを見ると生徒達は一斉に目を逸らす。
「な、なんですこれ」
「酷いです」
ベスさんとヘレナさんもあまりの惨状に口元を押さえている。
「あの、これはどなたがやったかご存じですか?」
「わ、私が教室に来た時には既にこうなっていて……私じゃ無いですよ!」
声をかけられた隣の席の女子生徒は慌てて弁解をした。まぁ、そうだよね、こんな真似をする人がわかりやすい証拠を残すはず無いもんね。
「どなたか、わたしの席に悪戯をした方をご存じですか?」
「……」
誰も答えない。この場で犯人を見つけるのは難しいよね……犯人捜しは後にしてこれを何とかしないと。そう思って学院の御用掛を呼ぼうと席を離れようとすると……
「おはようございます……あら? あら嫌だ汚らしい机だこと。誰の机かと思ったらアーリャさんの机じゃ無いですか~一体どうされたの?」
「さぁ、朝来たらこのようになっていました。貴族でありながらこのような下劣な真似をするお方はこの学院にいるなんて信じたくは無いですけど」
「あれ? 貴族とは限らないですわよ~この学校には経済学部の一般市民もいますし。それよりもアーリャさんは誰かから恨まれているんじゃ無いかしら? 庶民から男爵、男爵から伯爵と汚い事をして成り上がったと噂を聞きましたしね」
「そんな噂初めて聞きましたが……何にせよ身分がどうあれこのような真似をする人間の品性はきっと家畜小屋のように汚れているに違いないですね」
わたし達は互いに扇で口元を隠すと顔は笑顔のままだけど心の中でにらみ合った。
「一体どうしたんだこれは!?」
その時、まーくんが教室に入ってきた。キャレルさんが動く前にわたしは視線を塞ぐように目の前に立つと……
「マクシス様……わたしの机にこんな酷い事が……わたし、わたし……」
「!? アーリャ!?」
「ちょっ、はやっ!?」
……わたしは涙を流した。そしてキャレルさんの驚きの声を無視しながらその勢いでまーくんの胸に身体を預ける。ふふん、この状況を最大限に利用しないとね。
「誰がこんな事を……」
「マクシス様、わたし、ショックで……」
「アーリャさん、机は私達が御用掛の方を呼んで片付けてもらいますから」
「マクシス様、アーリャさんを休息室へお連れ下さい」
「ああ、わかった」
ナイスアシスト!! ベスさんとヘレナさんが息の合った連携でわたしをまーくんに任せてくれた。
「ちょ、ちょっと待ちなさい……マクシス様!!」
「お優しいキャレルさん、私達と一緒に机を片付けてもらえますか?」
「キャレルさんはこんな状況で無視する方では無いですよね?」
「え? ええっ!?」
「行こうアーリャ」
「はい、マクシス様」
友情の援護射撃を受けてわたし達は休息室へ向かうのでした……持つべき物はお友達だね。
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