宇宙狂時代~SF宝島~

万卜人

文字の大きさ
20 / 107
待っていた男

3

しおりを挟む
 最初に見たときと同じく、女の子の立像はぴくりとも動かない。
 ヘロヘロは自分の頭から伸びているホイップ・アンテナをキャシーに向けた。
「僕がキャシーの停滞フィールドの解除スイッチになっているんだ……」
 ヘロヘロのホイップ・アンテナの先端がキャシーに触れた。アンテナの先端に灯っている明かりがひときわ強く輝く。
 ふっ、と少女の立像が動いた!
 途端に「はっくしょん!」とキャシーは大きくくしゃみをする。身動きすると、それまで積もっていた埃が舞い上がる。この埃が鼻に入ったのだろう。
 目に埃が入ったのか、しきりと瞬きをし、両手で目を擦っている。
「ああ、もう! なによ、これは……。ひっどい埃……」
 ようやく目が開くようになって、キャシーは目の前に立っているジムに気付いた。
「誰、あんた」
 表情が険悪になる。さっと身構え、いつでも攻撃に移る姿勢になった。
 それまでジムは気がついていなかったが、キャシーは銃を携行していた。まるで手品のように、キャシーは手に光線銃のようなものを握っていた。銃の先端がジムの胸に狙いをつけている。
 思わずジムは両手を挙げた。
「よ、よせよ! そんな物騒なもの、振り回すない!」
「あたしの船に何の用?」
「おれの船でもあるんだぜ」
 ジムの言葉にキャシーは「へっ?」と、ぽかんとした表情になる。
「ちょっと待ってくれよ、キャシー。穏便に行こうよ……」
 ヘロヘロがしゃしゃり出た。
「ヘロヘロ! あんたまで! ということは……あっ、あたし停滞フィールド……」
 呟き、目を細めた。ヘロヘロを見て叫ぶ。
「いったい何年、あれから経っているの!」
 一瞬にして状況を理解するとは、大した女の子だ、とジムは感心する。
「百年くらい……」
 ヘロヘロの言葉に、キャシーは衝撃を受けた様子だった。手にした銃がだらりと下がる。銃の狙いが逸れて、ジムは内心ほっと安堵の溜息をついた。
「百年……」
 手を髪にやり、くしゃくしゃと掻き回す。
 ジムは声を掛けた。
「え、ええと……いいかな?」
 挙げている両手を下げる素振り。
 さっとキャシーは銃を持ち上げた。
「そのままよ! 動かないで!」
 ジムは、ぴん、と両手を垂直に差し上げる。
 キャシーの勢いにつられ、ヘロヘロも両手を挙げようとする。だが、二本の腕兼用足を上げたので、ころんと無様に引っくり返ってしまった。
 どすん! 船体が震えた。
「何、あれは?」
「この船はシルバーって奴の《鉄槌》って戦艦に掴まったのさ。今、牽引ビームで引っ張られている」
「なんですってえ!」
 ジムの説明にキャシーは悲鳴に近い叫び声を上げた。
 見る見る顔が真赤になり、銃をホルスターに納めると、脱兎のごとく操縦室へ駆け込んでいく。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...