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待っていた男
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最初に見たときと同じく、女の子の立像はぴくりとも動かない。
ヘロヘロは自分の頭から伸びているホイップ・アンテナをキャシーに向けた。
「僕がキャシーの停滞フィールドの解除スイッチになっているんだ……」
ヘロヘロのホイップ・アンテナの先端がキャシーに触れた。アンテナの先端に灯っている明かりがひときわ強く輝く。
ふっ、と少女の立像が動いた!
途端に「はっくしょん!」とキャシーは大きく嚔をする。身動きすると、それまで積もっていた埃が舞い上がる。この埃が鼻に入ったのだろう。
目に埃が入ったのか、しきりと瞬きをし、両手で目を擦っている。
「ああ、もう! なによ、これは……。ひっどい埃……」
ようやく目が開くようになって、キャシーは目の前に立っているジムに気付いた。
「誰、あんた」
表情が険悪になる。さっと身構え、いつでも攻撃に移る姿勢になった。
それまでジムは気がついていなかったが、キャシーは銃を携行していた。まるで手品のように、キャシーは手に光線銃のようなものを握っていた。銃の先端がジムの胸に狙いをつけている。
思わずジムは両手を挙げた。
「よ、よせよ! そんな物騒なもの、振り回すない!」
「あたしの船に何の用?」
「おれの船でもあるんだぜ」
ジムの言葉にキャシーは「へっ?」と、ぽかんとした表情になる。
「ちょっと待ってくれよ、キャシー。穏便に行こうよ……」
ヘロヘロがしゃしゃり出た。
「ヘロヘロ! あんたまで! ということは……あっ、あたし停滞フィールド……」
呟き、目を細めた。ヘロヘロを見て叫ぶ。
「いったい何年、あれから経っているの!」
一瞬にして状況を理解するとは、大した女の子だ、とジムは感心する。
「百年くらい……」
ヘロヘロの言葉に、キャシーは衝撃を受けた様子だった。手にした銃がだらりと下がる。銃の狙いが逸れて、ジムは内心ほっと安堵の溜息をついた。
「百年……」
手を髪にやり、くしゃくしゃと掻き回す。
ジムは声を掛けた。
「え、ええと……いいかな?」
挙げている両手を下げる素振り。
さっとキャシーは銃を持ち上げた。
「そのままよ! 動かないで!」
ジムは、ぴん、と両手を垂直に差し上げる。
キャシーの勢いにつられ、ヘロヘロも両手を挙げようとする。だが、二本の腕兼用足を上げたので、ころんと無様に引っくり返ってしまった。
どすん! 船体が震えた。
「何、あれは?」
「この船はシルバーって奴の《鉄槌》って戦艦に掴まったのさ。今、牽引ビームで引っ張られている」
「なんですってえ!」
ジムの説明にキャシーは悲鳴に近い叫び声を上げた。
見る見る顔が真赤になり、銃をホルスターに納めると、脱兎のごとく操縦室へ駆け込んでいく。
ヘロヘロは自分の頭から伸びているホイップ・アンテナをキャシーに向けた。
「僕がキャシーの停滞フィールドの解除スイッチになっているんだ……」
ヘロヘロのホイップ・アンテナの先端がキャシーに触れた。アンテナの先端に灯っている明かりがひときわ強く輝く。
ふっ、と少女の立像が動いた!
途端に「はっくしょん!」とキャシーは大きく嚔をする。身動きすると、それまで積もっていた埃が舞い上がる。この埃が鼻に入ったのだろう。
目に埃が入ったのか、しきりと瞬きをし、両手で目を擦っている。
「ああ、もう! なによ、これは……。ひっどい埃……」
ようやく目が開くようになって、キャシーは目の前に立っているジムに気付いた。
「誰、あんた」
表情が険悪になる。さっと身構え、いつでも攻撃に移る姿勢になった。
それまでジムは気がついていなかったが、キャシーは銃を携行していた。まるで手品のように、キャシーは手に光線銃のようなものを握っていた。銃の先端がジムの胸に狙いをつけている。
思わずジムは両手を挙げた。
「よ、よせよ! そんな物騒なもの、振り回すない!」
「あたしの船に何の用?」
「おれの船でもあるんだぜ」
ジムの言葉にキャシーは「へっ?」と、ぽかんとした表情になる。
「ちょっと待ってくれよ、キャシー。穏便に行こうよ……」
ヘロヘロがしゃしゃり出た。
「ヘロヘロ! あんたまで! ということは……あっ、あたし停滞フィールド……」
呟き、目を細めた。ヘロヘロを見て叫ぶ。
「いったい何年、あれから経っているの!」
一瞬にして状況を理解するとは、大した女の子だ、とジムは感心する。
「百年くらい……」
ヘロヘロの言葉に、キャシーは衝撃を受けた様子だった。手にした銃がだらりと下がる。銃の狙いが逸れて、ジムは内心ほっと安堵の溜息をついた。
「百年……」
手を髪にやり、くしゃくしゃと掻き回す。
ジムは声を掛けた。
「え、ええと……いいかな?」
挙げている両手を下げる素振り。
さっとキャシーは銃を持ち上げた。
「そのままよ! 動かないで!」
ジムは、ぴん、と両手を垂直に差し上げる。
キャシーの勢いにつられ、ヘロヘロも両手を挙げようとする。だが、二本の腕兼用足を上げたので、ころんと無様に引っくり返ってしまった。
どすん! 船体が震えた。
「何、あれは?」
「この船はシルバーって奴の《鉄槌》って戦艦に掴まったのさ。今、牽引ビームで引っ張られている」
「なんですってえ!」
ジムの説明にキャシーは悲鳴に近い叫び声を上げた。
見る見る顔が真赤になり、銃をホルスターに納めると、脱兎のごとく操縦室へ駆け込んでいく。
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