34 / 107
想い出は永遠{とわ}に
3
しおりを挟む
「ここは、いったい、何のための場所なんだ? まるで、どこかの農業惑星みたいに見える……」
走りながらジムは、ヘロヘロに尋ねていた。ヘロヘロは顔を振った。
「判んないよ。でも、まるでキャシーの生まれ故郷そっくりだ! あの家も、キャシーの育った家みたいだし……」
二人は赤い切妻屋根の見える丘へ向かっている。丘の周りには一面の麦畑が広がり、二人は、その麦畑を突っ切っていた。
「なんだって……」
ジムが何か言いかけたその時、いきなり周りの地面がぐらりと揺れた。
どかあーん!
炸裂音とともに土塊が跳ね上がり、地面から猛然と土埃が巻き上がった。
地面に横倒しになり、ジムは空を見上げ「あっ!」と叫び声を上げていた。
いつの間にか空はヴァーミリオン・オレンジの色に燃え上がり、毒々しいほどの夕空をバックに雲霞のごとくといった表現がぴったりくるほどの大量の戦闘機、爆撃機が空を埋め尽くしている。
再び砲弾が飛来する音がして、今度はあの赤い屋根が吹き飛んだ。屋根の真ん中から黒い煙が立ち昇り、風見鶏の飾りが吹き飛んで宙に舞った。
ジムがやってきた森の方向から、地響きが近づいてくる。
振り返ると、巨大な戦車がずしんずしんと地面を踏みしめ、接近してくる。戦車の後方からは、戦闘服に身を包んだ地上部隊が隊伍を組んで従っていた。
「戦争だ! ここは戦場だぞ!」
ジムは今こうして眼前に見ている光景が、信じられなかった。まるで悪夢の一場面だった。
「ヘロヘロ、こりゃ、いったい何だ?」
言いかけて、ヘロヘロを見ると、呆然と立ちすくみ、硬直している。
「おい、ヘロヘロ?」
声を掛けられてもヘロヘロは動かない。いや、動けないらしい。両目をまん丸に見開き、かたかたと細かく震えている。
「ヘロヘロ! とにかく、あの家へ急ぐぞ!」
棒立ちになっているヘロヘロを抱え上げ、ジムは走り出した。何が何だか判らないが、ここに立ち止まっていては危険だ、という本能的な判断だった。
びいーんっ、と斥力プレートの音が近づき、ジムの目の前に一台の戦闘用飛行モービルが立ち塞がった。
モービルは無蓋タイプで、銃座があり、いかにも破壊力がありそうな大口径の銃が装備されていた。
運転席に座る相手を見てジムは叫んだ。
「あんたは……?」
「お前をあの家へ近づけさせる訳にはいかんな。前はキャシーに止められたが、今は違う。今度こそ、死んで貰おう」
にやりと笑って答えたのはシルバーだった。素早く立ち上がり、銃座に取りつくと、銃口を旋回させ、ジムの胸に狙いをつける。
走りながらジムは、ヘロヘロに尋ねていた。ヘロヘロは顔を振った。
「判んないよ。でも、まるでキャシーの生まれ故郷そっくりだ! あの家も、キャシーの育った家みたいだし……」
二人は赤い切妻屋根の見える丘へ向かっている。丘の周りには一面の麦畑が広がり、二人は、その麦畑を突っ切っていた。
「なんだって……」
ジムが何か言いかけたその時、いきなり周りの地面がぐらりと揺れた。
どかあーん!
炸裂音とともに土塊が跳ね上がり、地面から猛然と土埃が巻き上がった。
地面に横倒しになり、ジムは空を見上げ「あっ!」と叫び声を上げていた。
いつの間にか空はヴァーミリオン・オレンジの色に燃え上がり、毒々しいほどの夕空をバックに雲霞のごとくといった表現がぴったりくるほどの大量の戦闘機、爆撃機が空を埋め尽くしている。
再び砲弾が飛来する音がして、今度はあの赤い屋根が吹き飛んだ。屋根の真ん中から黒い煙が立ち昇り、風見鶏の飾りが吹き飛んで宙に舞った。
ジムがやってきた森の方向から、地響きが近づいてくる。
振り返ると、巨大な戦車がずしんずしんと地面を踏みしめ、接近してくる。戦車の後方からは、戦闘服に身を包んだ地上部隊が隊伍を組んで従っていた。
「戦争だ! ここは戦場だぞ!」
ジムは今こうして眼前に見ている光景が、信じられなかった。まるで悪夢の一場面だった。
「ヘロヘロ、こりゃ、いったい何だ?」
言いかけて、ヘロヘロを見ると、呆然と立ちすくみ、硬直している。
「おい、ヘロヘロ?」
声を掛けられてもヘロヘロは動かない。いや、動けないらしい。両目をまん丸に見開き、かたかたと細かく震えている。
「ヘロヘロ! とにかく、あの家へ急ぐぞ!」
棒立ちになっているヘロヘロを抱え上げ、ジムは走り出した。何が何だか判らないが、ここに立ち止まっていては危険だ、という本能的な判断だった。
びいーんっ、と斥力プレートの音が近づき、ジムの目の前に一台の戦闘用飛行モービルが立ち塞がった。
モービルは無蓋タイプで、銃座があり、いかにも破壊力がありそうな大口径の銃が装備されていた。
運転席に座る相手を見てジムは叫んだ。
「あんたは……?」
「お前をあの家へ近づけさせる訳にはいかんな。前はキャシーに止められたが、今は違う。今度こそ、死んで貰おう」
にやりと笑って答えたのはシルバーだった。素早く立ち上がり、銃座に取りつくと、銃口を旋回させ、ジムの胸に狙いをつける。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる