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伝説の星
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《弾頭》の艦内には、沈黙が支配していた。皆、押し黙り、目を落としてバングのことを考えている。
原型の指導者、サークもまた画面では黙り込み、無表情を保っていたが、脳だけの身体を守るタンクの溶液には、ごぼごぼと大量の気泡が湧いて、内心の動揺を表している。
船窓からは、超空間特有の、見る者の魂をもぎ取っていきそうな奇妙な景観が広がっている。目をぎゅっと瞑ったとき、網膜に映し出される斑模様、というのが、最も近い表現だ。
目を凝らしても、斑模様をはっきりと見定めることはできない。かつて、この空間を記録しようと、あらゆる試みが為されたことがあったが、再生してみるとただの真っ暗闇が映し出されているだけだった。どうやら、この眺めは、人間の心の中にしか見えないものらしい。
シルバーから奪った《弾頭》は、巡洋艦クラスの宇宙軍艦である。本来、操艦作業は数百人で行わなければならないのだが、今は大部分の作業を自動システムに任せている。戦闘をするのではないので、それでも平気なのだ。
宙森から脱出した原型の人々は、始めて目にする巡洋艦の内部の眺めに、ぽかんと口を開け、ただただ感嘆していた。
戦艦という名称から、もっと無愛想な機能一点張りの艦内を想像していたようだ。しかし《弾頭》の内部は、戦艦というより、豪華客船のような優美なデザインを採用していた。コンソール、各種ディスプレイ、照明など、ほとんどが曲線を基調としていて、その色合いも、落ち着いた、アイボリーと臙脂色を主としていた。
コンソールの計器に目を落としていたキャシーが顔を上げた。隣に座るジムに声を掛ける。
「もうすぐ超空間を出るわ。そうしたら、目的の太陽系の外側に出現するはずよ」
キャシーの言葉にジムは「うん」と頷いただけだった。
考えは宙森を脱出した最後の場面に戻っていく。どうしても、たった一人、戦って倒れこむバングの姿を脳裏から消し去ることができない。
ジムの肩をぽん、と叩いた手があった。
振り向くとルーサンの顔がある。ルーサンは無言で頷いてみせる。ルーサンの目は「しかたのないことだ」と言っている。
ジムは息を吸い込み、操舵室を見渡した。原型たちの不安そうな顔が目に飛び込んでくる。
ジムは立ち上がった。
何事か、と原型たちがジムを見守る。
ジムは口を開いた。
「もうすぐ超空間を出る! そうしたら、地球がある太陽系だ!」
原型たちに無言のざわめきが走った。ジムは船窓に顔を向けた。
超空間が開き、そこに太陽が正面に見えていた。
距離があるので、ちっぽけな、ほとんど背後の星空に紛れ込んでしまいそうであるが、確かにそこには、他に見誤りようのない、一つの星が光っている。
「あれが、地球の太陽だ!」
ジムは叫んだ。
原型の指導者、サークもまた画面では黙り込み、無表情を保っていたが、脳だけの身体を守るタンクの溶液には、ごぼごぼと大量の気泡が湧いて、内心の動揺を表している。
船窓からは、超空間特有の、見る者の魂をもぎ取っていきそうな奇妙な景観が広がっている。目をぎゅっと瞑ったとき、網膜に映し出される斑模様、というのが、最も近い表現だ。
目を凝らしても、斑模様をはっきりと見定めることはできない。かつて、この空間を記録しようと、あらゆる試みが為されたことがあったが、再生してみるとただの真っ暗闇が映し出されているだけだった。どうやら、この眺めは、人間の心の中にしか見えないものらしい。
シルバーから奪った《弾頭》は、巡洋艦クラスの宇宙軍艦である。本来、操艦作業は数百人で行わなければならないのだが、今は大部分の作業を自動システムに任せている。戦闘をするのではないので、それでも平気なのだ。
宙森から脱出した原型の人々は、始めて目にする巡洋艦の内部の眺めに、ぽかんと口を開け、ただただ感嘆していた。
戦艦という名称から、もっと無愛想な機能一点張りの艦内を想像していたようだ。しかし《弾頭》の内部は、戦艦というより、豪華客船のような優美なデザインを採用していた。コンソール、各種ディスプレイ、照明など、ほとんどが曲線を基調としていて、その色合いも、落ち着いた、アイボリーと臙脂色を主としていた。
コンソールの計器に目を落としていたキャシーが顔を上げた。隣に座るジムに声を掛ける。
「もうすぐ超空間を出るわ。そうしたら、目的の太陽系の外側に出現するはずよ」
キャシーの言葉にジムは「うん」と頷いただけだった。
考えは宙森を脱出した最後の場面に戻っていく。どうしても、たった一人、戦って倒れこむバングの姿を脳裏から消し去ることができない。
ジムの肩をぽん、と叩いた手があった。
振り向くとルーサンの顔がある。ルーサンは無言で頷いてみせる。ルーサンの目は「しかたのないことだ」と言っている。
ジムは息を吸い込み、操舵室を見渡した。原型たちの不安そうな顔が目に飛び込んでくる。
ジムは立ち上がった。
何事か、と原型たちがジムを見守る。
ジムは口を開いた。
「もうすぐ超空間を出る! そうしたら、地球がある太陽系だ!」
原型たちに無言のざわめきが走った。ジムは船窓に顔を向けた。
超空間が開き、そこに太陽が正面に見えていた。
距離があるので、ちっぽけな、ほとんど背後の星空に紛れ込んでしまいそうであるが、確かにそこには、他に見誤りようのない、一つの星が光っている。
「あれが、地球の太陽だ!」
ジムは叫んだ。
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