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伝説の星
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「やれやれ、何とかうまく脱出してくれたな。まさか、あんなところで、原型の人間が大立ち回りを演ずるとは思っていなかったから、慌てたぞ」
含み笑いをしてシルバーは呟いた。
宙森の、中央管理センターである。場所はハブにあり、ここも宙森の他の部分と同じく、樹木がふんだんに使われている。全体の構成は、シルバーの戦艦《鉄槌》と似ている。
《大校母》が、センターの特別に誂えられた玉座に巨体を横たえている。こんなときでも《大校母》の巨体から時々、ボーラン人の赤ん坊が排出される。その度に、下働きらしきボーラン人が受け取り、大急ぎで育児室へ運んでいく。
また一人を産み落とした《大校母》は、ほっと溜息をついた。気だるそうにシルバーに尋ねる。
「シルバー、そなたは自信満々ですが、本当に上手く行くのですか? あの者らは、超空間に消えてしまいましたぞ」
シルバーはぐい、と顎を上げ、傲然と話しかける。
「心配ない! 何のためにわざわざ、警備員たちを差し向けたと思うのだ。あれがなければ、奴らは完全に罠だと思って、おれたちの思う通りに動いてくれないのだぞ。もっとも、キャシーはすでに勘付いているだろうがな。しかし百人もの仲間がいるんだ。そうそう、危ない橋を渡る訳にはいかん。あいつらの向かった先は、必ずフリント教授の〝伝説の星〟地球に決まっている!」
手近のコンソールのディスプレイに、一連の空間座標が表示されていた。シルバーは座標を、ぎらつく視線で睨みつける。
「これが〝伝説の星〟地球の座標か……!」
シルバーの背後から《大校母》が話しかける。
「それがどうして、求める星の座標であると確信できるのです?」
シルバーは、うんざりした声を上げた。
「説明したろう! おれの《弾頭》には、おれだけしか開くことのできない秘密回線が仕掛けられているのだ。そいつをここから起動させ、向こうの航法システムに入力された座標を送信させた。奴らがおれの《弾頭》をまんまと奪ってくれたから、こちらから密かに操作できた。向こうは総て、おれの手の平で踊っている、という訳さ!」
シルバーの口調は得意げなものに変わる。
「百人の原型の仲間が、キャシーの行動を縛っている! あんなに人間が大勢いては、シュレーディンガー航法も使えまい! シュレーディンガー航法を使う人間は、十人以下でなければ不確定性原理が働いて、宇宙船は確率の海に消えてしまう!」
シルバーの長広舌に《大校母》は肩を竦めた。
「ともかく、その座標の星へ向かいましょう。そなたの言うとおり、本当にそこに〝伝説の星〟があるのなら、で、それが地球なら、求める秘密を探しましょう。しかし……」
《大校母》の瞳が厳しい光を湛えた。
「その星にフリント教授の秘密が隠されていなければ、妾はそなたを許しませぬぞ! 妾の〝楽園計画〟に必要な原型の人間を、わざと逃がせてしまうのですからね! あれだけ大勢の人数を集めるのに、またどれだけの時間が掛かるか、考えたことがあるのですか?」
シルバーは「ふん」と小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「その〝楽園計画〟ってのは何だ? 初めて聞く話だが」
《大校母》の顔に満足げな笑顔が浮かぶ。
「教えて進ぜましょう。妾は宇宙の秘密を解き明かしたのです! 超空間ジェネレーターの秘密も! そのために、大量の原型の脳が必要なのです」
「何いっ?」
シルバーは驚きの声を上げた。
含み笑いをしてシルバーは呟いた。
宙森の、中央管理センターである。場所はハブにあり、ここも宙森の他の部分と同じく、樹木がふんだんに使われている。全体の構成は、シルバーの戦艦《鉄槌》と似ている。
《大校母》が、センターの特別に誂えられた玉座に巨体を横たえている。こんなときでも《大校母》の巨体から時々、ボーラン人の赤ん坊が排出される。その度に、下働きらしきボーラン人が受け取り、大急ぎで育児室へ運んでいく。
また一人を産み落とした《大校母》は、ほっと溜息をついた。気だるそうにシルバーに尋ねる。
「シルバー、そなたは自信満々ですが、本当に上手く行くのですか? あの者らは、超空間に消えてしまいましたぞ」
シルバーはぐい、と顎を上げ、傲然と話しかける。
「心配ない! 何のためにわざわざ、警備員たちを差し向けたと思うのだ。あれがなければ、奴らは完全に罠だと思って、おれたちの思う通りに動いてくれないのだぞ。もっとも、キャシーはすでに勘付いているだろうがな。しかし百人もの仲間がいるんだ。そうそう、危ない橋を渡る訳にはいかん。あいつらの向かった先は、必ずフリント教授の〝伝説の星〟地球に決まっている!」
手近のコンソールのディスプレイに、一連の空間座標が表示されていた。シルバーは座標を、ぎらつく視線で睨みつける。
「これが〝伝説の星〟地球の座標か……!」
シルバーの背後から《大校母》が話しかける。
「それがどうして、求める星の座標であると確信できるのです?」
シルバーは、うんざりした声を上げた。
「説明したろう! おれの《弾頭》には、おれだけしか開くことのできない秘密回線が仕掛けられているのだ。そいつをここから起動させ、向こうの航法システムに入力された座標を送信させた。奴らがおれの《弾頭》をまんまと奪ってくれたから、こちらから密かに操作できた。向こうは総て、おれの手の平で踊っている、という訳さ!」
シルバーの口調は得意げなものに変わる。
「百人の原型の仲間が、キャシーの行動を縛っている! あんなに人間が大勢いては、シュレーディンガー航法も使えまい! シュレーディンガー航法を使う人間は、十人以下でなければ不確定性原理が働いて、宇宙船は確率の海に消えてしまう!」
シルバーの長広舌に《大校母》は肩を竦めた。
「ともかく、その座標の星へ向かいましょう。そなたの言うとおり、本当にそこに〝伝説の星〟があるのなら、で、それが地球なら、求める秘密を探しましょう。しかし……」
《大校母》の瞳が厳しい光を湛えた。
「その星にフリント教授の秘密が隠されていなければ、妾はそなたを許しませぬぞ! 妾の〝楽園計画〟に必要な原型の人間を、わざと逃がせてしまうのですからね! あれだけ大勢の人数を集めるのに、またどれだけの時間が掛かるか、考えたことがあるのですか?」
シルバーは「ふん」と小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「その〝楽園計画〟ってのは何だ? 初めて聞く話だが」
《大校母》の顔に満足げな笑顔が浮かぶ。
「教えて進ぜましょう。妾は宇宙の秘密を解き明かしたのです! 超空間ジェネレーターの秘密も! そのために、大量の原型の脳が必要なのです」
「何いっ?」
シルバーは驚きの声を上げた。
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