宇宙狂時代~SF宝島~

万卜人

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シルバーの戦い

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 スクリーンの中の《大校母》は、まさに恐慌状態そのものだった。「信じられない」とばかりに、口をぽかんと開き、目は一杯に見開かれている。
「なぜ、そんなことができたのです! 超空間通信は、未だに実現していないのに」
 シルバーは嘲笑う。
「簡単なことだ。ここまで《弾頭》でやってくる前、おれは部下に命じて単座艇で後を尾けさせていたのだ。超空間フィールドを観測させ、どこへ転移するか判ったら《鉄槌》へ連絡すれば、後を辿れる。後は頃合を見て、こちらから連絡すればよい。さあ、おれの戦艦が来たからには、もうお前とおれは五分五分だな!」
「くううう!」と、悔しそうに《大校母》はシルバーを睨みつけた。きりきりきりと歯を食い縛り、怒りの視線を向ける。
「シルバー! そっちがその気なら、妾も考えがあります! 後悔なさらないよう、お祈りでも、お題目でも、念仏でも唱えていなさい! 通信終わり!」
 ぷつん、と音を立てホロ・スクリーンが真っ暗になった。
「けっ!」と呟くと、シルバーはいきなりジムたちに顔をねじ向け、怒鳴る。
「そこで隠れている奴ら! いい加減、鼠のようにこそこそしていないで、出てこい!」
 ジムたちは顔を見合わせた。シルバーの奴、とっくに気付いていたのか?
 こうなったら堂々とするに限る。ジムは大股で操縦室へと踏み込んだ。
 ジムと、キャシーたちの顔を見たシルバーは、にたりと笑い掛ける。
「やっぱりな! こんなことではないかと思っていたぞ。お前たち、わざわざこっちに乗り込んで、どうするつもりなんだ?」
 キャシーは胸を張った。
「あんたこそ! 宙森と戦って、何を得るつもりなの?」
 シルバーは真面目な顔になった。
「おれは、原型の身体を手に入れる! この世界を精一杯、生きて、生き抜いて、味わい尽くす! そのためには、原型が安心して暮らせる世界が必要だ。《大校母》の〝楽園計画〟を見過ごすと、おれにも危険が及ぶ可能性がある。だから、断固としてあいつの計画は潰す!」
 シルバーはじっとキャシーの目を見つめた。見返したキャシーの目が瞠られる。
「本気なのね……」
 シルバーは無言で頷き、大声を張り上げる。
「さあ! おれの戦いに参加するのか、しないのか? これは本当の戦いだ。ただ面白半分で従いてこられては、迷惑だ!」
 ジムは笑い返した。
「おれも戦う! おれたち原型を滅ぼそうなんて、絶対に許せねえ!」
 キャシーも頷いた。
「あたしだって……。お祖父ちゃんのためにも!」
 ヘロヘロは軽く首を振った。
「やーれ、やれ! こんなことになるんじゃないかと思ってた!」
 ガラスの管理人は一歩、前へ出た。
「わたしも参加させて頂きます。お役に立てるかどうか判りませんが、フリント教授の計画を進めるためです」
 そこでアルニが呆然と呟いた。
「あんたら正気じゃないわ! 宇宙戦争よ! 死ぬかもしれないのよ!」
 全員の注目を浴び、アルニは「やだ!」とばかりに軽く拳を握って口許に持っていく。ひくひくと唇が笑いの形を作りそうになるが、それは泣き顔にしか見えない。
 シルバーは静かに話し掛けた。
「逃げてもいいのだぞ。お前の言うとおり、死ぬかもしれない戦いなのだ」
 アルニは、どっかりと、その場に座り込んだ。
「へっ! こうなったら、どうにでもなれだわよ! いいわよ、あんたがどんな戦いをするか、見せてもらうわよ!」
 腕組みをして、シルバーを見上げる。
 ぼりぼりとシルバーは頭を掻いた。
「なんだ、同行するのか。てっきり降りると思っていたぞ」
「迷惑?」
 アルニは挑戦するような目つきになる。シルバーは両手を上げた。
「判った、判った! ともかく、出発だ! お前たち……」
 と、ジムとキャシーを見た。ジムたちは「よしきた!」とばかりに操縦席に座る。シルバーは大股に艦長席に座ると、号令するように手を挙げ、スクリーンの表示を指し示す。
 スクリーンには宙森が映し出されている。
「出発だ!」
「了解! エンジン始動!」
 ジムは操縦桿を握った。
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