172 / 279
エイダ
5
しおりを挟む
エイダ、と呼ばれた女の首はうなずき話し始めた。
「わたしにはこの世界で起きているあらゆる事柄が感知されます。この世界には、不思議な要素が満ちており、それがわたしに知能をあたえ、こうしてお話しができるのです」
「〝魔素〟じゃ!」
ニコラ博士はつぶやいた。エイダはうなずいた。
「〝魔素〟というのですか。よい言葉ですね。その要素をきわめて正確にあらわした言葉です。それではこれからわたしは、それを〝魔素〟と呼ぶことにしましょう」
エイダの瞳はふかい叡智をあらわしていた。その瞳に見つめられると、すべてを見透かさせるような気になってくる。
「わたしの感知した異常なちからは、首都のはるか南から北の方角へむけて飛び去りました。やがて北の森へと到達すると、そこで留まりました。その森にも、異常なちからが集中しているのを感じられます。そのちからは、あなたがたの言葉では魔法、と言うのではないですか?」
「その場所を特定できるかね?」
ホルンは尋ねた。
エイダはうなずいた。
その瞳から光が発せられた。
空中にまるい、球体があらわれる。
サンディはそれに指を近づけ、まるで手ごたえがないのに驚いた。
エイダはにっこりと笑った。
「それはわたしの作り出した幻影です。実体はありません。この球体が、世界全体をあらわしています。いま、わたしたちがいるのは北半球のこのあたり……」
球体に描かれた大陸のひとつに赤い点がともった。
「そのちからはこの方向に飛び去りました」
大陸から一本の矢印がのびていく。
やがて矢印はとまった。そこにあらたな光点が表示された。北極近くの、北の大陸だった。
パックはそれを見上げ、なんて遠方なんだとため息をついた。北の大陸と、いまいるところには大洋が広がり、海が隔てている。
しかしミリィはそこにいる!
なんとしてもそこへ行かなくては。
パックは決意をあらたにした。
エイダの瞳がパックを見つめている。
「しかしもうひとつ、気がかりなことがあります。わたしはこの首都であらたなちからを感知しました」
「どういうことだい?」
「判りません。その性質がどのようなものか、まだデータが不足しています。しかし〝魔素〟というのですね、その異常な集中を感じます。いまもです」
「わたしにはこの世界で起きているあらゆる事柄が感知されます。この世界には、不思議な要素が満ちており、それがわたしに知能をあたえ、こうしてお話しができるのです」
「〝魔素〟じゃ!」
ニコラ博士はつぶやいた。エイダはうなずいた。
「〝魔素〟というのですか。よい言葉ですね。その要素をきわめて正確にあらわした言葉です。それではこれからわたしは、それを〝魔素〟と呼ぶことにしましょう」
エイダの瞳はふかい叡智をあらわしていた。その瞳に見つめられると、すべてを見透かさせるような気になってくる。
「わたしの感知した異常なちからは、首都のはるか南から北の方角へむけて飛び去りました。やがて北の森へと到達すると、そこで留まりました。その森にも、異常なちからが集中しているのを感じられます。そのちからは、あなたがたの言葉では魔法、と言うのではないですか?」
「その場所を特定できるかね?」
ホルンは尋ねた。
エイダはうなずいた。
その瞳から光が発せられた。
空中にまるい、球体があらわれる。
サンディはそれに指を近づけ、まるで手ごたえがないのに驚いた。
エイダはにっこりと笑った。
「それはわたしの作り出した幻影です。実体はありません。この球体が、世界全体をあらわしています。いま、わたしたちがいるのは北半球のこのあたり……」
球体に描かれた大陸のひとつに赤い点がともった。
「そのちからはこの方向に飛び去りました」
大陸から一本の矢印がのびていく。
やがて矢印はとまった。そこにあらたな光点が表示された。北極近くの、北の大陸だった。
パックはそれを見上げ、なんて遠方なんだとため息をついた。北の大陸と、いまいるところには大洋が広がり、海が隔てている。
しかしミリィはそこにいる!
なんとしてもそこへ行かなくては。
パックは決意をあらたにした。
エイダの瞳がパックを見つめている。
「しかしもうひとつ、気がかりなことがあります。わたしはこの首都であらたなちからを感知しました」
「どういうことだい?」
「判りません。その性質がどのようなものか、まだデータが不足しています。しかし〝魔素〟というのですね、その異常な集中を感じます。いまもです」
0
あなたにおすすめの小説
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました
婚約破棄された公爵令嬢は数理魔法の天才
希羽
ファンタジー
この世界では、魔法は神への祈りとされる神聖な詠唱によって発動する。しかし、数学者だった前世の記憶を持つ公爵令嬢のリディアは、魔法の本質が「数式による世界の法則への干渉」であることを見抜いてしまう。
彼女が編み出した、微分積分や幾何学を応用した「数理魔法」は、従来の魔法を遥かに凌駕する威力と効率を誇った。しかし、その革新的な理論は神への冒涜とされ、彼女を妬む宮廷魔術師と婚約者の王子によって「異端の悪女」の烙印を押され、婚約破棄と国外追放を宣告される。
追放されたリディアは、魔物が蔓延る未開の地へ。しかし、そこは彼女にとって理想の研究場所だった。放物線を描く最適な角度で岩を射出する攻撃魔法、最小の魔力で最大範囲をカバーする結界術など、前世の数学・物理知識を駆使して、あっという間に安全な拠点と豊かな生活を確立する。
そんな中、彼女の「数理魔法」に唯一興味を示した、一人の傭兵が現れる。感覚で魔法を操る天才だった彼は、リディアの理論に触れることで、自身の能力を飛躍的に開花させていく。
やがて、リディアを追放した王国が、前例のない規模の魔物の大群に襲われる。神聖な祈りの魔法では全く歯が立たず、国が滅亡の危機に瀕した時、彼らが頼れるのは追放したはずの「異端の魔女」ただ一人だった。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?
大好き丸
ファンタジー
天上魔界「イイルクオン」
世界は大きく分けて二つの勢力が存在する。
”人類”と”魔族”
生存圏を争って日夜争いを続けている。
しかしそんな中、戦争に背を向け、ただひたすらに宝を追い求める男がいた。
トレジャーハンターその名はラルフ。
夢とロマンを求め、日夜、洞窟や遺跡に潜る。
そこで出会った未知との遭遇はラルフの人生の大きな転換期となり世界が動く
欺瞞、裏切り、秩序の崩壊、
世界の均衡が崩れた時、終焉を迎える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる