蒸汽帝国~真鍮の乙女~

万卜人

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エイダ

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 エイダ、と呼ばれた女の首はうなずき話し始めた。
「わたしにはこの世界で起きているあらゆる事柄が感知されます。この世界には、不思議な要素が満ちており、それがわたしに知能をあたえ、こうしてお話しができるのです」
「〝魔素〟じゃ!」
 ニコラ博士はつぶやいた。エイダはうなずいた。
「〝魔素〟というのですか。よい言葉ですね。その要素をきわめて正確にあらわした言葉です。それではこれからわたしは、それを〝魔素〟と呼ぶことにしましょう」
 エイダの瞳はふかい叡智をあらわしていた。その瞳に見つめられると、すべてを見透かさせるような気になってくる。
「わたしの感知した異常なちからは、首都のはるか南から北の方角へむけて飛び去りました。やがて北の森へと到達すると、そこで留まりました。その森にも、異常なちからが集中しているのを感じられます。そのちからは、あなたがたの言葉では魔法、と言うのではないですか?」
「その場所を特定できるかね?」
 ホルンは尋ねた。
 エイダはうなずいた。
 その瞳から光が発せられた。
 空中にまるい、球体があらわれる。
 サンディはそれに指を近づけ、まるで手ごたえがないのに驚いた。
 エイダはにっこりと笑った。
「それはわたしの作り出した幻影です。実体はありません。この球体が、世界全体をあらわしています。いま、わたしたちがいるのは北半球のこのあたり……」
 球体に描かれた大陸のひとつに赤い点がともった。
「そのちからはこの方向に飛び去りました」
 大陸から一本の矢印がのびていく。
 やがて矢印はとまった。そこにあらたな光点が表示された。北極近くの、北の大陸だった。
 パックはそれを見上げ、なんて遠方なんだとため息をついた。北の大陸と、いまいるところには大洋が広がり、海が隔てている。
 しかしミリィはそこにいる!
 なんとしてもそこへ行かなくては。
 パックは決意をあらたにした。
 エイダの瞳がパックを見つめている。
「しかしもうひとつ、気がかりなことがあります。わたしはこの首都であらたなちからを感知しました」
「どういうことだい?」
「判りません。その性質がどのようなものか、まだデータが不足しています。しかし〝魔素〟というのですね、その異常な集中を感じます。いまもです」
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