【アステリウム】

漣 琉華

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9、マレリア王国第2騎士団、苦労人副団長

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副団長side

私の名前はロベルト。子爵家の次男で、この脳筋の多い第2騎士団で一部の事務仕事をする人間を統括し、脳筋の補佐に駆けずり回っている。


この第2騎士団の仕事はかなり多い…正直なところ脳筋ばかりなので心労で胃が痛いし、書類仕事が得意な人間を増やして欲しい…


騎士団長である学園時代からの友人であるグレイルは、侯爵家なので書類仕事も出来るのだが、体を動かすことの方が好きなせいで机に向かわせるのが大変なのだ。


戦闘能力であれば国一番であり最強・最恐なのだが…新米騎士が怯えるのが問題だ。


国内どころか他国でも恐れられる強さなのである。


[戦乱の鬼神]だとか通り名が付いていた気がする…お前はいったい何をしたっ!?と聞きたい…


あいつと伴侶になれる肝の座ったご令嬢などいるのだろうか。


見た目は貴族だし、かなり整っている。だが強面だし、無意識に人を威圧する為、慣れるまで寄りつかれない。


笑わせて見たこともあるが、自然に笑みが浮かぶ時でない時の笑顔は、学園時代から慣れている私でも怖い。…というより恐ろしくて失神する女性が多発した。


正直なところ、第2騎士団の制服が紺地に銀ボタンと青のラインの入ったデザイン(ちなみにこれはグレイルの妹であるフィリア嬢が考案してくれて採用された。)で良かったと思う。これが、全身黒づくめにして真紅のマントでも靡かせたら御伽噺に出てくる魔王が降臨すると思う…


グレイルが笑うのは、彼が溺愛する家族であるフィリア嬢と彼女の専属メイドの家族同然であるアンジェ嬢が来たときくらいだ。


私の心労を癒す妹みたいな存在であり、第2騎士団においても可愛がられている。ちなみに、惚れるやつもいたがグレイルという障害を超えられた者は…今だにいない。いたら精神力だけはトップクラスだろうと思う。


フィリア嬢と始めて出会ったのは、騎士団に入った18歳の頃。もう時期10になるという愛らしい見た目をした明るい、魔法の才能に溢れた彼女は体力では及ばないがグレイルと魔法だけで互角に戦っていた。


そこいらの騎士よりもよっぽど強いだろう。アンジェ嬢も並みの兵士であれば叩き潰されるくらいに強かった。


何のためにそこまで練習するのだと思うほどに訓練を休まず続け、訓練場の壁を破壊するほどの魔法を放った時には、周りがあんぐりと口を開けて固まった。


フィリア嬢が魔法で直したので問題にはならなかったが。


この国も帝国も実力主義であることだし、グレイルはいっそのことアンジェ嬢を何処かの貴族の養子にして、妻にしたらいいんじゃなかろうか…グレイルについていける女性が想像出来ん!!




フィリア嬢から怪しい貴族の話を持ちかけられた。


そして、これから心労が続くことと、フィリア嬢が何を考えていたのか私はまだ気づいていなかった……
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