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第9話 天上界5日目 その2 俺はモニア様にとっての初めての男
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「あなたは、どんな世界に転生したいの?」
「転生先って、決まっているんじゃないんですか?」
「転生先、異世界って言った方がわかりやすいかもしれないけど、異世界はひとつじゃないのよ。いわゆるパラレルワールドってやつで、結構あるのよ」
「どうしていくつもあるのですか?」
「そうね、理想の世界を創るために、私たちはそれこそ試行錯誤しているの。今までわかりやすく人間界って言ってきたけど、あなたがいたところは正確には第三十九世界ね」
「三十九番目なんですね。それで、世界って、全部でいくつあるのですか。」
「だいたい千ってところね。なので転生のパターンは千かける千で、全部で百万くらいあるわ」
「どうして千なんですか?」
「疑問ばかりね。私たち転生担当とは別に、世界は創造担当の神が創っているのよ。だけどね、世界も無制限に創れる訳ではないわ」
答えるだけ答えたら、なんとかこっちのペースに引き込まないと。
「千が限度だったということですか?」
「そうなのよ。私たち神の世界も組織管理・定員管理が厳しくて、創造担当の神の数も限られているの。創造担当は、ただ世界を創るだけでなく、創った世界の発展具合のチェックもしなければならないので、千で手一杯になったというのが正直なところね」
「とすると、今は創造担当というよりは、管理担当というところでしょうか」
「いえ、今も創造の仕事はあるわ。うまく発展できなかった世界はリストラするの。ひとつ世界をリストラしたら、ひとつ新しい世界を創れますからね」
「リストラって、そこに住んでいた人はどうなるんですか」
「そういう発展に失敗した世界は、人間を始め生き物がほとんどいないの。いたとしても少しだから、他の世界に転生させるわ。神はいったん生まれた命は大切にするのよ」
こいつには、私たちが神だということをきっちり認識させたいわ。
「そうすると、転生担当の神様も限られているのですね」
「そうよ。原則世界ひとつにひとりの転生担当神がいるの。ちなみに私はあなたを担当しているように、第三十九世界からの転生者担当のひとりというわけ」
「ひとり?」
「普通は世界ひとつにつき一担当神なんだけど、なぜかあなたの国からは手間がかかる転生者が多いので、私は特別にあなたの国、つまり日本だけの担当神なの」
手間がかかるのは、ラノベやアニメのせいなのかしら。異世界に転生って言うと、食いついてくるやつもいるし。
「もっとも、ここまで手間がかかるのは、あなたが初めてだけど」
「俺はモニア様にとっての初めての男なんですね」
「こ・こ・ま・で・手・間・が・か・か・る・の・が・初・め・て」
誤解を招く言い方は断固排除しないといけないわ。
「ということは、転生担当神だけでも千人いるんですね」
「神だから数え方は『人』でなく『柱』だけど、もう面倒だからそれでいいわ。その約千人が十のグループに分けられているの。つまり、転生第一課から第十課まである訳ね」
「そういえば、エニュー様は転生第一課の責任者って言ってましたね」
「転生第一課はトップナンバーだからエリート揃いなのよ」
あ、うっかり胸を張ったらこいつの視線が痛いわ。
もう一度マイクロビキニ姿を拝みたい思っていそうね。
「そうすると、エニュー様には百人の部下がいるんですね。職場管理が大変そう」
「転生担当はみんな優秀だから、課長に面倒をかける部下っていないのよ」
「課長に泣きついた人がいましたよね」
「誰のせいだと思っているの!」
いけないいけない。切れてはいけない。
「わかりました。それでは本題に移りましょう」
いや、どうしてこいつは自分に主導権があるように振る舞うのかしら。
もう疲れたわ。
「今日はおしまいにしましょ。あなたの転生先の話はまた明日! それまでどんな世界に転生したいかよく考えておいて!」
モニア様がどこからか例の「転生者リスト」を取り出して、「次の方どうぞ」と虚空に向かって声をかけたので俺は引き下がった。
なんか患者さんを呼び出す看護師さんみたいだな。
まだ寝るには早いので、転生先について真剣に考えてみよう。
転生先と言えば、やっぱり魔王がいる、「剣と魔法の世界」ではないだろうか。
殊更に魔王にいてほしい訳ではないが、そんな世界ならば、生前できなかった、困っている人を救うということを、今度はできるのではないか。
そこでチートスキルを駆使して魔王を倒し、世界を救った勇者として称えられ、俺の物語が語り継がれたら最高ではないか。
モニア様の格好についてはいろいろ注文を付けたけど、あまり設定過多だと、将来の読者も辛いだろう。
まずはオーソドックスな、中世ヨーロッパみたいな世界で転生先はお願いしよう。
変化をつけるならスキルかな。
いや、正直言うと、俺は中世ヨーロッパくらいしかイメージできない。大学受験は日本史Bで受けたので、そんなにたくさんの世界の歴史・文化の知識がないのだ。
ならば戦国時代の日本のような世界でとも考えたが、異世界につきものの、エルフとか獣人とかの異種族は、和のテイストとうまく合わない。
俺の想像力が貧困なだけかもしれないが。
後に転生することが高校生の頃の俺にわかっていたら、もっと転生先の候補を考えられるように世界史Bを取っておいたであろうが、後の祭りである。
いや、早死にすることがわかっているのも辛いか。
とにかく、オーソドックスな中世ヨーロッパみたいな世界ならば、今度はモニア様にあまり面倒をかけなくて済みそうだ。
俺とてモニア様を困らせたい訳ではないのだ。
そこまで考えて、俺は安らかな眠りに就いた。
「転生先って、決まっているんじゃないんですか?」
「転生先、異世界って言った方がわかりやすいかもしれないけど、異世界はひとつじゃないのよ。いわゆるパラレルワールドってやつで、結構あるのよ」
「どうしていくつもあるのですか?」
「そうね、理想の世界を創るために、私たちはそれこそ試行錯誤しているの。今までわかりやすく人間界って言ってきたけど、あなたがいたところは正確には第三十九世界ね」
「三十九番目なんですね。それで、世界って、全部でいくつあるのですか。」
「だいたい千ってところね。なので転生のパターンは千かける千で、全部で百万くらいあるわ」
「どうして千なんですか?」
「疑問ばかりね。私たち転生担当とは別に、世界は創造担当の神が創っているのよ。だけどね、世界も無制限に創れる訳ではないわ」
答えるだけ答えたら、なんとかこっちのペースに引き込まないと。
「千が限度だったということですか?」
「そうなのよ。私たち神の世界も組織管理・定員管理が厳しくて、創造担当の神の数も限られているの。創造担当は、ただ世界を創るだけでなく、創った世界の発展具合のチェックもしなければならないので、千で手一杯になったというのが正直なところね」
「とすると、今は創造担当というよりは、管理担当というところでしょうか」
「いえ、今も創造の仕事はあるわ。うまく発展できなかった世界はリストラするの。ひとつ世界をリストラしたら、ひとつ新しい世界を創れますからね」
「リストラって、そこに住んでいた人はどうなるんですか」
「そういう発展に失敗した世界は、人間を始め生き物がほとんどいないの。いたとしても少しだから、他の世界に転生させるわ。神はいったん生まれた命は大切にするのよ」
こいつには、私たちが神だということをきっちり認識させたいわ。
「そうすると、転生担当の神様も限られているのですね」
「そうよ。原則世界ひとつにひとりの転生担当神がいるの。ちなみに私はあなたを担当しているように、第三十九世界からの転生者担当のひとりというわけ」
「ひとり?」
「普通は世界ひとつにつき一担当神なんだけど、なぜかあなたの国からは手間がかかる転生者が多いので、私は特別にあなたの国、つまり日本だけの担当神なの」
手間がかかるのは、ラノベやアニメのせいなのかしら。異世界に転生って言うと、食いついてくるやつもいるし。
「もっとも、ここまで手間がかかるのは、あなたが初めてだけど」
「俺はモニア様にとっての初めての男なんですね」
「こ・こ・ま・で・手・間・が・か・か・る・の・が・初・め・て」
誤解を招く言い方は断固排除しないといけないわ。
「ということは、転生担当神だけでも千人いるんですね」
「神だから数え方は『人』でなく『柱』だけど、もう面倒だからそれでいいわ。その約千人が十のグループに分けられているの。つまり、転生第一課から第十課まである訳ね」
「そういえば、エニュー様は転生第一課の責任者って言ってましたね」
「転生第一課はトップナンバーだからエリート揃いなのよ」
あ、うっかり胸を張ったらこいつの視線が痛いわ。
もう一度マイクロビキニ姿を拝みたい思っていそうね。
「そうすると、エニュー様には百人の部下がいるんですね。職場管理が大変そう」
「転生担当はみんな優秀だから、課長に面倒をかける部下っていないのよ」
「課長に泣きついた人がいましたよね」
「誰のせいだと思っているの!」
いけないいけない。切れてはいけない。
「わかりました。それでは本題に移りましょう」
いや、どうしてこいつは自分に主導権があるように振る舞うのかしら。
もう疲れたわ。
「今日はおしまいにしましょ。あなたの転生先の話はまた明日! それまでどんな世界に転生したいかよく考えておいて!」
モニア様がどこからか例の「転生者リスト」を取り出して、「次の方どうぞ」と虚空に向かって声をかけたので俺は引き下がった。
なんか患者さんを呼び出す看護師さんみたいだな。
まだ寝るには早いので、転生先について真剣に考えてみよう。
転生先と言えば、やっぱり魔王がいる、「剣と魔法の世界」ではないだろうか。
殊更に魔王にいてほしい訳ではないが、そんな世界ならば、生前できなかった、困っている人を救うということを、今度はできるのではないか。
そこでチートスキルを駆使して魔王を倒し、世界を救った勇者として称えられ、俺の物語が語り継がれたら最高ではないか。
モニア様の格好についてはいろいろ注文を付けたけど、あまり設定過多だと、将来の読者も辛いだろう。
まずはオーソドックスな、中世ヨーロッパみたいな世界で転生先はお願いしよう。
変化をつけるならスキルかな。
いや、正直言うと、俺は中世ヨーロッパくらいしかイメージできない。大学受験は日本史Bで受けたので、そんなにたくさんの世界の歴史・文化の知識がないのだ。
ならば戦国時代の日本のような世界でとも考えたが、異世界につきものの、エルフとか獣人とかの異種族は、和のテイストとうまく合わない。
俺の想像力が貧困なだけかもしれないが。
後に転生することが高校生の頃の俺にわかっていたら、もっと転生先の候補を考えられるように世界史Bを取っておいたであろうが、後の祭りである。
いや、早死にすることがわかっているのも辛いか。
とにかく、オーソドックスな中世ヨーロッパみたいな世界ならば、今度はモニア様にあまり面倒をかけなくて済みそうだ。
俺とてモニア様を困らせたい訳ではないのだ。
そこまで考えて、俺は安らかな眠りに就いた。
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