善とか悪とか、魔法少女とか

結 励琉

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第28話 ついに、こっちのティーツィアの人が助けに来てくれたんだ

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 そろそろ寝ようかと思ったときに、目の前の空間がぐにゃりと歪んだ。
 あ、来る。そう思ったら、ジャンパースカート姿の女の子が現れた。
 ついに、こっちのティーツィアの人が助けに来てくれたんだ。

「フジガヤさんね。初めまして。助けにきました」
「あ、ありがとうございます!」
 私はその子に飛びついた。

「ちょ、ちょっと、いきなり何すんの」
「やっとティーツィアの人が来てくれて、嬉しくて嬉しくて。これで日本に帰れる!」
 飛びついたので、この子の髪の毛が目の前にある。

 黒髪だ。こちらでは珍しい。日本人?
「これじゃウィースを使えないから、取りあえず離れて」
「は、はい、わかりました」

 この子から離れて、改めて姿を見る。
 服装以外はやっぱり日本の子に見える。歳は同じくらい?

「さ、あんまり長居は危険だから、とっとと瞬間移動させるわね」
「あ、ちょっとだけ待ってください。置き手紙を書かせてください」
 いろいろあったけれど、お世話になったこの警察署の人たちに、何も言わずにいきなりいなくなるのも失礼だ。
 
 シカーワ警察署のみなさま
  突然消えてしまうことをお許しください。
  長い間お世話になりましたが、祖国に帰ります。
  カハラ署長様、取り調べでお手間をおかけして、すみませんでした。
  一点、私がマールムではないことだけは信じてください。
  ミサさん、辛いときに慰めていただいて、ありがとうございました。
  ご恩は忘れません。
  みなさまのご活躍と、この街の平和をお祈りしています。
  それでは。
                         フジガヤココロ

「さ、これでいいわ。あ、あとひとつだけ」
「何よ。急いでね」
「名前を教えてください。帰ったら箕輪さんや東山さんに報告しないといけないから」

「ヒバリ、アケハラヒバリ。じゃあいいわね、みんなのところへ飛ばすわよ」
 アケハラヒバリ? え、それって。
「ムーヴェンズ!」

 ああ、やっと元の世界に帰れた。懐かしい、東京のティーツィアの本部……ではない。
 石造りの古びた部屋。
 ここはどこだろう。
 それに、数名の男女が目の前のテーブルに座って、こっちを見ている。

 まだ元の……エスタ共和国にいるのかな。声をかけていいのかな。
 そう思っていたら、目の前の空間がゆがんで、ヒバリ、いや、あの人だったらひとつ上だったな、ヒバリさんが現れた。

「何ポカンとしてるの。ここはエスタ共和国の、ツードマって街よ」
 あ、いきなり日本へは移動させてくれないのか。
 いや、私まだ、日本から来たって言っていない。

 この人たち、おそらくこちらのティーツィアの人たちに、まずはこっちの事情を話さないといけないわ。
「紹介するわね。こちらがここのリーダー、ガシンさん」

 ガシンと呼ばれた若い男が立ち上がった。イケメンだ。
「ガシンだ。よろしく。君が来るのを待っていたよ」

「ココロ、フジガヤココロです。助けていただいてありがとうございます。あの、私、ティーツィアの一員で、日本というところでマールムと戦って、こっちに飛ばされてしまって。あ、そもそも、こっちのティーツィアと、日本のティーツィアって仲間ですよね」

「おいおい、そんなにいっぺんに話されてはこっちも困るぞ。でも、やっぱりそうだったんだな。ヒバリ君と同じ事情のようだから、よくわかるよ。もちろん、二つのティーツィアは同じ仲間だ」
 ガシンさんが笑顔で言った。

 アケハラヒバリ、警察で、この子は知らないかと聞かれた子。
 ヒバリのことも、ティーツィアことも、私の推測は間違っていなかった。
 そうしたら、二つのマールムも仲間というか、同じ犯罪組織だ。

「いろいろ話を聞きたいけど、今日は遅いから休んでもらって、話は明日にしよう。警察署の中では気が休まらなかっただろうから、今日はゆっくり寝てくれたまえ」
 案内された部屋は、独房とどっこいどっこいの小部屋。

 それでも、やっと日本に帰れるという安心感からか、急に眠気が襲ってきた。
 帰ったら、パパやママ、椎乃たちに何て言おう。
 事故に逢って記憶を失っていたとか、箕輪さんたちとうまく話を作ろう。
 そんなことを考えているうちに、私は深い眠りに就いた。

「ココロ君は寝たかい?」
「ええ、リーダー」
「ココロ君にはなんて言ったんだい?」

「あんまり話をする暇もありませんでしたから、私の名前を名乗ったくらいです」
「それでいい。では、予定通り話を進めていこう。まずはいろいろ聞き出さないといけないな。彼女がこちらに馴染めるように、みんなもよろしく頼むな」
 その場にいる全員が頷いた。
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