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01. 相続
「5……6……7……これで全部ね」
引っ越し業者が搬入してくれたダンボール箱を数え終えた鈴音は、ようやく一息つく。
つい半年前、祖父が亡くなった。
そして、どういうわけか、祖父の一軒家を相続することになった。
(おじいちゃんとはそれなりに親しかったけど、まさかお父さんを飛ばしていきなり私が相続することになるなんて……)
父に申し訳ないと思ったが、当の本人は、
「僕が相続しても、国外からじゃ管理しきれないからね。
鈴音が代わりに使ってくれるなら、丁度いいかな」
と、むしろ嬉しそうな様子だった。
正直、鈴音としても「助かった」と思っている。
就職に失敗し、フリーのイラストレーターとして活動している鈴音にとって、都内の家賃はまさに殺人的だ。
チラホラ入ってくる仕事だけでは、家賃か生活費、どちらかしか賄えない。
なので、祖父の持ち家を相続できたことは、まさに救いだった。
(都心から離れているから静かだし、かといって車がないと買い物にすらいけないほど辺鄙じゃないし、丁度いいのよね)
免許は持っているが車は持っていない鈴音にとっては、まさに理想的な立地と言える。
本当に、自分を指名してくれた祖父と、税務関係を全て立て替えてくれた両親には感謝しかない。
「それにしても、いい家……」
祖父から相続した家は、古めの日本家屋。
庭付きの一戸建てで、和室4部屋に洋室が2部屋と、敷地面積はそこそこ広い。
築年数こそそこそこだが、古びた感じはなく、むしろ清潔でとても気持ちがいい。
「畳も、凄くいい匂い……」
この家には、子供の頃に何度か遊びに来たことしかない。
マンションとアパートに住み慣れた都会っ子としては、和室や畳というのは新鮮だった。
「蔵と倉庫は……また後でいいや」
裏庭には古い蔵があり、なぜかそれとは別に倉庫もしっかりとあった。
実に謎な作りだが、今はまだ引っ越したばかり。
謎の究明は、また別の機会にすることにした。
「もうすぐお昼だし、そろそろご飯でも作って──」
「おい、小娘」
台所に向かおうとしたところで、低い男声を耳にした。
えっ、と驚いて辺りを見渡す。
が、何処にも声の主はいない。
「下だ」
威厳のあるその男声に従って、視線を下に向ける。
すると、足元で思いがけないものを見つけた。
「……猫?」
「うむ」
そこには、ふてぶてしい三毛猫が一匹。
顔は横に幅広く、目つきは鋭い。
きれいな三色模様は「ザ・三毛猫」という感じで、毛艶は見事の一言に尽きる。
どこかマフィアのボスを思わせる風体の三毛猫が、鈴音の足元に鎮座していた。
「え……?
猫が、喋った……?」
混乱する鈴音に、三毛猫はその三角形の口を動かして応じる。
「我は神だぞ。
喋りくらいする」
「えぇ…………」
思わずドン引きする鈴音。
が、すぐに何かを探すように周囲を見渡し始めた。
猫が喋るはずがない。
これはきっと巧妙な腹話術だ。
そうに違いない。
なら、腹話術師がどこか近くに隠れているはず。
「言っておくが、ここには我とお主しかおらんぞ」
まるで見透かされているかのような言葉に、鈴音は思わずフリーズする。
まさか、心を読まれているのだろうか?
「心など読めんでも、見れば分かるわ。
お主の行動が全てを示しておるからな」
実に分かりやすい小娘よ、と呆れたように付け加える三毛猫。
「ほ、本当に神様なの……?
あやかしとかじゃなくて……?」
「あやかしなどと一緒にするな。
我はれっきとした神だ。
……まだ成り立てだがな」
最後の一言だけ小声になる三毛猫。
取り繕っているのか、顔を洗う仕草をしている。
言葉が出なかった。
鈴音は、神霊の類を信じていない。
なので、普通の三毛猫に「我は神だ」と言われても理解が追いつかない。
猫が喋るというメルヘンチックな状況は、外から見る分には可愛らしいのであって、実際に経験すると意味不明さしかないのだ。
固まったまま動かない鈴音に、三毛猫は顔を洗う手を止める。
そして、鈴音の匂いを確認するようにクンクンと鼻を鳴らした。
「お主、俊郎の孫娘であろう?」
「……おじいちゃんのことを知っているの?」
「もちろんだ。
我はあやつの飼い猫だったからな」
「…………」
思わず唖然とする鈴音。
……なんで神様が飼い猫なんかやってるのよ……。
おじいちゃんも、何しれっと神様を飼ってるのよ……。
っていうか、おじいちゃんが猫飼ってたなんて初めて知ったんだけど?
そんなツッコミが鈴音の頭を埋め尽くしたが、なんとか全て飲み込んだ。
「勘違いするな、小娘よ。
この家は、あくまでも我の縄張りだ。
俊郎は、我が領域に間借りしておったに過ぎん」
……え?
おじいちゃんが間借りする側だったの?
確かに「猫からすれば人間なんて下僕みたいなもの」という話は聞いたことあるけど、まさか猫本人に面と向かって言われるなんて……。
そんなことを思った鈴音だが、口には出さなかった。
「……猫神さまは、いつからここにいるの?」
「6年ほど前だ」
「おばあちゃんが亡くなった頃か……」
「うむ。
傷心しておったあやつが道端で拾ったのが、力を失って倒れていたこの我だ」
いやそれだとこの家に元から居たのはおじいちゃんで、猫神さまの方が居候なんじゃ?
そう思った鈴音だが、やはり口には出さなかった。
「俊郎は、我が領域に間借りする代わりに、我の世話をしておった。
あやつが成仏した今、お主が我の世話係を引き継ぐのであろう?」
下から見上げながらも、ふてぶてしく尋ねる三毛猫。
その言葉に、鈴音は思わず空を見上げ、視線を遠くへとぼやかせた。
「そっか……。
おじいちゃん、成仏したんだね。
良かった……」
別に信心深い方ではないが、不思議な存在に言われると、つい気になってしまう。
大人になってからはやり取りが減った祖父だが、小さい頃はよく電話していたし、学生時代はよくメールをしていた。
両親に言えないことも、祖父になら言えた。
ある意味、両親以上に仲が良かったかも知れない。
そんな祖父が安らかに逝けたのなら、家族としては何よりだ。
「うむ。
大往生であったぞ。
あやつが無事に天に登っていくのを、この目でしかと見届けたのでな」
「ありがとう、猫神さま。
おじいちゃんの側に居てくれて」
「……下僕は蔑ろにしない主義だからな」
誤魔化すように、もしくは照れ隠しするように、前足をペロペロと舐める三毛猫。
そんな妙に人間臭い反応に、鈴音は思わず吹き出した。
「うん、分かった」
微笑みながら、鈴音は三毛猫に言った。
「おじいちゃんの代わりに、私が猫神さまをお世話するわ。
ペットは飼ったことないけど、私、精一杯頑張るから。
だから、私もおじいちゃんみたいに、この家に間借りさせて?」
鈴音を見上げる三毛猫の大きな瞳が、驚いたようにスッと細くなる。
「……うむ。
そういうことであれば、許可しよう。
精進せよ」
偉そうに、それでいて少しばかり気恥ずかしそうに、三毛猫は言う。
「ありがとう、猫神さま。
私は鈴音。
これからよろしくね」
握手を求めるように、鈴音は右手を差し出す。
すると、三毛猫はそれに応じるように、中指の先をクンクンと嗅ぎ、顔を擦り付けた。
どうやら、これで契約成立らしい。
「あ、そう言えば、猫神さまって、名前とかあるの?」
「無論、あるぞ。
が、今のお主が知るにはまだ早い」
どうやら、暫く「猫神さま」と呼ばなくてはいけないらしい。
用は済んだとばかりに踵を返し、そのまま居間から出ていく三毛猫。
ピーンと立てたその尻尾は、嬉しそうに震えていた。
こうして、一人と一匹(一柱?)の奇妙な同棲生活が始まったのだった。
◆◆◆◆◆ あとがき ◆◆◆◆◆
趣味投稿です。
思いつきの不定期更新です。
猫成分多めの、微妙に恋愛要素があるほのぼの物語です。
日常系なので、ヤマも無ければオチも無いです。
それでもよろしければ、ぜひご一読ください。
引っ越し業者が搬入してくれたダンボール箱を数え終えた鈴音は、ようやく一息つく。
つい半年前、祖父が亡くなった。
そして、どういうわけか、祖父の一軒家を相続することになった。
(おじいちゃんとはそれなりに親しかったけど、まさかお父さんを飛ばしていきなり私が相続することになるなんて……)
父に申し訳ないと思ったが、当の本人は、
「僕が相続しても、国外からじゃ管理しきれないからね。
鈴音が代わりに使ってくれるなら、丁度いいかな」
と、むしろ嬉しそうな様子だった。
正直、鈴音としても「助かった」と思っている。
就職に失敗し、フリーのイラストレーターとして活動している鈴音にとって、都内の家賃はまさに殺人的だ。
チラホラ入ってくる仕事だけでは、家賃か生活費、どちらかしか賄えない。
なので、祖父の持ち家を相続できたことは、まさに救いだった。
(都心から離れているから静かだし、かといって車がないと買い物にすらいけないほど辺鄙じゃないし、丁度いいのよね)
免許は持っているが車は持っていない鈴音にとっては、まさに理想的な立地と言える。
本当に、自分を指名してくれた祖父と、税務関係を全て立て替えてくれた両親には感謝しかない。
「それにしても、いい家……」
祖父から相続した家は、古めの日本家屋。
庭付きの一戸建てで、和室4部屋に洋室が2部屋と、敷地面積はそこそこ広い。
築年数こそそこそこだが、古びた感じはなく、むしろ清潔でとても気持ちがいい。
「畳も、凄くいい匂い……」
この家には、子供の頃に何度か遊びに来たことしかない。
マンションとアパートに住み慣れた都会っ子としては、和室や畳というのは新鮮だった。
「蔵と倉庫は……また後でいいや」
裏庭には古い蔵があり、なぜかそれとは別に倉庫もしっかりとあった。
実に謎な作りだが、今はまだ引っ越したばかり。
謎の究明は、また別の機会にすることにした。
「もうすぐお昼だし、そろそろご飯でも作って──」
「おい、小娘」
台所に向かおうとしたところで、低い男声を耳にした。
えっ、と驚いて辺りを見渡す。
が、何処にも声の主はいない。
「下だ」
威厳のあるその男声に従って、視線を下に向ける。
すると、足元で思いがけないものを見つけた。
「……猫?」
「うむ」
そこには、ふてぶてしい三毛猫が一匹。
顔は横に幅広く、目つきは鋭い。
きれいな三色模様は「ザ・三毛猫」という感じで、毛艶は見事の一言に尽きる。
どこかマフィアのボスを思わせる風体の三毛猫が、鈴音の足元に鎮座していた。
「え……?
猫が、喋った……?」
混乱する鈴音に、三毛猫はその三角形の口を動かして応じる。
「我は神だぞ。
喋りくらいする」
「えぇ…………」
思わずドン引きする鈴音。
が、すぐに何かを探すように周囲を見渡し始めた。
猫が喋るはずがない。
これはきっと巧妙な腹話術だ。
そうに違いない。
なら、腹話術師がどこか近くに隠れているはず。
「言っておくが、ここには我とお主しかおらんぞ」
まるで見透かされているかのような言葉に、鈴音は思わずフリーズする。
まさか、心を読まれているのだろうか?
「心など読めんでも、見れば分かるわ。
お主の行動が全てを示しておるからな」
実に分かりやすい小娘よ、と呆れたように付け加える三毛猫。
「ほ、本当に神様なの……?
あやかしとかじゃなくて……?」
「あやかしなどと一緒にするな。
我はれっきとした神だ。
……まだ成り立てだがな」
最後の一言だけ小声になる三毛猫。
取り繕っているのか、顔を洗う仕草をしている。
言葉が出なかった。
鈴音は、神霊の類を信じていない。
なので、普通の三毛猫に「我は神だ」と言われても理解が追いつかない。
猫が喋るというメルヘンチックな状況は、外から見る分には可愛らしいのであって、実際に経験すると意味不明さしかないのだ。
固まったまま動かない鈴音に、三毛猫は顔を洗う手を止める。
そして、鈴音の匂いを確認するようにクンクンと鼻を鳴らした。
「お主、俊郎の孫娘であろう?」
「……おじいちゃんのことを知っているの?」
「もちろんだ。
我はあやつの飼い猫だったからな」
「…………」
思わず唖然とする鈴音。
……なんで神様が飼い猫なんかやってるのよ……。
おじいちゃんも、何しれっと神様を飼ってるのよ……。
っていうか、おじいちゃんが猫飼ってたなんて初めて知ったんだけど?
そんなツッコミが鈴音の頭を埋め尽くしたが、なんとか全て飲み込んだ。
「勘違いするな、小娘よ。
この家は、あくまでも我の縄張りだ。
俊郎は、我が領域に間借りしておったに過ぎん」
……え?
おじいちゃんが間借りする側だったの?
確かに「猫からすれば人間なんて下僕みたいなもの」という話は聞いたことあるけど、まさか猫本人に面と向かって言われるなんて……。
そんなことを思った鈴音だが、口には出さなかった。
「……猫神さまは、いつからここにいるの?」
「6年ほど前だ」
「おばあちゃんが亡くなった頃か……」
「うむ。
傷心しておったあやつが道端で拾ったのが、力を失って倒れていたこの我だ」
いやそれだとこの家に元から居たのはおじいちゃんで、猫神さまの方が居候なんじゃ?
そう思った鈴音だが、やはり口には出さなかった。
「俊郎は、我が領域に間借りする代わりに、我の世話をしておった。
あやつが成仏した今、お主が我の世話係を引き継ぐのであろう?」
下から見上げながらも、ふてぶてしく尋ねる三毛猫。
その言葉に、鈴音は思わず空を見上げ、視線を遠くへとぼやかせた。
「そっか……。
おじいちゃん、成仏したんだね。
良かった……」
別に信心深い方ではないが、不思議な存在に言われると、つい気になってしまう。
大人になってからはやり取りが減った祖父だが、小さい頃はよく電話していたし、学生時代はよくメールをしていた。
両親に言えないことも、祖父になら言えた。
ある意味、両親以上に仲が良かったかも知れない。
そんな祖父が安らかに逝けたのなら、家族としては何よりだ。
「うむ。
大往生であったぞ。
あやつが無事に天に登っていくのを、この目でしかと見届けたのでな」
「ありがとう、猫神さま。
おじいちゃんの側に居てくれて」
「……下僕は蔑ろにしない主義だからな」
誤魔化すように、もしくは照れ隠しするように、前足をペロペロと舐める三毛猫。
そんな妙に人間臭い反応に、鈴音は思わず吹き出した。
「うん、分かった」
微笑みながら、鈴音は三毛猫に言った。
「おじいちゃんの代わりに、私が猫神さまをお世話するわ。
ペットは飼ったことないけど、私、精一杯頑張るから。
だから、私もおじいちゃんみたいに、この家に間借りさせて?」
鈴音を見上げる三毛猫の大きな瞳が、驚いたようにスッと細くなる。
「……うむ。
そういうことであれば、許可しよう。
精進せよ」
偉そうに、それでいて少しばかり気恥ずかしそうに、三毛猫は言う。
「ありがとう、猫神さま。
私は鈴音。
これからよろしくね」
握手を求めるように、鈴音は右手を差し出す。
すると、三毛猫はそれに応じるように、中指の先をクンクンと嗅ぎ、顔を擦り付けた。
どうやら、これで契約成立らしい。
「あ、そう言えば、猫神さまって、名前とかあるの?」
「無論、あるぞ。
が、今のお主が知るにはまだ早い」
どうやら、暫く「猫神さま」と呼ばなくてはいけないらしい。
用は済んだとばかりに踵を返し、そのまま居間から出ていく三毛猫。
ピーンと立てたその尻尾は、嬉しそうに震えていた。
こうして、一人と一匹(一柱?)の奇妙な同棲生活が始まったのだった。
◆◆◆◆◆ あとがき ◆◆◆◆◆
趣味投稿です。
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