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03. 食事事情
「ふぅ……」
鈴音が水回り以外の荷解きを終えたのは、既にとっぷりと日が暮れた頃だった。
時間的には、遅めの夕食を食べるべき時間か。
「小娘よ」
三毛猫に呼ばれ、振り返る。
「どうしたの、猫神様?」
いつの間にダンボール箱から出たのか、三毛猫は居間の座敷机の上にいた。
四肢を身体の下にしまい込んだ座り方──所謂「香箱座り」をしている。
腹の下には、後で仕舞おうと思ってそのままにていた鈴音の服が。
綺麗に折り畳まれて収納を待つその服は、三毛猫に座布団にされたおかげで、毛だらけになっていた。
「腹が減った。
飯はまだか?」
「あ、そっか、もう結構遅い時間だもんね」
この家に鈴音が引っ越しのトラックと一緒に到着したのは、今朝のこと。
荷物の搬入が終わったのが午前中で、今に至るまでずっと荷解きをしていた。
考えてみれば、三毛猫が餌を食べているところをまだ一度も見ていない。
(体型からして食いしん坊っぽいし、お腹空いているだろうなぁ)
「ごめんね、猫神さま。
すぐにご飯用意するね」
そう言った鈴音だが、すぐに猫の餌など持っていないことを思い出す。
同時に、疑問が湧いた。
(そう言えば、おじいちゃんが亡くなって結構経つけど、ご飯とかどうしてたんだろう?)
祖父が世話をしていたのであれば、ご飯も用意していただろう。
ならば、三毛猫はかなり長い間、絶食していたことになる。
もしかして、神様だから食事とかいらないのかな?
でも、それなら、なんで今になってご飯をせびりに来たんだろう?
鈴音は、本人に直接尋ねてみることにした。
「ねぇ、猫神さま」
「む?」
「ご飯とかって、今日までどうしてたの?」
「普通に食っていたが?」
「それって、自分で獲物を狩ってたってこと?」
「いや。
台所の下に香ばしいカリカリが入った櫃があるから、いつもそこから食っている」
いや普通にドライフード食べてるじゃん。
なんか心配して損した……。
そう思った鈴音だが、口には出さなかった。
「もしかして、カリカリもう無くなっちゃった?」
「いや、まだ半櫃ほど残っておる」
なら、なぜ自分のところに?
首をかしげる鈴音に、三毛猫はふてぶてしい顔を更にふてぶてしくさせて言った。
「あのカリカリも香ばしくて美味いが、そろそろ別の──もっと美味いものが食いたくなったのだ」
なんのことか分からない鈴音に、三毛猫は黙って踵を返す。
そして、付いてこいとばかりに先導し始めた。
お尻の穴を見せつけるようにして歩く三毛猫の跡をつけて行く。
たどり着いたのは、台所。
伝統的な日本家屋とはかけ離れた雰囲気の、立派すぎるモダンキッチンだ。
シンクは大きく、作業台も広い。
ガスコンロは3台もあり、本格的なオーブンとディッシュウォッシャーまで付いている。
(確か、10年くらい前におばあちゃんの希望でリフォームしたんだっけ)
6年前に亡くなった祖母は、料理が大好きだった。
いつも美味しいものばかり作っていたので、祖父は「この世で最大の試練は婆さんの料理を食べすぎないよう自制すること」とよく零していた。
(おじいちゃん、ちゃんと自炊してたんだね)
高齢男性が一人暮らししていたとは思えないほどに使い込まれているキッチンを見て、思わず心の中で呟く。
埃を被っているところを想像していたので、かなり意外だった。
「ここだ」
先導していた三毛猫が、キッチンカウンターの戸棚を前足でカリカリと引っ掻く。
戸棚を開けてみると、缶詰が積み上げられていた。
「それだ」
「なるほど。
ドライフードよりも美味しいものって、猫缶のことだったのね」
「うむ」
偉そうに応じる三毛猫。
だが、ピンと立てたその尻尾は、期待するようにブルブルと震えていた。
「俊郎は、度々この缶詰をくれてな。
それが何よりも美味かった」
「へぇ~。
あ、猫缶だけじゃなくて、他にも色々あるのね」
山と積み上げられた猫缶の側には、様々な猫用食品があった。
乾燥させたものから、柔らかい棒状の袋に入ったものまで、種類はかなり豊富だ。
中には、シワシワの樹の実や、木の枝にしか見えないものまである。
ペットを飼ったことがない鈴音にはよく分からないが、包装紙に書いてある文言を見るに、どれもペット用食品であることだけは確信できる。
ちなみに、この戸棚にはカリカリがなかったので、別の戸棚にあるのだろう。
「人間の食い物も美味いが、やはりこれらには遠く及ばん」
三毛猫の発言に、思わず驚愕する鈴音。
「猫神さま、人間の食べ物とか食べてたの?」
「うむ。
よく俊郎と同じものを一緒に食っていたな」
「ダメだよ!
猫が人間と同じもの食べたら、身体壊すよ?」
本気で心配する鈴音に、しかし三毛猫はジト目を向けた。
「……小娘よ。
お主、我をただの猫と勘違いしておらんか?」
「え?
違うの?」
「我は神だと言うておろうが。
人間の姿になることもできるのだぞ?
人間の食い物程度、普通に食えるわ」
最後にボソリと「まぁ、味は猫缶やカリカリには遠く及ばんがな」と付け加える三毛猫。
対する鈴音は、それどころではなかった。
「えっ、猫神さま、人間の姿になれるの!?」
「……お主、本当に我のことを『ただの喋る猫』と思っておったのだな……」
「ただの喋る猫じゃなかったんだ!?」
「本当に思っておるではないか……。
しかも口に出しおるし……。
不敬であるぞ、小娘」
鈴音の脛に向かって抗議の猫パンチを繰り出す三毛猫。
ダメージこそないものの、不機嫌であることはしっかりと伝わった。
「ご、ごめんなさい……。
猫神さまが普通にネコネコしてたから、つい……」
隠せず本音を漏らす鈴音。
かなり失礼なことを言われているのに、猫パンチはしても爪は出さないあたり、優しい三毛猫であった。
「でも、人間の姿になれるなら、どうしてずっと猫の姿のままなの?
人間になれるなら、戸棚も開けられるし、猫缶も開封できるでしょう?」
猫の手ではできないことでも、人間の手なら簡単にできる。
だからこそ、三毛猫は自分を台所に連れてきたはず。
人間の姿になれるなら、自分に缶詰を開けさせる必要はないだろう。
「うむ……。
実はな……」
言いにくそうに、三毛猫は説明する。
「つい最近、力を使い果たしてしまってな……。
今は、ほぼ普通の猫と同じ状態なのだ……。
ある程度力を蓄えないと、人間の姿にはなれん」
「神様が力を使い果たすって……一体、何があったの?」
尋ねる鈴音を暫く見つめると、三毛猫は視線を居間の方へと向けた。
「…………俊郎がな、弱っておったのだ」
少し寂しそうな声音で、三毛猫は続ける。
「もう長くはないと分かっておったが……予想よりも早く衰弱しおってな。
下僕が弱って死んでいく様は、見るに堪えん」
無様な死に様を許したとあっては主である我の沽券にも関わる、と付け加える三毛猫。
下僕への憐憫と、主としての矜持。
果たしてどちらが本音か、鈴音は敢えて聞かないことにした。
「それで、少しばかり我の力を与えてやったのだ。
老い先短い下僕が、最後の瞬間まで元気に……全力で我に仕えられるようにな」
「そっか……」
背中を向けて座っている三毛猫の頭を、鈴音は優しく撫でる。
三毛猫は、避けなかった。
「おじいちゃんのためにありがとう、猫神さま」
「……ただの気まぐれだ」
さっきまでと言っていることがまるで違うその返事に、鈴音は微笑む。
きっと、さっきの「見ていられない」発言も、今の「ただの気まぐれ」発言も、どちらも本心なのだろう。
そのおかげで、祖父は安らかに逝けた。
そして、祖父の最後に立ち会えなかった自分たち家族も救われた。
「よしっ!」
撫でる手を止めて、袖を捲くる鈴音。
「じゃあ、お礼も込めて、この猫缶でとびっきり美味しいご飯を作るね!」
「ほう……?」
意外そうな声と共に振り返る三毛猫。
鈴音へと向けるその目は、とても挑戦的だ。
「豪勢な啖呵を切ったものだな。
果たして、お主に我を唸らせるものが作れるかな?」
まるでグルメ漫画に出てくる審査員のような三毛猫の言葉に、鈴音は不敵な笑顔で応じた。
「任せて!
とっておきのレシピがあるから!」
朝のテレビのペット特集で見かけた、自作ペットフードのレシピだ。
別に、進んで覚えたかったわけではない。
ただ流し見していて、なんとなく記憶に残ってしまった情報だ。
自分には一生不要な知識だと思っていたそれが、まさかこんなところで役に立つなんて。
腕まくりをした鈴音の顔には、勇ましい笑みがあった。
鈴音が水回り以外の荷解きを終えたのは、既にとっぷりと日が暮れた頃だった。
時間的には、遅めの夕食を食べるべき時間か。
「小娘よ」
三毛猫に呼ばれ、振り返る。
「どうしたの、猫神様?」
いつの間にダンボール箱から出たのか、三毛猫は居間の座敷机の上にいた。
四肢を身体の下にしまい込んだ座り方──所謂「香箱座り」をしている。
腹の下には、後で仕舞おうと思ってそのままにていた鈴音の服が。
綺麗に折り畳まれて収納を待つその服は、三毛猫に座布団にされたおかげで、毛だらけになっていた。
「腹が減った。
飯はまだか?」
「あ、そっか、もう結構遅い時間だもんね」
この家に鈴音が引っ越しのトラックと一緒に到着したのは、今朝のこと。
荷物の搬入が終わったのが午前中で、今に至るまでずっと荷解きをしていた。
考えてみれば、三毛猫が餌を食べているところをまだ一度も見ていない。
(体型からして食いしん坊っぽいし、お腹空いているだろうなぁ)
「ごめんね、猫神さま。
すぐにご飯用意するね」
そう言った鈴音だが、すぐに猫の餌など持っていないことを思い出す。
同時に、疑問が湧いた。
(そう言えば、おじいちゃんが亡くなって結構経つけど、ご飯とかどうしてたんだろう?)
祖父が世話をしていたのであれば、ご飯も用意していただろう。
ならば、三毛猫はかなり長い間、絶食していたことになる。
もしかして、神様だから食事とかいらないのかな?
でも、それなら、なんで今になってご飯をせびりに来たんだろう?
鈴音は、本人に直接尋ねてみることにした。
「ねぇ、猫神さま」
「む?」
「ご飯とかって、今日までどうしてたの?」
「普通に食っていたが?」
「それって、自分で獲物を狩ってたってこと?」
「いや。
台所の下に香ばしいカリカリが入った櫃があるから、いつもそこから食っている」
いや普通にドライフード食べてるじゃん。
なんか心配して損した……。
そう思った鈴音だが、口には出さなかった。
「もしかして、カリカリもう無くなっちゃった?」
「いや、まだ半櫃ほど残っておる」
なら、なぜ自分のところに?
首をかしげる鈴音に、三毛猫はふてぶてしい顔を更にふてぶてしくさせて言った。
「あのカリカリも香ばしくて美味いが、そろそろ別の──もっと美味いものが食いたくなったのだ」
なんのことか分からない鈴音に、三毛猫は黙って踵を返す。
そして、付いてこいとばかりに先導し始めた。
お尻の穴を見せつけるようにして歩く三毛猫の跡をつけて行く。
たどり着いたのは、台所。
伝統的な日本家屋とはかけ離れた雰囲気の、立派すぎるモダンキッチンだ。
シンクは大きく、作業台も広い。
ガスコンロは3台もあり、本格的なオーブンとディッシュウォッシャーまで付いている。
(確か、10年くらい前におばあちゃんの希望でリフォームしたんだっけ)
6年前に亡くなった祖母は、料理が大好きだった。
いつも美味しいものばかり作っていたので、祖父は「この世で最大の試練は婆さんの料理を食べすぎないよう自制すること」とよく零していた。
(おじいちゃん、ちゃんと自炊してたんだね)
高齢男性が一人暮らししていたとは思えないほどに使い込まれているキッチンを見て、思わず心の中で呟く。
埃を被っているところを想像していたので、かなり意外だった。
「ここだ」
先導していた三毛猫が、キッチンカウンターの戸棚を前足でカリカリと引っ掻く。
戸棚を開けてみると、缶詰が積み上げられていた。
「それだ」
「なるほど。
ドライフードよりも美味しいものって、猫缶のことだったのね」
「うむ」
偉そうに応じる三毛猫。
だが、ピンと立てたその尻尾は、期待するようにブルブルと震えていた。
「俊郎は、度々この缶詰をくれてな。
それが何よりも美味かった」
「へぇ~。
あ、猫缶だけじゃなくて、他にも色々あるのね」
山と積み上げられた猫缶の側には、様々な猫用食品があった。
乾燥させたものから、柔らかい棒状の袋に入ったものまで、種類はかなり豊富だ。
中には、シワシワの樹の実や、木の枝にしか見えないものまである。
ペットを飼ったことがない鈴音にはよく分からないが、包装紙に書いてある文言を見るに、どれもペット用食品であることだけは確信できる。
ちなみに、この戸棚にはカリカリがなかったので、別の戸棚にあるのだろう。
「人間の食い物も美味いが、やはりこれらには遠く及ばん」
三毛猫の発言に、思わず驚愕する鈴音。
「猫神さま、人間の食べ物とか食べてたの?」
「うむ。
よく俊郎と同じものを一緒に食っていたな」
「ダメだよ!
猫が人間と同じもの食べたら、身体壊すよ?」
本気で心配する鈴音に、しかし三毛猫はジト目を向けた。
「……小娘よ。
お主、我をただの猫と勘違いしておらんか?」
「え?
違うの?」
「我は神だと言うておろうが。
人間の姿になることもできるのだぞ?
人間の食い物程度、普通に食えるわ」
最後にボソリと「まぁ、味は猫缶やカリカリには遠く及ばんがな」と付け加える三毛猫。
対する鈴音は、それどころではなかった。
「えっ、猫神さま、人間の姿になれるの!?」
「……お主、本当に我のことを『ただの喋る猫』と思っておったのだな……」
「ただの喋る猫じゃなかったんだ!?」
「本当に思っておるではないか……。
しかも口に出しおるし……。
不敬であるぞ、小娘」
鈴音の脛に向かって抗議の猫パンチを繰り出す三毛猫。
ダメージこそないものの、不機嫌であることはしっかりと伝わった。
「ご、ごめんなさい……。
猫神さまが普通にネコネコしてたから、つい……」
隠せず本音を漏らす鈴音。
かなり失礼なことを言われているのに、猫パンチはしても爪は出さないあたり、優しい三毛猫であった。
「でも、人間の姿になれるなら、どうしてずっと猫の姿のままなの?
人間になれるなら、戸棚も開けられるし、猫缶も開封できるでしょう?」
猫の手ではできないことでも、人間の手なら簡単にできる。
だからこそ、三毛猫は自分を台所に連れてきたはず。
人間の姿になれるなら、自分に缶詰を開けさせる必要はないだろう。
「うむ……。
実はな……」
言いにくそうに、三毛猫は説明する。
「つい最近、力を使い果たしてしまってな……。
今は、ほぼ普通の猫と同じ状態なのだ……。
ある程度力を蓄えないと、人間の姿にはなれん」
「神様が力を使い果たすって……一体、何があったの?」
尋ねる鈴音を暫く見つめると、三毛猫は視線を居間の方へと向けた。
「…………俊郎がな、弱っておったのだ」
少し寂しそうな声音で、三毛猫は続ける。
「もう長くはないと分かっておったが……予想よりも早く衰弱しおってな。
下僕が弱って死んでいく様は、見るに堪えん」
無様な死に様を許したとあっては主である我の沽券にも関わる、と付け加える三毛猫。
下僕への憐憫と、主としての矜持。
果たしてどちらが本音か、鈴音は敢えて聞かないことにした。
「それで、少しばかり我の力を与えてやったのだ。
老い先短い下僕が、最後の瞬間まで元気に……全力で我に仕えられるようにな」
「そっか……」
背中を向けて座っている三毛猫の頭を、鈴音は優しく撫でる。
三毛猫は、避けなかった。
「おじいちゃんのためにありがとう、猫神さま」
「……ただの気まぐれだ」
さっきまでと言っていることがまるで違うその返事に、鈴音は微笑む。
きっと、さっきの「見ていられない」発言も、今の「ただの気まぐれ」発言も、どちらも本心なのだろう。
そのおかげで、祖父は安らかに逝けた。
そして、祖父の最後に立ち会えなかった自分たち家族も救われた。
「よしっ!」
撫でる手を止めて、袖を捲くる鈴音。
「じゃあ、お礼も込めて、この猫缶でとびっきり美味しいご飯を作るね!」
「ほう……?」
意外そうな声と共に振り返る三毛猫。
鈴音へと向けるその目は、とても挑戦的だ。
「豪勢な啖呵を切ったものだな。
果たして、お主に我を唸らせるものが作れるかな?」
まるでグルメ漫画に出てくる審査員のような三毛猫の言葉に、鈴音は不敵な笑顔で応じた。
「任せて!
とっておきのレシピがあるから!」
朝のテレビのペット特集で見かけた、自作ペットフードのレシピだ。
別に、進んで覚えたかったわけではない。
ただ流し見していて、なんとなく記憶に残ってしまった情報だ。
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