婚約破棄を告げられた伯爵令嬢は元婚約者に復讐を誓う

香取鞠里

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 復讐を誓ったのはいいものの、私には何も残っていない。

 王宮でぬくぬく育っていたために、今の私には権力も何もない。

 そんな私は、ある山奥へ向かった。

 そこには願いを叶える神が住んでいるという話だ。

 ここでお願いして、フィリップを地獄に叩き落としてやるのだ。


「フフフフフフフ」


 フィリップが泣きわめく姿を想像して思わず笑みがこぼれる。


 山奥への移動は難しくなかった。

 王宮追放された際に、私はずっと大事に飼い慣らしていた馬を連れてきたから、その子と共に移動したからだ。

 
「どこにいるのかしら」


 神だなんて、漠然としている情報しか得られていないから、どこにその偉大なる存在がいるのかわからない。

 そのとき不意に水色のふわふわとしたものが私の目の前に浮遊してきた。


「これは……?」

『汝、ここに何しに来た』

「あなたは……!?」

『我はこの山に住む精霊だ』

「なんだ、精霊か」

 私は精霊に会いに来たわけではない。

 願いを叶えてくれるという神に会いに来たのだ。

 それなのに、精霊だなんて名乗られて、思わず肩を落とした。


『なんだ、その態度は! まあいい。ちょうど良いところにきた。そこに散らばっている枝を片付けてくれ。これだと足場が悪い』

「何で私が!」

『そのかわり、我を満足させられたときには、汝に力を与えよう』

 力……?

 今の時点だは友達の馬以外、頼れるものは何もない。

 私は仕方なく精霊のいうことを聞くことにした。


 数日をかけて、私は山を綺麗にした。

 食べ物は木の実や綺麗な川の水が豊富で、それらで食いつなぐことができた。

 それもこれも、全部フィリップのせいだ!!


「精霊、やってやったわよ!」

 これで精霊が現れなければ軽く詐欺だろう。

 するとすぐして水色のふわふわが現れた。


『よくやった。礼を言おう』

「で? 特別な力は?」

 すると、突如、私の身体が黄金色に輝いた。


『今、授けた。効力は三回。叶えたいことを強く念じるだけだ』

「ありがとう!」
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