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「レニーナ!? これは一体、どういうことだ!?」
 
「あら? 知らなかったのなら教えて差し上げるわ。私はね、この湖を源にする魔術師よ」
 
「湖の魔術師? あの、最強と噂される……」
 
 
 私、湖の魔術師は姿を見せない謎に包まれた存在だった。そして、さらに最強なのだ。
 
 魔術師としての腕を密かにあげた私は、影で国を支配していたのだから。
 
 
「その私にあんな惨めな思いをさせたのだから、わかっているだろうな」
 
 手のひらに水色の杖を出して見せると、ルドルフの顔は絶望の色に染まった。
 
 その後ろでルドルフにしがみつくシーナ。
 本当にシーナもルドルフも今の自分の立場をわかっているのかしら?
 
 反省が足りてないんじゃないの?
 
 
「すまない、レニーナ。この通りだ」
 
 
 その場にひざまずき、ルドルフは深く頭を下げる。それにシーナも続いた。
 
 おもしろい。
 
 
「お前たちの本心が嘘をついてないか確認させてもらう」 
 
 
 私が杖を振りかざすと、途端にモニター越しにルドルフもシーナも石に変わった。
 
 騒然とするパーティー会場。
 
 大丈夫。死んではいない。
 ただ石になって本人たちが十分反省した時に魔法が溶けるようになっているのだから。
 
 それまでよ。
 
 
 ◇
 
 一年後。
 
 あれから数日で魔法が溶けたルドルフとシーナは、改めて私に謝罪に来た。
 
 もう私は二人をこらしめて満足していたし、これ以上二人に関わっていたくなかったから、もうそこで許してあげることにした。
 
 そして、私は今日、幸せになろうとしている。
 
 あの日、私が正体を明かした途端にみんな手のひらを返したように私に猛アプローチをかけてきた。
 
 みんな最強の魔術師とお近づきになりたかったのだろう。
 
 私はその中から一番好みの男性と付き合い結婚するのだ。
 
 いろいろあったけど、私は幸せだ。
 
 
 ◇おしまい◇
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