2 / 2
*
しおりを挟む
夜の学校は、昼間とは別世界だった。
文化祭の残り火がまだ少し灯っていて、提灯の明かりが揺れていた。
校舎の裏、物置の影。
悠斗くんはすでに待っていた。
「来てくれたんだな」
「うん……何?」
彼は少し照れくさそうに頭を掻いた。
「実はさ、俺、来月から海外に行くんだ」
「……え?」
「親の仕事の都合で。アメリカの学校に編入する」
頭が真っ白になった。
「だから……今日でおしまいな」
おしまい。
その言葉が、胸に突き刺さった。
「彼女とは?」
「別れた。今日の昼に」
「どうして……」
「俺、お前のこと、ずっと気になってた。
でも、彼女ができた時、お前が笑顔で祝福してくれたから……俺、踏み出せなかった」
涙がまた溢れた。
「バカ……そんなの、知らなかったよ」
悠斗くんは苦笑した。
「俺もバカだよ。
最後にちゃんと伝えたかったけど、タイミング逃して……」
彼はポケットから小さな箱を出した。
開けると、中にシルバーのネックレス。
シンプルな星のペンダント。
「これ、お前にやる。
海外行っても、夜空見上げたら俺のこと思い出せよ」
私は震える手で受け取った。
「ありがとう……」
「泣くなよ。笑え」
私は必死で笑おうとした。
でも、涙で顔がぐちゃぐちゃだった。
悠斗くんは優しく笑った。
少し寂しそうで、でもすごく優しかった。
「最後に君が笑ってくれたら、それでいい」
その言葉が、胸に残った。
彼は私の頭をくしゃっと撫でて、
「じゃあな。元気でな」
背中を向けて歩き出した。
私は追いかけなかった。
追いかけたら、もっと辛くなると思ったから。
最後に見た悠斗くんの笑顔は、
少しだけ寂しそうで、でもすごく優しかった。
星のネックレスを握りしめて、私は呟いた。
「またね……悠斗くん」
文化祭の夜は、静かに終わった。
(終)
文化祭の残り火がまだ少し灯っていて、提灯の明かりが揺れていた。
校舎の裏、物置の影。
悠斗くんはすでに待っていた。
「来てくれたんだな」
「うん……何?」
彼は少し照れくさそうに頭を掻いた。
「実はさ、俺、来月から海外に行くんだ」
「……え?」
「親の仕事の都合で。アメリカの学校に編入する」
頭が真っ白になった。
「だから……今日でおしまいな」
おしまい。
その言葉が、胸に突き刺さった。
「彼女とは?」
「別れた。今日の昼に」
「どうして……」
「俺、お前のこと、ずっと気になってた。
でも、彼女ができた時、お前が笑顔で祝福してくれたから……俺、踏み出せなかった」
涙がまた溢れた。
「バカ……そんなの、知らなかったよ」
悠斗くんは苦笑した。
「俺もバカだよ。
最後にちゃんと伝えたかったけど、タイミング逃して……」
彼はポケットから小さな箱を出した。
開けると、中にシルバーのネックレス。
シンプルな星のペンダント。
「これ、お前にやる。
海外行っても、夜空見上げたら俺のこと思い出せよ」
私は震える手で受け取った。
「ありがとう……」
「泣くなよ。笑え」
私は必死で笑おうとした。
でも、涙で顔がぐちゃぐちゃだった。
悠斗くんは優しく笑った。
少し寂しそうで、でもすごく優しかった。
「最後に君が笑ってくれたら、それでいい」
その言葉が、胸に残った。
彼は私の頭をくしゃっと撫でて、
「じゃあな。元気でな」
背中を向けて歩き出した。
私は追いかけなかった。
追いかけたら、もっと辛くなると思ったから。
最後に見た悠斗くんの笑顔は、
少しだけ寂しそうで、でもすごく優しかった。
星のネックレスを握りしめて、私は呟いた。
「またね……悠斗くん」
文化祭の夜は、静かに終わった。
(終)
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
婚約破棄されたので、もうあなたを想うのはやめます
藤原遊
恋愛
王城の舞踏会で、公爵令息から一方的に婚約破棄を告げられた令嬢。
彼の仕事を支えるため領地運営を担ってきたが、婚約者でなくなった以上、その役目を続ける理由はない。
去った先で彼女の能力を正当に評価したのは、軍事を握る王弟辺境伯だった。
想うことをやめた先で、彼女は“対等に必要とされる場所”を手に入れる。
私の好きな人は異母妹が好き。だと思っていました。
棗
恋愛
帝国の公爵令嬢アマビリスには片思いをしている相手がいた。
青みがかった銀髪と同じ瞳の色の第二皇子アルマン。何故かアマビリスにだけ冷たく、いつも睨んでばかりでアマビリスの異母妹リンダには優しい瞳を向ける。片思いをしている相手に長年嫌われていると思っているアマビリスは、嫌っているくせに婚約が決まったと告げたアルマンを拒絶して、とある人の許へ逃げ出した。
そこでアルマンを拒絶してしまった事、本当は嬉しかったのにと泣いてしまい、泣き付かれたアマビリスは眠ってしまう。
今日は屋敷に帰らないと決めたアマビリスの許にアルマンが駆け付けた。
※小説家になろうさんにも公開しています。
私が彼から離れた七つの理由・完結
まほりろ
恋愛
私とコニーの両親は仲良しで、コニーとは赤ちゃんの時から縁。
初めて読んだ絵本も、初めて乗った馬も、初めてお絵描きを習った先生も、初めてピアノを習った先生も、一緒。
コニーは一番のお友達で、大人になっても一緒だと思っていた。
だけど学園に入学してからコニーの様子がおかしくて……。
※初恋、失恋、ライバル、片思い、切ない、自分磨きの旅、地味→美少女、上位互換ゲット、ざまぁ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿しています。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうで2022年11月19日昼日間ランキング総合7位まで上がった作品です!
婚約者の心変わり? 〜愛する人ができて幸せになれると思っていました〜
冬野月子
恋愛
侯爵令嬢ルイーズは、婚約者であるジュノー大公国の太子アレクサンドが最近とある子爵令嬢と親しくしていることに悩んでいた。
そんなある時、ルイーズの乗った馬車が襲われてしまう。
死を覚悟した前に現れたのは婚約者とよく似た男で、彼に拐われたルイーズは……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる