何かちがう

テンテルミ

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当時、優衣は小6で共働きの両親と中2の兄、そして小4の弟と小2には弟と妹の双子の7人家族で大家族ならではの仲の良さもあり、家が手狭な事を覗けば家庭への不満もなく屈折した言動もない普通の生活を送っていた


家は郊外よりも少し田舎に位置しているので土地代も安いので数年前に一軒家を購入して移り住んできた


優衣の記憶にはないが、買った当時は農家をしていた人の建物付きのまま土地を買ったらしい
その中には優衣一家が使う事は絶対にないトラクターや農作業用具などをしまう小屋や前住人が使っていたらしい小さな牛舎があったのだが母屋のみを残してその他全てを取り壊して一旦更地にした時に両親も思った以上に敷地が広い事にその時やっと気付いたそうだ



そこで、以前から父の祖父母とは母さんも仲良くしていたので母からの提案で敷地内にもう一軒建てて半同居の話を持ち出した


祖父母は都会的な人だったので郊外での暮らしを少し躊躇っていたが、祖父母が住まなくても子供が五人いるので中高生になった時に子供部屋として使わせるのもアリだろうと言ってとりあえず母屋とは別にハナレとしてもう一軒建ててしまったらしい



ここまで聞いただけでも、元々田舎暮らしの方が好きな母がどれだけ浮かれていたのかが思いしれる……



しかしあまり広くないとはいってもマンション暮らしで都会の生活を楽しんでいる祖父母はやはり引っ越しはしたくないからと断り、ハナレは子供達に使わせてあげようという事で自分達が使わないのにハナレの建築費用を祖父母が支払ってしまった


祖母が言うには「私が出したんだから私が言うように使いなさい」というこじつけのような断る理由を作って同居を拒否したらしい


年に数回孫を見る為に遊びには来ていて、その時は建てた家屋に寝泊まりするのだが、優衣が高校生の時に聞いたらそれは事実で、優衣の母の事は自分の子供のように可愛く思っていて大好きなので本当に嬉しく思ったし孫と毎日会える喜びは祖母の気持ちを引っ越す事に大きく傾かせ、一時は引っ越して来ようかとも真剣に悩んだようだ

しかし孫も息子嫁も好きだった祖母だが、どうしても『うん』と言えない理由が二つあったのだ


それは『虫が超大嫌い』『キラキラした街にすぐに行ける場所がいい』という2つの理由がどうしても埋められずに断ったのだと教えてくれた


確かに“虫”に関しては祖父は全然問題ないのだが、祖母は若い頃にはゴキブリが出ただけで数回引っ越しをしたというエピソードがあると聞いていたし、父の話では小さい頃も芝生に行くと虫が多いからという理由から祖母は留守番をしていたらしく、一回もそういった場所に一緒に行った記憶がないくらい昔から虫嫌いな人だったので父もそれを理由に出されたら無理は言えなかった


こうしてハナレとして建てた新築一戸建ては『子供部屋として一人1部屋与えてもらえるのは中学に入ってから』という祖母からの指令によって篠崎家の子供達は早く中学生になりたいという小さな夢を抱えて日々楽しく暮らしていた

そして、普通に考えれば新築の建物に一家で住めばいいと思うのだが、母が古民家に住む為にここに決めた購入したという経緯があるので一家の生活スペースは古民家の母屋になったのだ
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