放課後、君の知らない顔

二酸化炭素を吸う人

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馴れ初め編

好きって何度でも言うから

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教室の時計が、放課後の訪れを静かに告げる。
蓮は誰もいない教室に一人残っていた。鞄に手をかけたものの、心が重くて立ち上がれない。
陽翔の反応が、頭から離れないのだ。
〔あんな顔、されたら....こっちのほうが苦しくなる〕
熱のせいにした「好き」なんて、そんな軽い言葉じゃなかった。
でも、自分からそれをなかったことにして、陽翔の前で平然とした顔をしたのは、他でもない自分だ。
〔怖かっただけだろ、俺.....〕
蓮の中にある臆病な自分。それを押し殺すように、ずっと強がっていた。
「一一馬鹿だな、俺.....」
ぽつりと呟いたとき、教室の扉が静かに開いた。
「.....蓮」
顔を上げると、そこには陽翔がいた。鞄も持たず、制服のままの姿。
その目は、まっすぐに蓮を見据えている。
「話したいことがあるんだ」
蓮は息を飲んだ。逃げたい。だけど、もう、逃げたくなかった。
陽翔はゆっくりと近づき、蓮の机の前で立ち止まる。
その目に宿る光が、真剣そのものだった。
「....蓮、覚えてるよな。風邪のとき、蓮の家で言ったこと」
蓮の指先がわずかに震える。声が出なかった。
「”好き“って......言ったよな」
返事を待つ陽翔の声は、どこか痛みを含んでいた。
「なのに....学校で会ったとき、なんでもなかったみたいに振る舞って。僕、あれ....地味にきた」
蓮は目を見開いた。
「蓮にとっては、熱のせいの戯言だったのかもしれない。でも僕は、ずっと.....あの言葉を、何度も思い出してた」
「陽翔....」
「初めて、ちゃんと自分の気持ちに向き合ったんだ。怖かったけど、蓮のこと.....好きなんだって、認めた」
陽翔の声が揺れる。
「それでもし、蓮があれをなかったことにしたいなら....僕、ちゃんと諦めようって思ってた。でもーー」
そこまで言ったところで、陽翔は目を逸らし、唇を噛む。
「でも、やっぱり....無理だった。諦められない。蓮、君が好きだ。マジで」
その一言で、蓮の中の壁が音を立てて崩れた。
「あのときの”好き“は、熱のせいなんかじゃない」蓮は立ち上がり、陽翔の目を真っ直ぐに見た。
「俺も、怖かった。お前がどう思うか分からなくて、逃げてた。....でも、本気だった。今も、ずっと」
陽翔の目が見開かれる。蓮は一歩、踏み出して、胸の前で拳を握った。
「好きだよ、陽翔。ずっと、ずっと前から」
その瞬間、陽翔が顔を歪める。泣きそうな、でも嬉しそうな、そんな表情だった。
「....じゃあさ、僕からも、もう一回言わせて」
蓮が目を見開くと、陽翔はふっと笑って、蓮の手をそっと取った。
「蓮が好き。僕の彼氏になってくれ」
蓮の目に涙が浮かぶ。けれど、それは悲しみじゃなかった。
「うん...なりたい。陽翔の彼氏になりたい」
小さく、けれど確かな言葉が教室に響く。
手を繋いだまま、二人の距離はゆっくりと縮まりーーそして、初めてのキスは、ほんの少し照れくさくて、でもとても優しかった。

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第一章完結です!!
次は恋人編!!
楽しみにしててください!
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