Don't you see!!

Zessy

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怜思篇

汚れた感情(暴行描写アリ)

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 雄星は怜思の行動に目を疑った。
 怜思は自らの意思で男の前へ立つと、ボンタンを一番下まで下ろした。そのまま下着も下ろせば、後孔から透明な液体が糸を引いていた。

「後ろ向いてケツ出せ。手はそこの壁に」

 これから始まるであろう行為に、雄星は釘付けになっていた。たとえ無知な雄星でも、男の言葉に最悪な想像が止まらなかった。

(嘘、嘘だ、そんな……)

 そんな期待を裏切るように、男は怜思の尻を揉みほぐしながら尻穴を広げると、ゆっくりと指を挿入した。

「……っ、ぅ、ふ、んっ………」

 ぬぷりと呑み込んだソコから感じる熱に、怜思は艶めいた声を零した。悩ましげな声と姿に、雄星は心がかき乱されていく。
 男はしばらく指の出し入れを繰り返した後に、二本目も簡単に呑み込んでしまった。

「ァ…っ、ねぇ、しつこい……っ、ぁ゛あ゛っ……♡」

 それは雄星の見たことがない怜思の一面だった。

「随分緩くなったな……綺麗に縦に割れて。自分で弄って来たのか?」
「……学校の便所」
「ハハハ!!とんだ淫乱だなァ!!学校で弄って、ローションまでご丁寧に仕込んできて……そんなに抱かれたかったのか」
「違う!俺はただ、さっさと終わらせたいだ……ふっ、ぅぁっ……♡」

 内側から前立腺を刺激され、怜思は押されるたびに、脚をびくびく震わせながら甘い息を漏らした。水面がわずかに揺れるような快楽の波が支配していく。抵抗したい本人の意思とは裏腹に脳は快楽を求めていた。

「これだけほぐれてるなら、いけるか。ゆっくり息吐けよ……」

 男は亀頭を擦らせながらローションが溢れるソコに、ゆっくりと自身を埋めていく。

「んっ……、っ、ふ、……ぅ、ん゛、ぁ、ぁ゛……あ゛ぁっ♡」

 怜思は額に汗を滲ませながら男の熱芯を受け入れた。熱を持って押し広げられる痛み以上に、胎の底からこみ上げてくる快楽に怜思は理性を手放していた。

「や゛、……あ゛っ、あ゛ぁっ♡♡♡そ、こっ、やら……ぁっ♡♡♡」

 聞いたことがない嬌声に雄星は耳を塞ぐことも忘れ、すっかり見入っていた。肌がぶつかるたび、怜思は首を横に振りながらも、次第に甘えた声になっていく。快楽に完全に呑まれた怜思の姿は、雄星の興奮を煽っていった。
 雄星は今日に至るまで、異性と手を繋いだことすらなかった。大好きな親友の怜思も、勿論友人の延長でしかない。性的な目で見ることも無ければ、想像なんてもっての外だ。そんな彼の目の前で繰り広げられる行為に当てられて、雄星の口からは荒い息が漏れていた。

「あ゛♡……ッ、や、ァ…、イ゛っ、~~~~~~~~っ‼♡♡♡」

 膝をガクガクと震わせながら、白濁を吐き出して達する怜思。

(……オレは最低だ。)

 どれだけ自分を責めても、雄星自身は張りつめていた。切なさが体を駆け巡るが、血が滲むほど手を握り締めてこらえていた。

(汚い。俺としーちゃんは汚い関係じゃないのに。)

 でも、それ以上に大切な存在を見ず知らずの男に汚されるのはもっと許せない。

 オレの大好きなしーちゃんを汚さないで。どんな姿も、オレだけが知っていればいいから。苦しんでる姿も、気持ちよくなってる姿も、全部……

 友情、親友。この関係を壊さないために、数年間飲み込み続けてきた感情が堰を切ったように溢れ出した。輝いているような日々だなんて思っていた毎日は、この感情の上澄みでしかなかった。

(──あぁ、そっか。オレ、そういう意味でしーちゃんのことが好きなんだ。)

 胸の奥で何かが軋む音がした。これまでの景色が、一瞬で色を失っていく。こんな恋心を自覚したくなかった。隣に立っていれば、きっと振り向いてくれる。傍にいてくれる。自分を求めてくれる。そう思っていた結果がこれだ。

「はぁー……っ、はぁ……っ」

 遠い夏の日の自分のように、ボロ雑巾のように捨てられた怜思を、雄星は目を逸らさずじっと見つめていた。
 気力も体力も削がれた怜思は、泥で汚れようと、後孔から溢れる白濁液を撮られようと、嫌がる素振りすら見せなかった。何とか体を起こし、トイレの壁にもたれながら肩で息をする怜思に、男はベルトを締め直しながらスマホの画面を見せつけた。

「……っ!!」

 虚ろだった怜思の目が大きく開かれる。スマホの画面には、顔がはっきりとわかる状態で、犯されながら嬌声をあげている姿が映されていた。雄星の距離からでも動画の音声が聞こえていた。

(まさか、動画に……)

「再来週の水曜日。来なかったら……わかっているよな」

 拒否を許さない響きが怜思を制圧する。男はその反応すら楽しむように下卑た笑みを浮かべた。
 怜思は、自分を守るために男の姿が完全に見えなくなるまで、腹の底から湧き上がってくる感情を必死に堪えた。

「やっと……」

 薄暗い林の中で、怜思はようやく安堵の溜息を漏らした。雄星は、茂みの中で息を殺していた。怜思は散乱した制服をかき集め、震える手で口元を押さえると、よろよろと立ち上がった。その顔は血の気を失い、今にも崩れ落ちそうだった。それでも彼は、地面に落ちた誇りを拾い集めるように、ゆっくりと歩き出した。

「うっ……」

 トイレのドアが弾かれ、吐き出すような呻きが林の静けさを破る。次いで、壁を殴りつける音が響いた。

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!」

 行き場を失った怒りと屈辱を、拳に込めて。雄星は、動けなかった。怜思の姉たちの存在を知っている。脅されたのなら、怜思は抗えない。雄星の胸を、違う意味の痛みが締めつけた。
 やがて、音が止む。怜思はトイレから出てくると、無言のまま制服を整え、鏡を取り出した。泣き腫らした目元に髪をかけ、唇に真紅のリップを引く。いつもの“完璧な怜思”が、少しずつ出来上がっていく。
 その姿を、雄星はただ見つめていた。
 怜思は周囲を見回すと、雄星とは逆の出口へ歩き去った。

「しーちゃん……」

 息を呑みながら、雄星は立ち上がった。踏み荒らされた地面を見下ろす。泥の跡、散ったボタン、砕けた枝。どれも雄星には、どうすることもできなかった。

*

(……オレは、どうしたらいい?)

 どんな気持ちで家にいるのか想像するだけで、メッセージを送る手が止まる。思えば、怜思が学校を休んだことなんて一度もなかった。どんな痛みも、誰にも気づかせず飲み込む人だ。

 しーちゃんは明日もきっと、何事もなかったように笑う。「昨日何してた?」なんて聞けるわけがない。
 …それでも、しーちゃんの力になりたい。今度こそ、あの日みたいに手を伸ばしたい。でも、助けるってどうすればいいんだろう。

 捨てられないように。飽きられないように。いつだって隣を歩けるように、息を合わせてきた。それが、オレの全部だった。けれど脳裏に焼きついたあの姿が、そんな気持ちごと汚していく。
 高校三年の春。限られた時間の中で、オレの望みはたったひとつ――

 ここでしーちゃんを助けたら、しーちゃんはずっとオレのものになってくれるよね……?

 放課後の教室。何も言わず去っていく親友の背中を、もう見送ることしかできない少年は、どこにもいなかった。
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