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怜思篇
沈黙の破裂
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雄星が驚いた瞬間、怜思は手を離した。解放された雄星は背中を丸め、浅い呼吸を繰り返し、ベッドの上で咳き込む。怜思はそんな彼を一瞥しただけで、淡々と話を続けた。
「あの夜、トイレに落とし物を取りに戻った時さ。公園を出ていくお前の背中を見たンだよ」
「……そん、な」
「見てたンだろ、俺のこと。最初からずっと。偶然居合わせるはずがねえからな」
怜思の左目から一筋の涙がこぼれた。こんなもの八つ当たりでしかないと頭ではわかっていた。雄星が高校生にすぎないことも、どうすることもできなかったことも。
それでも――唯一心を許せる相手に、助けてほしかった。気づいてほしかった。見放されたくなかった。
「昔からそうだよな。察しが良いから絶対あと一歩で踏み込んでこない。……そんなに、自分のことが可愛いかよ」
「……それは、」
「あ?声が小さくて聞こえねえよ」
怜思の怒声に、雄星が拳を握りしめる。涙をこぼしながら、真っ赤な顔で言葉を押し出した。
「……それ、は、しーちゃんだって」
「?」
「それは、しーちゃんだって一緒だろ!?」
雄星は怜思に掴みかかり、その襟を掴んで叫んだ。
「オレが心配しても誤魔化して、平気なふりしてオレを遠ざけて……!こんな時だけ"見て見ぬふりすんな"とか言ってくるの、どんだけ自分勝手なんだよ!!……ねぇ、オレそんなに頼りなかった?そんなに信用できなかった!?」
「じゃあ何であの時助けてくれなかった!?何で最後まで黙って見てた!?」
「…………っ」
理不尽な訴えだった。お互いどうにもできなかったことはわかっていた。怜思は自分の身勝手さを、雄星は臆病な心を、互いに許せなかった。それでも言葉は止まらない。親友だからこそ、胸の奥を晒してしまう。頼らなかったこと。目を逸らしたこと。どちらの沈黙も、いま同じ重さでのしかかっていた。
「怖かったンだろ?俺の気持ちも考える余裕がないくらい。それで辛かったら話さなくていいって?そんな安い同情はなっから求めてねぇよ」
怜思の声が低く響く。
雄星の肩が震え、唇が何度も形を結んではほどけた。
「怖かったよ……しーちゃんの言うとおりだ。でも、オレだって、しーちゃんが何を思ってるか、言ってくれなきゃわかんないよぉ……」
シーツを握りしめてうずくまる雄星。
怜思は息を吐き、ゆっくりとシャツのボタンを外した。何かを決意するような仕草で、雄星の頭に手を置く。
「……言い過ぎた、悪ぃ。顔上げて、ユウ」
涙で濡れた頬を上げると、怜思が優しく微笑んでいた。冷たい指先が頬を撫で、震える声が落ちる。
「……ユウ」
「なぁに、しーちゃん」
「ユウは俺のこと、助けてくれる?」
その問いはあまりに穏やかで、残酷だった。囁きに溶かされるように、雄星の中の何かが、音もなく崩れる。
「うん……なんでもする。オレはずっとしーちゃんの味方だよ」
「そ。──それならさ」
怜思は雄星を抱き寄せ、頭を撫でた。
その掌が微かに震えているのを、雄星は感じ取った。
「……忘れさせてよ」
怜思の要求に雄星は声も出せないまま、小さく首を横に振った。自分に何を求められているのか、無知な雄星でも今回は察することができた。
怜思は雄星の頭を引き寄せると、そのまま雄星の唇を割るように舌で興奮を煽った。雄星は必死に抵抗するが、押し寄せる快楽に力が抜けていく。
「……っ、はぁっ、やめようよ、しーちゃん!こんなの、友達がすることじゃないよ!」
「その友達に興奮してるくせに。興味くらいあンだろ」
「そんな意地悪な言い方しないでよ……」
行き場のない感情が涙となって溢れた。雄星は自分が友達ではなく、恋人なら彼を満足させてあげられるのに、と自分を責めていた。今まで、この距離感に甘えていたのに、今はもっと近い存在になりたい。
泣きじゃくる雄星の涙を、怜思はそっと拭うだけだった。
「ねぇ、やめようよ、しーちゃん。こんなの、良くないよ。こんな気持ちで……オレ、しーちゃんと、いたくない」
「……じゃあ、ユウは俺が他の人に抱かれてもいい?」
「また意地悪言う……」
「冗談なんかじゃねぇよ。ユウがダメなら他の人に頼む。……俺のこと、欲しがるヤツなんかいくらでもいるからな」
怜思の声は笑っていた。だが、その笑いはどこか壊れかけていた。
高校二年の途中まで、怜思の交友は荒れていた。短い関係を繰り返し、深まることを拒み続けた。
なぜそこまでして誰かに触れられたかったのか。その理由を、雄星はまだ知らない。
「……それは、だめ」
「俺に体も貸せねぇ。他人のところに行くのもダメ。わがままはどっちだよ」
息を呑んだ。怜思の手を掴む雄星の指が震えていた。
この手を離したら、しーちゃんはどこかへ消えてしまう――そんな確信めいた恐怖が、胸を締めつける。
「オレ、もうやだ……しーちゃんが他の人に触られてるの、全部いやだ」
「……」
「他の人なんか言わないでよ。オレ、頑張るから。お願いだから、何も言わないで、どこかに行かないで……」
声と一緒に、涙がこぼれた。それは恋とも違う、依存の色をしていた。
「オレ、家族も友達もいないから……しーちゃんしかいないんだ。誰よりも大切だから、オレがしーちゃんを守るから! しーちゃんだけ見てるから……だから……!」
怜思の名を呼びながら、雄星はその胸にすがりつく。
涙の熱が、怜思の肌に消えていった。
彼は驚いたように息を呑み、すぐにその背中を抱きとめた。
「なぁ、ユウ。前に喧嘩した時、俺が女遊びやめた理由……知ってるか?」
「……オレが怒ったから?」
「違う。“親友のオレ”がいるから、他の人のところに行かないでって言ったからだ。今日みたいに」
「だって、ヤダもん……」
「俺、嬉しかったンだぜ。ユウが俺のこと“親友”だって言ってくれて」
「──え」
怜思の頬を、一粒の涙が滑り落ちた。
雄星は言葉を失い、ただその涙を見ていた。
「ユウが……俺のことを親友だと思ってくれてたのが、嬉しかったンだよ」
「本当に……?」
「これが嘘泣きに見えるか?」
雄星は震える手で怜思の涙を拭った。
その瞬間、怜思の瞳が、悲しみと愛しさの中間で揺れた。
「オレ……ずっと自分が、しーちゃんを親友だと勘違いしてる痛いヤツだと思ってたんだ」
「そんなワケないだろ。俺は出会った時から、ずっとユウだけが親友だぜ」
「でも……しーちゃん、今まで一度もそんなこと言ってくれなかったでしょ……?」
「そこまで言葉にしなきゃダメかよ」
「言わなきゃわかんないって、さっきから言ってるじゃん……!」
再び涙が溢れ、怜思は思わず雄星を抱きしめた。
「……もう泣くな。ちゃんと、言葉にしなかった俺が悪かった」
出会ってから今日まで、どんな日も雄星のことを考えていた。どこに行くにも、何をするにも、まず浮かぶのは雄星の顔。それが“親友”という言葉で足りるのか――怜思は自問した。
「でも、ユウ。……“親友”で、いいのかよ」
「へ……?」
怜思は雄星の前髪をそっとかき上げ、額に軽く口づけた。
その唇の温度が、雄星の心臓を凍らせたように熱くする。
「さっきの言葉が本当なら──」
怜思は雄星の手を取り、自身の胸に押し当てた。
掌の下で跳ねる鼓動。
怜思もまた、怖れていることを、雄星は初めて知った。
「俺のこと、愛してくれるなら……全部、預けてもいい」
「……愛、して?」
その言葉の響きが、夜の空気を震わせた。
二人の鼓動がひとつに重なった瞬間、夜がひび割れた。
「もう勝手にどこかへ行かない。ユウ以外に、触れさせない」
「──それなら、さ」
雄星は怜思の肩に額を預け、嗚咽のように笑った。
「……愛してるよ、しーちゃん。出会った時から、今までずっと」
「俺もだよ。……ユウ」
二人は互いの傷口に触れ合うようにして、夜の底へ沈んでいった。
朝が来ても、何ひとつ癒えてはいなかった。静寂だけが、二人を優しく包み込んでいた。
「あの夜、トイレに落とし物を取りに戻った時さ。公園を出ていくお前の背中を見たンだよ」
「……そん、な」
「見てたンだろ、俺のこと。最初からずっと。偶然居合わせるはずがねえからな」
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「?」
「それは、しーちゃんだって一緒だろ!?」
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「じゃあ何であの時助けてくれなかった!?何で最後まで黙って見てた!?」
「…………っ」
理不尽な訴えだった。お互いどうにもできなかったことはわかっていた。怜思は自分の身勝手さを、雄星は臆病な心を、互いに許せなかった。それでも言葉は止まらない。親友だからこそ、胸の奥を晒してしまう。頼らなかったこと。目を逸らしたこと。どちらの沈黙も、いま同じ重さでのしかかっていた。
「怖かったンだろ?俺の気持ちも考える余裕がないくらい。それで辛かったら話さなくていいって?そんな安い同情はなっから求めてねぇよ」
怜思の声が低く響く。
雄星の肩が震え、唇が何度も形を結んではほどけた。
「怖かったよ……しーちゃんの言うとおりだ。でも、オレだって、しーちゃんが何を思ってるか、言ってくれなきゃわかんないよぉ……」
シーツを握りしめてうずくまる雄星。
怜思は息を吐き、ゆっくりとシャツのボタンを外した。何かを決意するような仕草で、雄星の頭に手を置く。
「……言い過ぎた、悪ぃ。顔上げて、ユウ」
涙で濡れた頬を上げると、怜思が優しく微笑んでいた。冷たい指先が頬を撫で、震える声が落ちる。
「……ユウ」
「なぁに、しーちゃん」
「ユウは俺のこと、助けてくれる?」
その問いはあまりに穏やかで、残酷だった。囁きに溶かされるように、雄星の中の何かが、音もなく崩れる。
「うん……なんでもする。オレはずっとしーちゃんの味方だよ」
「そ。──それならさ」
怜思は雄星を抱き寄せ、頭を撫でた。
その掌が微かに震えているのを、雄星は感じ取った。
「……忘れさせてよ」
怜思の要求に雄星は声も出せないまま、小さく首を横に振った。自分に何を求められているのか、無知な雄星でも今回は察することができた。
怜思は雄星の頭を引き寄せると、そのまま雄星の唇を割るように舌で興奮を煽った。雄星は必死に抵抗するが、押し寄せる快楽に力が抜けていく。
「……っ、はぁっ、やめようよ、しーちゃん!こんなの、友達がすることじゃないよ!」
「その友達に興奮してるくせに。興味くらいあンだろ」
「そんな意地悪な言い方しないでよ……」
行き場のない感情が涙となって溢れた。雄星は自分が友達ではなく、恋人なら彼を満足させてあげられるのに、と自分を責めていた。今まで、この距離感に甘えていたのに、今はもっと近い存在になりたい。
泣きじゃくる雄星の涙を、怜思はそっと拭うだけだった。
「ねぇ、やめようよ、しーちゃん。こんなの、良くないよ。こんな気持ちで……オレ、しーちゃんと、いたくない」
「……じゃあ、ユウは俺が他の人に抱かれてもいい?」
「また意地悪言う……」
「冗談なんかじゃねぇよ。ユウがダメなら他の人に頼む。……俺のこと、欲しがるヤツなんかいくらでもいるからな」
怜思の声は笑っていた。だが、その笑いはどこか壊れかけていた。
高校二年の途中まで、怜思の交友は荒れていた。短い関係を繰り返し、深まることを拒み続けた。
なぜそこまでして誰かに触れられたかったのか。その理由を、雄星はまだ知らない。
「……それは、だめ」
「俺に体も貸せねぇ。他人のところに行くのもダメ。わがままはどっちだよ」
息を呑んだ。怜思の手を掴む雄星の指が震えていた。
この手を離したら、しーちゃんはどこかへ消えてしまう――そんな確信めいた恐怖が、胸を締めつける。
「オレ、もうやだ……しーちゃんが他の人に触られてるの、全部いやだ」
「……」
「他の人なんか言わないでよ。オレ、頑張るから。お願いだから、何も言わないで、どこかに行かないで……」
声と一緒に、涙がこぼれた。それは恋とも違う、依存の色をしていた。
「オレ、家族も友達もいないから……しーちゃんしかいないんだ。誰よりも大切だから、オレがしーちゃんを守るから! しーちゃんだけ見てるから……だから……!」
怜思の名を呼びながら、雄星はその胸にすがりつく。
涙の熱が、怜思の肌に消えていった。
彼は驚いたように息を呑み、すぐにその背中を抱きとめた。
「なぁ、ユウ。前に喧嘩した時、俺が女遊びやめた理由……知ってるか?」
「……オレが怒ったから?」
「違う。“親友のオレ”がいるから、他の人のところに行かないでって言ったからだ。今日みたいに」
「だって、ヤダもん……」
「俺、嬉しかったンだぜ。ユウが俺のこと“親友”だって言ってくれて」
「──え」
怜思の頬を、一粒の涙が滑り落ちた。
雄星は言葉を失い、ただその涙を見ていた。
「ユウが……俺のことを親友だと思ってくれてたのが、嬉しかったンだよ」
「本当に……?」
「これが嘘泣きに見えるか?」
雄星は震える手で怜思の涙を拭った。
その瞬間、怜思の瞳が、悲しみと愛しさの中間で揺れた。
「オレ……ずっと自分が、しーちゃんを親友だと勘違いしてる痛いヤツだと思ってたんだ」
「そんなワケないだろ。俺は出会った時から、ずっとユウだけが親友だぜ」
「でも……しーちゃん、今まで一度もそんなこと言ってくれなかったでしょ……?」
「そこまで言葉にしなきゃダメかよ」
「言わなきゃわかんないって、さっきから言ってるじゃん……!」
再び涙が溢れ、怜思は思わず雄星を抱きしめた。
「……もう泣くな。ちゃんと、言葉にしなかった俺が悪かった」
出会ってから今日まで、どんな日も雄星のことを考えていた。どこに行くにも、何をするにも、まず浮かぶのは雄星の顔。それが“親友”という言葉で足りるのか――怜思は自問した。
「でも、ユウ。……“親友”で、いいのかよ」
「へ……?」
怜思は雄星の前髪をそっとかき上げ、額に軽く口づけた。
その唇の温度が、雄星の心臓を凍らせたように熱くする。
「さっきの言葉が本当なら──」
怜思は雄星の手を取り、自身の胸に押し当てた。
掌の下で跳ねる鼓動。
怜思もまた、怖れていることを、雄星は初めて知った。
「俺のこと、愛してくれるなら……全部、預けてもいい」
「……愛、して?」
その言葉の響きが、夜の空気を震わせた。
二人の鼓動がひとつに重なった瞬間、夜がひび割れた。
「もう勝手にどこかへ行かない。ユウ以外に、触れさせない」
「──それなら、さ」
雄星は怜思の肩に額を預け、嗚咽のように笑った。
「……愛してるよ、しーちゃん。出会った時から、今までずっと」
「俺もだよ。……ユウ」
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