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怜思篇
砕かれた意思(暴行描写アリ)
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次に目を覚ました怜思が最初に感じたのは、床の冷たさだった。後頭部の鈍い痛み、そして内臓を抉るような圧迫感。意識は一気に現実へと引き戻される。
「……っ、ぅ」
視界が小刻みに揺れる。鼻を刺す精液と汗の匂い、そして耳にまとわりつく低い笑い声。何かが軋む音と、水気を帯びた音が混じり合い、小刻みに体を揺さぶられている。怜思は天井の低さから、ここが車内であることを理解した。
「ようやく起きたか」
忌まわしい声が名を呼んだ。リーダー格の男が前髪を掴み上げ、無理やり顔を上向かせる。怜思は痛みに顔を歪めながらも、残った意地をかき集めて睨み返した。
「……今日は随分多いんだな」
皮肉を吐いた声は震えていた。
男は嗤いながら、怜思の鞄を逆さに放り出す。その中から一本のペンを拾い上げた。
「これは何だ?器用な真似をするなぁ、しーちゃん」
怜思の顔色が変わる。証拠用に持ち歩いていたボイスレコーダー付きのペンだ。
男はその反応を愉しむように口角を吊り上げた。
「今までの従順なフリは全部コレのためか。念のため持ち物を調べておいて正解だったな」
髪を放され、床に叩きつけられる。
「上手に協力できたら、今回は見逃してやるよ」
「……ざけんなっ!!」
怜思は全身の力を込め、自分を犯す男の顎に膝を叩き込む。男がひっくり返り、隙ができた。すかさずドアに手を伸ばすが、再び髪を掴まれ、頬を殴られてしまう。
「やっぱり痛い目見ねぇと覚えねぇんだな」
男の手には小さなナイフが握られていた。刃先の冷たさが、肌の上で光る。
怜思は身を固くした。
(こいつら、刃物まで)
両手を結束バンドで縛られ、タオルを噛まされると、裸のまま草むらに投げ捨てられた。地面の湿り気と、朝露の冷たさ。見覚えのあるトイレの壁。
――ここは、あの公園か。だが分かったところで、どうにもならない。
「録音したデータの場所を吐く気はあるか?」
「…………」
答えなかった。恐怖と絶望の間に、かすかな矜持だけが残っていた。怜思は視線を逸らさず、ただ男を睨む。
そんな怜思を嘲笑うように、金属が唸りを上げた。
「────っ!!」
鈍い衝撃が脚を貫き、骨の軋む音が耳を裂いた。熱が滲み、息が止まる。叫び声も出せず、怜思はただ震えた。金属バットが地面に転がる音が、やけに遠くで響いた。痛みで涙が溢れ、頬を伝う。何もかもが剥がれ落ちていくようだった。
「声をあげるなかったのは偉いぞ、しーちゃん。……ほら、これを飲めば楽になる」
優しい声が逆に恐ろしかった。男が錠剤を差し出す。怜思は壁に背を押しつけ、必死に距離を取ろうとするが、脚が言うことを聞かない。
抵抗の意味を身体が忘れていく。喉の奥へと流し込まれた水の冷たさだけが、現実の証だった。
「まだ終わりじゃねぇよ。お前の体にはまだ用があるからな」
男たちの笑い声が遠のいていく。視界が滲み、輪郭が溶けていく。
(助けて……誰か……怖い……)
意識の隙間に、彼の姿が浮かぶ。
(ユウ……)
唇が名前を紡ぐ。だがその声は、空気にも届かなかった。
「……っ、ぅ」
視界が小刻みに揺れる。鼻を刺す精液と汗の匂い、そして耳にまとわりつく低い笑い声。何かが軋む音と、水気を帯びた音が混じり合い、小刻みに体を揺さぶられている。怜思は天井の低さから、ここが車内であることを理解した。
「ようやく起きたか」
忌まわしい声が名を呼んだ。リーダー格の男が前髪を掴み上げ、無理やり顔を上向かせる。怜思は痛みに顔を歪めながらも、残った意地をかき集めて睨み返した。
「……今日は随分多いんだな」
皮肉を吐いた声は震えていた。
男は嗤いながら、怜思の鞄を逆さに放り出す。その中から一本のペンを拾い上げた。
「これは何だ?器用な真似をするなぁ、しーちゃん」
怜思の顔色が変わる。証拠用に持ち歩いていたボイスレコーダー付きのペンだ。
男はその反応を愉しむように口角を吊り上げた。
「今までの従順なフリは全部コレのためか。念のため持ち物を調べておいて正解だったな」
髪を放され、床に叩きつけられる。
「上手に協力できたら、今回は見逃してやるよ」
「……ざけんなっ!!」
怜思は全身の力を込め、自分を犯す男の顎に膝を叩き込む。男がひっくり返り、隙ができた。すかさずドアに手を伸ばすが、再び髪を掴まれ、頬を殴られてしまう。
「やっぱり痛い目見ねぇと覚えねぇんだな」
男の手には小さなナイフが握られていた。刃先の冷たさが、肌の上で光る。
怜思は身を固くした。
(こいつら、刃物まで)
両手を結束バンドで縛られ、タオルを噛まされると、裸のまま草むらに投げ捨てられた。地面の湿り気と、朝露の冷たさ。見覚えのあるトイレの壁。
――ここは、あの公園か。だが分かったところで、どうにもならない。
「録音したデータの場所を吐く気はあるか?」
「…………」
答えなかった。恐怖と絶望の間に、かすかな矜持だけが残っていた。怜思は視線を逸らさず、ただ男を睨む。
そんな怜思を嘲笑うように、金属が唸りを上げた。
「────っ!!」
鈍い衝撃が脚を貫き、骨の軋む音が耳を裂いた。熱が滲み、息が止まる。叫び声も出せず、怜思はただ震えた。金属バットが地面に転がる音が、やけに遠くで響いた。痛みで涙が溢れ、頬を伝う。何もかもが剥がれ落ちていくようだった。
「声をあげるなかったのは偉いぞ、しーちゃん。……ほら、これを飲めば楽になる」
優しい声が逆に恐ろしかった。男が錠剤を差し出す。怜思は壁に背を押しつけ、必死に距離を取ろうとするが、脚が言うことを聞かない。
抵抗の意味を身体が忘れていく。喉の奥へと流し込まれた水の冷たさだけが、現実の証だった。
「まだ終わりじゃねぇよ。お前の体にはまだ用があるからな」
男たちの笑い声が遠のいていく。視界が滲み、輪郭が溶けていく。
(助けて……誰か……怖い……)
意識の隙間に、彼の姿が浮かぶ。
(ユウ……)
唇が名前を紡ぐ。だがその声は、空気にも届かなかった。
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