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第一章「親友と俺」
2「タイムリミットは一日」
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「いやー、おばさんは一年経っても、相変わらずお綺麗ですね。あ、俺の事はお構いなくー」
ジュンは俺の部屋の床に座り、紅茶とクッキーを持ってきた母さんに以前と変わらない様子で言った。
まるで、いつものように。
「あ、ありがとう、ジュン君。じゃ、おばさん下にいるから」
母さんも目の前にいるジュンに戸惑いながらも紅茶とクッキーを小さなテーブルに置いて部屋を出て行った。しかし、ジュンは何のその。
「あ、このクッキー、俺が好きなやつじゃん!」
ジュンは俺の目の前で何事もないかのように小袋のクッキーを開けて、もしゃもしゃと食べ始めた。そんなジュンを俺は信じられない思いで見つめ、その視線に気が付いたジュンが口をももごもごさせながら俺に視線を返した。
「なんだー? 久しぶり過ぎて俺の事を忘れたか?」
ジュンは前と変わらず俺をからかう様に言った。でも、俺はそのからかいに軽口を返せなかった。
「どうして……」
俺はその言葉しか出てこなかった。
どうして、ここにいるのか? どうして、俺の前に現れたのか? どうして? どうして?
その思いが俺の中に巡る。
そもそも、ジュンが帰ってくる事が出来るのは四年後の筈だ、と俺はその事にも疑問を抱く。
『死者回帰現象』
そう呼ばれている現象がある。
それは未練を残したまま亡くなった善人が、四年後の命日から現世に帰ってくる、という現象だ。
一般的にこの現象の事を日本では『帰生』と呼んでいる。
この現象がどうして起こるのかは未だに解明されていないが、この現象はごく当たり前のことで驚く者はいない。勿論、俺もそうだ。それに死者回帰現象であの世から返ってきた人を見るのは初めてじゃない。
昔、ひい爺さんが帰ってきた時に会った事がある。
けれど、それは死んでからきっかり四年が経過してからだった。
だが、ジュンはたった一年で帰ってきた。その理由が付かなくて、俺の頭の中はクエスチョンマークだらけだ。そんな動揺しまくっている俺を見透かしたように、ジュンは笑った。
「待て待て、ゆっくり説明してやるから」
ジュンはそう言うと、ティーカップを手に取ると紅茶を口に含んでクッキーを流し込んだ。そして、ほっと息を吐くと、真っ直ぐに俺を見て口を開いた。
俺は身構えて、ジュンからの答えを待ったが、奴の口から出てきたのは予想外の言葉だった。
「しっかし、お前。この一年で、デブったなー」
「なっ!」
「引きこもってないで、ちょっと運動した方がいいぞー?」
茶化して言うジュンに俺は思わず怒りを感じた。お前が死んだから、俺は引きこもっていたんだぞ! と心が叫んだから。
「余計なお世話だ! どうして俺がこうなったと」
そこまで言って、俺は口を噤んだ。ここでジュンを責めたくなかった。いや、俺には責める資格なんてないと思った。だから俺は目を伏せたのに、そんな俺にジュンは笑った。
「知ってるよ。お前がどうしてそうなったのか」
優しい口調で言われて、俺は伏せた目をジュンに向けた。ジュンは笑みを湛えたまま、こちらを見ている。けれど、その笑みを見ると俺の気持ちは途端居た堪れなくなる。
胸にずきりとした痛みが走り、次々に悪い思いが浮かぶ。
どうして、俺をあの旅行に誘ったんだ?! どうして、あの日にしたんだ!? どうしてお前だけが生き残ったんだ!? そうジュンは思っていないのだろうか? と。
どんなになじられても俺はそれを受け入れなければならない、そう思った。けれど今の俺は面と向かってそれを言われるのが怖くて聞く勇気を持てなかった。だから俺は誤魔化す様に尋ねた。
「どうやって、帰ってこれたんだ? まだ四年経ってないのに」
俺の問いにジュンは今度こそちゃんと答えた。
「ああ、今回は無理を通してもらって帰ってきたんだ。本当はまだ待たなきゃ行けなかったんだけど」
「無理を通して?」
「ああ、だから四日間、俺は滞在できる訳じゃないんだ」
「四日間滞在できない? そんなっ!」
「まあ、それは良いんだ。でも俺は今日一日だけしかいられない、だから俺に付き合え!」
ビシッと指をさして言ったジュンに俺は「は?」と間抜けな顔しかできなかった。
ーーそれから三十分後。
風呂に入り、伸びていた不精髭を剃った俺はいつものスウェットではなく外出用の私服に着替えて久しぶりにさっぱりとした姿になっていた。
「うーん、よし。さっきよりはマシな格好になったな」
ジュンは腕を組み、俺の姿を品定めるように上から下まで眺めて、満足そうに言った。
その一方で俺は久しぶりに着た自分の服が思った以上にきつくて、密かに軽いショックを受けた。一年前は緩くてベルトをして着ていたズボンが、今じゃパンパンだ。
怠惰な生活をしていたから仕方がないのだが……。
そして、風呂に入っている間にいつの間にか小奇麗になった自分の部屋を見回した。布団はベランダに干され、シーツも洗われている。
埃が溜まっていた部屋の隅には掃除機がかけられてその姿を失くし、無造作に床に置いていた漫画や本は本棚の所定の位置に戻っている。
「お前が風呂に入っている間にちょっと綺麗にしておいたぞ。お前なぁ、ちょっとぐらいは掃除しろよ」
綺麗好きのジュンは呆れた顔で愚痴るように言い、俺は素直に「すまん」と謝った。
こんなやり取りを以前にもした事がある。
なかなか部屋を片付けない俺に代わって遊びに来たジュンがいつも片付けてくれていた。だが、その度に俺は「放っておけ」としか言わなかった。だから素直に謝った俺を見たジュンは少し驚いた顔をした後、くすっと笑って俺の肩を軽く叩いた。
「俺はもうこれねーんだから、ちゃんと自分で掃除しろよ?」
諭す様に言うジュンの言葉がちくりと胸に刺さった。
でも、そんな俺の気持ちにジュンは気が付かず、言葉を続けた。
「とにかく、さっぱりとした事だし、飯を食いに行こうぜ」
ジュンはそう言ってさっさと部屋を出て行こうとした。
「メシ?」
俺が聞き返すと、ジュンは顔だけ振り返った。
「そっ、飯だ。行くぞ」
ジュンはそれだけを言うと、さっさと先に部屋を出て行ってしまった。俺は迷いながらも、ジュンの後を追った。今の俺にジュンを拒否することなんてできない。
そして一階に降りると、足音を聞きつけた母さんが玄関先で待っていた。
「おばさん、お邪魔しました。今日一日、拓真を借ります」
ジュンがそう言うと、母さんは懐かしそうな泣きそうな顔で頷いた。
いつもなら「またいらっしゃいね」という所だが、もうジュンは来れない。だから何も言わず俺達二人を静かに見送るだけだった。
そしてそれを知ってか知らずか、ジュンもまたそれ以上は何も言わなかった。
「今日はいい天気だぞ~」
ジュンはそう言って外に出て、俺も靴を履いて久しぶりに出る。
外は眩しくて、俺は春の日差しと花の匂いが混じる空気に少し眩暈を感じながら、家の前に停まっているバイクに視線を向けた。
ジュンはバイク好きな親父さんの影響で十六歳の時に免許を取って、普通二輪のバイクに乗っていた。免許を取得して一年半経った後、二人の乗りができるようになってからはよくジュンの後ろに乗せてもらった。
遊びに行く時は必ずと言っていいほど。
だから、バイクも持っていないのに俺専用のヘルメットがある。
「ほら、メット」
そう言ってジュンは俺のヘルメットを俺に放り投げた。
最後に乗ったのは、あの事故が起こるニ日前。俺はヘルメットをジュンの家に置き忘れていた。それを持ってきてくれたのだろう。
一年間触っていなかったヘルメットの重さに少し懐かしさを感じる。だが、そんな俺にジュンは声をかけた。
「なにぼーっと突っ立ってんだ。早く後ろに乗れよ」
ジュンはバイクにまたがってエンジンをかけながら言った。一年も乗られていなかったバイクなのにエンジン音はいつも通りで、俺は何となくおじさんが手入れをしていたんだろう、と思った。でもその事には触れず「ああ」と返事だけして、いつものようにバイクの後ろに跨った。
「いつか彼女を乗っけるつもりだったのに、結局お前だけの席になっちまったな」
ジュンはヘルメットを被りながらぼやくように言った。
そして俺は生前、いつもジュンが『お前じゃなくて、可愛い胸の大きい女の子が後ろに乗ってくれたら嬉しいのに』と言っていた事を思い出した。その度に『俺で悪かったな』と俺は言っていた。
でも俺は、その内にジュンにも彼女ができるだろう、と思っていた。そうしたらこのヘルメットも用なしになるな。いや、自分でもバイクの免許でも取るか? そう思っていたんだ。
けれど、そんな日が来る前にジュンは死んでしまった。
そして、もうそんなささやかな願いもジュンは叶えられない。その事にまた俺の胸は痛む。
だけど、ジュンはいつも通り「出すぞ、ちゃんと掴まっておけよ」と言った。俺はジュンの両肩を掴み、バイクは軽やかに風を切って進んだ。
ジュンは俺の部屋の床に座り、紅茶とクッキーを持ってきた母さんに以前と変わらない様子で言った。
まるで、いつものように。
「あ、ありがとう、ジュン君。じゃ、おばさん下にいるから」
母さんも目の前にいるジュンに戸惑いながらも紅茶とクッキーを小さなテーブルに置いて部屋を出て行った。しかし、ジュンは何のその。
「あ、このクッキー、俺が好きなやつじゃん!」
ジュンは俺の目の前で何事もないかのように小袋のクッキーを開けて、もしゃもしゃと食べ始めた。そんなジュンを俺は信じられない思いで見つめ、その視線に気が付いたジュンが口をももごもごさせながら俺に視線を返した。
「なんだー? 久しぶり過ぎて俺の事を忘れたか?」
ジュンは前と変わらず俺をからかう様に言った。でも、俺はそのからかいに軽口を返せなかった。
「どうして……」
俺はその言葉しか出てこなかった。
どうして、ここにいるのか? どうして、俺の前に現れたのか? どうして? どうして?
その思いが俺の中に巡る。
そもそも、ジュンが帰ってくる事が出来るのは四年後の筈だ、と俺はその事にも疑問を抱く。
『死者回帰現象』
そう呼ばれている現象がある。
それは未練を残したまま亡くなった善人が、四年後の命日から現世に帰ってくる、という現象だ。
一般的にこの現象の事を日本では『帰生』と呼んでいる。
この現象がどうして起こるのかは未だに解明されていないが、この現象はごく当たり前のことで驚く者はいない。勿論、俺もそうだ。それに死者回帰現象であの世から返ってきた人を見るのは初めてじゃない。
昔、ひい爺さんが帰ってきた時に会った事がある。
けれど、それは死んでからきっかり四年が経過してからだった。
だが、ジュンはたった一年で帰ってきた。その理由が付かなくて、俺の頭の中はクエスチョンマークだらけだ。そんな動揺しまくっている俺を見透かしたように、ジュンは笑った。
「待て待て、ゆっくり説明してやるから」
ジュンはそう言うと、ティーカップを手に取ると紅茶を口に含んでクッキーを流し込んだ。そして、ほっと息を吐くと、真っ直ぐに俺を見て口を開いた。
俺は身構えて、ジュンからの答えを待ったが、奴の口から出てきたのは予想外の言葉だった。
「しっかし、お前。この一年で、デブったなー」
「なっ!」
「引きこもってないで、ちょっと運動した方がいいぞー?」
茶化して言うジュンに俺は思わず怒りを感じた。お前が死んだから、俺は引きこもっていたんだぞ! と心が叫んだから。
「余計なお世話だ! どうして俺がこうなったと」
そこまで言って、俺は口を噤んだ。ここでジュンを責めたくなかった。いや、俺には責める資格なんてないと思った。だから俺は目を伏せたのに、そんな俺にジュンは笑った。
「知ってるよ。お前がどうしてそうなったのか」
優しい口調で言われて、俺は伏せた目をジュンに向けた。ジュンは笑みを湛えたまま、こちらを見ている。けれど、その笑みを見ると俺の気持ちは途端居た堪れなくなる。
胸にずきりとした痛みが走り、次々に悪い思いが浮かぶ。
どうして、俺をあの旅行に誘ったんだ?! どうして、あの日にしたんだ!? どうしてお前だけが生き残ったんだ!? そうジュンは思っていないのだろうか? と。
どんなになじられても俺はそれを受け入れなければならない、そう思った。けれど今の俺は面と向かってそれを言われるのが怖くて聞く勇気を持てなかった。だから俺は誤魔化す様に尋ねた。
「どうやって、帰ってこれたんだ? まだ四年経ってないのに」
俺の問いにジュンは今度こそちゃんと答えた。
「ああ、今回は無理を通してもらって帰ってきたんだ。本当はまだ待たなきゃ行けなかったんだけど」
「無理を通して?」
「ああ、だから四日間、俺は滞在できる訳じゃないんだ」
「四日間滞在できない? そんなっ!」
「まあ、それは良いんだ。でも俺は今日一日だけしかいられない、だから俺に付き合え!」
ビシッと指をさして言ったジュンに俺は「は?」と間抜けな顔しかできなかった。
ーーそれから三十分後。
風呂に入り、伸びていた不精髭を剃った俺はいつものスウェットではなく外出用の私服に着替えて久しぶりにさっぱりとした姿になっていた。
「うーん、よし。さっきよりはマシな格好になったな」
ジュンは腕を組み、俺の姿を品定めるように上から下まで眺めて、満足そうに言った。
その一方で俺は久しぶりに着た自分の服が思った以上にきつくて、密かに軽いショックを受けた。一年前は緩くてベルトをして着ていたズボンが、今じゃパンパンだ。
怠惰な生活をしていたから仕方がないのだが……。
そして、風呂に入っている間にいつの間にか小奇麗になった自分の部屋を見回した。布団はベランダに干され、シーツも洗われている。
埃が溜まっていた部屋の隅には掃除機がかけられてその姿を失くし、無造作に床に置いていた漫画や本は本棚の所定の位置に戻っている。
「お前が風呂に入っている間にちょっと綺麗にしておいたぞ。お前なぁ、ちょっとぐらいは掃除しろよ」
綺麗好きのジュンは呆れた顔で愚痴るように言い、俺は素直に「すまん」と謝った。
こんなやり取りを以前にもした事がある。
なかなか部屋を片付けない俺に代わって遊びに来たジュンがいつも片付けてくれていた。だが、その度に俺は「放っておけ」としか言わなかった。だから素直に謝った俺を見たジュンは少し驚いた顔をした後、くすっと笑って俺の肩を軽く叩いた。
「俺はもうこれねーんだから、ちゃんと自分で掃除しろよ?」
諭す様に言うジュンの言葉がちくりと胸に刺さった。
でも、そんな俺の気持ちにジュンは気が付かず、言葉を続けた。
「とにかく、さっぱりとした事だし、飯を食いに行こうぜ」
ジュンはそう言ってさっさと部屋を出て行こうとした。
「メシ?」
俺が聞き返すと、ジュンは顔だけ振り返った。
「そっ、飯だ。行くぞ」
ジュンはそれだけを言うと、さっさと先に部屋を出て行ってしまった。俺は迷いながらも、ジュンの後を追った。今の俺にジュンを拒否することなんてできない。
そして一階に降りると、足音を聞きつけた母さんが玄関先で待っていた。
「おばさん、お邪魔しました。今日一日、拓真を借ります」
ジュンがそう言うと、母さんは懐かしそうな泣きそうな顔で頷いた。
いつもなら「またいらっしゃいね」という所だが、もうジュンは来れない。だから何も言わず俺達二人を静かに見送るだけだった。
そしてそれを知ってか知らずか、ジュンもまたそれ以上は何も言わなかった。
「今日はいい天気だぞ~」
ジュンはそう言って外に出て、俺も靴を履いて久しぶりに出る。
外は眩しくて、俺は春の日差しと花の匂いが混じる空気に少し眩暈を感じながら、家の前に停まっているバイクに視線を向けた。
ジュンはバイク好きな親父さんの影響で十六歳の時に免許を取って、普通二輪のバイクに乗っていた。免許を取得して一年半経った後、二人の乗りができるようになってからはよくジュンの後ろに乗せてもらった。
遊びに行く時は必ずと言っていいほど。
だから、バイクも持っていないのに俺専用のヘルメットがある。
「ほら、メット」
そう言ってジュンは俺のヘルメットを俺に放り投げた。
最後に乗ったのは、あの事故が起こるニ日前。俺はヘルメットをジュンの家に置き忘れていた。それを持ってきてくれたのだろう。
一年間触っていなかったヘルメットの重さに少し懐かしさを感じる。だが、そんな俺にジュンは声をかけた。
「なにぼーっと突っ立ってんだ。早く後ろに乗れよ」
ジュンはバイクにまたがってエンジンをかけながら言った。一年も乗られていなかったバイクなのにエンジン音はいつも通りで、俺は何となくおじさんが手入れをしていたんだろう、と思った。でもその事には触れず「ああ」と返事だけして、いつものようにバイクの後ろに跨った。
「いつか彼女を乗っけるつもりだったのに、結局お前だけの席になっちまったな」
ジュンはヘルメットを被りながらぼやくように言った。
そして俺は生前、いつもジュンが『お前じゃなくて、可愛い胸の大きい女の子が後ろに乗ってくれたら嬉しいのに』と言っていた事を思い出した。その度に『俺で悪かったな』と俺は言っていた。
でも俺は、その内にジュンにも彼女ができるだろう、と思っていた。そうしたらこのヘルメットも用なしになるな。いや、自分でもバイクの免許でも取るか? そう思っていたんだ。
けれど、そんな日が来る前にジュンは死んでしまった。
そして、もうそんなささやかな願いもジュンは叶えられない。その事にまた俺の胸は痛む。
だけど、ジュンはいつも通り「出すぞ、ちゃんと掴まっておけよ」と言った。俺はジュンの両肩を掴み、バイクは軽やかに風を切って進んだ。
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