6 / 21
第一章「親友と俺」
5「潤」
しおりを挟む
数年経ったある日の事。
珍しくジュンの親父さんから電話で連絡が入っていた。
もう久しく親父さんと会っていないかった俺は、なんだろう? と思いつつ、電話を折り返した。
すると親父さんは驚くことを俺に教えてくれたのだ。
『拓真君、仏壇に飾っていたジュンの遺影からジュンの姿が消えた』
それを意味するのは、ジュンが転生をした、という事だった。
この世界では、死後、遺影と決められた写真から姿が、個人差はあれど誰もが消える。そして、それはその遺影に映っている人の魂が浄化され、またこの世で生を受けたことを示していた。
それがどうしてかは解明できていないが、そう昔から言われている。
だから遺影から消えた、という事に俺は微かに驚き、またあいつがこの世に来るのかと思うと嬉しく思った。
……もしかしたら、どこかで出会う事もあるかもしれないな。袖振り合うは多生の縁ともいうし。
俺は能天気にそんなことを思った。でも、それから三カ月後の事だった。
妻が妊娠している事がわかり、しかも妊娠して三カ月だと言う。それを聞いた俺は三カ月前にジュンの遺影が消えた話をすぐに思い出した。
確証は全くないが、もしかしてジュンが俺の子供に生まれ変わったのでは? と思わずにはいられなかった。なにせあいつは、幼い頃から俺の予想を超えて時々思いもよらないことをするから。
だから魂が違うかもしれないけれど、ただただジュンのように、人を思いやる暖かい気持ちを持った最高の奴に育ってくれるように、心から願いを込めたーーー。
「ねえ、お父さん。この人、だぁれ?」
小さな男の子が古いアルバムを見て、一枚の写真を指差して尋ねた。
そこには学生服を着た若い父親と、もう一人笑っている青年が写っていた。
そして父親は息子の頭を優しく撫で、笑って答えた。
「彼はお父さんの最高の親友だよ、潤」
第一章、おわり
珍しくジュンの親父さんから電話で連絡が入っていた。
もう久しく親父さんと会っていないかった俺は、なんだろう? と思いつつ、電話を折り返した。
すると親父さんは驚くことを俺に教えてくれたのだ。
『拓真君、仏壇に飾っていたジュンの遺影からジュンの姿が消えた』
それを意味するのは、ジュンが転生をした、という事だった。
この世界では、死後、遺影と決められた写真から姿が、個人差はあれど誰もが消える。そして、それはその遺影に映っている人の魂が浄化され、またこの世で生を受けたことを示していた。
それがどうしてかは解明できていないが、そう昔から言われている。
だから遺影から消えた、という事に俺は微かに驚き、またあいつがこの世に来るのかと思うと嬉しく思った。
……もしかしたら、どこかで出会う事もあるかもしれないな。袖振り合うは多生の縁ともいうし。
俺は能天気にそんなことを思った。でも、それから三カ月後の事だった。
妻が妊娠している事がわかり、しかも妊娠して三カ月だと言う。それを聞いた俺は三カ月前にジュンの遺影が消えた話をすぐに思い出した。
確証は全くないが、もしかしてジュンが俺の子供に生まれ変わったのでは? と思わずにはいられなかった。なにせあいつは、幼い頃から俺の予想を超えて時々思いもよらないことをするから。
だから魂が違うかもしれないけれど、ただただジュンのように、人を思いやる暖かい気持ちを持った最高の奴に育ってくれるように、心から願いを込めたーーー。
「ねえ、お父さん。この人、だぁれ?」
小さな男の子が古いアルバムを見て、一枚の写真を指差して尋ねた。
そこには学生服を着た若い父親と、もう一人笑っている青年が写っていた。
そして父親は息子の頭を優しく撫で、笑って答えた。
「彼はお父さんの最高の親友だよ、潤」
第一章、おわり
0
あなたにおすすめの小説
後宮の偽花妃 国を追われた巫女見習いは宦官になる
gari@七柚カリン
キャラ文芸
旧題:国を追われた巫女見習いは、隣国の後宮で二重に花開く
☆4月上旬に書籍発売です。たくさんの応援をありがとうございました!☆ 植物を慈しむ巫女見習いの凛月には、二つの秘密がある。それは、『植物の心がわかること』『見目が変化すること』。
そんな凛月は、次期巫女を侮辱した罪を着せられ国外追放されてしまう。
心機一転、紹介状を手に向かったのは隣国の都。そこで偶然知り合ったのは、高官の峰風だった。
峰風の取次ぎで紹介先の人物との対面を果たすが、提案されたのは後宮内での二つの仕事。ある時は引きこもり後宮妃(欣怡)として巫女の務めを果たし、またある時は、少年宦官(子墨)として庭園管理の仕事をする、忙しくも楽しい二重生活が始まった。
仕事中に秘密の能力を活かし活躍したことで、子墨は女嫌いの峰風の助手に抜擢される。女であること・巫女であることを隠しつつ助手の仕事に邁進するが、これがきっかけとなり、宮廷内の様々な騒動に巻き込まれていく。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
タダで済むと思うな
美凪ましろ
ライト文芸
フルタイムで働きながらワンオペで子育てをし、夫のケアもしていた井口虹子は、結婚十六年目のある夜、限界を迎える。
――よし、決めた。
我慢するのは止めだ止め。
家族のために粉骨砕身頑張っていた自分。これからは自分のために生きる!
そう決めた虹子が企てた夫への復讐とは。
■十八歳以下の男女の性行為があります。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
僕《わたし》は誰でしょう
紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
青春
※第7回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。
「自分はもともと男ではなかったか?」
事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。
見知らぬ思い出をめぐる青春SF。
※表紙イラスト=ミカスケ様
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる