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第二章「デートはお手柔らかに!」
11 お料理クッキング
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そんなこんなで翌日、サラおばちゃんの誕生日の午後。
午前中に来客の相手をして、俺は久しぶりにレノの家に来ていた。と言うか、昼過ぎにレノが迎えに来て、俺は拉致られていた。
「夕方、迎えに来るんじゃなかったのかよー?」
「また目を離した隙に一人でおでかけされたら困りますから」
レノはにキッチンで誕生日会用の料理を作りながらにこりと笑って俺に言った。
……俺の信用度、うっすいなぁ~。
そう思いつつも、昨日お家を抜け出した俺に反論することはできず。
「れ、レノ、何か手伝おうか? あ、そのニンジン。皮をむくんだろ? 俺がやるよ」
俺は誤魔化すようにレノに尋ねた。
「いいえ、じっと座っててください。怪我をされてはいけません」
小さな子供のように言われ、俺はむすっとする。
「怪我なんかしないから、貸してみろって!」
俺はキッチンから人参とピーラーを手にシャシャシャーッと皮をあっという間に剥いていく。フフン、どうだ。俺の華麗なる手さばきは! ドヤッ!
「この後はどうするんだ? どの大きさに切ったらいい?」
「……一口大に切っていただけますか?」
「わかった」
俺は返事をしてささっと切っていく。そして俺の手元を見ているレノが隣で驚いている様子が見なくてもわかる。
……んはっはっは~! 前世時代、若い頃にレストランの厨房バイトもしてたし、一人暮らしも長かったから、このくらいお茶の子さいさいなのだ!
俺はニンジンを一本切り終わり、ボウルに入れてレノに渡した。
「どうだ!」
「お見事です……。けれど、一体どこでやり方を? 包丁を握った事もないでしょう」
レノはボウルを受け取ったが、怪訝な顔で俺を見た。そしてレノに言われて俺は、あっ、と思う。
俺は一応公爵家のボンボンだ、なので料理を作るなんて事はない。家には専属の料理人がいるからな。つまり俺が料理をする機会など皆無だ。なのに俺は手間取ることなく華麗にピーラーを操り、包丁でニンジンを切って見せた。レノが不思議に思うのも当然である。
「あー、それはぁ~。厨房でよくヒューゴを見てたからさぁ~」
俺は明後日の方向を見ながら誤魔化した。
「ヒューゴさんの手元を見て、覚えたと?」
「あー、うん。そうそう。俺って天才だから!」
俺はにこにこ笑って言ったが、レノは信じていないようだった。だが、それ以上の追及はしなかった。
「そうですか。では、こちらも同じようにお願いします」
レノはそう言って俺にじゃがいもを渡してきた。
「あ、はい」
俺は素直に返事をして、じゃがいもの皮を剥いて一口大に切っていく。
……はぁー、危なかった。前世の癖には気を付けないとな。
俺はホッとしつつも、じゃがいもの皮を剥き、切っていく。しかし、その次は玉ねぎを渡され、その次はブロッコリー、トマト、ゆで卵。お肉……etc.
「いや、めちゃくちゃ切らせるやん」
「何か?」
鍋を掻き混ぜるレノはにっこりと笑いながら俺に言った。
「……なんでもないけどぉ」
俺はぶーたれつつ、お肉も切り終わる。
「終わったぞー」
「ありがとうございます」
ボウルにお肉を入れて俺はまな板と包丁、自分の手を洗う。お肉を切ったら、ちゃんと手を洗わないとな。バイバイ、菌だ!
しかしレノを見れば、なんだか嬉しそうで……。
「ん? どうしたんだよ」
「いえ、なんでもありませんよ」
……む、そう言われると気になる。一体なんだー?
ここで聞かなければいいのに、学習能力のない俺はついついレノに尋ねてしまった。それがレノの罠だと気がつかずに。
「なんだよ? 気になるじゃん。言えよぉ~」
俺がツンツンとレノの肩を突いて言えば、レノはさらりと答えた。
「こうしているとまるで新婚のようだな、と思いまして」
……レンコン? あー、レンコンは美味しいよねぇ。煮物もはさみ揚げも俺、大好きだなぁー。アハハハハッ。……って、違う! 新婚ッ!?
「ちょ、や、何言ってんだ!」
俺が慌てて否定すると、レノは火を止めて俺の手を取った。
「ピャッ!」
「もし二人っきりで暮らすようになっても、私が坊ちゃんの為に毎日料理を作ってあげますからね? でも時々はこんな風に手伝ってくれたら嬉しいです」
「なななーにを言ってるのかね! ちみは!」
ついついオジサンっぽく言ってしまったが、動揺しているので仕方がない。てか、今のプロポーズなのでは!?
俺がぶわわわわっと顔を赤らめるとレノは俺の手を掴んだまま「坊ちゃん」と甘く囁いて顔を近づけてきた。
……こ、コレはキスされる展開では!? ギャーッ!
俺は思わずぎゅっと目を閉じた。けれど……。
「ただいまぁ~」
少々のんきな声が聞こえてきた。そして帰ってきた人物はすぐにキッチンへとやってくる。
「あ、やっぱり! キトリー坊ちゃん、来てくださってたんですね!」
そう言ったのはお出かけしていたレノの母親・サラおばちゃんだった。
「サラおばちゃん!」
……助かったぁー!
俺はレノが掴んでいる手をぺいっと離して、サラおばちゃんの元に駆け寄った。
「おばちゃん、久しぶり。相変わらず元気そうだね!」
俺はにっこり笑ってサラおばちゃんに話しかける。後ろに感じるレノの視線の圧がすごいが今は放置だ。
「キトリー坊ちゃんもお元気そうで何よりです。今日は来ていただいて、ありがとうございます」
ニコニコと笑って言われ、俺はなんだか照れ臭くなる。
「そんなに喜んでもらえると思ってなかったから嬉しいなぁ~。お邪魔かな? ってちょっと心配してたから。あ、それよりお出かけは良かったの?」
「はい、用事は終わりましたので。あと、キトリー坊ちゃんが来てくれるって聞いて、オススメのドーナツを買ってきました。最近、町に新しくできたドーナツ屋さんなんですけど、とってもおいしいんですよ!」
「え、ありがとー!」
「早速食べましょう? ちょうどおやつの時間ですし。レノ、お茶の用意をお願い」
サラおばちゃんの頼みにレノは「はぁ、わかった」とため息交じりに答えた。そんな息子の異変を感じ取ったのか「キトリー坊ちゃん、レノと何かありました?」と俺にこそっと聞いてきた。
しかし、お宅の息子さんに迫られてました。チューされそうになってました! とは答えられるわけもなく。
「いやー、どうしたんだろぉー? あははっ」
俺は明後日の方向を見ながら返事をするしかなかったのだった。
午前中に来客の相手をして、俺は久しぶりにレノの家に来ていた。と言うか、昼過ぎにレノが迎えに来て、俺は拉致られていた。
「夕方、迎えに来るんじゃなかったのかよー?」
「また目を離した隙に一人でおでかけされたら困りますから」
レノはにキッチンで誕生日会用の料理を作りながらにこりと笑って俺に言った。
……俺の信用度、うっすいなぁ~。
そう思いつつも、昨日お家を抜け出した俺に反論することはできず。
「れ、レノ、何か手伝おうか? あ、そのニンジン。皮をむくんだろ? 俺がやるよ」
俺は誤魔化すようにレノに尋ねた。
「いいえ、じっと座っててください。怪我をされてはいけません」
小さな子供のように言われ、俺はむすっとする。
「怪我なんかしないから、貸してみろって!」
俺はキッチンから人参とピーラーを手にシャシャシャーッと皮をあっという間に剥いていく。フフン、どうだ。俺の華麗なる手さばきは! ドヤッ!
「この後はどうするんだ? どの大きさに切ったらいい?」
「……一口大に切っていただけますか?」
「わかった」
俺は返事をしてささっと切っていく。そして俺の手元を見ているレノが隣で驚いている様子が見なくてもわかる。
……んはっはっは~! 前世時代、若い頃にレストランの厨房バイトもしてたし、一人暮らしも長かったから、このくらいお茶の子さいさいなのだ!
俺はニンジンを一本切り終わり、ボウルに入れてレノに渡した。
「どうだ!」
「お見事です……。けれど、一体どこでやり方を? 包丁を握った事もないでしょう」
レノはボウルを受け取ったが、怪訝な顔で俺を見た。そしてレノに言われて俺は、あっ、と思う。
俺は一応公爵家のボンボンだ、なので料理を作るなんて事はない。家には専属の料理人がいるからな。つまり俺が料理をする機会など皆無だ。なのに俺は手間取ることなく華麗にピーラーを操り、包丁でニンジンを切って見せた。レノが不思議に思うのも当然である。
「あー、それはぁ~。厨房でよくヒューゴを見てたからさぁ~」
俺は明後日の方向を見ながら誤魔化した。
「ヒューゴさんの手元を見て、覚えたと?」
「あー、うん。そうそう。俺って天才だから!」
俺はにこにこ笑って言ったが、レノは信じていないようだった。だが、それ以上の追及はしなかった。
「そうですか。では、こちらも同じようにお願いします」
レノはそう言って俺にじゃがいもを渡してきた。
「あ、はい」
俺は素直に返事をして、じゃがいもの皮を剥いて一口大に切っていく。
……はぁー、危なかった。前世の癖には気を付けないとな。
俺はホッとしつつも、じゃがいもの皮を剥き、切っていく。しかし、その次は玉ねぎを渡され、その次はブロッコリー、トマト、ゆで卵。お肉……etc.
「いや、めちゃくちゃ切らせるやん」
「何か?」
鍋を掻き混ぜるレノはにっこりと笑いながら俺に言った。
「……なんでもないけどぉ」
俺はぶーたれつつ、お肉も切り終わる。
「終わったぞー」
「ありがとうございます」
ボウルにお肉を入れて俺はまな板と包丁、自分の手を洗う。お肉を切ったら、ちゃんと手を洗わないとな。バイバイ、菌だ!
しかしレノを見れば、なんだか嬉しそうで……。
「ん? どうしたんだよ」
「いえ、なんでもありませんよ」
……む、そう言われると気になる。一体なんだー?
ここで聞かなければいいのに、学習能力のない俺はついついレノに尋ねてしまった。それがレノの罠だと気がつかずに。
「なんだよ? 気になるじゃん。言えよぉ~」
俺がツンツンとレノの肩を突いて言えば、レノはさらりと答えた。
「こうしているとまるで新婚のようだな、と思いまして」
……レンコン? あー、レンコンは美味しいよねぇ。煮物もはさみ揚げも俺、大好きだなぁー。アハハハハッ。……って、違う! 新婚ッ!?
「ちょ、や、何言ってんだ!」
俺が慌てて否定すると、レノは火を止めて俺の手を取った。
「ピャッ!」
「もし二人っきりで暮らすようになっても、私が坊ちゃんの為に毎日料理を作ってあげますからね? でも時々はこんな風に手伝ってくれたら嬉しいです」
「なななーにを言ってるのかね! ちみは!」
ついついオジサンっぽく言ってしまったが、動揺しているので仕方がない。てか、今のプロポーズなのでは!?
俺がぶわわわわっと顔を赤らめるとレノは俺の手を掴んだまま「坊ちゃん」と甘く囁いて顔を近づけてきた。
……こ、コレはキスされる展開では!? ギャーッ!
俺は思わずぎゅっと目を閉じた。けれど……。
「ただいまぁ~」
少々のんきな声が聞こえてきた。そして帰ってきた人物はすぐにキッチンへとやってくる。
「あ、やっぱり! キトリー坊ちゃん、来てくださってたんですね!」
そう言ったのはお出かけしていたレノの母親・サラおばちゃんだった。
「サラおばちゃん!」
……助かったぁー!
俺はレノが掴んでいる手をぺいっと離して、サラおばちゃんの元に駆け寄った。
「おばちゃん、久しぶり。相変わらず元気そうだね!」
俺はにっこり笑ってサラおばちゃんに話しかける。後ろに感じるレノの視線の圧がすごいが今は放置だ。
「キトリー坊ちゃんもお元気そうで何よりです。今日は来ていただいて、ありがとうございます」
ニコニコと笑って言われ、俺はなんだか照れ臭くなる。
「そんなに喜んでもらえると思ってなかったから嬉しいなぁ~。お邪魔かな? ってちょっと心配してたから。あ、それよりお出かけは良かったの?」
「はい、用事は終わりましたので。あと、キトリー坊ちゃんが来てくれるって聞いて、オススメのドーナツを買ってきました。最近、町に新しくできたドーナツ屋さんなんですけど、とってもおいしいんですよ!」
「え、ありがとー!」
「早速食べましょう? ちょうどおやつの時間ですし。レノ、お茶の用意をお願い」
サラおばちゃんの頼みにレノは「はぁ、わかった」とため息交じりに答えた。そんな息子の異変を感じ取ったのか「キトリー坊ちゃん、レノと何かありました?」と俺にこそっと聞いてきた。
しかし、お宅の息子さんに迫られてました。チューされそうになってました! とは答えられるわけもなく。
「いやー、どうしたんだろぉー? あははっ」
俺は明後日の方向を見ながら返事をするしかなかったのだった。
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