《BL》転生令息は悪役よりも壁志望、もしくは天井でも可!

神谷レイン

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第四章「ディープな関係!?」

22 レノきゅん?

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 ―――その日の夜。
 風呂上がりの俺はレノに詰め寄られていた。

「レノきゅん? これはどういう状況、カナ?」

 俺はベッドに押し倒され、レノに覆いかぶさられている。しかもすごく不機嫌そうな顔で。

「坊ちゃんには、ちょっとお仕置きが必要かと思いまして」

 ……お仕置き!? なんで……まさかっ、アシュカとチューしたのバレた!?

 なので俺はつい目を逸らす。だが往生際の悪い俺は自分からは白状しない。

「お、お仕置きって? な、なんでかなー?」
「私という恋人がいながらアシュカ様と仲良くし過ぎじゃありませんか?」

 ……あ、そっち?

「なんでちょっとホッとしてるんですか?」

 レノは俺の表情を読んで言い、俺はすぐさま首を横にブンブンと振る。

「ホッとなんかしてない。全然してません!」
「そうですか?」
「そうですッ!」

 俺が答えるとレノは疑いの目をちらりと向けるが、納得したようでそれ以上は聞いてこなかった。

「まあ、いいでしょう。で、どういうつもりです?」

 レノは俺の見下げたまま尋ねる。

「へ? どういうつもりって?」
「アシュカ様とこれ見よがしに一緒にいて、アシュカ様が好きなんですか?」
「ハァー!? んなわけねーだろっ、俺はお前で手一杯だ!」
「本当ですか?」
「本当です! 大体、なんでそんな勘違いを」
「じゃあ、どうしてここ数日アシュカ様と一緒にいるんです? 今日の昼もご一緒でしたよね?」

 レノの目がじっと俺を見て言う。その目は鋭く、ちょっと怖い。

「そ、そんなの当たり前だろ? アシュカは客人なんだぞ? 放っておけるか」
「本当にそれだけですか? 嘘じゃありません?」

 レノの赤い瞳がキラリと光る。その目はまるで俺の心を見通しているみたいで。

「うっ、嘘なんかじゃっ」

 俺は馬鹿正直に目を明後日の方向に向けてしまった。

「なるほど。嘘、という訳ですね。では、本当の事を言いたくなるようにしてあげましょう」
「な、なにをッ!」

 ……まさか俺の純潔をッ!?(取っておいたわけでもないけど)

 俺の胸はドキドキッと高鳴ったが、レノはむぎゅっと俺の脇腹を両手で掴んだ。

「へ?」
「降参するなら早い方がいいですよ?」

 レノはそう言うと俺の脇腹をこちょこちょとくすぐり始めた。そして俺は……脇腹がめちゃくちゃ弱い。

「ギャハハハハッ! ちょっ、ヒャハハハッ! レノ、やっハハハッ!!」
「どうです? 言う気になりました?」 
「言うッ! 言うからぁハハハハハッ!!」
「本当に?」
「ほ、ほんとアハッアハッ!!」

 俺は涙目になりながら速攻降参する。そうすればレノはパッと手を離した。

「ハァーッハァーッ、なんて、ひでぇ事、しやがるッ」

 俺は息を整え、脇腹をガードしながらレノを睨む。

「嘘を吐く坊ちゃんがいけないんですよ? それとも、もう一度くすぐって欲しいですか?」

 にぎにぎと両手を動かすレノに俺は「ゴメンナサイ」と素直に謝る。そうすればレノは手を下ろした。

「さ、答えを聞きましょうか。どうして、アシュカ様と一緒に?」
「むーっ。わかったよ、話すからちょっとどいて」

 俺が答えるとレノは俺の上から退いた。そして俺はベッド下に隠しているみかん箱サイズの宝箱を取り出して、そこからあるモノを手に取った。

「俺がアシュカと一緒にいた理由は、これだよ」

 俺は手を差し出し、手のひらに乗せているモノを見せた。そこには鮮やかな赤とうっすら青みがかった白色の組紐があった。

「来月レノの誕生日だろ? 神聖国では大事な人の誕生日に組紐を送る風習があるって聞いてたから、ちょうどいいと思って教えてもらったんだ。来月、お前にやろうと思って。……だから内緒にしてたの」

 ……来月、驚かせてやろうと思ったのにぃ。バレちゃうなんて。

 俺はフゥっと息を吐く。ちなみに組紐の赤い部分は子供達に取ってきてもらった赤い花・ササランで染めたのだ。なんでも魔除けに効くとかで。
 でも、白状した俺にレノは思わぬことを呟いた。

「そうでしたか……。まあ、知ってましたけど」

 とんでも発言に俺は「ハァッ!?」と思わず声を上げる。

「知ってたって、まさかこれ作ってるの知ってたのか!?」

 俺が尋ねればレノは「はい」とあっさり答えた。

「あんな庭先で作ってたら嫌でも見えますよ。それに執事長に糸を頼んだでしょう、こっちにまで話が来てましたよ」

 ……そういやお爺に組紐の為の糸を頼んだけど、口止めしてなかった!!

「アナタは詰めが甘いんですよ」
「じゃあ、なんで白状しろって!」

 俺が尋ねるとレノはにっこりと笑った。

「私の為に作って下さっているのは知っていましたが、あんまりにアシュカ様と一緒にいるものだからムカついて」
「ハァ!?」

 ……なんじゃそら!

 俺はイラっとするが、そんな俺の手をレノは握った。

「坊ちゃんがアシュカ様に気がないことはわかっています。でも不安になるものなんですよ、私は坊ちゃんが好きなんですから」

 レノはそう言うと俺の指にちゅっとキスを落とした。その唇の感触に俺は恥ずかしさからブワッと総毛立つ。ムズムズと心がこそばゆい。

「でも、少し意地悪が過ぎましたね。すみません」

 こうも先に謝られては怒れない。それにレノの気持ちを思えば、確かにアシュカと居すぎだったかもしれない。(ここ数話分、レノの出番も喋りも全くなかったし)

「内緒にする為とはいえ……俺も悪かったよ」
「わかっていただけたなら、いいんです。それに大事な人の誕生日、と言ってもらえましたし」
「なっ、それはその!」

 俺はいい訳をしようとするが、レノがニコニコと笑うのでぐぅっと口を閉じる。きっと何を言ってもレノは聞かないだろうから。

「とりあえず、もういいだろ? これは来月までお預けだ!」
「楽しみにしておきます」

 俺はいそいそと宝箱に組紐を仕舞う。でもそんな俺にレノは言った。




「さて。では、もう一つの件を尋ねましょうかね?」
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