《BL》転生令息は悪役よりも壁志望、もしくは天井でも可!

神谷レイン

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第五章「告白は二人っきりで!」

9 むちゅっ

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 ―――それから部屋に戻った俺は手紙を書き、ノアさんに別邸へと送ってもらうように頼んだ。そして部屋に運ばれた夕食を頂き、俺は部屋に備え付けの風呂に入った。
 おかげでさっぱり、向こうが用意してくれた寝巻もちょうどのサイズで、あとは寝るだけだ。

「はぁ~。なんか今頃どっしり疲れてきたぁ~」

 俺はシングルのベッドに寝っ転がり、ぼやく。もう一歩も動けない。

「キトリー様、髪を乾かさないと」
「んー、もうそんな元気ないー」

 ……明日にはエンキ様に会わないといけないし、継承問題も色々と調べないといけないし。明日も忙しくなりそうだな~。はぁ。俺ののんびりライフはいずこへ。

 俺はベッドに寝転がりながら思う。けれどそんな俺にレノは優しく声をかけた。

「起きて下さい。髪の毛、拭いてあげますから」

 そう言われたら体を起こさない訳にはいかない。俺はむくりと起きて、ベッド脇に座る。そうすればレノがタオルで俺の頭をわしわしっと拭いてくれる。

 ……あー、人に頭拭いてもらうの楽ち~ん。しかもちょっとマッサージされてるみたいで気持ちぃ~。

 俺は程よい力加減で頭を拭いてくれるレノの大きな手についついうっとりする。だが目を瞑って任せていた俺は目の前にいる奴がどんな奴か、すっかり忘れていた。

 ――――――むちゅっ。

「ん?」

 唇に柔らかい感触があって俺は目を開ける。
 そうすれば目の前にはレノの赤い瞳が俺を見つめていた。それで俺はレノにチュウされている事に気がつく。

「ワギャッ!」
「あんまり無防備だとこのまま食べちゃいますよ、坊ちゃん」

 俺が慌てて離れれば、レノは色っぽい眼差しで俺を見つめた。おかげで眠りかけていた脳みそが一気に覚醒する。

「お、おまっ!!」

 ……人のプリチーな唇に、なにさらしとんじゃい!

 俺はレノからのけ反って離れる。

「あんまり無防備なので、キス待ちかと」
「んなわきゃねーだろ!」

 俺は唇を抑え、頬を熱くする。でもそんな俺をレノは楽し気に見つめた。なので、なんだか胸の奥がムズムズ、キュンキュンしてしまう。

 ……なんか、この前から俺の心臓、変だ。

「それに坊ちゃんにこれからはキスしますと言いましたでしょ?」
「だ、だからってなぁ!」

 俺はじろっとレノを睨むが、全然俺の睨みは効かない。俺ばっかりが恥ずかしい。だからその恥ずかしさを隠すように俺はくるっと布団に包まった。The芋虫。

「もー、俺は寝るから! お前もさっさと風呂に入ってこい!」
「ふふっ、そうですね。私もお風呂に入ってきます。私がいない間に部屋を出て行ったりしないでくださいよ?」
「わかってるから、はよ行け!」
「はいはい」

 レノは少し呆れたような、ちょっと楽しそうな声で返事をして、洗面所があるドアへと向かって行った。そしてパタンっとドアが閉まり、俺はのそっと体を起こす。未だ頬が熱い。

 ……もー、あいつってばなんでいつも急なわけ!? キスするなら俺に許可とれよな! ……いや、とったとしてキスさせないけど!!

 俺は頬に手を当てて冷ましながら思う。でも、不思議とレノとのキスは嫌じゃないから困ったものだ。

 ……くそぅ。あー、もう早く寝て、さっさと忘れよう!!

 俺は再び毛布に包まって、芋虫になった。
 そして、すぐに寝付けないかと思いきや、レノがお風呂から出て来た頃には、俺はすっかり夢の中へ旅立っていたのだった。







「すぴーっすぴーっ」
「……この人には危機感と言うものがないんですかね」

 レノは風呂上がり、すやすやと寝ているキトリーを見て呆れたように呟いた。そして隣にある自分のベッドに腰掛ける。

 ……本当なら一つのベッドで一緒に眠りたいですが、致し方がないですね。まあ、一緒のベッドに寝たら我慢するのも大変ですから、離れている方が私にとってもいいかもしれませんが。

 レノは隣のベッドで気持ちよさそうに眠っているキトリーの寝顔を見ながら苦笑した。
 けれど寝顔を眺めている内に、キトリーとランネットの関係に疑問を持つ。

 ……二人きりで話した後、二人の距離感ががらりと変わっていた。一体、何の話をしたのか。……ランネット様もこの継承問題を任せるほど坊ちゃんをなぜか信頼しているようでしたし。二人は初対面のはずですが……私の知らないところで繋がりでも?

 不思議に思いつつも、まさか二人が前世での姉弟という答えに、さすがのレノも辿り着けなかったのだった。
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