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第五章「告白は二人っきりで!」
30 ある秘密
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―――昼食を食べた後、翌日全員でバルト帝国へと帰ることが決まり、アントニオとロディオンも大神殿で一泊することになった。
だが、帰る前にロディオンは折角来たという事で姉ちゃんに大神殿を案内してもらい、外交官やらとも会談するらしい。実は俺と会う前も、ちょっと話をしてたんだとか。
そしてアントニオは久しぶりの親子の再会という事で、エンキ様と二人で話すみたいだ。まあ長年会ってなかったのだから、積もる話もあるだろう。
で、俺はと言えば。エンキ様に言われて、レノととある部屋へと向かっていた。
『キトリー君、皇族の絵が飾られている絵画の間へ行ってごらん。きっといいものが見れるよ』
……絵画の間ね。一体、何が見れるって言うんだろ?
俺は疑問に思いながらも絵画の間へと辿り着く。そして扉を開ければ、その部屋の壁にはあらゆる人物像の絵が飾られていた。まるでさながら美術館のよう。
「ふへぇ~。すごいなぁ!」
「壮観ですね」
レノも部屋を見回して言った。そして俺達は中を歩く。
「でもエンキ様、いいものが見れるって言ってたけどなんだろ?」
「あの……キトリー様、さっきの話ですが」
「さっきの話?」
レノに言われて俺は歩きながら問いかける。さっきの話ってなんだ?
「本物の皇女様の話です」
「あー、それ? え、今話すの?」
「今がちょうどいいかと思いまして」
……ちょうどいいってなんだ??
俺はそう思いつつもレノの話に耳を傾ける。
「実は、母は昔この神聖国に住んでいたらしく。その時に皇女様のお顔を見た事があるそうです……。そしてある時、キトリー様達と別邸へと行った時に出会ったと言っていました」
「出会った? 何に?」
俺は聞きながらも、すぐにピンっとくる。
「えッ! まさか皇女様に!?」
俺が尋ねればレノは頷いた。
「その通りです。皇女様は別邸近くのニーレ村に恋人と住んでいたんですよ」
……ニーレ村に。でも母様が手引きしたなら確かにありうるかもぉ。
俺はフフッと笑う母様を思い浮かべる。
「そして、彼女は恋人との間に一人の子供を設けた」
レノはそう言うと一枚の絵の前に立ち止まった。そこには茶髪に琥珀色の瞳を持つ少女が描かれている。その顔は誰と言わなくてもすぐに分かった。
「こ、これってもしかして皇女様? でも、この絵……そのまんまノエルじゃん!!」
そう、飾られた絵の中にいたのは白い服を着たノエル、いや若き日の皇女様だった。
……え、てことはあの親父さんが皇女様と一緒に駆け落ちした恋人で、ノエルが皇女様の子供!? つまり、ノエルは今回の事がなかったら正当な神聖国の後継だったってこと!? まあノエルは男だから、それでもひと悶着あっただろうけど。
「な、なんつー、灯台下暗し」
「見つかったら、確実にノエルはこの神聖国に連れ戻されますからね」
「まあ、そりゃそうだけど……あ、もしかしてアシュカが別邸に来ていた時、ノエルが姿を見せなかったのは」
「ノエルは皇女様であったノエラ様とそっくりですから、万が一の事を考えて身を隠していたのでしょう」
……なぁーるぅー。ってことはザックもノエルが皇女様の子供だって知ってたってことなんだろうか? まぁ、話してるだろうなぁ。こんな重要な事。
「しかし、ノエルって本当にお母さん似なんだなぁ~。男の子だけど」
……この絵画に描かれてる服と同じの着たら瓜二つなんじゃないか? ノエル、可愛い顔してるもんな~。
俺は呑気に思いながら絵を見つめる。そうすれば隣から盛大なため息が聞こえた。
「あん? どったの?」
「いえ……なんでもないです。気がつかないのなら、そのままで」
レノは意味深な台詞を吐き、俺は首を傾げた。
……何言ってんだ。気がつかないって、どーゆこと??
俺はレノの言っている意味が分からなかったが、この事も後に俺は知ることになる。
◇◇
―――夕暮れ頃、ニーレ村のノエルの家では。
「キャッ!」
「わ、ごめん!」
ザックは慌てて目を閉じ、顔を背けた。その間にノエルは急いで服を着る。
ノエルは服を着替えていた途中だったのだ。
「も、もういいか?」
しばらくしてザックが尋ねればノエルは「いいよ」と答える。でもザックに詰め寄ってノエルは尋ねた。
「見た?」
「あ、いや? 見てない見てない」
「ホント?」
「見てないから安心しろ」
ザックはそう答えつつ、実はバッチリとノエルの体を見ていた。
……子供だと思ってたのに、いつの間にか成長したな。特に胸が。
ザックはついついシャツを着ただけのノエルのふくらんだ胸元を見つめてしまう。そうすればノエルはじっとザックを睨んで「えっち」と呟いた。
「あ、いや、見てないって!」
ザックは慌てて答えるがノエルは信じてなさそうな顔を見せた。なのでザックは別の話題を振る。
「そ、それよりノエル。親父さんは?」
「父さんなら別邸に行ったよ。キトリー様がまだ戻られないのか聞いてくるって」
ノエルの答えにザックは「そうか」と答えた。
「キトリー様、大丈夫かな」
「心配しなくても大丈夫だろう。レノも一緒だしな」
「ザック兄……もしかして僕の事が神聖国にバレちゃったのかな?」
ノエルは不安そうな顔を見せた。しかしそんなノエルの頭をザックは優しくぽんぽんっと撫でた。
「キトリー様が連れていかれたのは誘拐犯だって間違われたからだって言ったろ? 心配するなって。きっとノエルの事じゃない」
「でも母さんの事がわかって、僕の事もわかれば……僕は神聖国の皇王にされちゃう。僕が女だから」
「ノエル、大丈夫だ。もしそうなってもなんとかする。連れて行かせはしないさ」
ザックはノエルをぎゅっと抱き締め、そうすればノエルは「うん」と少し安心した表情を見せた。
……でも、キトリー様には事情を話してた方がいいかもしれないな。ノエルが女の子で、神聖国の皇女の娘だと。これからノエルはもっと女性らしくなる。そうすれば隠しきれなくなってくるだろうし。……それに、きっとキトリー様なら悪いようにはしないだろう。むしろ、いざとなったら力になってくれるはずだ。
ザックは宥めるようにノエルの背を撫でながら思った。
しかし、広場での事件と神の剣によって後継問題が解決したことを、ザックとノエルはキトリー達が帰ってくるより前に知ることになるのだった――――。
だが、帰る前にロディオンは折角来たという事で姉ちゃんに大神殿を案内してもらい、外交官やらとも会談するらしい。実は俺と会う前も、ちょっと話をしてたんだとか。
そしてアントニオは久しぶりの親子の再会という事で、エンキ様と二人で話すみたいだ。まあ長年会ってなかったのだから、積もる話もあるだろう。
で、俺はと言えば。エンキ様に言われて、レノととある部屋へと向かっていた。
『キトリー君、皇族の絵が飾られている絵画の間へ行ってごらん。きっといいものが見れるよ』
……絵画の間ね。一体、何が見れるって言うんだろ?
俺は疑問に思いながらも絵画の間へと辿り着く。そして扉を開ければ、その部屋の壁にはあらゆる人物像の絵が飾られていた。まるでさながら美術館のよう。
「ふへぇ~。すごいなぁ!」
「壮観ですね」
レノも部屋を見回して言った。そして俺達は中を歩く。
「でもエンキ様、いいものが見れるって言ってたけどなんだろ?」
「あの……キトリー様、さっきの話ですが」
「さっきの話?」
レノに言われて俺は歩きながら問いかける。さっきの話ってなんだ?
「本物の皇女様の話です」
「あー、それ? え、今話すの?」
「今がちょうどいいかと思いまして」
……ちょうどいいってなんだ??
俺はそう思いつつもレノの話に耳を傾ける。
「実は、母は昔この神聖国に住んでいたらしく。その時に皇女様のお顔を見た事があるそうです……。そしてある時、キトリー様達と別邸へと行った時に出会ったと言っていました」
「出会った? 何に?」
俺は聞きながらも、すぐにピンっとくる。
「えッ! まさか皇女様に!?」
俺が尋ねればレノは頷いた。
「その通りです。皇女様は別邸近くのニーレ村に恋人と住んでいたんですよ」
……ニーレ村に。でも母様が手引きしたなら確かにありうるかもぉ。
俺はフフッと笑う母様を思い浮かべる。
「そして、彼女は恋人との間に一人の子供を設けた」
レノはそう言うと一枚の絵の前に立ち止まった。そこには茶髪に琥珀色の瞳を持つ少女が描かれている。その顔は誰と言わなくてもすぐに分かった。
「こ、これってもしかして皇女様? でも、この絵……そのまんまノエルじゃん!!」
そう、飾られた絵の中にいたのは白い服を着たノエル、いや若き日の皇女様だった。
……え、てことはあの親父さんが皇女様と一緒に駆け落ちした恋人で、ノエルが皇女様の子供!? つまり、ノエルは今回の事がなかったら正当な神聖国の後継だったってこと!? まあノエルは男だから、それでもひと悶着あっただろうけど。
「な、なんつー、灯台下暗し」
「見つかったら、確実にノエルはこの神聖国に連れ戻されますからね」
「まあ、そりゃそうだけど……あ、もしかしてアシュカが別邸に来ていた時、ノエルが姿を見せなかったのは」
「ノエルは皇女様であったノエラ様とそっくりですから、万が一の事を考えて身を隠していたのでしょう」
……なぁーるぅー。ってことはザックもノエルが皇女様の子供だって知ってたってことなんだろうか? まぁ、話してるだろうなぁ。こんな重要な事。
「しかし、ノエルって本当にお母さん似なんだなぁ~。男の子だけど」
……この絵画に描かれてる服と同じの着たら瓜二つなんじゃないか? ノエル、可愛い顔してるもんな~。
俺は呑気に思いながら絵を見つめる。そうすれば隣から盛大なため息が聞こえた。
「あん? どったの?」
「いえ……なんでもないです。気がつかないのなら、そのままで」
レノは意味深な台詞を吐き、俺は首を傾げた。
……何言ってんだ。気がつかないって、どーゆこと??
俺はレノの言っている意味が分からなかったが、この事も後に俺は知ることになる。
◇◇
―――夕暮れ頃、ニーレ村のノエルの家では。
「キャッ!」
「わ、ごめん!」
ザックは慌てて目を閉じ、顔を背けた。その間にノエルは急いで服を着る。
ノエルは服を着替えていた途中だったのだ。
「も、もういいか?」
しばらくしてザックが尋ねればノエルは「いいよ」と答える。でもザックに詰め寄ってノエルは尋ねた。
「見た?」
「あ、いや? 見てない見てない」
「ホント?」
「見てないから安心しろ」
ザックはそう答えつつ、実はバッチリとノエルの体を見ていた。
……子供だと思ってたのに、いつの間にか成長したな。特に胸が。
ザックはついついシャツを着ただけのノエルのふくらんだ胸元を見つめてしまう。そうすればノエルはじっとザックを睨んで「えっち」と呟いた。
「あ、いや、見てないって!」
ザックは慌てて答えるがノエルは信じてなさそうな顔を見せた。なのでザックは別の話題を振る。
「そ、それよりノエル。親父さんは?」
「父さんなら別邸に行ったよ。キトリー様がまだ戻られないのか聞いてくるって」
ノエルの答えにザックは「そうか」と答えた。
「キトリー様、大丈夫かな」
「心配しなくても大丈夫だろう。レノも一緒だしな」
「ザック兄……もしかして僕の事が神聖国にバレちゃったのかな?」
ノエルは不安そうな顔を見せた。しかしそんなノエルの頭をザックは優しくぽんぽんっと撫でた。
「キトリー様が連れていかれたのは誘拐犯だって間違われたからだって言ったろ? 心配するなって。きっとノエルの事じゃない」
「でも母さんの事がわかって、僕の事もわかれば……僕は神聖国の皇王にされちゃう。僕が女だから」
「ノエル、大丈夫だ。もしそうなってもなんとかする。連れて行かせはしないさ」
ザックはノエルをぎゅっと抱き締め、そうすればノエルは「うん」と少し安心した表情を見せた。
……でも、キトリー様には事情を話してた方がいいかもしれないな。ノエルが女の子で、神聖国の皇女の娘だと。これからノエルはもっと女性らしくなる。そうすれば隠しきれなくなってくるだろうし。……それに、きっとキトリー様なら悪いようにはしないだろう。むしろ、いざとなったら力になってくれるはずだ。
ザックは宥めるようにノエルの背を撫でながら思った。
しかし、広場での事件と神の剣によって後継問題が解決したことを、ザックとノエルはキトリー達が帰ってくるより前に知ることになるのだった――――。
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