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最終章「プロポーズは指輪と共に!」
19 天界にて
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―――暖かな昼頃。
神聖国の庭園に立つ、大きな木に白い鳥が羽をはためかせながら留まった。そして白い鳥は何かを告げるようにピーピーと鳴く。
そうすれば、近くの枝に座っていた人物は白い鳥の報告を聞き、声を上げた。
「おや、そんな事が?」
その人物が尋ねれば、白い鳥はもう一度ピーピーッと告げる。
「ふむ、それは僕も行った方がいいかな」
その人物は顎に手を当てて言うと座っていた枝の上に立った。そして木の下に視線を向ける。そこには四阿があり、エンキとナギ、ランネットとアシュカが楽しそうに話していた。
「ま、しばらくこっちは問題ないでしょう。じゃ、一緒に行こうか」
そう言うと白い鳥は先に小枝から飛び立ち、その人物も赤い髪を揺らして、ふわりと空を飛んだ。
そして、その姿を誰も気がつくことはないはずだった。
「……あら?」
「ランネット、どうしたの?」
空を見上げたランネットが声を上げると、不思議そうな顔をしてアシュカが尋ねた。
「今、子供が空を飛んで行ったような気がしたの」
ランネットが正直に告げるとエンキが笑って答えた。
「おや、それはもしかしたらクト様が近くにいたのかもしれないな」
「クト様が?」
アシュカが尋ねると、今度はナギが答えた。
「神様は意外に身近にいるものですよ。特にクト様はよく見かけられる神様ですし」
「じゃあ、クト様だったのかしら?」
ランネットは呟きならも、空を見上げた。しかし、疑問が残る。
……クト様だったとして、一体どこに飛んで行ったのかしら? どこかに飛んでいく後姿を見たような気がしたけど。うーん、なんだかりっちゃんが関係しているような予感。
ランネットの心の中にキトリーの顔が過る。
そして、その勘は見事に当たっていたのだった。
◇◇◇◇
――秋とは思えないほど穏やかな気候の中。
さわさわっと木々が揺れる庭園の端で、俺はずずずっと紅茶を飲んでいた。そして目の前にはマッチョな神様がいる。
……まさか……まさか……ここが天界なんてっ。
俺は紅茶を飲みながら、辺りを見回す。でも周りはあんまり天界っぽくない。
どっちかって言うと、俺が住んでいる別邸みたいな感じだ。
……神様なのに、住処は人間っぽいなぁ。神殿みたいなとこに住んでるのかと思ってたけど。
「あら、神殿なんて窮屈じゃない。こっちの方がいいわ」
「ちょ、心の声に返事をしないでくださいってば」
「あら、ごめんなさい。ついね」
リャーナ様はくすっと笑って言った。その姿からは、話に聞く穏やかな神様そのものだ。だから俺はますます不思議に思ってしまう。
どうして、リャーナ様が俺を天界に連れてきたのか? それにさっきの話の続きも気になる。
「リャーナ様、それより俺を転生させたのは誰なんです? んで、なんで俺はここに連れてこられたんですか?」
俺はティーカップを置き、声に出して尋ねた。
そうすれば、リャーナ様も同じようにティーカップを置く。
「その話の前に、少し昔話をしないといけないわね」
「昔話?」
「ええ、まだ貴方が生まれる前の事よ」
……俺が生まれる前? 一体、何があったんだ??
俺はちょっと聞くのが怖いような気もしつつ、リャーナ様の話に耳を傾けた。
「私達、神というのは強大な力を持っているわ。まさに貴方の魂を違う異次元から私達の世界に呼び寄せるほどの。だからこそ、私達は神は現世の事には手を出せない。出さない決まりがあるの」
……確か、クト様も同じような事を言っていたような。そのせいでエンキ様を取り巻く問題に何もできなかったって。
俺はクト様との会話を思い出す。
「そう、クトも言った通りよ。私達、神が直接手を出せば、世界の均衡が崩れてしまう。だから、何があっても見ているだけしかできないの。その代わりに聖人を選び、加護を与えて世界の平和を保つようにしているんだけれど……数十年前にバレンシアがその決まりを破って、直接一人の女性に会ったの」
「バレンシア様が?」
俺は神殿にあったバレンシア様の彫刻を思い出す。確か、すんごい美女だった。
……でも直接会った女性って、誰に会ったんだろ?
「そのせいで世界の均衡が崩れる未来が訪れるはずだった。でも、ある方法を使って、その未来は阻止されたの。……けれど、バレンシアはまたその決まりを破っている」
「バレンシア様が決まりを? でもある方法を使って悪い未来を阻止したって、一体何をしたんです?」
俺が何気なく尋ねればリャーナ様は俺を指差した。
「あなたよ」
「……ハイ?」
「だからあなたなのよ。あなたをこの世界に呼んだこと、それが悪い未来を阻止したの」
「え、俺がッ!? 俺、何もしてませんけど!?」
俺は驚いて声を上げるがリャーナ様は真っすぐに俺を見た。
「あなたがいたから世界は守られた。これは紛れもない事実よ」
……えええーっ、だから俺ってば何もしてませんってばぁぁ。
俺はこれまでの人生を振り返るが、世界平和に一役買った覚えはない。だって俺がしていた事と言えば、普通に生活をして、時々悪人を懲らしめ、新刊BLの本を集め、周りのカップルをくっつけては観察をしていただけで、ぐふふっ。
……ハッ、この事も読まれてる!?
俺は考えるのをストップしてリャーナ様を見れば、少しドン引いていた。
「いや、まあ、うん。あなたがいたから世界は守られたと思うわ……たぶん」
……いや、さっきの言い方と違う! たぶんって言った!!
「あー、いえ、たぶんはナシで。ちょっと驚いただけよ。こほんっ」
リャーナ様は咳ばらいをして、また俺を見た。
「でも、バレンシアはまた決まりを破ったの。ある人物に会う為に、わざわざノアという女性に姿を変えてね」
「え、ノアさん!? それってまさか神聖国の?」
俺は知っていた名前が出てきて驚く。そして俺の問いにリャーナ様は頷いた。
……バレンシア様がノアさんに化けていた? いや、でも俺達が行った時の話じゃないかもしれないし。でも決まりを破り、ノアさんに化けてまでバレンシア様が会いたい人って一体誰なんだ? エンキ様、ではないような気がするし。姉ちゃんやアシュカ? ……いや、それも違うような。一体、誰に。
「貴方もよく知っている人よ」
「俺も知っている人?」
……一体、誰だろう? 思いつかない。
俺は顎に手を当てて、うーんと考える。でもリャーナ様は教えてはくれなかった。
「すぐにわかるわ。でも、バレンシアは約束を破った。罰則は必要だわ」
「えーっと、それがなんで俺がここに連れられてきた理由に?」
……俺が転生したのは世界平和の為だったとして(何にもしてないけど)。だから俺が連れられてきた理由がわかんないんだよな~。俺、全然関係ないじゃん。
「それが関係あるの。……どうやら来たようね」
リャーナ様は俺の後ろ見て言い、俺もその視線につられて後ろを振り向く。
するとそこにはレノにシアさん、お爺までいた!
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そうすれば、近くの枝に座っていた人物は白い鳥の報告を聞き、声を上げた。
「おや、そんな事が?」
その人物が尋ねれば、白い鳥はもう一度ピーピーッと告げる。
「ふむ、それは僕も行った方がいいかな」
その人物は顎に手を当てて言うと座っていた枝の上に立った。そして木の下に視線を向ける。そこには四阿があり、エンキとナギ、ランネットとアシュカが楽しそうに話していた。
「ま、しばらくこっちは問題ないでしょう。じゃ、一緒に行こうか」
そう言うと白い鳥は先に小枝から飛び立ち、その人物も赤い髪を揺らして、ふわりと空を飛んだ。
そして、その姿を誰も気がつくことはないはずだった。
「……あら?」
「ランネット、どうしたの?」
空を見上げたランネットが声を上げると、不思議そうな顔をしてアシュカが尋ねた。
「今、子供が空を飛んで行ったような気がしたの」
ランネットが正直に告げるとエンキが笑って答えた。
「おや、それはもしかしたらクト様が近くにいたのかもしれないな」
「クト様が?」
アシュカが尋ねると、今度はナギが答えた。
「神様は意外に身近にいるものですよ。特にクト様はよく見かけられる神様ですし」
「じゃあ、クト様だったのかしら?」
ランネットは呟きならも、空を見上げた。しかし、疑問が残る。
……クト様だったとして、一体どこに飛んで行ったのかしら? どこかに飛んでいく後姿を見たような気がしたけど。うーん、なんだかりっちゃんが関係しているような予感。
ランネットの心の中にキトリーの顔が過る。
そして、その勘は見事に当たっていたのだった。
◇◇◇◇
――秋とは思えないほど穏やかな気候の中。
さわさわっと木々が揺れる庭園の端で、俺はずずずっと紅茶を飲んでいた。そして目の前にはマッチョな神様がいる。
……まさか……まさか……ここが天界なんてっ。
俺は紅茶を飲みながら、辺りを見回す。でも周りはあんまり天界っぽくない。
どっちかって言うと、俺が住んでいる別邸みたいな感じだ。
……神様なのに、住処は人間っぽいなぁ。神殿みたいなとこに住んでるのかと思ってたけど。
「あら、神殿なんて窮屈じゃない。こっちの方がいいわ」
「ちょ、心の声に返事をしないでくださいってば」
「あら、ごめんなさい。ついね」
リャーナ様はくすっと笑って言った。その姿からは、話に聞く穏やかな神様そのものだ。だから俺はますます不思議に思ってしまう。
どうして、リャーナ様が俺を天界に連れてきたのか? それにさっきの話の続きも気になる。
「リャーナ様、それより俺を転生させたのは誰なんです? んで、なんで俺はここに連れてこられたんですか?」
俺はティーカップを置き、声に出して尋ねた。
そうすれば、リャーナ様も同じようにティーカップを置く。
「その話の前に、少し昔話をしないといけないわね」
「昔話?」
「ええ、まだ貴方が生まれる前の事よ」
……俺が生まれる前? 一体、何があったんだ??
俺はちょっと聞くのが怖いような気もしつつ、リャーナ様の話に耳を傾けた。
「私達、神というのは強大な力を持っているわ。まさに貴方の魂を違う異次元から私達の世界に呼び寄せるほどの。だからこそ、私達は神は現世の事には手を出せない。出さない決まりがあるの」
……確か、クト様も同じような事を言っていたような。そのせいでエンキ様を取り巻く問題に何もできなかったって。
俺はクト様との会話を思い出す。
「そう、クトも言った通りよ。私達、神が直接手を出せば、世界の均衡が崩れてしまう。だから、何があっても見ているだけしかできないの。その代わりに聖人を選び、加護を与えて世界の平和を保つようにしているんだけれど……数十年前にバレンシアがその決まりを破って、直接一人の女性に会ったの」
「バレンシア様が?」
俺は神殿にあったバレンシア様の彫刻を思い出す。確か、すんごい美女だった。
……でも直接会った女性って、誰に会ったんだろ?
「そのせいで世界の均衡が崩れる未来が訪れるはずだった。でも、ある方法を使って、その未来は阻止されたの。……けれど、バレンシアはまたその決まりを破っている」
「バレンシア様が決まりを? でもある方法を使って悪い未来を阻止したって、一体何をしたんです?」
俺が何気なく尋ねればリャーナ様は俺を指差した。
「あなたよ」
「……ハイ?」
「だからあなたなのよ。あなたをこの世界に呼んだこと、それが悪い未来を阻止したの」
「え、俺がッ!? 俺、何もしてませんけど!?」
俺は驚いて声を上げるがリャーナ様は真っすぐに俺を見た。
「あなたがいたから世界は守られた。これは紛れもない事実よ」
……えええーっ、だから俺ってば何もしてませんってばぁぁ。
俺はこれまでの人生を振り返るが、世界平和に一役買った覚えはない。だって俺がしていた事と言えば、普通に生活をして、時々悪人を懲らしめ、新刊BLの本を集め、周りのカップルをくっつけては観察をしていただけで、ぐふふっ。
……ハッ、この事も読まれてる!?
俺は考えるのをストップしてリャーナ様を見れば、少しドン引いていた。
「いや、まあ、うん。あなたがいたから世界は守られたと思うわ……たぶん」
……いや、さっきの言い方と違う! たぶんって言った!!
「あー、いえ、たぶんはナシで。ちょっと驚いただけよ。こほんっ」
リャーナ様は咳ばらいをして、また俺を見た。
「でも、バレンシアはまた決まりを破ったの。ある人物に会う為に、わざわざノアという女性に姿を変えてね」
「え、ノアさん!? それってまさか神聖国の?」
俺は知っていた名前が出てきて驚く。そして俺の問いにリャーナ様は頷いた。
……バレンシア様がノアさんに化けていた? いや、でも俺達が行った時の話じゃないかもしれないし。でも決まりを破り、ノアさんに化けてまでバレンシア様が会いたい人って一体誰なんだ? エンキ様、ではないような気がするし。姉ちゃんやアシュカ? ……いや、それも違うような。一体、誰に。
「貴方もよく知っている人よ」
「俺も知っている人?」
……一体、誰だろう? 思いつかない。
俺は顎に手を当てて、うーんと考える。でもリャーナ様は教えてはくれなかった。
「すぐにわかるわ。でも、バレンシアは約束を破った。罰則は必要だわ」
「えーっと、それがなんで俺がここに連れられてきた理由に?」
……俺が転生したのは世界平和の為だったとして(何にもしてないけど)。だから俺が連れられてきた理由がわかんないんだよな~。俺、全然関係ないじゃん。
「それが関係あるの。……どうやら来たようね」
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