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最終章「プロポーズは指輪と共に!」
最終話「転生令息は悪役よりも壁志望、もしくは天井でも可! だったけど幸せになりました。」
しおりを挟む―――レノの父親問題が片付き、それから俺達がどうなったかと言うと。
あの後、暫くしてから俺とレノは無事に結婚することになるのだが。その前にお婆様に会いにリトロール王国へ行き、そこで事件が起こったり。ジェレミーとディエリゴの披露宴にまたも変装して出ることになったり。
他国での問題に巻き込まれたりと、結局忙しい日々を送ることになった。
……どこへ行った俺ののんびりまったり隠居ライフ!(泣)
でもなんだかんだでレノと楽しく過ごし、俺は相も変わらず別邸でポブラット領の領主代理をし―――十四年後。
◇◇◇◇
―――十四年後の春のうららかな日。庭園のある場所では。
「ぼっちゃん、ぼっちゃん! ほら、かえる! つかまえてきました!!」
「う、ん? よかったな?」
「かわいーですよ!」
「ああ、そうだな。でもボク、かえるはあんまり好きじゃない」
「がーんっ!!」
そんな二人の子供のやり取りが庭先で行われていた。そして、それを見ていた俺は。
「あー、もう! そういう返事じゃダメだろ! レイノルドってば!」
俺は草むらの陰に隠れて、我が息子レイノルドとザックのところの息子エルクのやり取りを見ていた。
レイノルドはレノによく似た子で今年十歳。本好きの大人しい子だ。そしてエルクは六歳で、耳と尻尾がある犬獣人の子どもで、コロコロしてて可愛い。
二人は仲良しで、というかエルクが一方的にレイノルドに懐き、好意を寄せて、家に遊びに来てはレイノルドに構っている。
だが、レイノルドは片手間にしかエルクの相手をしていないけど。
「レイノルドのやつ、ニコって笑うぐらいしたらいいのに。そーいうとこ、レノに似ちゃって、全く!」
俺は陰に隠れながらぶつくさ言う。だが、子供達の微笑ましいラブロマンスに俺の目尻はニンマリと垂れる。けれど、そんな俺の後ろからヤツが声をかけてきた。
「何してるんですか、貴方は」
「ひょッ!?」
後ろから急に声をかけられて、俺は振り返る。そこには四十手前になり、大人の男の色香を醸し出す、アダルトなレノがいた。
「レノ!」
「全く、子供の頃から変わりませんね。貴方は」
レノは呆れた顔をして俺に言う。だが!
「だって、見逃してられないだろ!? こんな微笑ましいやり取り!」
「だからって覗きはよろしくありませんよ。それに先程の台詞、聞き捨てなりません」
「ん? 何がだよ」
「レイノルドが私に似ているというとこです。あのニブちんぶりは貴方そっくりですよ」
「おい、誰がニブちんだ!!」
俺は言い返すが、レノはじーっと俺を見る。俺は別にニブちんじゃないもん!!
そう俺は目でも訴える。
しかし、そんなやり取りをしていると。
「とーさまとちち、なにちてるの?」
背後に小さな影が!!
振り返れば、そこには俺とよく似た三歳児が立っていた。我が息子(次男の)キースである。
「キース! お前、お昼寝してたんじゃ?! てか、どうやって子供部屋から出た?!」
……鍵をしっかりかけてきたはずだぞ!?
「ん? かぎ、あけちぇきたよ? ちち、あけりゅのみてたから」
事も何気にキースはにこぉっと笑って言った。
……恐るべし、三歳児の行動力!
「だからって一人で出てきたら駄目だろー?」
「そういう、貴方も仕事をほっぽって出て来たのでは?」
俺が言うと隣の奴が横やりを入れてくる。今はその話は置いときなさい。
「いいか、キース。外は危ないんだから、ひとりで」
「あ、にいにとエルだぁ~!」
キースは俺の話を無視して、レイノルドとエルクの元へとててっと駆けていった。
……ちょ、お父さんの話、聞こうね!?
そう思うが、キースはもうレイノルドの元へ行ってしまい。子供達三人は楽しく話を始める。その上、そこにある二人がやってきた。
「おや、坊ちゃん方、こんなところで遊びの相談ですかい?」
「エルク、泥だらけじゃないか。こっちにおいで、顔を拭いてあげよう」
そう子供達に言ったのはさらに渋さに磨きがかったヒューゴとフェルナンドだった。
「ところで坊ちゃん方。今、試作のお菓子を厨房で作ってるんですけど、食べませんか?」
ヒューゴが尋ねると子供達の目が輝き、キースが一番に声を上げた。
「あべりゅ!」
はいはい! と手を挙げて主張し、それはまるで小さい頃の俺を見ているかのようだ。そして、そんなキースを見て、ヒューゴは優しく微笑むと、わしわしっとその小さな頭を撫でた。
「よし。じゃあみんなで厨房に行きましょう」
ヒューゴが言えば、子供達は「はぁーい!」と返事をして、雛鳥のようにヒューゴとフェルナンドについていく。そして、俺も。
……試作のお菓子だと!? 俺も食べに行かねば!
そう思って草むらから出て行こうとしたが、その俺の体をレノがひょいっと持ち上げる。
「わっ、レノ!?」
「貴方は仕事です」
「ちょ、試作のお菓子が!」
「あとで貰ってきてあげますから、執務室に戻りますよ」
レノはそう言って、俺を抱えまま歩く。俺、もういい年のおっさんなんだけど、重くないのか? まあお姫様抱っこされるよりいいけど。
「お菓子、絶対持ってきてくれよ?!」
「はいはい、わかってますよ。でも、貴方にはもう甘いものは必要ないんじゃないですか?」
「は、なんでだよ?」
……甘いもの、必要に決まってんだろ!
俺はそう思うが、レノは笑って言った。
「甘いものを食べなくても、もうお腹いっぱい幸せでしょう?」
レノの台詞に俺は言葉に詰まる。だって、その通りだから。
「うぅーっ。それはそれ、これはこれだから、お菓子は食べる!」
「ふふ、はいはい、わかりました」
レノは笑いながら答え、俺はちょっと照れ臭くなる。
しかし、レノと言う男はいつも余計な一言を言うのだ。
「でも最近あなた太りましたよ? 気を付けないとワンパックどころかポッコリになりますよ」
……人が最近気にしてることをっ!!
「うるさい、明日から運動するからいいんだ!」
俺はイラっとして答えるがレノは抱きかかえる俺の尻をもにっと掴んだ。
「うひゃ!? な、なにを!?」
「明日と言わず、今夜から運動しましょうか」
レノはニッコリと笑って言い。その言葉の意味を察して俺は頬が熱くなる。
「何言ってんだ。こんな真昼間に!」
「そろそろもう一人、欲しいと思っていたんですよね」
「おい、人の話を聞け!」
「今夜からちょっと頑張りましょうか、ダイエットと子づくり」
……人の話を聞けって言ってんだろーが!!
「ちょ、もう、離せぇ!! このむっつりスケベ!」
「そんなのもう知ってるでしょ?」
レノはそう言いつつ、俺を抱きかかえたまま庭を歩いた。
そして、その日の夜から俺がどうなったかと言うと――――ご想像にお任せする(泣)
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