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残り香
五、
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乱丸の件を知ってから数日――万里は部屋で悶々としながら過ごしているようだった。得意の刺繍もあまりせず、草紙を読むわけでもない。そして、乱丸に宛てる文を書く素振りもなかった。
「……今は、なにをお伝えすればいいのか、分からないの」
脇息にもたれながら、万里はぼんやりと遠くを見つめていた。万里がこの日着ているのは、白い小袖と紫の小袖を2枚合わせた片身替わりだった。白い小袖の側には藤や梅などの刺繍が丁寧にほどこされており、光の当たり方でほかの花も浮かび上がってくる。髪は結うことをせず後ろに流しているだけだったが、かえってそのことが15歳という曖昧な境にいる少女の美しさを際立たせていた。
「わたしは所詮、町民上がりで、女子だから――乱丸どのと、本当の意味で釣り合うことはないわ」
須磨は黙って万里の言葉に耳を傾けていた。今、相槌や返答を求められていないことは分かっていた。
「お城の話をされても、分からない。戦のことも、理解してあげられない。戦なんて、商売が上がるだけのものとしか思っていないもの。戦がなくなれば、別の方法で生きて行けばいいと思っている。……でも、乱丸どのがわたしに求めているのは、そんなことじゃないのよね」
乱丸が謹慎を受けたというのは、万里の胸に澱みを与えた。人伝におおまかな話を聞いて、すべて解決しても――乱丸からなにか沙汰がくることはない。生きていることしか、伝わってこない。
「わたしはなんのために、若君の妻になればいいのか――もう分からない」
須磨は万里の傍に寄った。拒まれない程度の距離を測りながら、須磨は万里の手を握り締めた。
「姫さまははじめてお城に来たとき――私や於菊に、色んなことを教えてくださいましたね」
びいどろのことも、異国の話も、万里に出会わなかったら、須磨も於菊も知らなかった。異国のことをもっと知りたいと、万里は言っていた。
「姫さまは、変わられました。世情のことなどにも関心を寄せるようになられています。武家の妻にふさわしき器量は、少しずつ磨かれておいでです。そのことは私だけではなく、於菊も殿もお方さまも――そして若君にも伝わっております」
「……でも、若君はなにも教えてくださらない……」
「きっと姫さまなら分かると、そう思っておいでなのです。殿方というのは、女子より強いくせに、心は幼いのです。姫さまよりひとつといえど年下の若君なら、幼児のようなものですよ」
「幼児は、少し言い過ぎではなくて?」
万里は苦笑しながら、やっと溜飲を下げたようだった。そして須磨に髪を結うよう言った。
「いつものように、でよろしいですか?」
「いいえ」万里は満面の笑みを浮かべる。「動きやすいように――総髪にしてちょうだい」
◇◆◇
須磨は知らなかったが――万里はなぜだか、城から城下へ下る抜け道を知っていた。北にある物見櫓の脇には、躑躅が生い茂っている。獣なら難なく、人ならば気をつければ通れる程度には整備されていた。木々が生い茂っているので人目にはあまりふれずに城下に降りることができるらしい。
「このこと、於菊には?」
「於菊は知らないわ。わたしとお須磨の間の秘め事よ」
桃色の唇に人差し指を当てながら、万里は微笑んだ。主との秘め事に須磨は小さな喜びを覚えたが、万里が抜け道を知ったのは、乱丸に教えてもらったのだという。
「それでは、私と姫さまの間だけの秘め事ではございませぬ」
須磨が唇を尖らせると、万里が振り返って須磨の頬を引き寄せた。額を擦り合わせながら、誤魔化すように微笑む。駄々を捏ねた千丸にもまったく同じことをやっていたのを須磨は知っている。やんわりと押しのけながら、須磨は万里が転ばぬように気を配りながら歩いた。
「どちらに行かれるのですか?」
「松野屋。少し、母の顔が見たくて――というか、松野屋以外に行く宛なんてないわよ、わたしには。ほかに、わざわざお忍びで会うほど親しいひとはいないもの」
万里自身はちょっとした言い合いのつもりでも、同年代の少女たちを泣かせてしまうことが多かったらしい。しかも金山の商会を束ねる松野屋のひとり娘ならば、親しみを覚えるというよりは、畏怖の対象でもあったのだろう。
「結局、わたしが愚痴を零せるのはお須磨と、母さまだけなのよねぇ」
万里は手土産に、露店で干菓子を包ませる。須磨は荷を受け取りながら、於菊でも弥でも乱丸でもなく、母親と並んで自分の名を挙げられた意味をずっと考えていた。
◇◆◇
松野屋に着くと、琴音は万里を見るなり、あらあら、と首を傾げた。
「どうなさったのかしら、姫さまは。随分と機嫌がよろしくないようですが」
揶揄うような声音だが、表情は曇っている。草履を脱ぎながら、万里は乱丸のことを矢継ぎ早に話しはじめた。すっきりしたように見えていたが、燻るものは根強いようだった。
「今回は数日の謹慎で済んだけれど……若ったらなにを考えているのかしら。若君がなにを考えているのか、まったく分からないわ」
長可は岐阜や安土を行き来しており、城を離れている。弥もこの話題を避けるように口を噤んでいる。
「わたしを心配させたくないと……そう思っていただけているのは、分かっているの。けれど、まるで蚊帳の外に置かれたようで……」
万里は拳を握り締めた。泣きそうな顔で、自分でよいのか分からない、と呟いた。
乱丸の妻になるなら、もっと力のある武家の姫――たとえば織田家ゆかりの姫だとか、森家重臣の娘であるべきではないだろうか。
不安と寂しさが綯い交ぜになっているのだろう。万里の声が潤んでいた。
「このまま城にいてもよいのかと――」
須磨はそっと万里に寄り添い、背中をさすった。
「いいも悪いもないわ」
しかし、琴音から帰ってきたのは、ひどく冷たい声だった。須磨は琴音の顔をまじまじと見つめた。白磁の肌には、いつも通りの微笑をたたえていた。
「あなたはもう、商家の娘ではなく――城主の姫なのです。旦那さまと殿さまが、そのようにお決めくだされたご縁を手にしたのだから」
「でも……」
「でももなにもない。あなたはそういう立場になったのよ。ご存じでしょう」
万里が頬を強張らせていると、琴音はくすりと笑みを漏らした。
「――よいじゃない。好いた殿方に輿入れできるなんて、このご時世、これほどの幸福はないわ。それも、身分を超えて、なんて。御伽草紙でもないのに」
万里は目を丸くした。
「母さまは、父さまのことが好きではないの?」
琴音は答えず、ただ笑っている。琴音はずっと嘉之助に従順で――ずっとよき妻であり、よき母であった。
「ひょっとして――別の方がいらしたの?」
琴音は笑みを消し、目を細めてから、
「話して差し上げましょうか?」
と、提案した。母の問いに、万里は首を振って拒絶した。千里が胸の裡、それももっとも深い場所に仕舞っておいた過去に違いない。絶対に他人が触れてはならないのだと思えたのだろう。
「私にはとっくに過ぎたことなのだけどね。さあ、そろそろお戻りなさい。お菓子をいただいたから、包んであげましょう」
琴音からの包みを須磨が受け取っていると、万里が屋敷を見渡した。嘉之助は相変わらず会合に出かけているらしく、2、3日は戻らないのだという。
帰路に着いた万里は――胸に下げたにおい袋を見つめた。
「このにおい袋、若君に挙げる予定だったの」
松と鶴が刺繍された小さな巾着であった。万里が今まで愛用していたのは、藤の刺繍が施されていた。
「去年――上さまが金山にいらっしゃったでしょう。その折に若君と少しだけお話したの。そのときに、若君はわたしが今まで使っていたものを欲しいと仰って――わたしにはこちらを持っていてくれ、と」
「……じゃあ、大丈夫ですね」
少しだけ寂しさを覚えながらも、須磨は万里と乱丸の想いが繋がっていることを強く感じ取った。
におい袋からただよう芳しい香りは、風に吹かれて溶けて消えて行った。
「……今は、なにをお伝えすればいいのか、分からないの」
脇息にもたれながら、万里はぼんやりと遠くを見つめていた。万里がこの日着ているのは、白い小袖と紫の小袖を2枚合わせた片身替わりだった。白い小袖の側には藤や梅などの刺繍が丁寧にほどこされており、光の当たり方でほかの花も浮かび上がってくる。髪は結うことをせず後ろに流しているだけだったが、かえってそのことが15歳という曖昧な境にいる少女の美しさを際立たせていた。
「わたしは所詮、町民上がりで、女子だから――乱丸どのと、本当の意味で釣り合うことはないわ」
須磨は黙って万里の言葉に耳を傾けていた。今、相槌や返答を求められていないことは分かっていた。
「お城の話をされても、分からない。戦のことも、理解してあげられない。戦なんて、商売が上がるだけのものとしか思っていないもの。戦がなくなれば、別の方法で生きて行けばいいと思っている。……でも、乱丸どのがわたしに求めているのは、そんなことじゃないのよね」
乱丸が謹慎を受けたというのは、万里の胸に澱みを与えた。人伝におおまかな話を聞いて、すべて解決しても――乱丸からなにか沙汰がくることはない。生きていることしか、伝わってこない。
「わたしはなんのために、若君の妻になればいいのか――もう分からない」
須磨は万里の傍に寄った。拒まれない程度の距離を測りながら、須磨は万里の手を握り締めた。
「姫さまははじめてお城に来たとき――私や於菊に、色んなことを教えてくださいましたね」
びいどろのことも、異国の話も、万里に出会わなかったら、須磨も於菊も知らなかった。異国のことをもっと知りたいと、万里は言っていた。
「姫さまは、変わられました。世情のことなどにも関心を寄せるようになられています。武家の妻にふさわしき器量は、少しずつ磨かれておいでです。そのことは私だけではなく、於菊も殿もお方さまも――そして若君にも伝わっております」
「……でも、若君はなにも教えてくださらない……」
「きっと姫さまなら分かると、そう思っておいでなのです。殿方というのは、女子より強いくせに、心は幼いのです。姫さまよりひとつといえど年下の若君なら、幼児のようなものですよ」
「幼児は、少し言い過ぎではなくて?」
万里は苦笑しながら、やっと溜飲を下げたようだった。そして須磨に髪を結うよう言った。
「いつものように、でよろしいですか?」
「いいえ」万里は満面の笑みを浮かべる。「動きやすいように――総髪にしてちょうだい」
◇◆◇
須磨は知らなかったが――万里はなぜだか、城から城下へ下る抜け道を知っていた。北にある物見櫓の脇には、躑躅が生い茂っている。獣なら難なく、人ならば気をつければ通れる程度には整備されていた。木々が生い茂っているので人目にはあまりふれずに城下に降りることができるらしい。
「このこと、於菊には?」
「於菊は知らないわ。わたしとお須磨の間の秘め事よ」
桃色の唇に人差し指を当てながら、万里は微笑んだ。主との秘め事に須磨は小さな喜びを覚えたが、万里が抜け道を知ったのは、乱丸に教えてもらったのだという。
「それでは、私と姫さまの間だけの秘め事ではございませぬ」
須磨が唇を尖らせると、万里が振り返って須磨の頬を引き寄せた。額を擦り合わせながら、誤魔化すように微笑む。駄々を捏ねた千丸にもまったく同じことをやっていたのを須磨は知っている。やんわりと押しのけながら、須磨は万里が転ばぬように気を配りながら歩いた。
「どちらに行かれるのですか?」
「松野屋。少し、母の顔が見たくて――というか、松野屋以外に行く宛なんてないわよ、わたしには。ほかに、わざわざお忍びで会うほど親しいひとはいないもの」
万里自身はちょっとした言い合いのつもりでも、同年代の少女たちを泣かせてしまうことが多かったらしい。しかも金山の商会を束ねる松野屋のひとり娘ならば、親しみを覚えるというよりは、畏怖の対象でもあったのだろう。
「結局、わたしが愚痴を零せるのはお須磨と、母さまだけなのよねぇ」
万里は手土産に、露店で干菓子を包ませる。須磨は荷を受け取りながら、於菊でも弥でも乱丸でもなく、母親と並んで自分の名を挙げられた意味をずっと考えていた。
◇◆◇
松野屋に着くと、琴音は万里を見るなり、あらあら、と首を傾げた。
「どうなさったのかしら、姫さまは。随分と機嫌がよろしくないようですが」
揶揄うような声音だが、表情は曇っている。草履を脱ぎながら、万里は乱丸のことを矢継ぎ早に話しはじめた。すっきりしたように見えていたが、燻るものは根強いようだった。
「今回は数日の謹慎で済んだけれど……若ったらなにを考えているのかしら。若君がなにを考えているのか、まったく分からないわ」
長可は岐阜や安土を行き来しており、城を離れている。弥もこの話題を避けるように口を噤んでいる。
「わたしを心配させたくないと……そう思っていただけているのは、分かっているの。けれど、まるで蚊帳の外に置かれたようで……」
万里は拳を握り締めた。泣きそうな顔で、自分でよいのか分からない、と呟いた。
乱丸の妻になるなら、もっと力のある武家の姫――たとえば織田家ゆかりの姫だとか、森家重臣の娘であるべきではないだろうか。
不安と寂しさが綯い交ぜになっているのだろう。万里の声が潤んでいた。
「このまま城にいてもよいのかと――」
須磨はそっと万里に寄り添い、背中をさすった。
「いいも悪いもないわ」
しかし、琴音から帰ってきたのは、ひどく冷たい声だった。須磨は琴音の顔をまじまじと見つめた。白磁の肌には、いつも通りの微笑をたたえていた。
「あなたはもう、商家の娘ではなく――城主の姫なのです。旦那さまと殿さまが、そのようにお決めくだされたご縁を手にしたのだから」
「でも……」
「でももなにもない。あなたはそういう立場になったのよ。ご存じでしょう」
万里が頬を強張らせていると、琴音はくすりと笑みを漏らした。
「――よいじゃない。好いた殿方に輿入れできるなんて、このご時世、これほどの幸福はないわ。それも、身分を超えて、なんて。御伽草紙でもないのに」
万里は目を丸くした。
「母さまは、父さまのことが好きではないの?」
琴音は答えず、ただ笑っている。琴音はずっと嘉之助に従順で――ずっとよき妻であり、よき母であった。
「ひょっとして――別の方がいらしたの?」
琴音は笑みを消し、目を細めてから、
「話して差し上げましょうか?」
と、提案した。母の問いに、万里は首を振って拒絶した。千里が胸の裡、それももっとも深い場所に仕舞っておいた過去に違いない。絶対に他人が触れてはならないのだと思えたのだろう。
「私にはとっくに過ぎたことなのだけどね。さあ、そろそろお戻りなさい。お菓子をいただいたから、包んであげましょう」
琴音からの包みを須磨が受け取っていると、万里が屋敷を見渡した。嘉之助は相変わらず会合に出かけているらしく、2、3日は戻らないのだという。
帰路に着いた万里は――胸に下げたにおい袋を見つめた。
「このにおい袋、若君に挙げる予定だったの」
松と鶴が刺繍された小さな巾着であった。万里が今まで愛用していたのは、藤の刺繍が施されていた。
「去年――上さまが金山にいらっしゃったでしょう。その折に若君と少しだけお話したの。そのときに、若君はわたしが今まで使っていたものを欲しいと仰って――わたしにはこちらを持っていてくれ、と」
「……じゃあ、大丈夫ですね」
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