【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

SORA

文字の大きさ
34 / 75

コロパン事件

しおりを挟む
私は、ベンに言われるがまま、コロパンにやってきた。カインが心配するかと思い、

念のため、ベンとコロパン事件のお手伝いに行くと置き手紙をしてきた。

前回の置き手紙は、辛い気持ちで書いたけど、今回は状況が違うので、

不安もなく、カインの家を出たはずだった。

なのに、この状況はどうしてだろう。私は、暗い部屋に手足を縛られて、

どこかに囚われてしまっているようだ。

ベンはどこ?ベンはどこにもいない。

コロパンに着いて、お腹すいたから何か食べようと食べ物屋に入ろうとしたが、

酔っ払いに絡まれてしまった。私はここはやめようと言ったが、

ベンは持ち前の真面目さで、酒飲みに正論を説いている。腹を立てた酒乱たちに

ベンが殴られたところまで覚えているが、そこから記憶がない。

ここはどこだろう。ベンは無事なのか考えた。すると、足音が聞こえてきた。

怖い。でも、隠れる場所もないし、動けないのでどうしようもなかった。

綺麗な赤髪のビジュアル系のような化粧をしている人が私を見下ろした。

「マットだ。コロパンの国の未来の王だ。覚えておけ」

そう言って、私の顔を掴み、無理やり顔を上げさせる。

「お、お前は美しい顔をしているな。俺のコレクションとして飼ってやろう」

と不気味な発言をして、私を暗い部屋から出し、守衛さんみたいな騎士に

私は自分が管理するからと伝えていた。

コレクションってどういうこと。怪しい趣味っぽいけど大丈夫なのかな。

心配しながらもマットの部屋に連れてかれた。そこには女性もののドレスや

いろんな職業の衣服が揃っていた。私は、やばいと思い、恐る恐る後ろに下がる。

マットは、メイドに命ずる。

「コイツは、何がいいかな。やっぱりナース服で決まりだな」

「かしこまりました」

メイドは、私を別の部屋へと連れて行く。

「嫌だ、私コスプレとか絶対いや~!!」

叫び声だけが部屋中に響く。

うるさい声が聞こえたらしく、別の部屋で監禁されていたベンは目覚めたらしいが、

私は知る由もなかった。

「お嬢様、あなたほど美しい方なら何でも似合いますよ。マット様は美しい者が

大好きなのですよ。すぐに、手に入れて、部屋に飾られるのですよ」

私を脱がせ始める。脱がされることに慣れていない私は抵抗したが、

さすがはメイド。抵抗を上手にかわし、着々とナース服に着替えさせた。

「お似合いですよ」

「でも、私は、バニーガールが良かったですわ」

「バニーガールはもういるじゃない」

「あっ、そうだったわね」

メイドたちが会話を楽しみだした。その会話を聞く限り不穏な雰囲気を感じ取る。

逃げようかなと考えてた時、

「入るぞ」

マットが部屋に入ってきた。

「やっぱり、ナース服はいいな。これを着こなせる女がいなくて困ってたんだよ

ちょうど、良かった」

満足そうな顔で、私に近付き、体を撫でまわす。気持ち悪い。

「よし、あの部屋に連れていけ」

メイドたちに命じると、メイドたちは私を移動させるために二人で挟み込み

私が逃げられないようにした。そして、部屋へと連れて行かれた私。

マットは自分の部屋へと戻っていった。

そこには、美少女たちがずらっと並んでいた。生きてるの?

メイドに話しかけようとすると、

「美しいとは、時に残酷ですわね」

と言いながら、ガシャン扉を閉めた。私は、美少女たちに近づき、バニーガールの

ほっぺたを触る。

「キャッ」

え?喋った?生きてたのか。よかった。その美少女の叫び声を聞くと、

皆マネキンのように立っていた人たちが動き出す。どういうことだろう。

私は混乱していた。そこには、着物、チャイナドレス、メイド、魔女、

バニーガール、サンタ?、猫の着ぐるみ(ラムちゃんみたいな)を着た7人が

私の方へとやってくる。着物の人が

「はじめまして。私は着物とここでは呼ばれてるの、あのマットの趣味は分かったと

思うけど、コスプレでね。彼がここに来るときはマネキンのように立っていないと、

鞭打ちの刑になるから気を付けてね。先日も、筆でくすぐられた吸血鬼の子がね、

笑ってしまって鞭打ちで亡くなっちゃたの。吸血鬼はコスプレの話ね。フフフ」

「怖いですね。皆さんは長いんですか」

私は、落ち着いた雰囲気に違和感を覚えたので、聞いてみた。

「そうね。着物の私とチャイナは10年、他は5年、3年かな。

あなたはナースね。よろしく」

「よろしくお願いします」

私は、なんやら癒しの力とは関係ないところに来てしまったようである。

みんなと仲良くなれたことはいいけど、どうやってここから出よう。

ベンは、無事なのかなと心配なアズサなのでした。

その頃、ベンは、誰かの叫び声で目覚めた。ここはどこだ?

俺は、周囲を見渡す。手足が縛られていることに気づく。

まさか、絡まれた相手が赤髪の奴らなんて知らなかった。

フードをかぶっていたから、盗賊かと思っていた。不運だな。

そう思いながら、アズサがいないことに気づいた。

コロパンで赤髪の奴らが国を侵略しようとしているという噂があった。

その赤髪に癒しの力を与えたら、国を侵略するというドス黒い感情が消えて

コロパンから去るのではないかと考えたのだが、俺の見通しが甘かった。

しかし、まもなく、カイン達一行が来るだろう。

俺は、ここでおとなしく待つことにするか。

のんびりと構えることにしたベンだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!

柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...