45 / 75
今泉家
しおりを挟む
その頃、アズサは家の物置きを探していた。親がアズサに
渡さなきゃいけないって誰かから渡されたらしいけど、
あまりの分厚い本だったから物置きに直したらしい。
そんな曖昧で誰かわからないとか適当な感じが、うちの親らしいんだけど
と思いながら、探していた。すると、一冊の大きい分厚い本が見つかった。
いったいなんだろう。そう思い、開いてみると、1ページ目には
大きな字でこう書かれていた。
やっほー。久しぶり。元気だった?私って黒髪の天女?だっけ?なんでもいいや。あの男の子をこっちに連れてきたときに、もしまたこちらに間違って戻ってしまったら大変かなと思って、念のためにあなたの親にこの本授けといたわよ。バレたらまずいから私のことは記憶を消しといたけどね。そこで本題ね。もし、あなたがやっぱり自分のいた生活の方が良かったならこのままこの本は放置で燃やしてほしいの。でも、カインと生活するっていうなら、ここでの生活はちゃんとけじめをつけて向こうに帰らなくてならない。だって、もう二度と行ったり来たりできないかね。だから、よく考えて判断して。で、もし向こうに戻りたいなら1000ページにある魔法陣の真ん中の星マークに、あなたの癒しの力を注げば帰れるから。では、もうこれで私もお役ごめんだから。本当にさようなら。あなたが幸せになる方法を考えてね。
私は、考えるのはカインのことばかり。理解してもらえるかわからないけど、
お母さんたちにちゃんと話してみよう。私は、その本を持ち
家の中へと入って行った。
「お母さん、お父さん大事な話があるの」
「何よ。改まって、気持ち悪いわね」
お父さんは、黙って私の方を見ていた。
「あのね、実は私先日トラックに轢かれて死にかけたの。死んだと思ったら、こことは全く違う中世のヨーロッパみたいな国で目が覚めたの」
「梓、夢の話なんかしどうしたのよ」
お母さんは、相変わらず私の話を最後まで聞かない。
お父さんを見ると黙って見ている。
「最後まで聞いて。それで色々なことが起きたんだけど、そこで素敵な男性と出会ったの。カインって言うんだけど、騎士団長様でね。私その人と結婚したいの」
「なら、一度連れてきなさい」
お父さんは、テーブルを叩きながら怒りだした。私は普段温和なお父さんが
こんな言い方をするなんか予想もしていなかったので涙がこぼれてしまった。
「あなた、ちょっと言い方も顔も怖いわよ。眉間にしわ寄せないでちょうだい」
「梓、大丈夫。お母さんちゃんと聞くから話してごらんなさい」
「……うん。こちらの世界と向こうの世界は本来行き来できないんだって。だから、私は本当は二度とお母さんたちに会うことができないはずだったの。でもなぜか日本に戻れてしまった。でも、お母さんたちと離れるのも辛いけど、カインに今も会えないのが辛いの。ん~ヒック」
「ほら、泣かないの。そんなにカインさんが好きなのね。外人なの?日本語通じるの?」
お母さんがおもしろいことを言い出したので、涙が止まった。
「見た目は外国人だけど、日本語も通じるし、言葉も通じるよ。カッコよくてわたしのこととても大事にしてくれるの」
「なら、いいんじゃない。私も寂しいけどいずれは結婚したら出ていくものなんだし、遠い国に嫁がせたと思えばいいわけでしょ」
「ありがとう。お母さん」
私は、お母さんに抱き着いた。お父さんは、黙って考え込んでいる。
「俺は、娘をくださいと言われるのを楽しみにしていたのに、それを聞けないのが残念だが、梓が好きになった相手なら間違いないと信じている。寂しいが仕方ないな」
そう言って、下を向き、目をこすっていた。それを見た私は
お父さんに抱き着きに行った。
「ありがとう。信じてくれて」
「信じるも何も今この本を見て思い出したんだが、これ持ってきた女性がえらい美人だったからな。黒髪だったがアジアンの雰囲気の色気や艶っぽさがたまらんかったし、その人の服装も浮世絵離れしていたからな。お前の言うことと一致しているし」
「もう、お父さんたら変態のオヤジなんだから。年取ると嫌だわね」
お母さんは、そう言いながらお父さんの肩を叩いた。うちの両親の説得は終わった。
後は、会社とゆうだわ。もう、夜も遅くなってきていたので、明日行くことにした。
渡さなきゃいけないって誰かから渡されたらしいけど、
あまりの分厚い本だったから物置きに直したらしい。
そんな曖昧で誰かわからないとか適当な感じが、うちの親らしいんだけど
と思いながら、探していた。すると、一冊の大きい分厚い本が見つかった。
いったいなんだろう。そう思い、開いてみると、1ページ目には
大きな字でこう書かれていた。
やっほー。久しぶり。元気だった?私って黒髪の天女?だっけ?なんでもいいや。あの男の子をこっちに連れてきたときに、もしまたこちらに間違って戻ってしまったら大変かなと思って、念のためにあなたの親にこの本授けといたわよ。バレたらまずいから私のことは記憶を消しといたけどね。そこで本題ね。もし、あなたがやっぱり自分のいた生活の方が良かったならこのままこの本は放置で燃やしてほしいの。でも、カインと生活するっていうなら、ここでの生活はちゃんとけじめをつけて向こうに帰らなくてならない。だって、もう二度と行ったり来たりできないかね。だから、よく考えて判断して。で、もし向こうに戻りたいなら1000ページにある魔法陣の真ん中の星マークに、あなたの癒しの力を注げば帰れるから。では、もうこれで私もお役ごめんだから。本当にさようなら。あなたが幸せになる方法を考えてね。
私は、考えるのはカインのことばかり。理解してもらえるかわからないけど、
お母さんたちにちゃんと話してみよう。私は、その本を持ち
家の中へと入って行った。
「お母さん、お父さん大事な話があるの」
「何よ。改まって、気持ち悪いわね」
お父さんは、黙って私の方を見ていた。
「あのね、実は私先日トラックに轢かれて死にかけたの。死んだと思ったら、こことは全く違う中世のヨーロッパみたいな国で目が覚めたの」
「梓、夢の話なんかしどうしたのよ」
お母さんは、相変わらず私の話を最後まで聞かない。
お父さんを見ると黙って見ている。
「最後まで聞いて。それで色々なことが起きたんだけど、そこで素敵な男性と出会ったの。カインって言うんだけど、騎士団長様でね。私その人と結婚したいの」
「なら、一度連れてきなさい」
お父さんは、テーブルを叩きながら怒りだした。私は普段温和なお父さんが
こんな言い方をするなんか予想もしていなかったので涙がこぼれてしまった。
「あなた、ちょっと言い方も顔も怖いわよ。眉間にしわ寄せないでちょうだい」
「梓、大丈夫。お母さんちゃんと聞くから話してごらんなさい」
「……うん。こちらの世界と向こうの世界は本来行き来できないんだって。だから、私は本当は二度とお母さんたちに会うことができないはずだったの。でもなぜか日本に戻れてしまった。でも、お母さんたちと離れるのも辛いけど、カインに今も会えないのが辛いの。ん~ヒック」
「ほら、泣かないの。そんなにカインさんが好きなのね。外人なの?日本語通じるの?」
お母さんがおもしろいことを言い出したので、涙が止まった。
「見た目は外国人だけど、日本語も通じるし、言葉も通じるよ。カッコよくてわたしのこととても大事にしてくれるの」
「なら、いいんじゃない。私も寂しいけどいずれは結婚したら出ていくものなんだし、遠い国に嫁がせたと思えばいいわけでしょ」
「ありがとう。お母さん」
私は、お母さんに抱き着いた。お父さんは、黙って考え込んでいる。
「俺は、娘をくださいと言われるのを楽しみにしていたのに、それを聞けないのが残念だが、梓が好きになった相手なら間違いないと信じている。寂しいが仕方ないな」
そう言って、下を向き、目をこすっていた。それを見た私は
お父さんに抱き着きに行った。
「ありがとう。信じてくれて」
「信じるも何も今この本を見て思い出したんだが、これ持ってきた女性がえらい美人だったからな。黒髪だったがアジアンの雰囲気の色気や艶っぽさがたまらんかったし、その人の服装も浮世絵離れしていたからな。お前の言うことと一致しているし」
「もう、お父さんたら変態のオヤジなんだから。年取ると嫌だわね」
お母さんは、そう言いながらお父さんの肩を叩いた。うちの両親の説得は終わった。
後は、会社とゆうだわ。もう、夜も遅くなってきていたので、明日行くことにした。
0
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる