【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

SORA

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花嫁修業②

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 ドンドンドン

うるさい扉の音で目が覚める。え?誰?

「誰ですか?」

「私、モモよ。早く開けなさいよ」

「あーごめん。今開ける」

アズサは扉を開け、目をこすっていた。

「何?徹夜したの?お肌には毒よって言いたいどころだけど、つやつやだわね。カインといちゃついてる暇があるなら勉強しなさいよ」

ドンとテーブルの上にたくさんの本を置くモモ。

「座学用の教科書よ。本当はもっとあるけど一番要約されてるものを選んできたから最低この30冊は暗記してよ」

「わかった。いつもモモありがとう」

モモは、抱きしめられると思い両手を広げて待っていたのだが、今日に限って

こなかったので、少し恥ずかしくなるモモ。

アズサは、すでにその教科書を読んでいた。中身を読むと気付いたことがあった。

これって、高校の世界史で習ったじゃない。私世界史は得意でいつも5段階表示の

5もらってたのよね。ラッキー。

学校で習ったものより、詳しく書いてあるけどベースは同じみたいだから

これならイケるかも。

どんどん読み進めて夢中だったアズサは、モモのことなど

気づいてもいなかったのだった。

夢中で読んでいたアズサ。

「ちょっと休憩しなさいよ。根詰めると持たないわよ」

そう言って、モモは紅茶を入れてくれた。モモの入れる紅茶はやはりおいしい。

「モモ、ありがとう。モモの紅茶おいしい」

「勝手にキッチン使ったのは悪かったけどね。そんなに真剣に読んでたけどおもしろい?」

「あーうん。私の世界で勉強したことあった内容で不思議に思ってた部分の解明が書かれていたから、つい読んじゃった」

「なら、座学は心配なさそうね。でお作法は?」

「正直それが一番無理かも。ドレスの裾を持って礼したり、笑うときには扇子で隠す的なやつでしょ?」

私は、小説の世界でのイメージを言ってみた。

「なんか違うような合ってるような気がする。ドレスを持って挨拶はそうね。当たり前ね。笑うときに扇子で隠すってのがなんか違うんだけど」

「え?貴族令嬢ってそうじゃないの?」

「そもそも扇子なんかお妃様くらいじゃないの?持ってるの」

「え?そうなの。なら大声で笑っていいの?」

「レディとして大声はだめよ。笑ってもいいけど、下を向いてクスクス程度にしなきゃ。間違っても手を叩きながら爆笑なんか絶対ダメよ」

「え?うん。わかった」

お作法もこれならなんとか行ける気がする。フォークとナイフも一応できるし、

上品に愛想笑いを浮かべて接客していると思えばいいのかもしれないわね。

「でも、アピールする道具って何?」

「私ならそうねー。美味しい紅茶が入れられるってアピールするわね。そのために、茶葉やポット、カップもやはり王室御用達のランクのものを用意するわね」

「そっか。私には何があるだろう。癒しの力はダメかな?」

「魔法は、違反行為だからダメ。他には、声に自身がある人は歌ったり、社交ダンスしたり、体力自慢したり、面白いことしたり色々だわね」

「ん~少し考えてみるね。ありがとう。モモ」

抱き着くアズサ。モモは先ほどはなかったので予期せぬ展開に顔を赤らめる。

「ちょっと……まぁ頑張りなさい。私はもう帰るわね」

「うん、ありがとう」

モモは、アズサの小悪魔ぶりに惑わされていくのであった。
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