【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

アズサと医師マゼラン

　医師が到着して、アズサを診察した。その横にはすでに医務室に

来ていたカインもアズサの横で心配している。

「アズサは大丈夫なんですか？」

「これは、大変ですね」

「なぜですか。アズサはどこが悪いんですか」

「全てです」

医師からの説明だった。カインは絶望感にさいなまれる。俺はアズサと年を取るまで

一緒に暮らそうと約束したばかりなのに、まさかこんな早くに終わりが来るなんて

思ってもいなかった。

ショックでアズサに涙を見せたくなかったので、医務室より出ていくことにした。

アズサは、ドタバタと大きな音がしたので目覚めた。

目の前には白衣を着た人がアズサを睨んでいる。

そして、アズサに聞いた。

「単刀直入に聞きますが、誰の子ですか？」

「はい？」

「誰の子って言われましても、私は異世界の日本の娘としか言えませんが」

「聞き方がまずかったですかね。お腹の子供の男性は誰ですか？」

「えー！！えー！！」

「ちょっと、お静かに」

「あっ、すみません」

「で誰なんです？相手」

「それはカインに決まってるじゃないですか！！」

「わかりました。ならよかった。このことは僕とあなたの秘密に致しましょう。このことがばれたら色々と面倒なので」

医者は、なぜ秘密にしようと言うのでしょうか。

それにしても私のお腹の中にカインの子供がいるなんて。

うれしい、アズサはそっとお腹を触ってみた。幸せな気持ちになった。

きっと、カインに報告したら泣いて喜ぶんだろうな。

そう考えただけでも気分が良かった。

「なので、妊娠は隠したまま婚約者に選ばれないといけません。わかりましたか？もし、ばれると他の男の子供だと因縁をつけられて候補者から落とそうとする令嬢もいますからね！わかりましたか？ちゃんと守るのですよ。その相手の男性にも言ってはいけませんよ」

「えっ、はい」

その令嬢ってまさか、ハッチのことだろうか。この人はハッチの

知り合いだろうか。

「あなたは、ハッチの知り合いなんですか」

ため息をつきながら、めんどくさそうに答える。

「僕今ぼかしたのにわざわざ言わないでください」

「え？でも、令嬢ってハッチしかいませんよ？」

「ん？はい。もう僕のことはどうでもいいですから、妊娠初期で貧血気味のようなのであまり無理しないでください。とりあえず、国王様には過労だと伝えますので」

そして、慌ただしく大きな音を立てて入室してくるカイン。

「悪い、アズサ。その医師が男だということにいまさら気づいて、急いで戻ってきたのだが何もされていないか」

「あっ、うん。大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」

天使のように美しいアズサ。心なしか機嫌がいいように見えるのは

気のせいだろうか。

「それでは、よろしく頼みますよ」

と医師は出て行った。