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1章
8話
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手の大群にもみくちゃにされ数分たつとさすがに相手も飽きてきたのか、手の数は減っていき、逃げ出す程度の余裕が生まれてきた。
僕はその瞬間を逃さずにとっとっとと逃げ出す。
「ああ。いってしまった」
なんて少し落胆の声も聞こえるが、これ以上捕まっていては体がもたない。まったくひどいやつらだ。せめて何かくれるなら我慢のしようもあるのにと憤る。適当にすり抜けて誰もいない安全そうな机の下へ避難して時をやり過ごしていると
「猫はどこだー」
とやっとあの人間が帰ってきたようだ。にゃぁとないて所在を知らせる。
「おお。いたいた。いました。こっちです」
と誰かを連れてるようでその人を先導する。誰かなと覗くとラクエルだった。巨体だけあってここでも敬われてるのだなと感心する。
「外に出たがってたって聞いたぞ。この」
とラクエルは僕の頭を少し押す。にゃぁと抗議するがラクエルはまったく気にしない。
「人が多い所は苦手なんですかね?起きたらすぐ出ようとしたみたいです」
「うーん。魔物は気にしなさそうだけどな」
「この子は少し敏感なんのかもしれませんね」
魔物でも人間でも違う種族がこんなにいたら気が散るだろうに、まるで僕が軟弱みたいに言って失礼なことだ。
「まあ、それくらいの方がかわいいだろ。ここなら食事も楽だし、俺もよくいるからいいと思ったが、嫌がるなら外に出る扉だけ閉めて、ここは解放するか」
「そうですね。それがいいと思います」
ラクエルはよしっと言って僕を抱えてあの開かない扉の前へと行った。
「ちょっと待ってな」
となにやら扉に触れて唱えている。少しすると扉は小さくひかりまたすぐに消えた。
「ほれ。これであけれるはずだ。やってみ」
そう言って僕をおろして扉をたたく。
僕は本当かなと思いつつも、また前の手でぐーっと押してみる。
前回はまったく、手応えすら感じなかったのにすーっと動く。そしてそのまま開いてしまった。
驚いてにゃぁとなくとラクエルは鼻で笑う。
「ほら、これで出れるだろ。ついでに寝る部屋も教えてやるか。覚えろよ」
とまた僕を抱えて歩き出す。僕用に部屋まであるのかと少し喜んだが、着いてみるとただの備品庫だった。
まあ危ないものはない、布団や枕や毛布なんかを少量置いてあるだけなのでちょうどよかったのだろう。
いちおう枕や毛布で僕の寝床らしいところも作られているので許すことにした。
「ここもあけといてやるから眠くなったらここで寝るんだぞ」
僕はにゃぁと答え鼻を腕につける。これはありがとうの意味だ。
「冷てえな。それじゃあ飯に戻るか」
そして笑いながらまた食堂に戻っていくのだった。
僕はその瞬間を逃さずにとっとっとと逃げ出す。
「ああ。いってしまった」
なんて少し落胆の声も聞こえるが、これ以上捕まっていては体がもたない。まったくひどいやつらだ。せめて何かくれるなら我慢のしようもあるのにと憤る。適当にすり抜けて誰もいない安全そうな机の下へ避難して時をやり過ごしていると
「猫はどこだー」
とやっとあの人間が帰ってきたようだ。にゃぁとないて所在を知らせる。
「おお。いたいた。いました。こっちです」
と誰かを連れてるようでその人を先導する。誰かなと覗くとラクエルだった。巨体だけあってここでも敬われてるのだなと感心する。
「外に出たがってたって聞いたぞ。この」
とラクエルは僕の頭を少し押す。にゃぁと抗議するがラクエルはまったく気にしない。
「人が多い所は苦手なんですかね?起きたらすぐ出ようとしたみたいです」
「うーん。魔物は気にしなさそうだけどな」
「この子は少し敏感なんのかもしれませんね」
魔物でも人間でも違う種族がこんなにいたら気が散るだろうに、まるで僕が軟弱みたいに言って失礼なことだ。
「まあ、それくらいの方がかわいいだろ。ここなら食事も楽だし、俺もよくいるからいいと思ったが、嫌がるなら外に出る扉だけ閉めて、ここは解放するか」
「そうですね。それがいいと思います」
ラクエルはよしっと言って僕を抱えてあの開かない扉の前へと行った。
「ちょっと待ってな」
となにやら扉に触れて唱えている。少しすると扉は小さくひかりまたすぐに消えた。
「ほれ。これであけれるはずだ。やってみ」
そう言って僕をおろして扉をたたく。
僕は本当かなと思いつつも、また前の手でぐーっと押してみる。
前回はまったく、手応えすら感じなかったのにすーっと動く。そしてそのまま開いてしまった。
驚いてにゃぁとなくとラクエルは鼻で笑う。
「ほら、これで出れるだろ。ついでに寝る部屋も教えてやるか。覚えろよ」
とまた僕を抱えて歩き出す。僕用に部屋まであるのかと少し喜んだが、着いてみるとただの備品庫だった。
まあ危ないものはない、布団や枕や毛布なんかを少量置いてあるだけなのでちょうどよかったのだろう。
いちおう枕や毛布で僕の寝床らしいところも作られているので許すことにした。
「ここもあけといてやるから眠くなったらここで寝るんだぞ」
僕はにゃぁと答え鼻を腕につける。これはありがとうの意味だ。
「冷てえな。それじゃあ飯に戻るか」
そして笑いながらまた食堂に戻っていくのだった。
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