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供物の章
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クロと名付けられた男が風呂に入れて体を洗ってやると、シロツメクサと名付けられた娘の頬は、一種の光沢を帯びた。クロと名付けられた男は、丁寧だが危なげな手つきで、シロツメクサと名付けられた娘の、濡れた髪を拭っていた。シロツメクサと名付けられた娘の髪は、濡れると、鴉の羽のように黒々として見えた。
シロツメクサと名付けられた娘は、クロと名付けられた男の布団で眠った。今日は俺がいるからかと思ったが、シロツメクサと名付けられた娘が来てから、ずっと、そういうならわしなのだという。最初のとき、シロツメクサと名付けられる前の娘の為に、クロと名付けられる前の男は別の布団を敷いたが、シロツメクサと名付けられる前の娘は、その中に入ろうとしなかった。用意した布団が気に入らないのだろうかとも思ったが、そのままにしておくと、部屋の隅に、固められたように丸くなって、横になった。クロと名付けられる前の男は、シロツメクサと名付けられる前の娘の体を抱いて、自分の布団の中に入れた。硬くなって、容易に解れそうにない、シロツメクサと名付けられる前の娘の体を、どうやって抱きあげればいいのか、少し、迷った。
「子どもを抱いて、眠ったことがありません」
クロはそう言って、茫洋とした表情をした。
「もしかしたら、そういうこともあったかもしれませんが、覚えていません」
あったことにしろ、なかったことにしろ、遠いことなのだ。
しかし、布団の中で、シロツメクサと名付けられる前の娘の、小さな体を囲うと、思ったよりは、馴染んだ。シロツメクサと名付けられる前の娘の方からも、クロと名付けられる前の男の体に、自ら馴染もうとするかのようだった。しかし、表面は和らいでいるように感じられても、その奥にある芯の方は硬く、馴染まない。
「なかなか、馴染まないものです」
クロと名付けられた男は、言った。腕の中で、何かの苦行に耐えているかのようにじっと硬くなっている、シロツメクサと名付けられた娘を見つめようとしながら、少し、途方に暮れているらしかった。
「この子が私に馴染まないのでしょうか。私がこの子に、馴染まないのでしょうか」
俺には分からないことだった。
俺は、シロツメクサと名付けられる前の娘が眠ろうとしなかった、布団の中で目を閉じた。手の届く距離に、互いに名前を与え合った二人が、互いに馴染もうとするかのようにしながら、馴染むことができずに、眠っていた。怯えているわけでも、恐れているわけでも、疎んでいるわけでもない。初めて見た果実を撫でたり、眺めたりするように、ただそこにいることを、確かめている。
妙だな、と思った。妙、ということは分かったが、何が妙であるかは、よく分からなかった。全てが妙で、自然のことだった。自然であることが、妙にも感じられた。振り返って、過去があって、それが今に続いていることが、妙だった。
少し前――といっても、俺たちのようなものにとっての、少し前、ではあったが――俺の隣にも、眠る女がいた。手を伸ばせば繋げる距離に、眠る女がいた。懐かしい、と思った。
クロと名付けられた男は、安らかに眠っているようだった。もっとも、クロと名付けられる前から、どんなところでも容易に眠る男だった。野宿も、平気でした。眠っている間に夜盗にものを剥ぎ取られても、気が付かなかったこともあったが、幾年かすれば、そんなことも笑い話になった。
シロツメクサと名付けられた娘も、今は眠っているが、以前はどうだったか分からない。この家に棲んでいただけの、神通力も持たない男に供物として捧げられてから、少しは、馴染んだのだろうか。
この家に、か。クロと名付けられた男に、か。
名前を与え合って、二人は近づいたのだろうか。
どうして、名前をつけてやれ、などと言ったのか。
俺は、横たわった布団の中で目を開けたまま、両手を頭の後ろで組んで、考えた。ふっと思いついた、気まぐれにしか思われなかった。クロと名付けられた男が言っていたように、名前がなくても、二人はそれほど困らなかっただろう。二人しかいない家なのだから、おい、とか、お前、とか、少し声を上げれば、分かるはずだった。俺だって、クロと名付けられた男が、クロと名付けられる前は、おい、とか、お前、とか、いい加減な呼び方をしていた。それで、通じていた。一度では通じなくても、何度か呼びかけていれば、クロと名付けられる前の男は、私ですか、と、振り返った。シロツメクサと名付けられる前の娘だって、畳を叩いて、通じた。クロと名付けられた男が、名前など必要ない、という主張を、もっと強くすれば良かったかもしれない、と半ば八つ当たり気味に思った。しかし、何かを強く主張して通す、ということを知らない男だということを思い出して、何だか力が抜けてしまった。右が良いだろうと言われれば、そうかもしれない、と頷く男で、いや左が良いだろうといわれれば、なるほどと、これにも頷く男なのだ。
腹の奥に沈めたものが、もやもやと肥大していくのを感じた。何だろうと思って、顔を顰めた。それが、内側で浮遊しようとするのが、気持ち悪い。クロと名付けられた男への、八つ当たりだろうか。しかし、名前をつけてやれ、と言ったのは、事実俺で、それでクロと名付けられた男と、シロツメクサと名付けられた娘が近づいたのなら、仕方ない。寝返りを打って、もやもやとするものを沈めた。
ごそり、と衣擦れのような音がした。ごそり、ごそり、と暫くの間身を捩るような気配がした。鼠かと思われた。クロと名付けられる前の男が、以前棲んでいた場所で、鼠を手懐けようとしていたと語っていたのを、思い出したのである。クロと名付けられる前の男は、鼠に餌を与えようとしたこともあれば、芸を教え込もうとしたこともあるという。しかし、鼠は与えられようとする餌には近づこうとせず、お手もおかわりもしなかった。
鼠にしては重く、ゆったりとした、ごそり、という音に聞こえた。眠りかかろうとしながら、再び、何だろう、と、思った。何をしようとしているのだろう、とも思った。
ごそり、という音に、湿った音が混ざり始めた。それは高く、鋭くなるときもあれば、低く、緩くなるときもあった。風の音にも似ているようだったが、俺は寧ろ、以前見た、砂浜に寄せては返す、波を思い出した。波は、緩やかで、時々、激しくなった。シロツメクサと名付けられた娘が、泣いているのだと、思われた。寄せては返す、波のように、泣いているのだ。
シロツメクサと名付けられた娘が泣いていた時間は、ほんの少しの間だっただろう。啜り泣く音は、一瞬、波打つように、大きく、激しくなったかと思ったら、段々と小さくなって、安らかな寝息に変わった。その音は、クロと名付けられた男を、起こさなかったようだった。
痛んでいた。
どこが痛むのか、何故痛むのか分からないまま、ただ、痛かった。冷たいもので、さほどきつくもなく締められているようだった。そして、苦しかった。遠くから、ヒタヒタと追ってくるものを感じた。恐ろしいものが、追いかけてくるのではない。懐かしいものが、追いかけてくるのだった。
俺は、家を出た。
大きく、重く、迫ってくるものは、過去かと思われた。
温い夜だった。土の感触が、足に馴染まなかった。風に揺れる葉の音も、どこか遠くで鳴く獣の声も、俺には馴染まなかった。クロと名付けられた男は、よくこんなところに馴染むものだと思った。のしかかるような夜空に、星が瞬いていた。
暗くはない。寂しくもない。辛くもない。
ただ、痛かった。懐かしいものが、痛みを与えるのだった。
追いかけてくるものは懐かしいものだったが、痛みを懐かしいとは、思わなかった。
そういうものだった。
供物として捧げられた娘は、大抵は、嫁を欲しがっている同族のところに嫁がせるか、遠くの人里へ逃がしてやった。逃げた娘たちが、どんな生活をして、どんな苦労をして、不幸になっているのか、或いは、幸せになっているのかは確かめようがなかった。わざわざ、確かめようと思うほどの、情もなかった。ただ、同族に嫁がせた娘らの消息は、時々知れた。色々あって、人里に帰った娘もいれば、嫁いだ場所で、老いさらばえて死んだ娘もいた。中には、嫁いだ夫に近い姿かたちと、性質を持った娘もいた。
俺の妻と呼ばれた女は、老いさらばえて、死んだ。俺は死んだ女の体を、自らの手で、土の下に埋めた。
色鮮やかに残る思い出もあれば、色あせた記憶もあった。ただ、俺の傍にいて、妻と呼ばれた女はもういない。
俺と同族になるかと訊いたとき、女は笑って、首を横に振った。その方が良いと言うのなら、それも良かろう、と思われた。死ぬことには死ぬなりの苦痛があるだろうが、ただ長く生きるのにも、それなりの苦痛があった。
年老いて、真っ白くなった頭の中に、皺くちゃに萎んだ顔が、俺に強いものを刻みつけようとするかのようだった。今にも、消えてしまいそうだったのに。
シロツメクサと名付けられた娘は、クロと名付けられた男の布団で眠った。今日は俺がいるからかと思ったが、シロツメクサと名付けられた娘が来てから、ずっと、そういうならわしなのだという。最初のとき、シロツメクサと名付けられる前の娘の為に、クロと名付けられる前の男は別の布団を敷いたが、シロツメクサと名付けられる前の娘は、その中に入ろうとしなかった。用意した布団が気に入らないのだろうかとも思ったが、そのままにしておくと、部屋の隅に、固められたように丸くなって、横になった。クロと名付けられる前の男は、シロツメクサと名付けられる前の娘の体を抱いて、自分の布団の中に入れた。硬くなって、容易に解れそうにない、シロツメクサと名付けられる前の娘の体を、どうやって抱きあげればいいのか、少し、迷った。
「子どもを抱いて、眠ったことがありません」
クロはそう言って、茫洋とした表情をした。
「もしかしたら、そういうこともあったかもしれませんが、覚えていません」
あったことにしろ、なかったことにしろ、遠いことなのだ。
しかし、布団の中で、シロツメクサと名付けられる前の娘の、小さな体を囲うと、思ったよりは、馴染んだ。シロツメクサと名付けられる前の娘の方からも、クロと名付けられる前の男の体に、自ら馴染もうとするかのようだった。しかし、表面は和らいでいるように感じられても、その奥にある芯の方は硬く、馴染まない。
「なかなか、馴染まないものです」
クロと名付けられた男は、言った。腕の中で、何かの苦行に耐えているかのようにじっと硬くなっている、シロツメクサと名付けられた娘を見つめようとしながら、少し、途方に暮れているらしかった。
「この子が私に馴染まないのでしょうか。私がこの子に、馴染まないのでしょうか」
俺には分からないことだった。
俺は、シロツメクサと名付けられる前の娘が眠ろうとしなかった、布団の中で目を閉じた。手の届く距離に、互いに名前を与え合った二人が、互いに馴染もうとするかのようにしながら、馴染むことができずに、眠っていた。怯えているわけでも、恐れているわけでも、疎んでいるわけでもない。初めて見た果実を撫でたり、眺めたりするように、ただそこにいることを、確かめている。
妙だな、と思った。妙、ということは分かったが、何が妙であるかは、よく分からなかった。全てが妙で、自然のことだった。自然であることが、妙にも感じられた。振り返って、過去があって、それが今に続いていることが、妙だった。
少し前――といっても、俺たちのようなものにとっての、少し前、ではあったが――俺の隣にも、眠る女がいた。手を伸ばせば繋げる距離に、眠る女がいた。懐かしい、と思った。
クロと名付けられた男は、安らかに眠っているようだった。もっとも、クロと名付けられる前から、どんなところでも容易に眠る男だった。野宿も、平気でした。眠っている間に夜盗にものを剥ぎ取られても、気が付かなかったこともあったが、幾年かすれば、そんなことも笑い話になった。
シロツメクサと名付けられた娘も、今は眠っているが、以前はどうだったか分からない。この家に棲んでいただけの、神通力も持たない男に供物として捧げられてから、少しは、馴染んだのだろうか。
この家に、か。クロと名付けられた男に、か。
名前を与え合って、二人は近づいたのだろうか。
どうして、名前をつけてやれ、などと言ったのか。
俺は、横たわった布団の中で目を開けたまま、両手を頭の後ろで組んで、考えた。ふっと思いついた、気まぐれにしか思われなかった。クロと名付けられた男が言っていたように、名前がなくても、二人はそれほど困らなかっただろう。二人しかいない家なのだから、おい、とか、お前、とか、少し声を上げれば、分かるはずだった。俺だって、クロと名付けられた男が、クロと名付けられる前は、おい、とか、お前、とか、いい加減な呼び方をしていた。それで、通じていた。一度では通じなくても、何度か呼びかけていれば、クロと名付けられる前の男は、私ですか、と、振り返った。シロツメクサと名付けられる前の娘だって、畳を叩いて、通じた。クロと名付けられた男が、名前など必要ない、という主張を、もっと強くすれば良かったかもしれない、と半ば八つ当たり気味に思った。しかし、何かを強く主張して通す、ということを知らない男だということを思い出して、何だか力が抜けてしまった。右が良いだろうと言われれば、そうかもしれない、と頷く男で、いや左が良いだろうといわれれば、なるほどと、これにも頷く男なのだ。
腹の奥に沈めたものが、もやもやと肥大していくのを感じた。何だろうと思って、顔を顰めた。それが、内側で浮遊しようとするのが、気持ち悪い。クロと名付けられた男への、八つ当たりだろうか。しかし、名前をつけてやれ、と言ったのは、事実俺で、それでクロと名付けられた男と、シロツメクサと名付けられた娘が近づいたのなら、仕方ない。寝返りを打って、もやもやとするものを沈めた。
ごそり、と衣擦れのような音がした。ごそり、ごそり、と暫くの間身を捩るような気配がした。鼠かと思われた。クロと名付けられる前の男が、以前棲んでいた場所で、鼠を手懐けようとしていたと語っていたのを、思い出したのである。クロと名付けられる前の男は、鼠に餌を与えようとしたこともあれば、芸を教え込もうとしたこともあるという。しかし、鼠は与えられようとする餌には近づこうとせず、お手もおかわりもしなかった。
鼠にしては重く、ゆったりとした、ごそり、という音に聞こえた。眠りかかろうとしながら、再び、何だろう、と、思った。何をしようとしているのだろう、とも思った。
ごそり、という音に、湿った音が混ざり始めた。それは高く、鋭くなるときもあれば、低く、緩くなるときもあった。風の音にも似ているようだったが、俺は寧ろ、以前見た、砂浜に寄せては返す、波を思い出した。波は、緩やかで、時々、激しくなった。シロツメクサと名付けられた娘が、泣いているのだと、思われた。寄せては返す、波のように、泣いているのだ。
シロツメクサと名付けられた娘が泣いていた時間は、ほんの少しの間だっただろう。啜り泣く音は、一瞬、波打つように、大きく、激しくなったかと思ったら、段々と小さくなって、安らかな寝息に変わった。その音は、クロと名付けられた男を、起こさなかったようだった。
痛んでいた。
どこが痛むのか、何故痛むのか分からないまま、ただ、痛かった。冷たいもので、さほどきつくもなく締められているようだった。そして、苦しかった。遠くから、ヒタヒタと追ってくるものを感じた。恐ろしいものが、追いかけてくるのではない。懐かしいものが、追いかけてくるのだった。
俺は、家を出た。
大きく、重く、迫ってくるものは、過去かと思われた。
温い夜だった。土の感触が、足に馴染まなかった。風に揺れる葉の音も、どこか遠くで鳴く獣の声も、俺には馴染まなかった。クロと名付けられた男は、よくこんなところに馴染むものだと思った。のしかかるような夜空に、星が瞬いていた。
暗くはない。寂しくもない。辛くもない。
ただ、痛かった。懐かしいものが、痛みを与えるのだった。
追いかけてくるものは懐かしいものだったが、痛みを懐かしいとは、思わなかった。
そういうものだった。
供物として捧げられた娘は、大抵は、嫁を欲しがっている同族のところに嫁がせるか、遠くの人里へ逃がしてやった。逃げた娘たちが、どんな生活をして、どんな苦労をして、不幸になっているのか、或いは、幸せになっているのかは確かめようがなかった。わざわざ、確かめようと思うほどの、情もなかった。ただ、同族に嫁がせた娘らの消息は、時々知れた。色々あって、人里に帰った娘もいれば、嫁いだ場所で、老いさらばえて死んだ娘もいた。中には、嫁いだ夫に近い姿かたちと、性質を持った娘もいた。
俺の妻と呼ばれた女は、老いさらばえて、死んだ。俺は死んだ女の体を、自らの手で、土の下に埋めた。
色鮮やかに残る思い出もあれば、色あせた記憶もあった。ただ、俺の傍にいて、妻と呼ばれた女はもういない。
俺と同族になるかと訊いたとき、女は笑って、首を横に振った。その方が良いと言うのなら、それも良かろう、と思われた。死ぬことには死ぬなりの苦痛があるだろうが、ただ長く生きるのにも、それなりの苦痛があった。
年老いて、真っ白くなった頭の中に、皺くちゃに萎んだ顔が、俺に強いものを刻みつけようとするかのようだった。今にも、消えてしまいそうだったのに。
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