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そう言われイーファはしばらく沈黙し、オルヘルスを見つめ返しため息をついた。
「仕方ない。今回だけだぞ」
その一言にオルヘルスは嬉しさのあまりイーファに抱きつく。
「お兄様、ありがとう!!」
すると、イーファは困惑したような照れくさそうな顔をした。
「こら、やめないか」
「ごめんなさい。では、グランツ様がお帰りになったらお兄様にお知らせしますわね」
それを聞いてイーファは苦笑すると、オルヘルスの頭をなでた。
「近くにいる。なにかあれば大声をだせ」
「なにかなんて、ありえませんわ」
オルヘルスはそう答えるとグランツに駆け寄り、庭へ案内した。
手をつないで無言で少し歩いたあと、ガゼボに並んで座るとオルヘルスは言った。
「グランツ様、お久しぶりですわ。と言っても婚約をしてから、まだ二週間しかたっておりませんけれど」
「そうだな、私も会えない時間が長く感じた。君に会いたくて仕方がなかった」
それを聞いて、オルヘルスは一瞬で顔を赤くするとうつむきいて小さな声で言った。
「あの、私も、とってもとってもグランツ様にお会いしたかったですわ……」
すると、グランツは呟く。
「それは反則だ……。あぁ、なんて愛おしいんだ」
「えっ? それは鬱陶しい?」
「違う、愛おしいと言ったんだ。鬱陶しいわけなどあるはずがない。今すぐにでも君を王宮に連れて帰って、そのまま一生誰の目にも晒さないようにしてしまいたい」
オルヘルスはグランツの勢いに圧倒され、一瞬呆気に取られた。そんなオルヘルスを見てグランツは我に返ると言った。
「すまない、つい本音を言ってしまった。君を驚かせてしまったようだ」
オルヘルスは徐々に言われた内容を理解すると、恥ずかしさから困惑しなからもなんとか答える。
「わ、私もグランツ様にそうされたいといったような願望を持ち合わせてまいりましたので、い、いたく光栄に存じますわ……」
それを聞いてグランツは嬉しそうに目を見開いて言った。
「そうか、君もそう考えていたのか。それはよかった。これからは気持ちを隠さずに伝えよう」
「えっ、いえ、恥ずかしいので、ほどほどで……」
そこでお互いになんとなく恥ずかしくなり、しばらく沈黙が続いたあとグランツが口を開いた。
「ところで、私と会えないあいだにまたアリネアが接触してきたそうじゃないか」
それを聞いて驚いて顔を上げる。アリネアが接触してきたといっても、お茶会でたったの数分程度だったし、それもつい先日の出来事だ。
「もうご存じでしたのね? その話しは私のお兄様から?」
グランツは苦笑し首を横にふる。
「いや、彼女の行動は奇異すぎて社交界でも噂になっている。私の耳に入るのに、さほど時間がかからないぐらいに」
オルヘルスはそれを聞いて、先日のお茶会でのアリネアを思い出す。あの場にいたほぼ全員がアリネアの行動に不快感を覚えた様子だった。
「確かにそのとおりですわね」
「だろう? だが、今回は君が立派に対処したと聞いている。大切な君を守れなかったのは悔しいが、それを聞いて私も誇らしくなったぐらいだ」
「大切な君だなんて……」
その言葉にオルヘルスは再度顔を赤くするとうつむいた。
「何度でも恥じらう君は、本当に愛らしいな。そんな君を知れば誰しもが虜になってしまうだろう。本当に私は気が気じゃない」
「そ、そんなことはありませんわ! そ、そうでしたわ、私そういえばグランツ様に訊いておきたいことがありますの」
恥ずかしさから、オルヘルスはそう言って強引に話題を変えた。
「なんだ? 君の質問にならなんでも答えるが?」
「はい。先日、お父様から叙爵の本当の経緯を聞きましたの」
「では、君の曾祖母が精霊だということは?」
「はい、聞きましたわ。それで特殊な能力があることも」
「そうか、では私とのことも詳しく聞いたのだな」
オルヘルスはなんのことかわからず、グランツの顔を見つめた。
「グランツ様とのこと、とは? そういえば、お父様は詳しいことはグランツ様にお訊きしろと言っていましたわ。一体なんのことですの?」
「そうか、ステフはそこまで話さなかったのだな」
そう言うと、グランツがオルヘルスを真剣な眼差しで見つめてきたので、ドキリとして目を逸らした。
「君のお陰で私はこうして生きていられるのだよ」
その台詞に驚いてオルヘルスはグランツを見つめた。
「まさか、そんな。あり得ませんわ。だって、どうやって……。まさか、精霊の力で?」
「そうだ。君は幼かったからまったく覚えていないようだが、私は生まれたときから病弱な体質だった。何度も重い病気に罹っては治しを繰り返し、成人は迎えられないだろうと侍医に言われた」
「もしかして、それで国王陛下は私のお父様に?」
グランツはうなずくと続ける。
「あの日、侍医は今日が峠だろうと言った。父はステフにどうにかならないか相談したが、リートフェルト家で治癒能力を持つのは、そのとき君しかいなかった」
「でも、その力を使うと使用した側は回復できないとお父様は仰ってましたわ」
「だから、私の母も父も私のことをあきらめた。幼い君を犠牲にするわけにはいかないとね」
「そんな……」
「父は言っていた。父が泣いていると、ステフに連れてこられた君が父の頭を撫でて『泣かないで、大丈夫よ?』って言ったそうだ。そんな姿を見てとても犠牲になどできるはずがなかったと」
「『泣かないで、大丈夫よ?』って、お母様が泣いている私にいつも言ってくれていた言葉ですわ。泣いている国王陛下を見て、私はお母様を真似したんですのね」
「ステフも同じことを言っていた」
そう言って力なく微笑むと、グランツは話を続ける。
「私のことをあきらめるというのは両親にとっても苦渋の判断だったと思う。私もベッドの上で病気と戦いながら、ぼんやりと自分の運命を受け入れていた。そんなときに私の寝室に君はやってきた」
「殿下の寝室にですの?!」
「そうだ。私の寝室に入ってきた君は、どこからか踏み台を引っ張って来るとベッドの上に登って私の顔を上から覗き込んだ。そして『痛いの?』と訊いた。私は『痛くないが、辛い。そんな私を心配するお父様とお母様を見るのが辛い』と答えた」
それを聞いて、オルヘルスは子を思う両陛下の気持ちや、親を思う幼いグランツの気持ちを思って胸が締め付けられた。
「仕方ない。今回だけだぞ」
その一言にオルヘルスは嬉しさのあまりイーファに抱きつく。
「お兄様、ありがとう!!」
すると、イーファは困惑したような照れくさそうな顔をした。
「こら、やめないか」
「ごめんなさい。では、グランツ様がお帰りになったらお兄様にお知らせしますわね」
それを聞いてイーファは苦笑すると、オルヘルスの頭をなでた。
「近くにいる。なにかあれば大声をだせ」
「なにかなんて、ありえませんわ」
オルヘルスはそう答えるとグランツに駆け寄り、庭へ案内した。
手をつないで無言で少し歩いたあと、ガゼボに並んで座るとオルヘルスは言った。
「グランツ様、お久しぶりですわ。と言っても婚約をしてから、まだ二週間しかたっておりませんけれど」
「そうだな、私も会えない時間が長く感じた。君に会いたくて仕方がなかった」
それを聞いて、オルヘルスは一瞬で顔を赤くするとうつむきいて小さな声で言った。
「あの、私も、とってもとってもグランツ様にお会いしたかったですわ……」
すると、グランツは呟く。
「それは反則だ……。あぁ、なんて愛おしいんだ」
「えっ? それは鬱陶しい?」
「違う、愛おしいと言ったんだ。鬱陶しいわけなどあるはずがない。今すぐにでも君を王宮に連れて帰って、そのまま一生誰の目にも晒さないようにしてしまいたい」
オルヘルスはグランツの勢いに圧倒され、一瞬呆気に取られた。そんなオルヘルスを見てグランツは我に返ると言った。
「すまない、つい本音を言ってしまった。君を驚かせてしまったようだ」
オルヘルスは徐々に言われた内容を理解すると、恥ずかしさから困惑しなからもなんとか答える。
「わ、私もグランツ様にそうされたいといったような願望を持ち合わせてまいりましたので、い、いたく光栄に存じますわ……」
それを聞いてグランツは嬉しそうに目を見開いて言った。
「そうか、君もそう考えていたのか。それはよかった。これからは気持ちを隠さずに伝えよう」
「えっ、いえ、恥ずかしいので、ほどほどで……」
そこでお互いになんとなく恥ずかしくなり、しばらく沈黙が続いたあとグランツが口を開いた。
「ところで、私と会えないあいだにまたアリネアが接触してきたそうじゃないか」
それを聞いて驚いて顔を上げる。アリネアが接触してきたといっても、お茶会でたったの数分程度だったし、それもつい先日の出来事だ。
「もうご存じでしたのね? その話しは私のお兄様から?」
グランツは苦笑し首を横にふる。
「いや、彼女の行動は奇異すぎて社交界でも噂になっている。私の耳に入るのに、さほど時間がかからないぐらいに」
オルヘルスはそれを聞いて、先日のお茶会でのアリネアを思い出す。あの場にいたほぼ全員がアリネアの行動に不快感を覚えた様子だった。
「確かにそのとおりですわね」
「だろう? だが、今回は君が立派に対処したと聞いている。大切な君を守れなかったのは悔しいが、それを聞いて私も誇らしくなったぐらいだ」
「大切な君だなんて……」
その言葉にオルヘルスは再度顔を赤くするとうつむいた。
「何度でも恥じらう君は、本当に愛らしいな。そんな君を知れば誰しもが虜になってしまうだろう。本当に私は気が気じゃない」
「そ、そんなことはありませんわ! そ、そうでしたわ、私そういえばグランツ様に訊いておきたいことがありますの」
恥ずかしさから、オルヘルスはそう言って強引に話題を変えた。
「なんだ? 君の質問にならなんでも答えるが?」
「はい。先日、お父様から叙爵の本当の経緯を聞きましたの」
「では、君の曾祖母が精霊だということは?」
「はい、聞きましたわ。それで特殊な能力があることも」
「そうか、では私とのことも詳しく聞いたのだな」
オルヘルスはなんのことかわからず、グランツの顔を見つめた。
「グランツ様とのこと、とは? そういえば、お父様は詳しいことはグランツ様にお訊きしろと言っていましたわ。一体なんのことですの?」
「そうか、ステフはそこまで話さなかったのだな」
そう言うと、グランツがオルヘルスを真剣な眼差しで見つめてきたので、ドキリとして目を逸らした。
「君のお陰で私はこうして生きていられるのだよ」
その台詞に驚いてオルヘルスはグランツを見つめた。
「まさか、そんな。あり得ませんわ。だって、どうやって……。まさか、精霊の力で?」
「そうだ。君は幼かったからまったく覚えていないようだが、私は生まれたときから病弱な体質だった。何度も重い病気に罹っては治しを繰り返し、成人は迎えられないだろうと侍医に言われた」
「もしかして、それで国王陛下は私のお父様に?」
グランツはうなずくと続ける。
「あの日、侍医は今日が峠だろうと言った。父はステフにどうにかならないか相談したが、リートフェルト家で治癒能力を持つのは、そのとき君しかいなかった」
「でも、その力を使うと使用した側は回復できないとお父様は仰ってましたわ」
「だから、私の母も父も私のことをあきらめた。幼い君を犠牲にするわけにはいかないとね」
「そんな……」
「父は言っていた。父が泣いていると、ステフに連れてこられた君が父の頭を撫でて『泣かないで、大丈夫よ?』って言ったそうだ。そんな姿を見てとても犠牲になどできるはずがなかったと」
「『泣かないで、大丈夫よ?』って、お母様が泣いている私にいつも言ってくれていた言葉ですわ。泣いている国王陛下を見て、私はお母様を真似したんですのね」
「ステフも同じことを言っていた」
そう言って力なく微笑むと、グランツは話を続ける。
「私のことをあきらめるというのは両親にとっても苦渋の判断だったと思う。私もベッドの上で病気と戦いながら、ぼんやりと自分の運命を受け入れていた。そんなときに私の寝室に君はやってきた」
「殿下の寝室にですの?!」
「そうだ。私の寝室に入ってきた君は、どこからか踏み台を引っ張って来るとベッドの上に登って私の顔を上から覗き込んだ。そして『痛いの?』と訊いた。私は『痛くないが、辛い。そんな私を心配するお父様とお母様を見るのが辛い』と答えた」
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