11 / 46
11
しおりを挟む
ダヴィドは話を聞くとしばらく動きを止め、ゆっくりとアレクサンドラの方へ向き直り顔をまじまじと見つめた。
「レックス、それ、本気で言ってるのか?」
「本気も本気。大真面目な話ですわ」
「でも、王子は……。いや、なんでもない。だが、なんでまたそのご令嬢と殿下を?」
そう言って出されたお茶に手をつける。
アレクサンドラは一瞬ダヴィドに全て話してしまおうか迷ったが、首を振ってその考えを打ち消す。
ダヴィドをそこまで巻き込みたくなかった。
「実は、殿下とシャトリエ侯爵令嬢はお互いに想い合っていらっしゃるの」
それを聞いたダヴィドは、口に含んでいたお茶を思い切り噴き出した。
「はぁ?! 王子が?!」
「ちょっと、汚いわね。ん、もう。それにしても、ダヴィドはこういうことに疎いのね。でも、殿下ご自身もまだ、その気持ちに気づいていらっしゃらないみたいだけど」
ダヴィドは頭を抱えた。
「なんでそんなことになってるんだ?」
「ダヴィド? そんなに心配しなくても、なにかあったときは私が殿下に説明するから大丈夫よ。それに、きっとあとで感謝されることになるわよ」
ダヴィドは、自信満々でそう答えるアレクサンドラをじっと見つめるとため息をついた。
「まったく、わかった。協力する。その代わりなにか計画するときは、事細かに嘘偽りなく俺にもその計画の内容を教えること。じゃないと協力できないからな」
「はいはい、わかってますわ。じゃあ早速なんだけど、シャトリエ侯爵令嬢を呼んで殿下とお茶会をする予定なの。そこで余興として宝探しをするつもり」
「ふ~ん、宝探しねぇ」
「そうよ、幸いこの屋敷の庭はとても広いもの。できると思うわ」
「で、その宝探しでなにをするんだ?」
「それはね……」
そう言ってアレクサンドラは計画の詳細を話した。
「なるほどな、わかった。協力する。だが、こんなの一回きりにしてくれよ?」
「ダヴィったら、そんなこと言わないでよ。できれば、二人がお互いの気持ちに気づくまでは協力して?」
「なに言ってんだよ。勘弁してくれ。じゃあ俺はもう帰るからな。お茶会とやらの日付が決まったら連絡してくれ」
そう言ってダヴィドはドアをゆっくり開けると、廊下に誰もいないか注意深く確認したあと、そっと部屋を出ていった。
「なにもあんなに警戒しなくていいのに……」
アレクサンドラはそう呟くと、お茶会の手筈を整えるべくさっそく動いた。
各々に招待状を送ると、アリスはすぐに参加するとの返事を寄越し、シルヴァンも二つ返事でこれを受けた。
お茶会当日、アレクサンドラが鼻歌を歌いながら最終確認をしていると、シルヴァンから声をかけられる。
「アレクサンドラ、楽しそうだね」
「殿下、はい。たまには息抜きもいいものですわ」
「そうだな。斯く言う僕も今日のお茶会を楽しみにしていた」
そう言って嬉しそうに微笑むシルヴァンを見て、アレクサンドラはこれはいい兆しかもしれないと思った。
「そうなんですの? それはよかったですわ。催し物をする予定もありますから、楽しみにしていてくださいませ」
そう言って微笑み返すと、サロンへ案内しシルヴァンには座って待つようにお願いした。
エントランスホールで、ダヴィドを慌てて捕まえるとアレクサンドラは耳打ちした。
「ダヴィ、今日はよろしくね」
すると、ダヴィドはサッとアレクサンドラから離れ周囲を見渡し小声で返す。
「わかった、わかったからそんなに近づくな」
「はいはい、承知しました。なんなのよ」
そこでセバスチャンがアリスが来たことを知らせ、アレクサンドラは慌ててアリスを出迎える。
「ようこそ、お待ちしていましたわシャトリエ侯爵令嬢」
「デュカス公爵令嬢、こちらこそ本日はお招きいただきありがとうございます」
そう挨拶をすると、アリスは周囲を見渡し不思議そうにアレクサンドラに尋ねる。
「あの、殿下は?」
「えっ? あ、殿下はサロンでお待ちいただいてますの。今案内いたしますわね」
そう答えると、アリスは少し残念そうな顔をしたが気を取り直したように言った。
「そうですの。では、改めてよろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
アレクサンドラはそう返すと歩き出す。
途中アリスがアレクサンドラに尋ねた。
「デュカス公爵令嬢、社交界では殿下とデュカス公爵令嬢が、その、婚約されるとの噂でもちきりでしたわ。お二人は婚約されますの?」
アレクサンドラは驚いて振り向くと、慌てて首を横に振った。
「まさか、私と殿下がだなんてありえませんわ。どこからそのような噂が流れたんでしょう」
「そうなんですの? それは残念ですわ。お二人はとてもお似合いですのに」
アリスはそう答えて複雑な表情をした。
「そんなことありませんわ、他のかたでお似合いのかたはいくらでもいらっしゃいますもの」
「そうでしょうか?」
そんなやり取りを経てサロンに入ると、シルヴァンは腕を組みソファに深く腰かけマイペースにくつろいでいる。
対してダヴィドは、ソファに申し訳なさそうに腰掛けていた。が、アリスを見つけるとすぐに立ち上がり頭を下げた。
アリスはまずシルヴァンに挨拶をし、次にダヴィドの方へ向き直り小首をかしげた。
アレクサンドラはそこでダヴィドをアリスに紹介する。
「彼の名前はダヴィド。私たち、今とても大きな計画に取り組んでいるのですけれど、彼はその計画の要ですわ」
その説明を聞いてアリスは目を見開くと、ダヴィドを見つめ優しく微笑んだ。
「ごきげんよう、ダヴィド。私、アリスと申しますわ」
すると、ダヴィドは緊張した面持ちで答える。
「は、はい。私はダヴィドと申します。モイズ村で大工家業を営んでおります」
「そうなんですのね、素敵ですわ。それにしても殿下やデュカス公爵令嬢と肩を並べていらっしゃるなんて、なかなかできることではありません。そんなかたとご一緒できるなんて、私も本当に光栄ですわ」
ダヴィドはそう言われ、照れくさそうに微笑んだ。
その様子を見て、アレクサンドラはアリスとダヴィドが仲良くできそうでほっとした。
「レックス、それ、本気で言ってるのか?」
「本気も本気。大真面目な話ですわ」
「でも、王子は……。いや、なんでもない。だが、なんでまたそのご令嬢と殿下を?」
そう言って出されたお茶に手をつける。
アレクサンドラは一瞬ダヴィドに全て話してしまおうか迷ったが、首を振ってその考えを打ち消す。
ダヴィドをそこまで巻き込みたくなかった。
「実は、殿下とシャトリエ侯爵令嬢はお互いに想い合っていらっしゃるの」
それを聞いたダヴィドは、口に含んでいたお茶を思い切り噴き出した。
「はぁ?! 王子が?!」
「ちょっと、汚いわね。ん、もう。それにしても、ダヴィドはこういうことに疎いのね。でも、殿下ご自身もまだ、その気持ちに気づいていらっしゃらないみたいだけど」
ダヴィドは頭を抱えた。
「なんでそんなことになってるんだ?」
「ダヴィド? そんなに心配しなくても、なにかあったときは私が殿下に説明するから大丈夫よ。それに、きっとあとで感謝されることになるわよ」
ダヴィドは、自信満々でそう答えるアレクサンドラをじっと見つめるとため息をついた。
「まったく、わかった。協力する。その代わりなにか計画するときは、事細かに嘘偽りなく俺にもその計画の内容を教えること。じゃないと協力できないからな」
「はいはい、わかってますわ。じゃあ早速なんだけど、シャトリエ侯爵令嬢を呼んで殿下とお茶会をする予定なの。そこで余興として宝探しをするつもり」
「ふ~ん、宝探しねぇ」
「そうよ、幸いこの屋敷の庭はとても広いもの。できると思うわ」
「で、その宝探しでなにをするんだ?」
「それはね……」
そう言ってアレクサンドラは計画の詳細を話した。
「なるほどな、わかった。協力する。だが、こんなの一回きりにしてくれよ?」
「ダヴィったら、そんなこと言わないでよ。できれば、二人がお互いの気持ちに気づくまでは協力して?」
「なに言ってんだよ。勘弁してくれ。じゃあ俺はもう帰るからな。お茶会とやらの日付が決まったら連絡してくれ」
そう言ってダヴィドはドアをゆっくり開けると、廊下に誰もいないか注意深く確認したあと、そっと部屋を出ていった。
「なにもあんなに警戒しなくていいのに……」
アレクサンドラはそう呟くと、お茶会の手筈を整えるべくさっそく動いた。
各々に招待状を送ると、アリスはすぐに参加するとの返事を寄越し、シルヴァンも二つ返事でこれを受けた。
お茶会当日、アレクサンドラが鼻歌を歌いながら最終確認をしていると、シルヴァンから声をかけられる。
「アレクサンドラ、楽しそうだね」
「殿下、はい。たまには息抜きもいいものですわ」
「そうだな。斯く言う僕も今日のお茶会を楽しみにしていた」
そう言って嬉しそうに微笑むシルヴァンを見て、アレクサンドラはこれはいい兆しかもしれないと思った。
「そうなんですの? それはよかったですわ。催し物をする予定もありますから、楽しみにしていてくださいませ」
そう言って微笑み返すと、サロンへ案内しシルヴァンには座って待つようにお願いした。
エントランスホールで、ダヴィドを慌てて捕まえるとアレクサンドラは耳打ちした。
「ダヴィ、今日はよろしくね」
すると、ダヴィドはサッとアレクサンドラから離れ周囲を見渡し小声で返す。
「わかった、わかったからそんなに近づくな」
「はいはい、承知しました。なんなのよ」
そこでセバスチャンがアリスが来たことを知らせ、アレクサンドラは慌ててアリスを出迎える。
「ようこそ、お待ちしていましたわシャトリエ侯爵令嬢」
「デュカス公爵令嬢、こちらこそ本日はお招きいただきありがとうございます」
そう挨拶をすると、アリスは周囲を見渡し不思議そうにアレクサンドラに尋ねる。
「あの、殿下は?」
「えっ? あ、殿下はサロンでお待ちいただいてますの。今案内いたしますわね」
そう答えると、アリスは少し残念そうな顔をしたが気を取り直したように言った。
「そうですの。では、改めてよろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
アレクサンドラはそう返すと歩き出す。
途中アリスがアレクサンドラに尋ねた。
「デュカス公爵令嬢、社交界では殿下とデュカス公爵令嬢が、その、婚約されるとの噂でもちきりでしたわ。お二人は婚約されますの?」
アレクサンドラは驚いて振り向くと、慌てて首を横に振った。
「まさか、私と殿下がだなんてありえませんわ。どこからそのような噂が流れたんでしょう」
「そうなんですの? それは残念ですわ。お二人はとてもお似合いですのに」
アリスはそう答えて複雑な表情をした。
「そんなことありませんわ、他のかたでお似合いのかたはいくらでもいらっしゃいますもの」
「そうでしょうか?」
そんなやり取りを経てサロンに入ると、シルヴァンは腕を組みソファに深く腰かけマイペースにくつろいでいる。
対してダヴィドは、ソファに申し訳なさそうに腰掛けていた。が、アリスを見つけるとすぐに立ち上がり頭を下げた。
アリスはまずシルヴァンに挨拶をし、次にダヴィドの方へ向き直り小首をかしげた。
アレクサンドラはそこでダヴィドをアリスに紹介する。
「彼の名前はダヴィド。私たち、今とても大きな計画に取り組んでいるのですけれど、彼はその計画の要ですわ」
その説明を聞いてアリスは目を見開くと、ダヴィドを見つめ優しく微笑んだ。
「ごきげんよう、ダヴィド。私、アリスと申しますわ」
すると、ダヴィドは緊張した面持ちで答える。
「は、はい。私はダヴィドと申します。モイズ村で大工家業を営んでおります」
「そうなんですのね、素敵ですわ。それにしても殿下やデュカス公爵令嬢と肩を並べていらっしゃるなんて、なかなかできることではありません。そんなかたとご一緒できるなんて、私も本当に光栄ですわ」
ダヴィドはそう言われ、照れくさそうに微笑んだ。
その様子を見て、アレクサンドラはアリスとダヴィドが仲良くできそうでほっとした。
219
あなたにおすすめの小説
殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし
さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。
だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。
魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。
変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。
二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
戦場から帰らぬ夫は、隣国の姫君に恋文を送っていました
Mag_Mel
恋愛
しばらく床に臥せていたエルマが久方ぶりに参加した祝宴で、隣国の姫君ルーシアは戦地にいるはずの夫ジェイミーの名を口にした。
「彼から恋文をもらっていますの」。
二年もの間、自分には便りひとつ届かなかったのに?
真実を確かめるため、エルマは姫君の茶会へと足を運ぶ。
そこで待っていたのは「身を引いて欲しい」と別れを迫る、ルーシアの取り巻きたちだった。
※小説家になろう様にも投稿しています
クズ男と決別した私の未来は輝いている。
カシスサワー
恋愛
五年間、幸は彼を信じ、支え続けてきた。
「会社が成功したら、祖父に紹介するつもりだ。それまで俺を支えて待っていてほしい。必ず幸と結婚するから」
そう、圭吾は約束した。
けれど――すべてが順調に進んでいるはずの今、幸が目にしたのは、圭吾の婚約の報せ。
問い詰めた幸に、圭吾は冷たく言い放つ。
「結婚相手は、それなりの家柄じゃないと祖父が納得しない。だから幸とは結婚できない。でも……愛人としてなら、そばに置いてやってもいい」
その瞬間、幸の中で、なにかがプチッと切れた。
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!
恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。
誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、
三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。
「キャ...ス...といっしょ?」
キャス……?
その名を知るはずのない我が子が、どうして?
胸騒ぎはやがて確信へと変わる。
夫が隠し続けていた“女の影”が、
じわりと家族の中に染み出していた。
だがそれは、いま目の前の裏切りではない。
学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。
その一夜の結果は、静かに、確実に、
フローレンスの家族を壊しはじめていた。
愛しているのに疑ってしまう。
信じたいのに、信じられない。
夫は嘘をつき続け、女は影のように
フローレンスの生活に忍び寄る。
──私は、この結婚を守れるの?
──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの?
秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。
真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる