22 / 46
22
しおりを挟む
「そ、そうでしたわ。私もとても困っているところでしたの。殿下もはぐれたとなると、きっとみんな心配していますわ。ガイドを探しに行きましょう」
アレクサンドラは慌てて立ち上がろうとしたが、シルヴァンが手を上げて制した。
「いや、この洞窟は迷路のようになっているとガイドも言っていた。ならば、ここから動かない方がいいだろう」
そう言って、彼は穏やかに微笑み、アレクサンドラに座るよう促すと、自分もその隣に腰を下ろした。
どうしてこう上手くいかないのだろう。
アレクサンドラは思わず息を吐いた。すべてが自分の思惑どおりに進まない。そんな様子を見ていたシルヴァンは、アレクサンドラの手にそっと自分の手を重ねた。
「レックス、心配しなくとも、必ずガイドが僕たちを見つけてくれる。大丈夫だ」
思ってもいなかった言葉に、アレクサンドラは慌てて取り繕う。
「え? えぇ、そうですわね。きっと見つけてもらえますわね」
作り笑顔を浮かべると、シルヴァンは穏やかに頷いた。
「ところで、ここにも土ボタルはいるのか?」
「もちろん、いますわ。でも、洞窟の奥の方がもっと多いと思いますけれど」
アレクサンドラが答えると、シルヴァンはランプの火をそっと吹き消した。
その様子を見て、シルヴァンの意図を理解したアレクサンドラは、そっと微笑むと自分のランプを吹き消した。
すると、目の前に幻想的な光景が広がった。天井から垂れ下がる土ボタルの淡い青い光が、洞窟の奥まで続いている。その下には地底湖があり、水面に反射した光がきらめいていた。
幼い頃に何度も見た光景だったが、それでも息を呑むほどの美しさにアレクサンドラは感嘆の声を漏らした。
「何度見ても、素晴らしいですわ。これほど美しい光景はありませんわね」
「僕も以前、土ボタルを見たことがあるが、何度見ても飽きない。本当に美しいと思う」
「そうでしたわね、殿下も見たことがあると仰ってましたわね」
「ああ。実は、僕にとって土ボタルは淡い初恋の思い出なんだ」
アレクサンドラは驚いてシルヴァンの顔を見た。彼の口から『初恋』などという言葉が出るとは思ってもみなかった。
「殿下の初恋……ですの?」
もしかすると、それは物語の中で読んだアリスとシルヴァンの幼い頃の思い出かもしれない。
「よろしければ、その女性のことをお聞かせいただけますか?」
「構わない」
そう答えると、シルヴァンはやわらかく微笑み、遠くを見つめた。
「その女性はとても世話焼きでね。当時、何もできなかった僕にいろいろと教えてくれた」
「ですが、殿下は王太子ですもの。ご自身でなにかをされる必要はありませんでしょう?」
「そうかもしれない。だが、僕はそれが嬉しかった」
「なぜですの?」
「僕を一人の人間として扱ってくれているように感じたんだ」
「そんな女性がいらしたのですね」
「それだけじゃない。強くて、たくましくて、高潔な女性だった。僕はそのすべてに魅了された」
「素敵ですわね。その方に私も会ってみたいですわ」
そう答えたものの、アリスはそんな女性だっただろうか? と不思議に思った。
シルヴァンはそんなアレクサンドラを見て苦笑した。
「そう思うのか?」
「えぇ。もちろんですわ。でも、一人の人間としてまっすぐ見てもらえるって、本当に素晴らしいことですわね」
そう言うと、アレクサンドラはモイズ村で過ごしていた頃の自分を思い出した。
「私も、ときどき『貴族令嬢』を演じるのが辛くなることがありますもの」
すると、シルヴァンは少し驚いたように眉を上げた。
「演じる……か。考えたことがなかったが、確かにそうだな。僕も、常に『王太子殿下』を演じているのかもしれない」
小さく息をつくと、彼は苦笑した。
「それでも、気づかぬうちに“素の自分”でいたいと願っていたのかもしれない」
そう言って、シルヴァンはアレクサンドラをまっすぐに見つめる。
土ボタルの青い光を反射したその瞳には、確かな熱が宿っていた。
「今、君の瞳にこの青が映っている。とても美しい。けれどその美しさは、いつか消えてしまいそうな儚さを秘めているようにも見える」
「殿下……」
胸の鼓動が高鳴った。モイズに来てからのシルヴァンは、以前の彼とはまるで違う。
アレクサンドラが戸惑っていると、シルヴァンは手を伸ばし、彼女の唇にそっと指先で触れた。
「レックス。今、僕は王太子としてではなく、ただの男として君の隣にいる。だから今だけでいい。名を呼んでくれないか」
その優しい眼差しに、アレクサンドラは戸惑いながらも言葉を絞り出した。
「殿下、一つお伺いしてもよろしいですか? 私が婚約候補を辞退したことを、お忘れになってはいませんか?」
シルヴァンはわずかに目を見開き、そして苦笑した。
「レックス。そのことについて話がある」
嫌な予感がして、アレクサンドラは身を固くする。
「あらたまって……一体どういうことですの?」
「まだ正式に、君が候補から外れたわけではない。それに、最終的に決めるのは僕だ」
「そんな……ですが、殿下」
「すまない。お願いだ。もう少しだけ、返事を待ってはくれないだろうか」
その真剣な声音に、アレクサンドラは息を詰めた。
「殿下、私のような者に、そのようにお願いされるなんて」
「では、僕の願いを聞いてくれるね?」
相手は王太子だ。ここまで言われては、拒むことなどできない。
「……わかりましたわ。その代わり、婚約候補から外すこともご一考くださいませ」
「わかった。では、今度こそ君の気が変わるよう、僕は努力してみるとしよう」
そう言うと、シルヴァンはアレクサンドラの手を取って自分の方へ引き寄せた。
不意を突かれたアレクサンドラはバランスを崩し、シルヴァンの胸へと倒れ込む。
「す、すみません!」
顔を上げると、シルヴァンが真っ直ぐに見つめ返していた。
「レックス。僕は君がほしい」
その言葉に、アレクサンドラの心臓が激しく鳴った。
アレクサンドラは慌てて立ち上がろうとしたが、シルヴァンが手を上げて制した。
「いや、この洞窟は迷路のようになっているとガイドも言っていた。ならば、ここから動かない方がいいだろう」
そう言って、彼は穏やかに微笑み、アレクサンドラに座るよう促すと、自分もその隣に腰を下ろした。
どうしてこう上手くいかないのだろう。
アレクサンドラは思わず息を吐いた。すべてが自分の思惑どおりに進まない。そんな様子を見ていたシルヴァンは、アレクサンドラの手にそっと自分の手を重ねた。
「レックス、心配しなくとも、必ずガイドが僕たちを見つけてくれる。大丈夫だ」
思ってもいなかった言葉に、アレクサンドラは慌てて取り繕う。
「え? えぇ、そうですわね。きっと見つけてもらえますわね」
作り笑顔を浮かべると、シルヴァンは穏やかに頷いた。
「ところで、ここにも土ボタルはいるのか?」
「もちろん、いますわ。でも、洞窟の奥の方がもっと多いと思いますけれど」
アレクサンドラが答えると、シルヴァンはランプの火をそっと吹き消した。
その様子を見て、シルヴァンの意図を理解したアレクサンドラは、そっと微笑むと自分のランプを吹き消した。
すると、目の前に幻想的な光景が広がった。天井から垂れ下がる土ボタルの淡い青い光が、洞窟の奥まで続いている。その下には地底湖があり、水面に反射した光がきらめいていた。
幼い頃に何度も見た光景だったが、それでも息を呑むほどの美しさにアレクサンドラは感嘆の声を漏らした。
「何度見ても、素晴らしいですわ。これほど美しい光景はありませんわね」
「僕も以前、土ボタルを見たことがあるが、何度見ても飽きない。本当に美しいと思う」
「そうでしたわね、殿下も見たことがあると仰ってましたわね」
「ああ。実は、僕にとって土ボタルは淡い初恋の思い出なんだ」
アレクサンドラは驚いてシルヴァンの顔を見た。彼の口から『初恋』などという言葉が出るとは思ってもみなかった。
「殿下の初恋……ですの?」
もしかすると、それは物語の中で読んだアリスとシルヴァンの幼い頃の思い出かもしれない。
「よろしければ、その女性のことをお聞かせいただけますか?」
「構わない」
そう答えると、シルヴァンはやわらかく微笑み、遠くを見つめた。
「その女性はとても世話焼きでね。当時、何もできなかった僕にいろいろと教えてくれた」
「ですが、殿下は王太子ですもの。ご自身でなにかをされる必要はありませんでしょう?」
「そうかもしれない。だが、僕はそれが嬉しかった」
「なぜですの?」
「僕を一人の人間として扱ってくれているように感じたんだ」
「そんな女性がいらしたのですね」
「それだけじゃない。強くて、たくましくて、高潔な女性だった。僕はそのすべてに魅了された」
「素敵ですわね。その方に私も会ってみたいですわ」
そう答えたものの、アリスはそんな女性だっただろうか? と不思議に思った。
シルヴァンはそんなアレクサンドラを見て苦笑した。
「そう思うのか?」
「えぇ。もちろんですわ。でも、一人の人間としてまっすぐ見てもらえるって、本当に素晴らしいことですわね」
そう言うと、アレクサンドラはモイズ村で過ごしていた頃の自分を思い出した。
「私も、ときどき『貴族令嬢』を演じるのが辛くなることがありますもの」
すると、シルヴァンは少し驚いたように眉を上げた。
「演じる……か。考えたことがなかったが、確かにそうだな。僕も、常に『王太子殿下』を演じているのかもしれない」
小さく息をつくと、彼は苦笑した。
「それでも、気づかぬうちに“素の自分”でいたいと願っていたのかもしれない」
そう言って、シルヴァンはアレクサンドラをまっすぐに見つめる。
土ボタルの青い光を反射したその瞳には、確かな熱が宿っていた。
「今、君の瞳にこの青が映っている。とても美しい。けれどその美しさは、いつか消えてしまいそうな儚さを秘めているようにも見える」
「殿下……」
胸の鼓動が高鳴った。モイズに来てからのシルヴァンは、以前の彼とはまるで違う。
アレクサンドラが戸惑っていると、シルヴァンは手を伸ばし、彼女の唇にそっと指先で触れた。
「レックス。今、僕は王太子としてではなく、ただの男として君の隣にいる。だから今だけでいい。名を呼んでくれないか」
その優しい眼差しに、アレクサンドラは戸惑いながらも言葉を絞り出した。
「殿下、一つお伺いしてもよろしいですか? 私が婚約候補を辞退したことを、お忘れになってはいませんか?」
シルヴァンはわずかに目を見開き、そして苦笑した。
「レックス。そのことについて話がある」
嫌な予感がして、アレクサンドラは身を固くする。
「あらたまって……一体どういうことですの?」
「まだ正式に、君が候補から外れたわけではない。それに、最終的に決めるのは僕だ」
「そんな……ですが、殿下」
「すまない。お願いだ。もう少しだけ、返事を待ってはくれないだろうか」
その真剣な声音に、アレクサンドラは息を詰めた。
「殿下、私のような者に、そのようにお願いされるなんて」
「では、僕の願いを聞いてくれるね?」
相手は王太子だ。ここまで言われては、拒むことなどできない。
「……わかりましたわ。その代わり、婚約候補から外すこともご一考くださいませ」
「わかった。では、今度こそ君の気が変わるよう、僕は努力してみるとしよう」
そう言うと、シルヴァンはアレクサンドラの手を取って自分の方へ引き寄せた。
不意を突かれたアレクサンドラはバランスを崩し、シルヴァンの胸へと倒れ込む。
「す、すみません!」
顔を上げると、シルヴァンが真っ直ぐに見つめ返していた。
「レックス。僕は君がほしい」
その言葉に、アレクサンドラの心臓が激しく鳴った。
176
あなたにおすすめの小説
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし
さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。
だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。
魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。
変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。
二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!
恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。
誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、
三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。
「キャ...ス...といっしょ?」
キャス……?
その名を知るはずのない我が子が、どうして?
胸騒ぎはやがて確信へと変わる。
夫が隠し続けていた“女の影”が、
じわりと家族の中に染み出していた。
だがそれは、いま目の前の裏切りではない。
学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。
その一夜の結果は、静かに、確実に、
フローレンスの家族を壊しはじめていた。
愛しているのに疑ってしまう。
信じたいのに、信じられない。
夫は嘘をつき続け、女は影のように
フローレンスの生活に忍び寄る。
──私は、この結婚を守れるの?
──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの?
秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。
真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
あなたの言うことが、すべて正しかったです
Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」
名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。
絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。
そして、運命の五年後。
リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。
*小説家になろうでも投稿中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる