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2.Born to sin.
第十九話
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それからと言うもの、ユリウスは一度も言葉を発することはなかった。
表情こそ変わるが、彼の意思を示すものはない。時折、彼がアレクセイに話しかけようとする様子はあるが、すぐに彼は喉を抑えていた。
アレクセイは前回の件から、彼の考えは急に変わらないと知っているため、それ以上は追及はしないようにしている。
じっくりと考えを変えてもらわないといけない。
彼は逃げようとすることはなかった。もしかすると、何か別の事を考えているかもしれない。
彼は戦場に行き、人に領地を譲るような算段を企てるような人だ。
まあ、何らかの手段をやられても追いかけて、彼の事を追い詰めて問いただすだけだとアレクセイは思っている。
アレクセイが今居るのはメアリから借りている個室。二つのシングルベッドが置かれ、中央には丸テーブルが置かれた簡素な部屋。
「ユリウスさん」
名を呼ぶ。彼は右側のベッド上ではっとしたようにアレクセイを見る。
彼の傍に腰を落とし、支えるように抱きしめれば、驚いた視線がこちらを見た。抱き心地はかなり良くなってきた。
「少し体重増えてきましたね」
彼の陶器のような肌に触れて、瓶に入った薬を見せてあげた。彼は納得したように雛鳥のように小さな口を少しだけ開けてくる。見える赤い舌。
素直すぎる彼にアレクセイはほんの少しだけイタズラ心が芽生える。
「失礼します」
その無抵抗な口元に軽いキスを送れば、彼が慌てたように目を見開く。胸元を叩かれ、そっと離れた。慌てたせいか、彼の口からよだれが零れている。
それをハンカチで拭えば、彼は口元を抑えて固まっていた。
「はは、顔が赤いですね」
顔を真っ赤に染め上げている彼に薬を差し出して、今度こそきちんと飲んでもらった。
ノックと同時に扉が開き、メアリが現れた。ユリウスが真っ赤な顔のまま俯いてしまう。アレクセイはユリウスから離れて彼女の元へ向かう。
「アレクセイ、すまないけど……」
「もうそんな時間ですね。行きます。ユリウスさん行ってきます」
真っ赤な顔のまま、枕を壁に投げつけられた。アレクセイは思わず笑ってしまう。
船のデッキに積まれた荷物をメアリの医務室へ運ぶ仕事。これは意外と重労働だった。
医薬品以外にもおむつやトイレットペーパー、服などの日用品も含まれている。
アレクセイが医療物資の運搬が終わる時だ。座り込んで検品作業を行っていると、頭上に影が差した。
敵意はなく慣れた視線だ。ユリウスさんだろうなと振り返れば、彼が傍にいた。
彼が一人でここまで歩いて来れた事に驚いた。少しだけ罪悪感を感じていそうな顔はしている。
「どうしました? 何か心配事でもありましたか?」
彼は何が喋ろうとしたが、それは言葉にならない。アレクセイは不思議に思う。
立ち上がって、彼を見つめる。すると、彼はぐいぐいとアレクセイの腕を引っ張りだした。
「ユリウスさん?」
彼に案内されたのは、船のデッキだ。
すっかり日が落ちて、オレンジ色の光がユリウスとアレクセイを照らしていた。懐かしい故郷の海だ。そういえば、ここに来てから、じっくりと海を眺めたのははじめてな事に気がつく。
アレクセイはこの海が大好きだった。
「綺麗ですね」
そして、ユリウスは一点を指さした。鯨だ。オレンジ色と黒の世界の境界線。
沖の方に鯨が見え、アレクセイは驚く。鯨は海水を高くあげて、そのまま潜水して消えた。呆然としていたアレクセイ。彼は声を発さず、アレクセイの様子を見て楽しそうに笑っていた。
「鯨なんて、なかなか見れたものじゃないですね」
彼は嬉しそうな表情で頷く。無邪気に笑う姿にアレクセイは不思議と穏やかな気持ちになった。
少し待っていたが、鯨は浮上してくることはない。海風が二人の頬を撫で駆け抜けていく。アレクセイは寒くなってきたことを感じ、傍に居た彼の肩を抱き寄せた。
驚いて顔を見上げてくる彼にアレクセイは思わず微笑んだ。
「そろそろ、寒くなります。戻りましょうか」
アレクセイが彼を抱き上げる。
少しだけ驚いた顔を見せた彼は口元だけで、離せと告げてくる。言葉にはならない。
あの時は普通に話していたのにと考えていれば、彼はふと不思議そうな顔をした。
そして、目を大きく見開いた。
「ユリウスさん?」
アレクセイが彼の視線の先を見る。
子供たちだった。
それだけなら、微笑ましく見れたかもしれない。
子供たちが鯨を見ようと海に身を乗り出したのだろう。防波堤の上に子供たちが並んでおり、海の中に落ちた子供へ腕を伸ばしている。
海に落ちた子供が手足を慌てて動かし、水しぶきをあげていた。子供は助けてと、叫んでいる。
腕の中で暴れ、そちらに行こうとしたユリウスを抑える。
「俺が行きます。ユリウスさんはここにいてください」とアレクセイは伝えた。
アレクセイは彼をデッキにおろして、剣を預ける。船から海の中に飛び込んだ。
海の水は冷たい。まだ雪解けから少ししか経っていない。
アレクセイは手を巧みに使って子供たちに向かって泳いだ。
「君たち!」
アレクセイが泳いで溺れている子供に近づけば、彼らは飴玉をあげた事を覚えていたらしい。
「飴玉のお兄さん!」
「友達が!」
「鯨を見ようとして、落ちちゃったの!」
「大人を呼んできてくれ! あと、丈夫な紐と炎の魔石を貰ってきてくれ!」
「わかった!」
子供たちがそれぞれ散っていき、二人の子供が残ってくれている。アレクセイはほっと息をつく。
波にさらわれていきそうな子供をなんとか回収し、上で見ていた子供たち数人に声をかけた。
アレクセイが防波堤に上がろうとするが、高波がそれを邪魔してしまう。
抱いていた子供はあまりの冷たさからか、泣くこともせず、がたがたと体を震わせていた。紫色の唇から寒いと繰り返し掠れた声で呟く。
そんな中、頭上からジャリッと砂を踏む音が響いた。思わず防波堤を見上げれば、戻ってきた子供たちの傍で呆れたと言わんばかりのユリウスがいた。
黒い猫耳フードと帽子をすっぽりと被り、髪色を見せないようにしている。
彼は頑丈な紐をビッドで固定し、その端を投げてくれた。アレクセイはそれをキャッチする。
そして、彼はアレクセイに手を差し出してきた。彼は言葉こそ口にしなかったが、口元だけで掴まれと言う。
「ユリウスさん、子供を頼めますか」
彼は頷くと子供を受け取り、素早くバスタオルで子供を包み込んだ。そして、奥の方に押しやる。子供たちが、すぐに海水で濡れて震える子供の傍に駆け寄っていく。そして、ユリウスはすぐにアレクセイへ手を向ける。
「すみません、踏ん張ってください!」
アレクセイは彼の手を握る。剣を握っているせいか、公爵だというのに彼の手は硬く、そして暖かい。
アレクセイは紐を活用しながら、ユリウスの力も借りて、何とか防波堤に足をつけた。
子供は無事だった。傍らにはメアリもいる。驚くアレクセイに彼女はウインクすした。
「こっちは任せな」
そして、アレクセイは子供に視線を移した。がたがたと震えている。目には涙をためており、ずぶ濡れのアレクセイに気がつくと泣き出した。それでも、震えながらも、子供はしっかりとした言葉で言った。
「あり、がとう……おにい、ちゃん」
アレクセイは「無事で良かった」とだけ伝えた。
頭に手を置いて撫でてやった。とても体が冷え切っており、傍に居たメアリがすぐに炎の魔石を使って、凍える子供を暖めている。
「助かった。ありがとよ」
「ありがとうございます。メアリさん」
それに安心していれば、体に悪寒が走った。
「ぶぇくっしゅ!」
すぐにユリウスがバスタオルをアレクセイにかけてきた。怪我はないかと言わんばかりにきょろきょろとアレクセイを見て、腕を掴みあげてくる。どうやら、陸に上がる際に岩で切ったらしい。切れてしまった部分から出血していた。
ユリウスは腰に預けていたアレクセイの剣でタオルを切ると、すぐに止血してくれた。
「これぐらい平気……ちょっと、ユリウスさん。濡れますよ」
彼は問答無用で腕を強く掴む。あまりの激痛に声を漏らす。彼はジト目でアレクセイを見つめていた。
「いても立ってもいられず。俺は泳げるので大丈夫ですよ。俺は丈夫ですから」
彼は呆れたと言わんばかりに手を離して、そして、そのまま抱きついてきた。
驚くアレクセイ。ユリウスは何も言わずに顔を埋めてきている。そのせいで、表情は読めなかった。
「ユリウスさん?」
「アレクセイ、あんたはユリウスを連れてそのまま船に戻ってな。私は子供たちを大人のところに連れて行くから。きちんと船で暖まりなよ。あと、ストーブつけておきな」
「ありがとうございます」
「それと、ユリウス。あんたは大切なものを遠ざけたくなるかもしれないけど、あんたが考えるほど、人の一生は長くないよ。手放すリスクって事を一度しっかり考えな」
二人とも船で暖まりなさいとメアリは言って、子供たちと街の中に消えていった。
「あの、ユリウスさん?」
しかし、彼は動かなかった。アレクセイは仕方ないと彼の腕を無理やり剥がすと、彼を抱えることにした。
それでも、頑なに顔は見せてくれなかった。
表情こそ変わるが、彼の意思を示すものはない。時折、彼がアレクセイに話しかけようとする様子はあるが、すぐに彼は喉を抑えていた。
アレクセイは前回の件から、彼の考えは急に変わらないと知っているため、それ以上は追及はしないようにしている。
じっくりと考えを変えてもらわないといけない。
彼は逃げようとすることはなかった。もしかすると、何か別の事を考えているかもしれない。
彼は戦場に行き、人に領地を譲るような算段を企てるような人だ。
まあ、何らかの手段をやられても追いかけて、彼の事を追い詰めて問いただすだけだとアレクセイは思っている。
アレクセイが今居るのはメアリから借りている個室。二つのシングルベッドが置かれ、中央には丸テーブルが置かれた簡素な部屋。
「ユリウスさん」
名を呼ぶ。彼は右側のベッド上ではっとしたようにアレクセイを見る。
彼の傍に腰を落とし、支えるように抱きしめれば、驚いた視線がこちらを見た。抱き心地はかなり良くなってきた。
「少し体重増えてきましたね」
彼の陶器のような肌に触れて、瓶に入った薬を見せてあげた。彼は納得したように雛鳥のように小さな口を少しだけ開けてくる。見える赤い舌。
素直すぎる彼にアレクセイはほんの少しだけイタズラ心が芽生える。
「失礼します」
その無抵抗な口元に軽いキスを送れば、彼が慌てたように目を見開く。胸元を叩かれ、そっと離れた。慌てたせいか、彼の口からよだれが零れている。
それをハンカチで拭えば、彼は口元を抑えて固まっていた。
「はは、顔が赤いですね」
顔を真っ赤に染め上げている彼に薬を差し出して、今度こそきちんと飲んでもらった。
ノックと同時に扉が開き、メアリが現れた。ユリウスが真っ赤な顔のまま俯いてしまう。アレクセイはユリウスから離れて彼女の元へ向かう。
「アレクセイ、すまないけど……」
「もうそんな時間ですね。行きます。ユリウスさん行ってきます」
真っ赤な顔のまま、枕を壁に投げつけられた。アレクセイは思わず笑ってしまう。
船のデッキに積まれた荷物をメアリの医務室へ運ぶ仕事。これは意外と重労働だった。
医薬品以外にもおむつやトイレットペーパー、服などの日用品も含まれている。
アレクセイが医療物資の運搬が終わる時だ。座り込んで検品作業を行っていると、頭上に影が差した。
敵意はなく慣れた視線だ。ユリウスさんだろうなと振り返れば、彼が傍にいた。
彼が一人でここまで歩いて来れた事に驚いた。少しだけ罪悪感を感じていそうな顔はしている。
「どうしました? 何か心配事でもありましたか?」
彼は何が喋ろうとしたが、それは言葉にならない。アレクセイは不思議に思う。
立ち上がって、彼を見つめる。すると、彼はぐいぐいとアレクセイの腕を引っ張りだした。
「ユリウスさん?」
彼に案内されたのは、船のデッキだ。
すっかり日が落ちて、オレンジ色の光がユリウスとアレクセイを照らしていた。懐かしい故郷の海だ。そういえば、ここに来てから、じっくりと海を眺めたのははじめてな事に気がつく。
アレクセイはこの海が大好きだった。
「綺麗ですね」
そして、ユリウスは一点を指さした。鯨だ。オレンジ色と黒の世界の境界線。
沖の方に鯨が見え、アレクセイは驚く。鯨は海水を高くあげて、そのまま潜水して消えた。呆然としていたアレクセイ。彼は声を発さず、アレクセイの様子を見て楽しそうに笑っていた。
「鯨なんて、なかなか見れたものじゃないですね」
彼は嬉しそうな表情で頷く。無邪気に笑う姿にアレクセイは不思議と穏やかな気持ちになった。
少し待っていたが、鯨は浮上してくることはない。海風が二人の頬を撫で駆け抜けていく。アレクセイは寒くなってきたことを感じ、傍に居た彼の肩を抱き寄せた。
驚いて顔を見上げてくる彼にアレクセイは思わず微笑んだ。
「そろそろ、寒くなります。戻りましょうか」
アレクセイが彼を抱き上げる。
少しだけ驚いた顔を見せた彼は口元だけで、離せと告げてくる。言葉にはならない。
あの時は普通に話していたのにと考えていれば、彼はふと不思議そうな顔をした。
そして、目を大きく見開いた。
「ユリウスさん?」
アレクセイが彼の視線の先を見る。
子供たちだった。
それだけなら、微笑ましく見れたかもしれない。
子供たちが鯨を見ようと海に身を乗り出したのだろう。防波堤の上に子供たちが並んでおり、海の中に落ちた子供へ腕を伸ばしている。
海に落ちた子供が手足を慌てて動かし、水しぶきをあげていた。子供は助けてと、叫んでいる。
腕の中で暴れ、そちらに行こうとしたユリウスを抑える。
「俺が行きます。ユリウスさんはここにいてください」とアレクセイは伝えた。
アレクセイは彼をデッキにおろして、剣を預ける。船から海の中に飛び込んだ。
海の水は冷たい。まだ雪解けから少ししか経っていない。
アレクセイは手を巧みに使って子供たちに向かって泳いだ。
「君たち!」
アレクセイが泳いで溺れている子供に近づけば、彼らは飴玉をあげた事を覚えていたらしい。
「飴玉のお兄さん!」
「友達が!」
「鯨を見ようとして、落ちちゃったの!」
「大人を呼んできてくれ! あと、丈夫な紐と炎の魔石を貰ってきてくれ!」
「わかった!」
子供たちがそれぞれ散っていき、二人の子供が残ってくれている。アレクセイはほっと息をつく。
波にさらわれていきそうな子供をなんとか回収し、上で見ていた子供たち数人に声をかけた。
アレクセイが防波堤に上がろうとするが、高波がそれを邪魔してしまう。
抱いていた子供はあまりの冷たさからか、泣くこともせず、がたがたと体を震わせていた。紫色の唇から寒いと繰り返し掠れた声で呟く。
そんな中、頭上からジャリッと砂を踏む音が響いた。思わず防波堤を見上げれば、戻ってきた子供たちの傍で呆れたと言わんばかりのユリウスがいた。
黒い猫耳フードと帽子をすっぽりと被り、髪色を見せないようにしている。
彼は頑丈な紐をビッドで固定し、その端を投げてくれた。アレクセイはそれをキャッチする。
そして、彼はアレクセイに手を差し出してきた。彼は言葉こそ口にしなかったが、口元だけで掴まれと言う。
「ユリウスさん、子供を頼めますか」
彼は頷くと子供を受け取り、素早くバスタオルで子供を包み込んだ。そして、奥の方に押しやる。子供たちが、すぐに海水で濡れて震える子供の傍に駆け寄っていく。そして、ユリウスはすぐにアレクセイへ手を向ける。
「すみません、踏ん張ってください!」
アレクセイは彼の手を握る。剣を握っているせいか、公爵だというのに彼の手は硬く、そして暖かい。
アレクセイは紐を活用しながら、ユリウスの力も借りて、何とか防波堤に足をつけた。
子供は無事だった。傍らにはメアリもいる。驚くアレクセイに彼女はウインクすした。
「こっちは任せな」
そして、アレクセイは子供に視線を移した。がたがたと震えている。目には涙をためており、ずぶ濡れのアレクセイに気がつくと泣き出した。それでも、震えながらも、子供はしっかりとした言葉で言った。
「あり、がとう……おにい、ちゃん」
アレクセイは「無事で良かった」とだけ伝えた。
頭に手を置いて撫でてやった。とても体が冷え切っており、傍に居たメアリがすぐに炎の魔石を使って、凍える子供を暖めている。
「助かった。ありがとよ」
「ありがとうございます。メアリさん」
それに安心していれば、体に悪寒が走った。
「ぶぇくっしゅ!」
すぐにユリウスがバスタオルをアレクセイにかけてきた。怪我はないかと言わんばかりにきょろきょろとアレクセイを見て、腕を掴みあげてくる。どうやら、陸に上がる際に岩で切ったらしい。切れてしまった部分から出血していた。
ユリウスは腰に預けていたアレクセイの剣でタオルを切ると、すぐに止血してくれた。
「これぐらい平気……ちょっと、ユリウスさん。濡れますよ」
彼は問答無用で腕を強く掴む。あまりの激痛に声を漏らす。彼はジト目でアレクセイを見つめていた。
「いても立ってもいられず。俺は泳げるので大丈夫ですよ。俺は丈夫ですから」
彼は呆れたと言わんばかりに手を離して、そして、そのまま抱きついてきた。
驚くアレクセイ。ユリウスは何も言わずに顔を埋めてきている。そのせいで、表情は読めなかった。
「ユリウスさん?」
「アレクセイ、あんたはユリウスを連れてそのまま船に戻ってな。私は子供たちを大人のところに連れて行くから。きちんと船で暖まりなよ。あと、ストーブつけておきな」
「ありがとうございます」
「それと、ユリウス。あんたは大切なものを遠ざけたくなるかもしれないけど、あんたが考えるほど、人の一生は長くないよ。手放すリスクって事を一度しっかり考えな」
二人とも船で暖まりなさいとメアリは言って、子供たちと街の中に消えていった。
「あの、ユリウスさん?」
しかし、彼は動かなかった。アレクセイは仕方ないと彼の腕を無理やり剥がすと、彼を抱えることにした。
それでも、頑なに顔は見せてくれなかった。
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