『星の旅』

『童話のような物①』

『ガラス玉』

『硝子玉』





　初めは小さな子供に持たれていた。

　飲み物から出され、遊ばれて。
　やがて、地面に転がり落ちる。


　子供は僕を掬おうとかがんだが、親はきたないからとそれを咎めた。


　子供は少し不満そうにしたが、親に手を引かれ僕から遠ざかった。
　少し寂しい。先ほどまで構ってくれた人はいない。



　一人だ、と改めて実感した。
　しかし、モノである僕は一人と言えるのだろうか？



　しばらくしてから、一匹の猫が通った。

　猫は僕に目をつけ、手でぱちんと僕をはじいた。



　僕はころころと転がった。

　先ほどまで見えなかった快晴の空が爛々と眩しかった。



　その時だ。



　正面から見た事のない鉄の塊がやってきた。

　そして、黒い回転するものに踏みつけられ、空へと舞い上がる。

　見た事のない景色に驚きつつも、僕は落下を始める。

　そして――



　砕け散った。



　やがて、視力は失い、僕は土に溶ける。







終