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ジャック・ザ・リッパー
話し合いで済めばよかったのに
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装備も整え、あとは二人組のもとへ向かうだけとなった。あらかじめギルドマスターにはこれから行うことを説明した。もし俺たちが失敗したとき、対応策を打ってくれるはずだ。大丈夫、きっとやれるはずだ。
「よし、ディオン。作戦どうり行くぞ。」
「ああ、わかってる。」
相手は明らかな格上、だますような真似は通じない。ならこちらは隠さずに近づくしかない。その後は相手の出方次第だ。お世辞にも良い作戦とは言えないがこれが現時点では最良のはずだ。
「よし、行くぞ!二人組の居所はスラムの部屋貸しのところだ!」
覚悟は決めた、どこまで俺の力が通じるかわからない。いま、不安を感じているのか。いや、どちらかというと、湧き上がる何か。それだけが俺の原動力だ。
日は落ち始めている。スラムは夕闇に照らされ、いささか不気味に思える。奥へ、奥へと進む。そして目的の場所にやってきた。空気が張り詰めている、重く感じられる。部屋貸しに金を少し握らせると何も言わず、視線で部屋を教えられた。
「マッスルさん、ここからは紳士的にいきますよ。」
「ああ、だがこの空気、やべぇな。」
俺は一呼吸ついてから部屋のドアにノックをする。数秒してからドア越しに声が返ってきた。
「誰だ?」
「この街の冒険者だ。少々、伺いたいことがある。」
「……わかった。入りな。」
そして、ドアが開けられ目の前には男が立っていた。前に見たことのある顔だ。よく見ると、体はほっそりとしており、杖を腰に差している。たぶんこいつが魔術師か。それは置いておいて警戒しながら部屋の中に入らせてもらう。
「で、何を聞きたいんだ?」
「あら、あなた、この間の坊やじゃない!」
「ディオン、お前まさか知り合いか?」
「いや、少し前に道案内しただけさ。」
「ディオンちゃんっていう名前だったのね!私はアイリーンよ。」
そう言ってアイリーンはずいっと顔を近づけてくる。印象に残っているあの顔が迫ってきて怖い。マッスルさんは突っ込みたそうだが、なんとか耐えて黙っている。
「こいつは、アイリーンじゃなくてアンディだ。そして、俺はアイク。」
「えっと、俺はマッスルだ。で、効きたいことがあるんだ。もしかしたら君らが捕まる可能性もある。」
「何?どういうことだ。」
「イールバランを知ってますよね。彼が殺人事件にかかわっていまして、そして理由があなたたちに脅されてやったとのことだったんです。」
「ほう、あの狸、俺たちを売ったということか。まぁ、特に支障はないが不愉快だな。」
「あの、彼が言うにはリアという女の子を人質に取られているとのことなのですが。」
「なんですって⁉リアちゃんは可愛いわよ、でもね私たちはあんな幼い子をいたぶるなんてできないわ。」
なんだろう、だいぶおかしくなってきたな。つまり、人質は取られていないということか?なら、リアはどこにいる?
「それに、リアちゃんならあの親父が連れて行ったわよ。」
「じゃあ、事件に関与しているのはイールバランだけってことなのか?」
「俺たちがあの狸に依頼されたのは薬を融通してくれってことだけだな。」
「え?あの薬、あなたたちが作ったんですか?あの異常に力が上昇する薬。」
「ああ、俺たちは依頼があれば薬を下ろしに行く。今回は持っている分だけでは足りなかったのでなここで作っていた。」
この場合、事件に関与していたといえるのか?マッスルさんも少々困っているようだ。
「もし、それについて証言とかしてもらえませんか?」
「無理ね。私たちは事件については語ることはできないわ。」
「アンディ、俺はずっと気になってた。だが気づいた。この匂いはガダーラだ。」
「は?ガダーラ?」
「アイク、今はマルクスだ。」
「そうだったか、よし、やるぞ。」
突如、目の前の二人の態度が一変した。同時に蹴りが真っすぐ腹部に飛んできた。俺はそのまま真っすぐに部屋の外にはじき出された。
「ディオン!」
「大丈夫…です。」
凄まじい衝撃だった。いったいやつらは何に気づいた?マルクスって言ってたよな。
「ディオンちゃん、申し訳ないがここで死んでもらおう。」
「アンディ、急に現れるんじゃない。まったく、濡れてしまうだろう。ハァ。」
姿が、変わっている?アイリーンがアンディを否定しなくなった時、体が変質した。もとからごつい体つきだったが今は、化け物である。元の3倍はある巨体、赤黒く染まり脈動するのが見ていてもわかるほど。腕はまるで巨木と相違ないほどである。怖い、怖いけど、やらなきゃ、やられる。
体が勝手に動く、俺の意思とは関係なく。そして、アイクの傍まで一瞬で移動して、例の術式をアイクの身体に張り付け魔力を流した。
『マスター、申し訳ないですがオートシステムを使わせていただきました。今を逃すと勝ち目がありません。』
あ、ありがとうハイル。助かった。体は動く。油断はできない。
「マッスルさん、魔術師を頼みます!」
「おう!お前も気張れ!!」
マッスルさん、はそのままアイクに突っ込んでいく。場所を離すことで1対1に持ち込むことに成功したようだ。さて、俺はこの化け物の相手か。予想してなかったぞ。このサイズはよ。
「ディオンちゃん、あなたは危険。すぐ楽にしてやる。」
「やだね、まだ成人すらしてないんだ。女の子とイチャイチャできずに死ぬなんてごめんだ!」
「なら、抗え。」
うまく話が収まるかと思ったらそんなことはなかったよ。それより人生最大のピンチな気がする。どう相手をしようか……。いい案が思いつかない、精いっぱい暴れるしかないな。化け物がお前だけ後思ったら大間違いだ。
「よし、ディオン。作戦どうり行くぞ。」
「ああ、わかってる。」
相手は明らかな格上、だますような真似は通じない。ならこちらは隠さずに近づくしかない。その後は相手の出方次第だ。お世辞にも良い作戦とは言えないがこれが現時点では最良のはずだ。
「よし、行くぞ!二人組の居所はスラムの部屋貸しのところだ!」
覚悟は決めた、どこまで俺の力が通じるかわからない。いま、不安を感じているのか。いや、どちらかというと、湧き上がる何か。それだけが俺の原動力だ。
日は落ち始めている。スラムは夕闇に照らされ、いささか不気味に思える。奥へ、奥へと進む。そして目的の場所にやってきた。空気が張り詰めている、重く感じられる。部屋貸しに金を少し握らせると何も言わず、視線で部屋を教えられた。
「マッスルさん、ここからは紳士的にいきますよ。」
「ああ、だがこの空気、やべぇな。」
俺は一呼吸ついてから部屋のドアにノックをする。数秒してからドア越しに声が返ってきた。
「誰だ?」
「この街の冒険者だ。少々、伺いたいことがある。」
「……わかった。入りな。」
そして、ドアが開けられ目の前には男が立っていた。前に見たことのある顔だ。よく見ると、体はほっそりとしており、杖を腰に差している。たぶんこいつが魔術師か。それは置いておいて警戒しながら部屋の中に入らせてもらう。
「で、何を聞きたいんだ?」
「あら、あなた、この間の坊やじゃない!」
「ディオン、お前まさか知り合いか?」
「いや、少し前に道案内しただけさ。」
「ディオンちゃんっていう名前だったのね!私はアイリーンよ。」
そう言ってアイリーンはずいっと顔を近づけてくる。印象に残っているあの顔が迫ってきて怖い。マッスルさんは突っ込みたそうだが、なんとか耐えて黙っている。
「こいつは、アイリーンじゃなくてアンディだ。そして、俺はアイク。」
「えっと、俺はマッスルだ。で、効きたいことがあるんだ。もしかしたら君らが捕まる可能性もある。」
「何?どういうことだ。」
「イールバランを知ってますよね。彼が殺人事件にかかわっていまして、そして理由があなたたちに脅されてやったとのことだったんです。」
「ほう、あの狸、俺たちを売ったということか。まぁ、特に支障はないが不愉快だな。」
「あの、彼が言うにはリアという女の子を人質に取られているとのことなのですが。」
「なんですって⁉リアちゃんは可愛いわよ、でもね私たちはあんな幼い子をいたぶるなんてできないわ。」
なんだろう、だいぶおかしくなってきたな。つまり、人質は取られていないということか?なら、リアはどこにいる?
「それに、リアちゃんならあの親父が連れて行ったわよ。」
「じゃあ、事件に関与しているのはイールバランだけってことなのか?」
「俺たちがあの狸に依頼されたのは薬を融通してくれってことだけだな。」
「え?あの薬、あなたたちが作ったんですか?あの異常に力が上昇する薬。」
「ああ、俺たちは依頼があれば薬を下ろしに行く。今回は持っている分だけでは足りなかったのでなここで作っていた。」
この場合、事件に関与していたといえるのか?マッスルさんも少々困っているようだ。
「もし、それについて証言とかしてもらえませんか?」
「無理ね。私たちは事件については語ることはできないわ。」
「アンディ、俺はずっと気になってた。だが気づいた。この匂いはガダーラだ。」
「は?ガダーラ?」
「アイク、今はマルクスだ。」
「そうだったか、よし、やるぞ。」
突如、目の前の二人の態度が一変した。同時に蹴りが真っすぐ腹部に飛んできた。俺はそのまま真っすぐに部屋の外にはじき出された。
「ディオン!」
「大丈夫…です。」
凄まじい衝撃だった。いったいやつらは何に気づいた?マルクスって言ってたよな。
「ディオンちゃん、申し訳ないがここで死んでもらおう。」
「アンディ、急に現れるんじゃない。まったく、濡れてしまうだろう。ハァ。」
姿が、変わっている?アイリーンがアンディを否定しなくなった時、体が変質した。もとからごつい体つきだったが今は、化け物である。元の3倍はある巨体、赤黒く染まり脈動するのが見ていてもわかるほど。腕はまるで巨木と相違ないほどである。怖い、怖いけど、やらなきゃ、やられる。
体が勝手に動く、俺の意思とは関係なく。そして、アイクの傍まで一瞬で移動して、例の術式をアイクの身体に張り付け魔力を流した。
『マスター、申し訳ないですがオートシステムを使わせていただきました。今を逃すと勝ち目がありません。』
あ、ありがとうハイル。助かった。体は動く。油断はできない。
「マッスルさん、魔術師を頼みます!」
「おう!お前も気張れ!!」
マッスルさん、はそのままアイクに突っ込んでいく。場所を離すことで1対1に持ち込むことに成功したようだ。さて、俺はこの化け物の相手か。予想してなかったぞ。このサイズはよ。
「ディオンちゃん、あなたは危険。すぐ楽にしてやる。」
「やだね、まだ成人すらしてないんだ。女の子とイチャイチャできずに死ぬなんてごめんだ!」
「なら、抗え。」
うまく話が収まるかと思ったらそんなことはなかったよ。それより人生最大のピンチな気がする。どう相手をしようか……。いい案が思いつかない、精いっぱい暴れるしかないな。化け物がお前だけ後思ったら大間違いだ。
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