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長期休み
生き抜く術
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マッスルさんに運ばれ森の中の小屋にやってきた。なんだか、少しくたびれた小屋だ。さらに、このあたりにいるとだるさが軽減されたような気がする。深呼吸なんかをしていると、来たほうとは別の森の奥から地響きがする。しかも、徐々に近づいてきている。身構えるか。
「ディオン、師匠だ。そんなに身構えなくていい。」
「え?でも地響きがしますよ。」
そうこうしているうちに、森の奥から一人の老人と一頭の巨大なドラゴンらしきものが走ってきた。老人が小屋の近くで急ブレーキをかけつつ身体を180度回転させながら跳ぶ、そのまま走ってくるドラゴンの頭に目に見えない攻撃が繰り出された。ドラゴンはゴキリッと首があらぬ方向に曲がり、絶命した。あの老人が、マッスルさんの師匠か?
「師匠!お久しぶりです!」
マッスルさんが声をかけると老人はこちらに顔を向ける。
「ん?マッスルじゃねぇか。どうしたんだ?」
「師匠、実はオーバーマジックフロウになっちまった奴がいるんですよ。」
「珍しいな。もしや、そこのガキか?」
そう言った瞬間、老人の姿が消え、俺の真後ろに立っていた。
「ふむ、たしかに魔力がかなり漏れとるの。」
「うわっ!」
いきなり真後ろに立たれびっくりする。何もんだよこの爺さん。いきなり背後を取られるとは思わなかったぞ。
「マッスル、お前は家事でもしとけや、ガキとっとと修行するぞ。ついてこい。」
「師匠、このドラゴンは?」
「素材も売るから、解体しといてくれ。」
「了解っす!」
そしてそのまま俺は、老人に連れられどこかの崖に来た。なんいをするんだろう。
「ガキ、だと呼びにくいな。お前名前は?」
「えっと、ディオンです。」
「そんじゃディオン、魔力は感じ取れるか?」
「外にある魔力ですか?」
「外でも、体内でもいい。はっきりと感じ取れるか?」
体内の魔力は、おおまかにわかるが外の魔力はあまり感じ取れない。
「はっきりは感じ取れないです。」
「それじゃ、座れ。」
言われた通りに崖の近くに座る。
「ここは魔力がよく流れておる。瞑想なり、いろいろやってみろ。魔力が感じ取れたなら小屋に帰ってこい。以上だ。水は置いといてやる。そんじゃ、頑張れよ。」
「はぁ!ちょ、ちょっと、教えてくれないんですか?」
「教えたじゃろ、魔力を感じ取れ。」
「いや、コツとか。」
「知らん、死ぬ気でやればできる。できんだら死ぬ。餓死しようが、魔病で死のうが、遅いか早いかだ。そんじゃな。」
「え、まって!」
待ってと言うころには、すでに老人の姿はなく。一人残された、少しの水が皮袋にあるだけ。いや、どうしろと、どうしよう。魔力を感じ取るって?
あれこれ考えたが、無駄だと理解する。結局諦めて言っていた瞑想なんかを始めてみる。
息を吸い、体を循環するイメージを持つ。息を吐く。延々と繰り返す。
風の音、草木が擦れる音、呼吸音。そして、唸り声……唸り声?
声の方を見ると、オオカミの群れにらしい、ちょうど目が合ってしまった。
「あ、こ、こんばんは~。奇遇ですn」
「「「ガウッ!!!!」」」
オオカミに言葉は通じないよな、そうだよな。一斉にとびかかってきたよ。今、魔術を使うのはまずいよな。素手、しょうがない。かかってこいやぁ!
そこから一晩、連携、統率の取れたワンコと日が昇るまで殴り合った。結果、服は破れ、のどは乾き、腹は減る。なんともみすぼらしい浮浪者の姿になった。やばい、お腹がすく。
魔力の感じ取り方がわからず、ひたすらに瞑想、腹が減ったので森で木の実、果実を取り食べる。森でモンスターと鉢合わせ、戦う。お腹がすく。この繰り返しである。魔力、魔力ってなんだ?
瞑想を続けて3日目、いまだ魔力をつかめず。栄養や糖分が足りてないのだろう、極限状態だ。どんどん魔力が流れ出ていっているのか日に日に気だるさが増す。
4日目、これが、死が隣にある感覚。ボーっとしてくる。魔力、魔力ってなんだ?わからない、いまだ感じ取れない。
5日目、もう……限界だ、……本当に死んでしまう。死んだら、どうなる。人の命とは、何だろう。
魔力がなくなれば、命が代わりになる。
なぜ、命の代わりに?
魔力と命は性質が似ているのでは?
命は物質?魔力とは
魔力は存在する?質量を持つ物質?
ならば、魔力探知機のような機械があれば観測できるのだろうか?……あればいいな。
『スキルを習得しました、魔力感知』
その瞬間、世界が変わって見える。あたりを半透明の不定形な形が流動している。大地から、森の木々から、自分から溢れ出ている。これが、魔力なのだろうか?風が吹きつけると形が変わり、空を舞う、その姿は神秘的なもの感じた。
この光景は、なんて美しいのだろう。
「感じ取ったか、それが魔力。この世界を形作る、常人には理解すらできない素晴らしき世界の理。」
「あ、…ぅあ。」
声が出ない。体がもたない。ようやく、辿り着いたのに、死にたくない。死にたくない!
「安心せい、人間その程度じゃ死なんわい。」
そのまま、老人に担がれる。なんだか眠い。そのまま、温かな背中に身を預けた。
「ディオン、師匠だ。そんなに身構えなくていい。」
「え?でも地響きがしますよ。」
そうこうしているうちに、森の奥から一人の老人と一頭の巨大なドラゴンらしきものが走ってきた。老人が小屋の近くで急ブレーキをかけつつ身体を180度回転させながら跳ぶ、そのまま走ってくるドラゴンの頭に目に見えない攻撃が繰り出された。ドラゴンはゴキリッと首があらぬ方向に曲がり、絶命した。あの老人が、マッスルさんの師匠か?
「師匠!お久しぶりです!」
マッスルさんが声をかけると老人はこちらに顔を向ける。
「ん?マッスルじゃねぇか。どうしたんだ?」
「師匠、実はオーバーマジックフロウになっちまった奴がいるんですよ。」
「珍しいな。もしや、そこのガキか?」
そう言った瞬間、老人の姿が消え、俺の真後ろに立っていた。
「ふむ、たしかに魔力がかなり漏れとるの。」
「うわっ!」
いきなり真後ろに立たれびっくりする。何もんだよこの爺さん。いきなり背後を取られるとは思わなかったぞ。
「マッスル、お前は家事でもしとけや、ガキとっとと修行するぞ。ついてこい。」
「師匠、このドラゴンは?」
「素材も売るから、解体しといてくれ。」
「了解っす!」
そしてそのまま俺は、老人に連れられどこかの崖に来た。なんいをするんだろう。
「ガキ、だと呼びにくいな。お前名前は?」
「えっと、ディオンです。」
「そんじゃディオン、魔力は感じ取れるか?」
「外にある魔力ですか?」
「外でも、体内でもいい。はっきりと感じ取れるか?」
体内の魔力は、おおまかにわかるが外の魔力はあまり感じ取れない。
「はっきりは感じ取れないです。」
「それじゃ、座れ。」
言われた通りに崖の近くに座る。
「ここは魔力がよく流れておる。瞑想なり、いろいろやってみろ。魔力が感じ取れたなら小屋に帰ってこい。以上だ。水は置いといてやる。そんじゃ、頑張れよ。」
「はぁ!ちょ、ちょっと、教えてくれないんですか?」
「教えたじゃろ、魔力を感じ取れ。」
「いや、コツとか。」
「知らん、死ぬ気でやればできる。できんだら死ぬ。餓死しようが、魔病で死のうが、遅いか早いかだ。そんじゃな。」
「え、まって!」
待ってと言うころには、すでに老人の姿はなく。一人残された、少しの水が皮袋にあるだけ。いや、どうしろと、どうしよう。魔力を感じ取るって?
あれこれ考えたが、無駄だと理解する。結局諦めて言っていた瞑想なんかを始めてみる。
息を吸い、体を循環するイメージを持つ。息を吐く。延々と繰り返す。
風の音、草木が擦れる音、呼吸音。そして、唸り声……唸り声?
声の方を見ると、オオカミの群れにらしい、ちょうど目が合ってしまった。
「あ、こ、こんばんは~。奇遇ですn」
「「「ガウッ!!!!」」」
オオカミに言葉は通じないよな、そうだよな。一斉にとびかかってきたよ。今、魔術を使うのはまずいよな。素手、しょうがない。かかってこいやぁ!
そこから一晩、連携、統率の取れたワンコと日が昇るまで殴り合った。結果、服は破れ、のどは乾き、腹は減る。なんともみすぼらしい浮浪者の姿になった。やばい、お腹がすく。
魔力の感じ取り方がわからず、ひたすらに瞑想、腹が減ったので森で木の実、果実を取り食べる。森でモンスターと鉢合わせ、戦う。お腹がすく。この繰り返しである。魔力、魔力ってなんだ?
瞑想を続けて3日目、いまだ魔力をつかめず。栄養や糖分が足りてないのだろう、極限状態だ。どんどん魔力が流れ出ていっているのか日に日に気だるさが増す。
4日目、これが、死が隣にある感覚。ボーっとしてくる。魔力、魔力ってなんだ?わからない、いまだ感じ取れない。
5日目、もう……限界だ、……本当に死んでしまう。死んだら、どうなる。人の命とは、何だろう。
魔力がなくなれば、命が代わりになる。
なぜ、命の代わりに?
魔力と命は性質が似ているのでは?
命は物質?魔力とは
魔力は存在する?質量を持つ物質?
ならば、魔力探知機のような機械があれば観測できるのだろうか?……あればいいな。
『スキルを習得しました、魔力感知』
その瞬間、世界が変わって見える。あたりを半透明の不定形な形が流動している。大地から、森の木々から、自分から溢れ出ている。これが、魔力なのだろうか?風が吹きつけると形が変わり、空を舞う、その姿は神秘的なもの感じた。
この光景は、なんて美しいのだろう。
「感じ取ったか、それが魔力。この世界を形作る、常人には理解すらできない素晴らしき世界の理。」
「あ、…ぅあ。」
声が出ない。体がもたない。ようやく、辿り着いたのに、死にたくない。死にたくない!
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そのまま、老人に担がれる。なんだか眠い。そのまま、温かな背中に身を預けた。
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