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幼年期

幼児期第7話

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 この家にある訪問者が現れた。二人。みんななかなかに仲が良さそうである。俺は母さんに抱かれ二人のもとまで赴いた。

二人の男。一人はやや疲れ気味の青年。もう一人イケメンの少年だ。

青年
に俺は抱えられる。

 「エリーゼこれが儂らの子か。うん、なかなかにすわった目をしてる。エリーゼにそっくりじゃな。」 

  誰だろう?儂らって言ったよねてことは、

  「おとーしゃん?」
 「エリーゼ、今儂のことお父さんといったぞ。会ってまもないというのにたいしたもんだなぁ。」


  まじかよ。親父はいねぇとばかり思ってたのに。

  「父様、僕にも持たせてください。弟なんですから。」  

ふむ、ならばそこの青年は俺の兄ちゃんになるわけか。くそう、イケメン死すべし。

「ああ、意外と重いな。」
「もう7ヶ月ですもの。」 
 「いやぁ、長いこと家を空けたな。すまなかった。」
 「しょうがないわ、だって大規模な取引だったのでしょう。取引先も遠かったらしいし。」
 「僕もやっと弟や母様に会えて嬉しいです。」
 「そうね、私もよ。さ、早く着替えてらっしゃい。お昼にするわよ。」 

 その後、着替えてきた二人と家族みんなで、ちょっとした宴会をした。俺はただご飯を頬張るだけだか。

 「さて、そろそろ自己紹介でもしようかの。」
 「いいですね。早く覚えて貰いたいです。」
 「じゃあ僕から。僕はマルクス。マルクス=フォーリナー、歳は7歳だよ。魔法学校に通ってるんだ。」 
 「それじゃ、儂はガルド=フォーリナーお前の父親であり、ガルド商会の商会長をしておる。」

 成る程。要するに俺は社長の息子的な立場なのか。スゲーな。 しかし、こんなにも会えないものだったのか。

 「よし、ディオンに良いものをやろう。読めるようになるのはかなり後になると思うが、」

そう言われ手渡されたのは、『伝えられる伝説集』という本。

  「マルクスにでも教えて貰いなさい。」

  いや、すみませんお父さん。もう覚えてます。しかしここは

 「あい。」
  「おお、理解したか。実にかしこいな。」

ようやく家族が揃ったということか。前の世界なんかじゃ話すなんてこと全然しなくて。いるだけで鬱陶しいと思っていたが、こういうのも悪くはないな。

  「そうだ、ディオン。僕が面白いものを見せてあげよう。学校で習ったんだ。」

  では一般的にはどの程度が普通なのか見せてもらおう。

「あい。」

皆が庭に出る。的が用意されていた。この的ちょっとやそっとじゃ壊れないらしい。壊せたら上級魔術師と同じくらいの力と認められるらしい。

 「皆、見ててくださいよ。『我、求めたるは燃ゆる炎。熱くまた照らし煉獄の如し炎よファイヤーボール。』」

  その言葉をいい終えた瞬間、マルクスの手には直径30センチほどの火の玉が出現。そして的に一直線にむかい真ん中に当たった。

  えっ、それだけ。いや周りもウンウンうなずいてるけど、これが普通、なのか。いやいやあんだけ凄い詠唱して結果がこれってショボくないか。

  「マルクス、やはりお前は魔術師の才能があるな。この年でここまで出来るとは、父さんは誇らしいぞ。」 
  「はいっ。これでも学年主席ですので。もっと精進致します。」
  「ディオンもあれくらい扱えるようになれるといいな。」
  「ハハッディオンも賢いから僕なんか抜かされちゃいそうですね。」

 すまんマルクス既に超えてるよ。まさかこんなにもショボいのにこの年では学年主席なのか。どうやって世界が回っているのだろうか。絶対魔物に殺られるよ。

 「マルクス。あなたはどれくらいまでここにいられるのかしら?」
  「そうですね。1月程度ですかね。帰りの馬車のペースだと。」
  「それじゃ、皆で旅行でもいきましょうよ。ね、あなた。」
  「そうだな、ここから近いとこなら海の街ララシャがいいな。久しぶりに海でも行こう。」
  「やったー。楽しみだなディオン。」

  いつの間にかバカンスに行くことになってしまった。海はここから近いのか、どんなところか見ておきたいな。そして、青い海、青い空、輝く太陽、白い砂浜。あぁ、夢が広がるな。
  もう立つことには成功しているので、次は歩けるようにしておかないと。

  「じゃ、3日後に出発するとしようか。その間は家を閉めよう。シアンにも休みが必要だろうからな。」
 「じゃあ、私、あなた、マルクス、ディオン、シアンの5人で行きましょうか。」 
  「シアンも連れていくのか?」
 「ええ、もちろん。私が産気づいてるときだって助けてくれたし、ディオンのお世話もちゃんとしてくれてるし、もう家族と相違ないわよ。」
 「わかった。それで馬車を手配しておこう。」

  ほぉ、シアンも意外と愛されてるんだな。まぁ確かに残念な姉のようにも見えるしな。

 「ディオン実はなララシャはシアンの生まれ故郷でもあるんだぜ。」
  「えー。シャアーン。」
  「そうだぞ。泳ぎ方でも教えてもらいな。」

  ララシャはシアンの生まれ故郷だったのか。それじゃあ里帰りになるのか。俺も久しぶりに家族に会いたくなってきたな。帰る術はないけど。いつか、きっと。

  「今日のご飯は豪勢にしましょう。生物はすぐに使わないと。持たなくなっちゃう。」

  ご飯を食べ終え、皆がいろいろとしゃべってる間に俺は歩いて書斎の部屋まで行けるようになった。とても感動したよ。
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