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(なんだこいつ)
律は人の部屋に押し入ってきた佑鎮を見る。佑鎮は苛立ちを隠さずに言う。
「なぜ楊領主はお前を連れて行ったのだ!」
「知らないよ」
部屋をうろうろする男を目で追う。
「楊領主は俺のことを信用していないのか」
「それはないと思う」
律が即答する。
「よくわからないけど。楊領主は、勇州の領主と佑鎮を合わせたくないみたいだった」
「……」
もう話すことはないと部屋の扉を開ける律。それを無視して椅子に座り込む佑鎮。
(めんどくさい)
明日は朝早くから訓練があり、それは兵士ちを取りまとめているこの男も同じはず。
しかし、佑鎮が一向に動くつもりがないことがわかり、律はため息をついた。仕方なく訳を聞くことにする。
「勇州は故郷だって聞いた」
「……ああ、そうだ。もとは俺の一族が治める領地だった」
ぽつぽつと佑鎮が語る。律は黙って耳を傾ける。
「黒蟒が、父を謀ったのだ。俺以外の家族はみな処刑された。まだ幼子だからと楊領主がかばわなければ俺も今頃死んでいただろう」
怒りを露わにする佑鎮を見て、律は楊領主の真意を知った。
たしかに、この様子では姿を見ただけで飛びかかりそうだった。もちろん、その動機も理解できるが。
しかし、もしそんなことをすれば今度こそ佑鎮の首が飛ぶだろう。その火種は過去にかばい立てた件から、楊領主のもとにまで届くかもしれない。
「謀殺の日、あいつは鬼をつれていた」
「なんだって?」
鬼、と聞いて律がおもわず口を開く。
「楊領主以外、信じてはくださらなかったが。やつは私兵として鬼を飼っていたのだ。奴らが城に攻め入り、俺だけが逃がされた」
(それで鬼を毛嫌いしているのか)
時期を考えると、佑鎮が見たという鬼はきっと鬼の里の者たちだろう。
「奪われたものは、いずれ必ず取り返す」
「……まあ、頑張れ」
そう言うしかない。手伝うなんて間柄でもなかった。
「それでだ」
「うん」
「黒蟒はどうだった」
「は?」
その後。朝になるまで黒蟒についてしつこく聞かれ、律は寝ぼけ眼で訓練にのぞむことになった。
律は人の部屋に押し入ってきた佑鎮を見る。佑鎮は苛立ちを隠さずに言う。
「なぜ楊領主はお前を連れて行ったのだ!」
「知らないよ」
部屋をうろうろする男を目で追う。
「楊領主は俺のことを信用していないのか」
「それはないと思う」
律が即答する。
「よくわからないけど。楊領主は、勇州の領主と佑鎮を合わせたくないみたいだった」
「……」
もう話すことはないと部屋の扉を開ける律。それを無視して椅子に座り込む佑鎮。
(めんどくさい)
明日は朝早くから訓練があり、それは兵士ちを取りまとめているこの男も同じはず。
しかし、佑鎮が一向に動くつもりがないことがわかり、律はため息をついた。仕方なく訳を聞くことにする。
「勇州は故郷だって聞いた」
「……ああ、そうだ。もとは俺の一族が治める領地だった」
ぽつぽつと佑鎮が語る。律は黙って耳を傾ける。
「黒蟒が、父を謀ったのだ。俺以外の家族はみな処刑された。まだ幼子だからと楊領主がかばわなければ俺も今頃死んでいただろう」
怒りを露わにする佑鎮を見て、律は楊領主の真意を知った。
たしかに、この様子では姿を見ただけで飛びかかりそうだった。もちろん、その動機も理解できるが。
しかし、もしそんなことをすれば今度こそ佑鎮の首が飛ぶだろう。その火種は過去にかばい立てた件から、楊領主のもとにまで届くかもしれない。
「謀殺の日、あいつは鬼をつれていた」
「なんだって?」
鬼、と聞いて律がおもわず口を開く。
「楊領主以外、信じてはくださらなかったが。やつは私兵として鬼を飼っていたのだ。奴らが城に攻め入り、俺だけが逃がされた」
(それで鬼を毛嫌いしているのか)
時期を考えると、佑鎮が見たという鬼はきっと鬼の里の者たちだろう。
「奪われたものは、いずれ必ず取り返す」
「……まあ、頑張れ」
そう言うしかない。手伝うなんて間柄でもなかった。
「それでだ」
「うん」
「黒蟒はどうだった」
「は?」
その後。朝になるまで黒蟒についてしつこく聞かれ、律は寝ぼけ眼で訓練にのぞむことになった。
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