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断章 22
閑話 師匠から弟子へ
瞳を焼く輝く光の奔流。 ミルラス=エンデバーグが詠唱する高位の魔法は、圧力を感じさえする光の奔流を、大きな流れに変え、細長い窓のガラスを吹き飛ばしながら、天空に放出した。
徐々に爆発的な光の奔流が収まり、部屋の中に居る者達の視界に互いの姿が映り込む。
呆けた様な顔を晒すのは、ロマンスティカ=エラード=ニトルベイン大公令嬢と、彼女の身体をしっかりと抱いていた、エドワルド=バウム=ノリステン子爵。
両手に魔方陣を編んだまま、厳しい視線を二人に向けているのは、海道の賢女 ミルラス=エンデバーグ。
部屋の中は、さながら嵐の直撃を受けた、山小屋の中の様であった。 応接用のソファーは倒れ、ローテーブルは転倒し、壁は「光」の魔力の奔流によってズタズタ。 部屋のあちこちに有る、調度品のどれ一つをとっても無事とは言えない。
長い細い窓は、窓枠を残し、精緻なステンドグラスも外側に吹き飛び、その枠だけが残っている有様。 更月の冷たい風が部屋の中に吹き込み、襤褸布の様になり果てたカーテンを揺らしている。
溜息を盛大に漏らした、老賢女は言葉を吐き出す。
「私の弟子は、どいつもこいつも…… このままじゃ、要らぬ邪魔が盛大に入るね。 ティカの防御魔法も霧散した事だ、私の方でどうにかするしかないね」
厳しい表情のまま、老賢女は片手に有る『高位魔法の魔方陣』の解放を始める。 魔方陣自体が光の粒になり昇華される。 その様子を確認すると、彼女は改めて、術式を紡ぎ、魔方陣に編み上げ、起動する。 エドワルドはその様子を訝し気に見詰める。 問いかけるような視線に気が付く老賢女は何でもないとばかりに、言葉を紡ぐ。
「【重防御】と、【静穏】さね。 この部屋での話は、外には漏らすな。 いいね、ティカ」
「…………は、はい」
「ところで、小僧。 何時までティカを抱いてるんだ? ああぁん? お前、判ってやっているのか?」
老賢女の問い掛けに、エドワルドは表情を硬くする。 直ぐに手を解き、老賢女の前にロマンスティカを護る様に立ち塞がる。 目には剣呑な光を宿し…… もし、ロマンスティカを害そうとする兆候があれば、何としても止めると、そんな意思を視線に込めて。
「小僧、お前、誰だい?」
エドワルドの殺気をあっさり無視した老賢女も又、剣呑な声でそう問いかける。
「エドワルド=バウム=ノリステンだ。 ロマンスティカ嬢の見舞いに来ている。 そちらこそ、何者か? ここ、王宮学習室に入る事が出来る者は限られている。 その中に老女は居ない」
「あぁ? 私かい? 私はミルラス=エンデバーグ。 ウーノルの坊主に頼まれて、不肖の弟子に気合を入れに来た。 ……ノリステン? 宰相家のノリステン公爵家の者か」
「父、ケーニス=アレス=ノリステン公爵が三男だ」
「ほう、ケーニスのクソが、公爵家を継いだか…… アレには散々嫌がらせされたな。 クソガキ、暫く離れてな」
「な、何を! なんと云う暴言!」
「やかましいッ! ノリステン公の家の者なら、私が誰か、名を聞くだけで理解出来るだろッ! ニトルベインのド畜生の手先の家だ。 当然、エンデバーグの名を知っていて当り前さねッ! どうだ?」
記憶の中から、エンデバーグの名を呼び起こすエドワルド。 記憶と一致する名と目の前の老女がどうしても結びつかない為、混乱に陥る。 確かめる様に呟く、エドワルド。
「か、か、海道の賢女様…… な、なのですか?」
「あぁ、その名で呼ばれる事もある。 気に入らないけどね。 ついでに言っておけば、ティカの師匠さ。 さぁ、ブツクサ言ってないで、そこを退く事さね」
エドワルドは驚愕に震えつつも、二、三歩離れる。 圧倒される気迫に無意識にそうなってしまう。 ミルラスは、そんな彼に一瞥を呉れ、ロマンスティカの前に進む。
やおら、手を上げると拳を作り、ロマンスティカの頭に一撃。
――― ゴチンッ ―――
「うつけ者ッ! 感情の制御は、何にもまして重要だと…… 特にお前の場合は、重要だと教えなかったかッ!」
「アッ! 痛ッ……」
老女は左手を差し上げ、術式を紡ぎ魔方陣を編み上げる。 それを、ロマンスティカの額に張り付けながら、静かに言葉を紡ぐ。
「ほんとに、いい加減にして遅れで無いかい? 二人居る弟子の内、一人は暴走に継ぐ暴走…… もう一人は、背負わなくても良い責任を背負い続け、後悔と悔恨に感情を揺らし自滅しそうになる…… これじゃ、師匠としての私に問題がある様じゃないか…… 暫く大人しくしておいで。 この術式は、あんたの魔力経路を修復してくれる。 全く、魔力暴走だなんて…… ズタボロのままじゃ、あんたが役目を果たせないじゃ無いか。 あの子だって、そんなあんたを望んじゃいない」
振り向き、呆然と佇むエドワルドにミルラスは告げる。
「ノリステンのクソガキ。 茶は入れられるのかい?」
「えっ? えぇ…… ロマンスティ嬢に手解きは受けました」
「そうかい…… なら、コレで割れてない大きめのカップに三杯、淹れなッ」
そう云うと、懐から茶缶を取り出し、エドワルドに投げつける様に渡す。 落とさぬ様に受け取る。 呆然と茶缶とミルラスを交互に見る彼に、追討ちが掛かる。
「早くしな。 そいつは私の特別製さね。 薬草茶だから、臭いよ。 けど、ティカには必要なもんだ。 どうせ、あたしが淹れても、毒見だなんだってうるさいんだろ? なら、お前が淹れればいいんだ。 あぁ、ノリステンの漢なら、毒の【鑑定】位は御手のものなんだろ? 存分に【詳細鑑定】掛けてからでいいよ。 さっさと淹れといでっ!」
幾つもの衝撃を心に受けたエドワルドは、命じられるがまま…… 賢女ミルラスの言葉に従うしか無かった。 そんな彼を横目で見つつ、老女は周辺を見渡し、倒れているソファー、椅子、そしてローテーブルまでも【念動】の魔法で引き起こした。
「ティカ。 取り敢えず、座ろうか。 あんたには話しておかなくてはならない事がある。 ウーノルの坊主が、あんたを必要としているんだ。 ファンダリアの危機に際して、助力するって…… 誓ったからね。 さぁ、お座り」
「……はい」
座面が破れ、飾り紐も解れたソファーに云われるがまま座るロマンスティカ。 その様子を見つつ、彼女の傍らに座るミルラス。 ロマンスティカの手を取りながら、老女は静かに話し始める。
「ティカ…… 魔術士ならば、【聖女降臨】…… 西方の魔力爆発に付いて、理解して居るだろ。 きっと、その理解がリーナの生存の可能性を否定しているんだろ?」
「お師匠様……」
「自身が西方に送り出した。 そう考えているんだろ? リーナから聴いた」
「えっ? はい? リーナから? 旅立つ前にお手紙で…… ですか?」
「いや、違うね。 つい先日さね。 ウーノルの坊主に頼まれて、王都に向かう直前…… だったかね」
「そ、それは…… あの【聖女降臨】よりも後なのではッ! あ、有り得ません! 彼女の魔力は「闇」。 「光」の魔力よりも遥かに、強く「闇」の魔力を喰い尽くすはずッ!! それも、中心に居たのですよッ! あり得ません!! たとえ、リーナであっても…… この世の理には抗えない筈ッ!! それに、万が一、万が一…… 彼女が生存していたなら…… 絶対にわたくしに連絡を取ってくれる筈なのですッ!」
「う~ん…… まぁ、そう考えるね、ティカなら。 ティカ。 あんた、この世界を愛しているかい?」
「えっ?」
「いや、言葉を変えよう。 この世に生きとし生ける者達すべてをその掌で包もうと思えるかい? ” 人 ” の全てを」
「ど、どういう意味なのですか?」
「人族は言うまでも無く、獣人族、妖精族は?」
「も、勿論……」
「では、半獣半人の者達は? 妖魔や魔物も?」
「えっ…… そ、それは……」
「この世に生きとし生ける者達って云うのは、それも含むんだよ。 そして、リーナが精霊様に誓約したのは、そう云う事さね。 ……ティカ。 あんたの推測は正しい。 あの魔力爆発の中で只人は…… 「闇」の魔力の持ち主は生存の可能性は無いよ。 たとえ、莫大な体内魔力を保有していてもね。 ただね、リーナは精霊様の『愛し子』なんだ。 精霊様の願いを顕現する者なんだ。 そんな大切な者を、精霊様がみすみす死なせる筈も無いね」
「つまり……」
「人族の範疇ではどうにもならない事を、リーナは『託宣』されちまったのさ。 それをあの子は受け入れた。 だから、あの子は……」
「えっ?」
「只人では無くなったのさ。 でもね、ティカ。 良くお聞き。 あの子はあの子。 なにも変わっちゃいない。 何処までも、何処までも、薬師錬金術士で在ろうとしている。 ” 癒し、助け、救え ” 薬師の誓いを忘れてるようなリーナじゃ無いよ。 精霊様方はそんなリーナに慈しみを以て、彼女を再誕させた。 古の魂の器をあの子にお与えに成ったんだ。 この目で見たのさ。 見事な柳耳だった」
「………………そ、それは」
「あぁ、あの子…… 生まれ変わったのさ。 古エフタルの民よりも古い…… 『原初の人』だと…… なんだって、あの子ばかり…… 重き荷を背負うのか…… でもね…… あの子は、それを良しとした。 どんな姿になったとしても、変わりはしない、「薬師錬金術士リーナ」なんだとさ。 人族の思惑なんて、知った事じゃない。 だから、人族の意思の塊である、ファンダリアの民からの掣肘を受け付けない為に、敢えて連絡を取らなかった…… そんな所だろうさ。 けどね、あの子を慕う者は多い。 あぁ、とても多いんだ。 まるで、全ての意思があの子に集まる様にね。 数え上げればキリが無いよ…… 南方辺境領に居る、あの子を知る者達も、海を越えた国に嫁いじまったハンナにしても…… 獣人族はおろか、半獣半人の者達も…… 下手すりゃ、魔物達だって…… 付き従い、この世界の理を乱す者に対峙している」
「そ……そんな…… わ、わたくし達の力添えは必要ない……と云うのですかッ!」
「いや、そうじゃない。 人族には煩わしい繋がりや思惑が多すぎるんだ。 『 頸木 』と、云っても良い。 やっと、あの子はその『 頸木 』を、脱したんだ。 こちらから彼女に助力するのは、きっと喜んで受けるよ。 ただ、何も見返りを期待しない方が良い。 その見返りが、この世界の理に反する事だってあるんだ。 この世界は ” 人族 ” だけのモノじゃないってこった。 あの子なりに慮っているんだよ。 あの子の要請が、あんた達を縛る鎖になりはしないかってね。 あの子は言ってたよ。 ” 御義姉様の事を頼みます ” ってね。 ティカ、あんたも愛されているよ。 あそこのクソガキの心だって、理解したんだろ?」
「…………愛されている?」
「あぁ、そうさね。 それも判らんようなら、もう一発、拳骨をくらわせようか?」
「………………」
「『百花繚乱』であんたは云ったね。 もう何度も何度もこの世界に生まれ直しているって。 何度も何度も、リーナを贄としてきたって。 あたしに言わせりゃ、小賢しい事を云う小娘ってことだよ。 あんただけが、この世界の業を背負っているって思うなら、それは驕慢ってもんさね。 あんたの言う通りならば、あたしだって何度も生まれ直しているってこったろ? 何度も何度も、あの戦場を駆け抜けたってことだろ? 目の前で死にゆく者達をなんの感情も抱かず見てきたとでも云うのかい? 小娘風情が、生意気云うんじゃないよ……」
膨大な時間を生きて来た老女の言葉の重さ。 瞳の中に悔恨の光も浮かぶ。 脳裏に浮かんでいるのであろう、死に逝く者達の苦痛の表情や声が、ロマンスティカにも理解出来る程に…… 手を尽くしても尚、その掌から零れ落ちる魂。 何度も何度も繰り返される愚行の数々。
平和を手に入れたとたんに始まる、貴族の暗闘。
そんな老女の、過ぎ去りし膨大な時間と経験。 ロマンスティカは何も…… 何も言えなくなった。
「いいかい、この世界は進もうとしている。 精霊様の導きにより、リーナが扉を押し開けようとしている。 それだけは何となくだけど判る。 あたしだって、光の精霊 グローリアス様からも、そう「託宣」を受けた。 ” 為すべきを成せ。 ” ってね。 そして、謂われるんだ…… ” リーナが道を閉ざすな ” ってね。 あの子…… まったくもって、重き荷を背負わされているんだよ……」
「………………はい」
「あんたは、あんたの成すべきを成すんだ。 それが、あんたが、あの子に出来る真摯な行動なんだよ。 きっとね。 いいかい、ロマンスティカは、リーナの姉さんなんだ。 それだけは間違いないんだよ。 あの子が、” 何者 ” に、成っていたとしても、それだけはね。 姉が腑抜けて居たら、妹は心配するに決まって居じゃないか? 今度、あの子に会うときに、胸張って逢えるようにしないとね」
「は、はいッ!!」
ロマンスティカの眼に…… 小さく光が灯る。 美しい顔から影が薄らぐ。 希望の光を見出した者特有の表情が浮かび上がる。 その顔を見詰めるミルラス=エンデバーグは、この部屋に入って初めて……
―――― 心から笑みを浮かべた。
手を握り続けて居た老女が、その手を離したのは、そのすぐ後。 もうこれで、大丈夫たと云うように、ゆっくりと背凭れに身体を預ける。
「いや全く、不肖の弟子共は…… あぁ、喉が渇いた。 おい、クソガキ! 茶はまだかい!?」
響き渡る老女の声に、ビクリと肩を揺らすエドワルド。 彼が手に捧げる盆の上に大きめのカップが三つ。 絶妙な位置で、二人の言葉を聞いていた彼は、突然のミルラスの言葉に、思わず盆を取り落しそうになる。
「ノリステンのクソガキ。 いいね、この部屋の事は、誰にも言うんじゃ無いよ。 そして、あんたに重大な使命を言い渡す」
強い視線で、エドワルドを見詰めるミルラス。 その威圧感に息を飲むエドワルド。 次に紡がれる言葉を予想する事も出来ず、立ち竦む。 ゆっくりと威圧感を解くミルラス。 そして、限りない優しさを含んだ声で、エドワルドに語り掛けた。
「ティカを頼んだ。 あんたが居てくれたから、ティカの魂は保てた。 ティカの心にあんたは棲み付いたんだ。 覚悟おし。 ティカも又、あたしの弟子さね。 じゃじゃ馬に寄り添うんだ、相応の者で無いと……ね」
片目を閉じ、にこやかな笑顔でエドワルドを見る。 そんな老女を見詰めながら……
エドワルドは深く頷き、心からの言葉を口に載せた。
「…………御意に」
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