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本編
朋美の変化と事情
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時は流れて。
俺たちは中三になっていた。
春海と朋美に心情を吐露してから、一年以上が過ぎている。
その間にも色々あった。
クリスマスはチキンやらをかじりながら、
「全国のホテルで一番ギシる時間に、一斉にスプリンクラーが故障して水浸しになったら面白くない?」
などと春海が物騒なことを言ったり。
新年を迎えて初日の出を見て、
「俺たち……この光を見ることができたんだな……」
と中二病臭いセリフを口にしたり。
そんなあれこれを乗り越えてきた俺たちだったが、中三のクリスマスを控えて朋美の様子がおかしいことに気付く。
それは俺だけでなく春海も同様で、しかし朋美から何かを相談されたりということもない。
「俺たちにも言えない様なことなのかな」
「単に調子悪いだけだったりってこともありえるけどね」
そう口にする春海だったが、言葉と裏腹に何かに気付いている。
そんな感じがした。
「大輝、あのね」
「あん?」
もういくつ寝るとクリスマス、というある日のこと。
いつになく神妙な面持ちで朋美が俺を呼んだ。
「えっと……やっぱりいいや、ごめん」
「……?」
やっぱり変だ。
『まさか、大輝がパパって呼ばれる日がくるなんてね。おめでとう』
そのときのことを春海に相談したら返ってきたメールが、これだ。
笑えないからマジやめて。
下腹をさする朋美を思い出してちょっと戦慄する。
『そういう感じには見えなかったけどな』
『うん、違うと思う。毎月ちゃんと来てるはずだよ』
何でそんなこと知ってるの……。
産婦人科医でも目指してるの?
『私も、ちゃんと来てるから安心してね』
その情報は要らないです。
『このままじゃクリスマスがお通夜みたいなムードになっちゃうね。大輝、ちょっと明日辺り朋美を尾行してみて』
『は?尾行って……バレないか、さすがに』
『大丈夫。多分別のことが気になってそれどころじゃないはずだから』
春海がそう言うなら、と翌日。
放課後に俺は朋美が下校するタイミングを見計らって、玄関に行った。
事前に
「今日ちょっと用事あるから、すまんが一人で帰ってもらっていい?」
と伝えると少し安心した表情を見せた。
安心されるなんて……俺、少し傷ついたかも。
俺が尾行しているなんてことはつゆ知らず、朋美は自宅と思われる方向へ向かって歩いている。
俺がいないときは大抵、井原や野口といたりするものだと思っていたのだが、今日はどちらもいない様だ。
学校からそう遠くない場所に、朋美が住む団地があった。
十四階建ての建物の様で、エレベーターが二機ある。
エレベーターホールに入るのを見届け、乗り込むのを待つ。
途中で振り返ったりしないかと冷や冷やしたが、大丈夫だった。
八階で止まるのを見て、郵便受けを確認すると、桜井と書いた部屋があった。
八二三……八階の二十三号室ということか。
「うち、狭いし春海の家と比べたら鳥小屋みたいなもんだから、ちょっと呼ぶの抵抗あってさ」
こんなことを以前言っていたのを思い出した。
鳥小屋って……。
間取りは大体三DKとかそのくらいなのだろうが、一般的な家族が暮らすなら十分な広さなのではないだろうか。
『朋美の家の位置を確認した。今から前まで行ってみる』
メールで簡単に報告をして、俺もエレベーターに乗り込む。
八階に着くまでの間、少し緊張してドキドキした。
高い所が元々得意でないのもあるが、何となく嫌な予感がしていた。
エレベーターを降りると、両脇に通路があり部屋が沢山あるのがわかる。
自転車が沢山停めてある。
なるほど、この階の住人が自転車置き場に使ってるんだろう。
サッカーボールが置いてあるのも見える。
二十三号室……こっちか?
そう思い足を踏み出す。
表札を見ると、八〇三とあった。
どうやら逆だったらしい。
踵を返し、気を取り直して八二三の表札を探す。
と、そのときのことだった。
ドォン!と音がして恐らくは八二三号室からであろう怒号が聞こえた。
嫌な予感が的中したか……?
少し足早に八二三号を目指す。
小さく叫び声と悲鳴が聞こえる。
悲鳴は朋美だろうか。
こうしてはいられない。
呼び鈴を鳴らそうと手を伸ばしたそのとき、朋美宅のドアが開いて、人影が飛び出してきた。
「た、大輝……?何でここに……」
「話は後だ。何があった!?」
「えっと……」
朋美は切り出しかねていた様だったが、閉まったと思われたドアが再び開いて大きな人影が出てくるのが確認できて少し身構える。
「何だお前は」
大柄な中年男性が俺を見下ろしていた。
「お、俺は……」
「大輝、逃げて!!」
朋美が叫ぶ。
え、逃げる?何で?
なんて思ったのもつかの間、その男が拳を振り上げた。
「ちょ、いきなり暴力かよ!!」
その一撃をなんとか受け流して、朋美を庇う様に立つ。
何この人、バーサーカーとか?
聖杯戦争でも始まるの?
「生意気な……。まさかとは思うが、お前か?お前が朋美を、俺の娘を傷物にしたのか?」
今なんつったこいつ。
俺の娘って言わなかったか?
傷物って……間違ってないけどさ。
「は?娘……?」
「答えろ!!」
再び父親らしい男が拳を振るう。
「やめてよお父さん!!」
朋美が絶叫と共に俺の前に立ちはだかった。
「ば、バカヤロ!!」
片手で朋美を後ろに押しのけ、瞬間的に再度位置を入れ替わる。
避ける余裕も受け止める余裕もない。
まともに左頬に受けてしまい、足が空を切る。
距離にして二メートル程だろうか。
俺は吹っ飛ばされた様だった。
「いってぇ……」
「大輝!大輝!!しっかりして!!お父さん最低だよ、話も聞かないで!!」
「うるさい!!俺は認めないぞ!そんな青ビョウタンに娘を傷つけられて黙ってられるか!!」
「だから違うって何度も言ってるでしょ!?」
話が読めない。
というか痛い。
のっけからいいパンチもらっちまったな……。
「いいか、お前は中学卒業と同時に一家で九州に行くんだ。お前一人で残るなんて不可能だろうが!」
は?九州?
うどんの国があるのは……四国だっけ?
「旅行じゃ……なさそうだな」
何とか意識を話に向けることができるまでには回復した。
ズキズキと左頬は痛むし、血の味がするから多分中が切れてるだろうけど。
「お前には関係ない。今すぐ娘とは別れてもらう」
「勝手なことを……」
「何だと!?」
「子供は親の操り人形じゃないでしょ。生きてるし、意志だってある」
「扶養されてる身分でそれを通せると思ってるのか」
「それでも、俺たちには思い出だってあるんです」
「思い出が……小僧、お前に何をしてくれる?飯が食えるか、思い出で。服が買えるか?思い出はあくまで思い出でしかない。若いうちは理解出来ないかもしれないがな」
「だから俺たちにもそれを捨てろって?親の言うこととは思えないな」
足がややふらつくのを感じるが、何とかして立ち上がる。
「そうだ。思い出は新たに作ることができる。だが、生活していくためには思い出に縋っているだけじゃダメだってことを知れ」
「そんな簡単に捨てられるものなら、最初から作ったりしないだろ」
「それでも選ばなければならない時はくる。そして、俺たち親には子供を全うに育てる義務がある」
それを言われたら何とも言えなくなる。
先生も多分、その義務を全うするべく毎日すりきれるほど働いてたりするわけだから。
「義務がある、って言うなら何で納得させようとしない?何で反発させるやり方を選んだ?あんたが必死なのはよくわかったし、伝わってきたよ。それでも、このまま朋美を九州に連れて行かせる訳にはいかない。朋美は何一つ納得してないじゃないか。それでも無理やり連れて行くとか言うつもりなら、俺も黙ってるつもりはないし、さっきの借りを返させてもらわなきゃな」
無礼は元より承知の上だ。
ただ一人の男として、許せないこともある。
「ダメだって大輝……勝てるわけない」
「いいから下がってろ」
「いい根性だな、小僧。相手してやろう」
何だ、気持ち悪いな。
気に入られたとかやめてくれよな。
俺は、今からあんたをぶん殴るつもりなんだから!
心の中で叫び、朋美の父親の懐に飛び込む。
腹に渾身の一撃を叩き込む。
「……いってぇ!何だこの腹!どんな鍛え方したらこんな…」
殴ったはずの拳が痛みを覚えて思わず跳び下がって、父親を睨み据える。
少しも堪えた様子はない。
「何だ、そんなもんか小僧」
「……朋美、お前の父ちゃん何者なんだ?」
「言ってなかったっけ……土建屋の親方やってるの。それに昔からケンカで鍛えられてるとか……」
「うわ、反則くせぇ……」
鍛えられ方が半端じゃない。
正直、耐久力ありすぎて勝機が見えない。
殺すつもりならもしかしたら何とかなるかもしれないが、そういうわけにもいかない。
それにそこまで行くのに俺が殺される気がする。
「おい小僧」
「何だよ」
「負けん気が強いのはいいことだ。けど、相手を見て引くのも強さだぞ」
「んなことわかってら。けどな、男には引けない場面てのがあんだよ!」
「ふぅ、若さってやつか。よく言った」
すたすたと父親が俺の目の前まで歩いてくる。
ただ歩いているだけのはずなのに、この威圧感。
刹那、父親の拳が俺の腹にめり込むのが見えた。
視界が一瞬で暗転し、俺は意識を失ったのだと理解する。
完全に意識が消える直前、
「おい、手当てしてやれ。あと、目が覚めたら全部話してやれ。ちゃんと納得させるんだぞ」
と言う声が聞こえた。
「ぐっ……いてて……」
見知らぬ天井。
「大輝……無理しすぎだよ……」
「ここは……お前の家か?」
「そうだよ。四時間くらい眠ったままだったんだから」
外を見るとすっかり夜の暗さ。
そんなに眠ってたのか、俺は……。
「目が覚めたみたいだな」
父親が俺の様子を伺いにきた。
廊下でやりあったときは薄暗くてよく見えてなかったが、明るいところで改めて見るとメチャクチャごつい。
腕なんか俺の倍くらい太いんじゃないか、これ。
「改めて無謀な勝負に挑んだんだなって思うわ、俺……」
「それはそうと小僧」
小僧小僧うるさい、タコ坊主。
ヤクザみたいな見た目しやがって。
「一時間ほど外してやるから、朋美から話聞いとけ。俺がいないからって変なことしたら殺すからな」
「するかよ!」
「ふん」
そう言って、父親は出て行った。
興奮冷めやらぬ俺ではあったが、今はそんな時じゃない。
「もう、決まってることなのか?」
時間もないことだし、早速尋ねる。
「困ったことにね……。これは我が家の恥だから、あんまり言いたくなかったんだけど、もう大輝も無関係じゃないもんね」
「いや、これは俺が勝手に挑んで勝手に殴られたみたいなもんだから……気にしないでいいよ」
「一応話すよ。お父さんの会社ね、この間ちょっとまずいことになったみたいでさ。あちこち融資やら頼んで回ってたんだって。それでね」
要点をまとめると、暫く資金繰りに奔走していて、タコ坊主の実家の方でも当てを探してもらっていたのだという。
こっちで当初まとまりかけた話があったそうだが、ふとしたことでご破算になり、その直後にタコ坊主の実家の知り合いの会社が融資してくれることになった。
しかし、融資に当たって地元で会社を建て直すことが条件になり、かなり悩んだそうだが九州でやり直すことにしたんだとか。
その時、朋美は激昂してこう言ったんだそうだ。
「勝手に決めないで!!何で一言も相談してくれなかったの!?私、彼氏だっているんだよ!」
そんな正直に言えば、そりゃ怒るわ。
まぁ、タコ坊主がキレたのもわからないでもない。
「お父さんの言うことも、わかるよ。けど、私大輝と春海と、離れたくないよ……」
朋美が嗚咽を漏らす。
こんなとき、俺は無力だと思った。
中学生の身分じゃ何もしてやれることがない。
こういうことまで、タコ坊主は予期していたのだろう。
そう思うと、何だか悔しくてやりきれない気持ちになった。
結局、タコ坊主が戻ってくる少し前に俺は朋美の家を出た。
朋美を軽く抱きしめて、泣かせてやるくらいしか出来ることがなかった。
それでも少しだけ落ち着いたと言ってくれたことが、俺には救いになったのかもしれない。
春海に遅くなったことを詫びつつの報告を入れる。
全部話すと、何となく予感していたという様なことを言っていた。
『そのタコ坊主、私が殺しちゃっていいの?』
『やめろ!俺が殴られたのは自業自得だし、こんなのすぐ治るから!』
物騒なこともついでに言っていたが、とりあえず春海が乗り込んでタコ坊主とバトルという展開は避けられた。
「俺のことより、問題は朋美のことだろ」
翌日、春海がこっちに出張ってきた。
最近出番の多くなってきた、近所の公園で二人、ベンチに掛ける。
俺の顔の絆創膏を見て、黒いオーラが溢れそうなのが見えたので、慌てて話を逸らす。
「どうにもならない……よなぁ、さすがにこればっかりは」
「一つだけ、方法があるよ」
「マジか?どんなのだ?」
さすがは春海。
俺には出来ないことを平然と……いやそんな場合じゃないよな。
「うちで朋美を引き取る」
「それな……実は俺も考えたんだよ、提案はしなかったけど」
「大輝にしては頭が回ったね」
お前は心配してたくせに、誉めるときには一旦落とさないと気が済まないの?
「まぁ、それはいいとして」
朋美が春海の家で世話になるとしたら、春海や春海の家族側は特に問題がないはずだ。
それだけの余裕もあるのだろう。
しかし、朋美はどうだ?
負い目や引け目を感じるのは必至。
更にはまともに挨拶に来られる距離にいない親。
しかも会社の立て直しでそれどころじゃない、ってことになる。
少なくとも高校三年間はそんな気持ちを抱えて過ごさないといけなくなる。
大学はどうするのかって話まではしたことないが、行きたいにせよ行かないにせよ、迷惑をかけると感じるのではないか。
その様なことを春海に伝えると、春海も似た様な意見を持っていた。
「どっちにしても、今まで通りにってわけにいかないよね」
「そうだな……」
そうなると。
俺たちに出来ることは本格的にないのではないだろうか。
「大輝、どうしたい?」
「どうって……そりゃ今まで通りに、が理想ではあるけど……」
「もう一つ、これはパパ次第になっちゃうけど、方法はあるね」
「もしかして、春喜さんの会社から融資してもらうってこと?」
これも一瞬考えはした。
しかし、これに関しては俺たちがどうこうできるわけもなく、春喜さんとタコ坊主の信頼関係の話になってくる。
本格的に大人の話になるわけだ。
「それこそ、俺たち子供が口挟む話じゃなくなっちゃうんじゃないか?結果として朋美がこっちに残れても、引け目感じるのは同じだと思うんだが」
「やっぱりそうなるよね。打つ手なしか……」
さすがの春海も参ってしまった様だった。
春海にどうにかできないなら、俺にだって……。
「上手く行かないもんだなぁ……」
ぼそっと口から突いて出てしまう。
「…………」
今頃朋美は何をしているだろうか。
本当このまま離れ離れになってしまうのか。
そう考えると少し、胸が苦しくなる。
「大輝、傷大丈夫?」
「ああ……多少痛むけど、こんなの舐めときゃ治るだろ」
「そっか……じゃあ、舐めてあげるね」
「は!?」
そう言って俺の頬を舐めようとする春海。
「ま、待て!こんな人目あるとこで、そんなことやろうとしないで!」
「ダメ?自分じゃ舐めれないでしょ?」
「春海のそういうの他の男に見せたくないんだ、わかってくれ」
今のちょっとカッコいい、などと思ってしまう。
「珍しくカッコつけたね、今日といい昨日といい」
「そ、そうね。ただカッコつけた結果がこれじゃな、結果的にカッコついてないことになっちまうんだが」
「大輝がカッコ良かったことなんて、私の記憶にはあんまりないんだけどね。いつも大体ヘタレてるし」
「そういうの、思うのは自由だけど口に出すのは勘弁してもらえませんかね……」
「今更じゃん。大輝がカッコ良かったことなんかほとんどないんだから、今回もカッコ悪く足掻いてみたら?」
「!」
カッコ悪く……足掻く。
何となく光が見えた気がした。
いや、もちろん確実性はない。
だが、もうこれしかない。
春海はいつも俺の前に、道を作ってくれる。
導いてくれる。
本人が意識してるかどうかはわからないが、それが何度俺の助けになったことか。
世間的に見たら、このまま朋美を行かせて春海だけを愛していけよ、となるのだろう。
春海としても、もしかしたらその方が嬉しいのかもわからない。
それでも、春海が与えてくれたチャンスを潰す様なことだけはしたくない。
徒労に終わろうとも、それだけはしたくない。
その思いだけが、俺を突き動かした。
俺たちは中三になっていた。
春海と朋美に心情を吐露してから、一年以上が過ぎている。
その間にも色々あった。
クリスマスはチキンやらをかじりながら、
「全国のホテルで一番ギシる時間に、一斉にスプリンクラーが故障して水浸しになったら面白くない?」
などと春海が物騒なことを言ったり。
新年を迎えて初日の出を見て、
「俺たち……この光を見ることができたんだな……」
と中二病臭いセリフを口にしたり。
そんなあれこれを乗り越えてきた俺たちだったが、中三のクリスマスを控えて朋美の様子がおかしいことに気付く。
それは俺だけでなく春海も同様で、しかし朋美から何かを相談されたりということもない。
「俺たちにも言えない様なことなのかな」
「単に調子悪いだけだったりってこともありえるけどね」
そう口にする春海だったが、言葉と裏腹に何かに気付いている。
そんな感じがした。
「大輝、あのね」
「あん?」
もういくつ寝るとクリスマス、というある日のこと。
いつになく神妙な面持ちで朋美が俺を呼んだ。
「えっと……やっぱりいいや、ごめん」
「……?」
やっぱり変だ。
『まさか、大輝がパパって呼ばれる日がくるなんてね。おめでとう』
そのときのことを春海に相談したら返ってきたメールが、これだ。
笑えないからマジやめて。
下腹をさする朋美を思い出してちょっと戦慄する。
『そういう感じには見えなかったけどな』
『うん、違うと思う。毎月ちゃんと来てるはずだよ』
何でそんなこと知ってるの……。
産婦人科医でも目指してるの?
『私も、ちゃんと来てるから安心してね』
その情報は要らないです。
『このままじゃクリスマスがお通夜みたいなムードになっちゃうね。大輝、ちょっと明日辺り朋美を尾行してみて』
『は?尾行って……バレないか、さすがに』
『大丈夫。多分別のことが気になってそれどころじゃないはずだから』
春海がそう言うなら、と翌日。
放課後に俺は朋美が下校するタイミングを見計らって、玄関に行った。
事前に
「今日ちょっと用事あるから、すまんが一人で帰ってもらっていい?」
と伝えると少し安心した表情を見せた。
安心されるなんて……俺、少し傷ついたかも。
俺が尾行しているなんてことはつゆ知らず、朋美は自宅と思われる方向へ向かって歩いている。
俺がいないときは大抵、井原や野口といたりするものだと思っていたのだが、今日はどちらもいない様だ。
学校からそう遠くない場所に、朋美が住む団地があった。
十四階建ての建物の様で、エレベーターが二機ある。
エレベーターホールに入るのを見届け、乗り込むのを待つ。
途中で振り返ったりしないかと冷や冷やしたが、大丈夫だった。
八階で止まるのを見て、郵便受けを確認すると、桜井と書いた部屋があった。
八二三……八階の二十三号室ということか。
「うち、狭いし春海の家と比べたら鳥小屋みたいなもんだから、ちょっと呼ぶの抵抗あってさ」
こんなことを以前言っていたのを思い出した。
鳥小屋って……。
間取りは大体三DKとかそのくらいなのだろうが、一般的な家族が暮らすなら十分な広さなのではないだろうか。
『朋美の家の位置を確認した。今から前まで行ってみる』
メールで簡単に報告をして、俺もエレベーターに乗り込む。
八階に着くまでの間、少し緊張してドキドキした。
高い所が元々得意でないのもあるが、何となく嫌な予感がしていた。
エレベーターを降りると、両脇に通路があり部屋が沢山あるのがわかる。
自転車が沢山停めてある。
なるほど、この階の住人が自転車置き場に使ってるんだろう。
サッカーボールが置いてあるのも見える。
二十三号室……こっちか?
そう思い足を踏み出す。
表札を見ると、八〇三とあった。
どうやら逆だったらしい。
踵を返し、気を取り直して八二三の表札を探す。
と、そのときのことだった。
ドォン!と音がして恐らくは八二三号室からであろう怒号が聞こえた。
嫌な予感が的中したか……?
少し足早に八二三号を目指す。
小さく叫び声と悲鳴が聞こえる。
悲鳴は朋美だろうか。
こうしてはいられない。
呼び鈴を鳴らそうと手を伸ばしたそのとき、朋美宅のドアが開いて、人影が飛び出してきた。
「た、大輝……?何でここに……」
「話は後だ。何があった!?」
「えっと……」
朋美は切り出しかねていた様だったが、閉まったと思われたドアが再び開いて大きな人影が出てくるのが確認できて少し身構える。
「何だお前は」
大柄な中年男性が俺を見下ろしていた。
「お、俺は……」
「大輝、逃げて!!」
朋美が叫ぶ。
え、逃げる?何で?
なんて思ったのもつかの間、その男が拳を振り上げた。
「ちょ、いきなり暴力かよ!!」
その一撃をなんとか受け流して、朋美を庇う様に立つ。
何この人、バーサーカーとか?
聖杯戦争でも始まるの?
「生意気な……。まさかとは思うが、お前か?お前が朋美を、俺の娘を傷物にしたのか?」
今なんつったこいつ。
俺の娘って言わなかったか?
傷物って……間違ってないけどさ。
「は?娘……?」
「答えろ!!」
再び父親らしい男が拳を振るう。
「やめてよお父さん!!」
朋美が絶叫と共に俺の前に立ちはだかった。
「ば、バカヤロ!!」
片手で朋美を後ろに押しのけ、瞬間的に再度位置を入れ替わる。
避ける余裕も受け止める余裕もない。
まともに左頬に受けてしまい、足が空を切る。
距離にして二メートル程だろうか。
俺は吹っ飛ばされた様だった。
「いってぇ……」
「大輝!大輝!!しっかりして!!お父さん最低だよ、話も聞かないで!!」
「うるさい!!俺は認めないぞ!そんな青ビョウタンに娘を傷つけられて黙ってられるか!!」
「だから違うって何度も言ってるでしょ!?」
話が読めない。
というか痛い。
のっけからいいパンチもらっちまったな……。
「いいか、お前は中学卒業と同時に一家で九州に行くんだ。お前一人で残るなんて不可能だろうが!」
は?九州?
うどんの国があるのは……四国だっけ?
「旅行じゃ……なさそうだな」
何とか意識を話に向けることができるまでには回復した。
ズキズキと左頬は痛むし、血の味がするから多分中が切れてるだろうけど。
「お前には関係ない。今すぐ娘とは別れてもらう」
「勝手なことを……」
「何だと!?」
「子供は親の操り人形じゃないでしょ。生きてるし、意志だってある」
「扶養されてる身分でそれを通せると思ってるのか」
「それでも、俺たちには思い出だってあるんです」
「思い出が……小僧、お前に何をしてくれる?飯が食えるか、思い出で。服が買えるか?思い出はあくまで思い出でしかない。若いうちは理解出来ないかもしれないがな」
「だから俺たちにもそれを捨てろって?親の言うこととは思えないな」
足がややふらつくのを感じるが、何とかして立ち上がる。
「そうだ。思い出は新たに作ることができる。だが、生活していくためには思い出に縋っているだけじゃダメだってことを知れ」
「そんな簡単に捨てられるものなら、最初から作ったりしないだろ」
「それでも選ばなければならない時はくる。そして、俺たち親には子供を全うに育てる義務がある」
それを言われたら何とも言えなくなる。
先生も多分、その義務を全うするべく毎日すりきれるほど働いてたりするわけだから。
「義務がある、って言うなら何で納得させようとしない?何で反発させるやり方を選んだ?あんたが必死なのはよくわかったし、伝わってきたよ。それでも、このまま朋美を九州に連れて行かせる訳にはいかない。朋美は何一つ納得してないじゃないか。それでも無理やり連れて行くとか言うつもりなら、俺も黙ってるつもりはないし、さっきの借りを返させてもらわなきゃな」
無礼は元より承知の上だ。
ただ一人の男として、許せないこともある。
「ダメだって大輝……勝てるわけない」
「いいから下がってろ」
「いい根性だな、小僧。相手してやろう」
何だ、気持ち悪いな。
気に入られたとかやめてくれよな。
俺は、今からあんたをぶん殴るつもりなんだから!
心の中で叫び、朋美の父親の懐に飛び込む。
腹に渾身の一撃を叩き込む。
「……いってぇ!何だこの腹!どんな鍛え方したらこんな…」
殴ったはずの拳が痛みを覚えて思わず跳び下がって、父親を睨み据える。
少しも堪えた様子はない。
「何だ、そんなもんか小僧」
「……朋美、お前の父ちゃん何者なんだ?」
「言ってなかったっけ……土建屋の親方やってるの。それに昔からケンカで鍛えられてるとか……」
「うわ、反則くせぇ……」
鍛えられ方が半端じゃない。
正直、耐久力ありすぎて勝機が見えない。
殺すつもりならもしかしたら何とかなるかもしれないが、そういうわけにもいかない。
それにそこまで行くのに俺が殺される気がする。
「おい小僧」
「何だよ」
「負けん気が強いのはいいことだ。けど、相手を見て引くのも強さだぞ」
「んなことわかってら。けどな、男には引けない場面てのがあんだよ!」
「ふぅ、若さってやつか。よく言った」
すたすたと父親が俺の目の前まで歩いてくる。
ただ歩いているだけのはずなのに、この威圧感。
刹那、父親の拳が俺の腹にめり込むのが見えた。
視界が一瞬で暗転し、俺は意識を失ったのだと理解する。
完全に意識が消える直前、
「おい、手当てしてやれ。あと、目が覚めたら全部話してやれ。ちゃんと納得させるんだぞ」
と言う声が聞こえた。
「ぐっ……いてて……」
見知らぬ天井。
「大輝……無理しすぎだよ……」
「ここは……お前の家か?」
「そうだよ。四時間くらい眠ったままだったんだから」
外を見るとすっかり夜の暗さ。
そんなに眠ってたのか、俺は……。
「目が覚めたみたいだな」
父親が俺の様子を伺いにきた。
廊下でやりあったときは薄暗くてよく見えてなかったが、明るいところで改めて見るとメチャクチャごつい。
腕なんか俺の倍くらい太いんじゃないか、これ。
「改めて無謀な勝負に挑んだんだなって思うわ、俺……」
「それはそうと小僧」
小僧小僧うるさい、タコ坊主。
ヤクザみたいな見た目しやがって。
「一時間ほど外してやるから、朋美から話聞いとけ。俺がいないからって変なことしたら殺すからな」
「するかよ!」
「ふん」
そう言って、父親は出て行った。
興奮冷めやらぬ俺ではあったが、今はそんな時じゃない。
「もう、決まってることなのか?」
時間もないことだし、早速尋ねる。
「困ったことにね……。これは我が家の恥だから、あんまり言いたくなかったんだけど、もう大輝も無関係じゃないもんね」
「いや、これは俺が勝手に挑んで勝手に殴られたみたいなもんだから……気にしないでいいよ」
「一応話すよ。お父さんの会社ね、この間ちょっとまずいことになったみたいでさ。あちこち融資やら頼んで回ってたんだって。それでね」
要点をまとめると、暫く資金繰りに奔走していて、タコ坊主の実家の方でも当てを探してもらっていたのだという。
こっちで当初まとまりかけた話があったそうだが、ふとしたことでご破算になり、その直後にタコ坊主の実家の知り合いの会社が融資してくれることになった。
しかし、融資に当たって地元で会社を建て直すことが条件になり、かなり悩んだそうだが九州でやり直すことにしたんだとか。
その時、朋美は激昂してこう言ったんだそうだ。
「勝手に決めないで!!何で一言も相談してくれなかったの!?私、彼氏だっているんだよ!」
そんな正直に言えば、そりゃ怒るわ。
まぁ、タコ坊主がキレたのもわからないでもない。
「お父さんの言うことも、わかるよ。けど、私大輝と春海と、離れたくないよ……」
朋美が嗚咽を漏らす。
こんなとき、俺は無力だと思った。
中学生の身分じゃ何もしてやれることがない。
こういうことまで、タコ坊主は予期していたのだろう。
そう思うと、何だか悔しくてやりきれない気持ちになった。
結局、タコ坊主が戻ってくる少し前に俺は朋美の家を出た。
朋美を軽く抱きしめて、泣かせてやるくらいしか出来ることがなかった。
それでも少しだけ落ち着いたと言ってくれたことが、俺には救いになったのかもしれない。
春海に遅くなったことを詫びつつの報告を入れる。
全部話すと、何となく予感していたという様なことを言っていた。
『そのタコ坊主、私が殺しちゃっていいの?』
『やめろ!俺が殴られたのは自業自得だし、こんなのすぐ治るから!』
物騒なこともついでに言っていたが、とりあえず春海が乗り込んでタコ坊主とバトルという展開は避けられた。
「俺のことより、問題は朋美のことだろ」
翌日、春海がこっちに出張ってきた。
最近出番の多くなってきた、近所の公園で二人、ベンチに掛ける。
俺の顔の絆創膏を見て、黒いオーラが溢れそうなのが見えたので、慌てて話を逸らす。
「どうにもならない……よなぁ、さすがにこればっかりは」
「一つだけ、方法があるよ」
「マジか?どんなのだ?」
さすがは春海。
俺には出来ないことを平然と……いやそんな場合じゃないよな。
「うちで朋美を引き取る」
「それな……実は俺も考えたんだよ、提案はしなかったけど」
「大輝にしては頭が回ったね」
お前は心配してたくせに、誉めるときには一旦落とさないと気が済まないの?
「まぁ、それはいいとして」
朋美が春海の家で世話になるとしたら、春海や春海の家族側は特に問題がないはずだ。
それだけの余裕もあるのだろう。
しかし、朋美はどうだ?
負い目や引け目を感じるのは必至。
更にはまともに挨拶に来られる距離にいない親。
しかも会社の立て直しでそれどころじゃない、ってことになる。
少なくとも高校三年間はそんな気持ちを抱えて過ごさないといけなくなる。
大学はどうするのかって話まではしたことないが、行きたいにせよ行かないにせよ、迷惑をかけると感じるのではないか。
その様なことを春海に伝えると、春海も似た様な意見を持っていた。
「どっちにしても、今まで通りにってわけにいかないよね」
「そうだな……」
そうなると。
俺たちに出来ることは本格的にないのではないだろうか。
「大輝、どうしたい?」
「どうって……そりゃ今まで通りに、が理想ではあるけど……」
「もう一つ、これはパパ次第になっちゃうけど、方法はあるね」
「もしかして、春喜さんの会社から融資してもらうってこと?」
これも一瞬考えはした。
しかし、これに関しては俺たちがどうこうできるわけもなく、春喜さんとタコ坊主の信頼関係の話になってくる。
本格的に大人の話になるわけだ。
「それこそ、俺たち子供が口挟む話じゃなくなっちゃうんじゃないか?結果として朋美がこっちに残れても、引け目感じるのは同じだと思うんだが」
「やっぱりそうなるよね。打つ手なしか……」
さすがの春海も参ってしまった様だった。
春海にどうにかできないなら、俺にだって……。
「上手く行かないもんだなぁ……」
ぼそっと口から突いて出てしまう。
「…………」
今頃朋美は何をしているだろうか。
本当このまま離れ離れになってしまうのか。
そう考えると少し、胸が苦しくなる。
「大輝、傷大丈夫?」
「ああ……多少痛むけど、こんなの舐めときゃ治るだろ」
「そっか……じゃあ、舐めてあげるね」
「は!?」
そう言って俺の頬を舐めようとする春海。
「ま、待て!こんな人目あるとこで、そんなことやろうとしないで!」
「ダメ?自分じゃ舐めれないでしょ?」
「春海のそういうの他の男に見せたくないんだ、わかってくれ」
今のちょっとカッコいい、などと思ってしまう。
「珍しくカッコつけたね、今日といい昨日といい」
「そ、そうね。ただカッコつけた結果がこれじゃな、結果的にカッコついてないことになっちまうんだが」
「大輝がカッコ良かったことなんて、私の記憶にはあんまりないんだけどね。いつも大体ヘタレてるし」
「そういうの、思うのは自由だけど口に出すのは勘弁してもらえませんかね……」
「今更じゃん。大輝がカッコ良かったことなんかほとんどないんだから、今回もカッコ悪く足掻いてみたら?」
「!」
カッコ悪く……足掻く。
何となく光が見えた気がした。
いや、もちろん確実性はない。
だが、もうこれしかない。
春海はいつも俺の前に、道を作ってくれる。
導いてくれる。
本人が意識してるかどうかはわからないが、それが何度俺の助けになったことか。
世間的に見たら、このまま朋美を行かせて春海だけを愛していけよ、となるのだろう。
春海としても、もしかしたらその方が嬉しいのかもわからない。
それでも、春海が与えてくれたチャンスを潰す様なことだけはしたくない。
徒労に終わろうとも、それだけはしたくない。
その思いだけが、俺を突き動かした。
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