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本編
急病
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「おい、春海……何か顔色おかしくないか?」
「そうかな……でも少しダルいんだよね」
「ちょっと失礼……熱あんじゃん!」
「はは、大丈夫だよ……」
高校に通い出して早くも二ヶ月ほどが経過し、春海の誕生日を迎えた数日後。
春海は学校に登校してきていたが、発熱していた。
俺と春海、それから野口も別のクラスになっていたため、用事があればそれぞれのクラスに赴く必要があった。
昼休み、いつもの様に春海のいる教室で昼食を採ろうとしたときのことだった。
「食欲は?」
「今日はあんまり……大輝、食べる?」
「残しとけよ。もしかしたらあとで食べたくなるかもしれないし」
本当にダルそうで、こんな春海を見るのは初めてなので落ち着かない。
「保健室行くか?いや、行こう。何か危ないし」
「大丈夫だよ……」
「いや、どう考えても大丈夫じゃないってそれ」
半ば無理やりに春海を立たせ、肩を貸す。
教室にいた他の生徒がざわつき始めたが、無視することにした。
「春海ちゃん、調子悪いの?」
廊下にいた野口が俺たちを発見して、声をかけてきた。
「熱あるみたいなんだ。良かったら手伝ってくれるか?」
「春海ちゃん、大丈夫?」
野口も保健室に着いてきてくれた。
保健室の先生がいることを確認し、中に入る。
「どうしたの?何か凄い具合悪そうね」
「熱があるみたいなんです。頼めますか?」
「ちょっと待ってね」
女性の保健室の先生が体温計を取り出し、手早く春海の熱を計ろうとする。
「ちょっと、何見てるの!ちょっと出てなさい」
「あ、はい、すみません」
先生に怒られて慌てて保健室を出た。
熱か……水分だけでも採らせた方がいいよな。
階段近くに自販機があったはずだ。
吸収早いスポーツドリンクでも買っとくか。
スポーツドリンクを買って、保健室に戻る。
もうすぐ昼終わりそうな時間だな。
ドアをノックし、入って大丈夫か確認をする。
「どうぞ」
中に入ると、保健室のベッドのカーテンが閉まっていた。
「飲み物買ってきてくれたのね。あなた、姫沢さんの彼氏だったの、さっきはごめんなさい」
「いえ、常識的な行動かと思いますから。これ、渡してもいいですか?」
「そうしてあげて。あの子、熱が三十九度もあったのよ」
三十九度!?
どう考えても大丈夫な訳がない。
「一応解熱剤飲ませたけど……多分あんまり意味ないわね。このまま様子見て、危なそうなら病院行った方がいい。親御さんと連絡取れる?」
「あ、はい取れます」
「宇堂くん」
付き添いでいてくれた野口が、先に教室に戻る旨を俺に伝える。
「あ、悪いんだけどさ、俺少し遅れるって伝えといてくれないか?」
「了解、宇堂くんしっかりね」
「ああ、ありがとう」
珍しく真面目な表情を見せる野口。
まだ眠りに落ちてはいない様子の春海に、飲み物を渡す。
「少しでも腹に入れとけよ」
「ごめんね……」
「謝るなよ。俺に気なんか遣わなくていいから。とりあえず秀美さんに電話するわ」
「うん、ありがと……」
いつになく弱々しい春海。
こんな春海を見ていると、不安しかない。
「突然すみません秀美さん」
秀美さんの携帯に電話を入れる。
こんな状態になってしまったことを伝えるのはやや気が引けるが、伝えないことにはどうにもならない。
「どうしたの、大輝くん。元気ないみたいだけど」
「春海が、熱を出しました。それも、三十九度くらいあるみたいで……」
「えっ!?今はどうしてるの?」
「昼食べられなくて、そのまま保健室で薬貰って寝かせてます」
「あの子が、食べられなかったですって?」
「そうなんです。今までこんなことなかったから、俺どうしたら良いか……」
「落ち着いて、大輝くん。今はあなたしか頼れる人がいないのよ。保健室の先生は何て?」
「とりあえず起きるまで様子見て……」
と言ったところで予鈴が鳴った。
空気読めよチャイム!
「あら、チャイム?」
「あ、大丈夫です。友だちに遅れることは伝えてもらってるので」
「そう……様子見て、どうするって言ってたの?」
「ああ、そうでした。良くならないなら、病院に連れて行った方がいいって」
「なるほどね……大輝くん、今日はこのあと、何か予定ある?」
「あ、いえ……今日はバイトもないんで」
「なら、申し訳ないんだけど春海を病院に連れて行ってもらっても良いかしら。私が連れて行ってあげたいんだけど、今日はこれから主人の用事で出ないといけないの」
「そうだったんですね……忙しい中、すみません」
「大丈夫よ。大輝くんだから、お願いするし、任せられるの頼めるかしら?」
「わかりました。命に替えても、春海は守ります」
「そんな、大袈裟よ。何かあったら連絡してね?」
ふふっと秀美さんが笑ってくれたおかげで少しだけ気分が軽くなった気がした。
本鈴が鳴って、秀美さんが帰宅する時間等確認して、保健室に戻る。
「親御さんと連絡取れた?」
「あ、はいとれました……取れたんですが……」
事情を説明する。
「そう……家庭の都合ならやむを得ないわよね。宇堂くん、放課後に彼女を病院に連れて行ってもらっていい?」
「はい、秀美さん……春海の母親にも頼まれてますので」
「ごめんね、大変だと思うけど宜しく」
カーテンを少しずらして、春海を見る。
軽く寝息を立てている様だが、その息は荒い。
苦しいのだろうか。
少しだけ一人にしちゃうけど、ごめんな。
またすぐ来るから。
心の中で言い、先生に授業の間春海をお願いし、俺も教室へ戻った。
教室へ戻ると、当たり前だが既に授業中だった。
「遅れてすみません」
「事情は聞いてるよ。さ、席につきなさい」
教科担当の教師は特に怒ってもいない様で、すぐに授業を再開した。
俺の頭の中は春海のことばかりで、授業などまるで頭に入ってこなかった。
「宇堂、中間テスト終わったばかりだけど、ちゃんと聞いとかないと危ないぞ」
「あっ、すみません」
ぼーっとしていて先生に叱られた。
何とか意識を授業に向ける。
季節の変わり目ということもあるし、気候も不安定だし風邪の一つくらい引くこともあるだろう。
だが、今まで……春海と知り合ってから約八年経つが、こんなことは一度もなかった。
それだけに、不安は大きい。
六時間目の授業を終えると、俺は一目散に保健室へと駆け出した。
途中、野口が見えたので急ブレーキ。
「野口、さっきはサンキュな。助かった」
「大したことないよ。いいから春海ちゃんのところ行った行った」
「お、おう。今度お礼に何か奢るから!」
保健室に行くと、春海は起きていた。
もう起きて大丈夫なのかと言う思いもあるが、先生が大丈夫と判断したのだろうか。
「春海!」
「大輝……」
「大丈夫か?熱は?」
「さっきと変わってないみたい」
「薬、効いてないのか……飯食ってないからかな」
「それもあるかもだけど、大丈夫だよ。とりあえず行こう?」
「宇堂くん、気をつけてね」
先生が声をかけてくる。
先生の表情もやや不安が見えた。
「ありがとうございます、じゃあ連れて行きますね」
しかし春海を伴って保健室を出たとこで、肝心なことを忘れていることに気付いた。
「春海の荷物……」
俺としたことが、慌て過ぎだ。
こう言う時こそ、落ち着いて行動しないと……。
「春海、ちょっと待っててくれるか?お前の荷物取って
……」
「その必要はないわ」
後ろから声がかかった。
春海のクラスの女子だ。
ツインテールが特徴的な、可愛い系の顔した女子。
俺より少し背が高い。
名前は確か……何だっけ。
「宮本さん……?」
春海が声を上げる。
そうだ、宮本だ。
「宇堂くんが走ってくのが見えたから。ほら、鞄」
「持ってきてくれたのか、助かる」
「姫沢さん、思ってたより良くなさそうね。病院行くんでしょ?」
「何でそれを?……あ、野口か」
俺は宮本と数回程度しか顔を合わせたことがないはずだが、宮本の方は俺のことを覚えていた様だ。
「おっと、話は後だ。ごめん、急いでてさ。恩に着るよ、今度お礼に何か奢るわ」
「そんなのいいわ。姫沢さん、お大事にね」
宮本に礼を言って、俺は春海を連れて校外に出た。
「あいつ、いいやつだな……あ、タクシーきた」
「惚れちゃダメだよ……?」
「お前、こんなときまで冗談かよ……」
タクシーを停め、近くの病院へと行き先を告げる。
「大丈夫か?辛かったらすぐ言えよな」
「大丈夫だって、大袈裟だよ……」
大袈裟って、この親子は……。
「お姉さん調子悪いの?」
タクシーの運ちゃんが声をかけてきた。
人当たり良さそうな人だ。
「ええ、熱があって……」
「そうか、じゃあ安全運転で急いでやるからな」
何だか頼もしい。
思えば今日は色々な人に助けられている気がするな。
優しい運ちゃんのおかげで、予想していたよりも早く病院に着くことが出来た。
午後の診療には間にあった様でほっと息をつく。
待合室で再度熱を計り、呼ばれるのを待つ。
保険証は秀美さんが予め持たせてくれていた様だ。
「診察、結構かかりそうかな」
「どうだろうな。春海、苦しくないか?」
「大輝、過保護だよ……」
「バカ、心配するのは当たり前だろ……」
強がって心配をかけまいとする春海を見ていると、更に不安になってくる。
早く診察が始まらないかな、と周りを見回した。
「姫沢さん、二番へどうぞ」
看護士の声がして、春海の番になった。
俺も一旦は立ち上がるが、看護士に止められた。
「あ、彼氏さんはすみませんがこちらでお待ちくださいね」
当然だよな。
中がチラリと見えたが、女医さんみたいで少し安心した。
春海の診察の間、急に手持ち無沙汰になった。
タイミングを見計らった様に、野口からメールがきた。
『姫沢さん、どう?』
『今まさに診察中』
『エロい先生とかにあたったらピンチだね』
『こんな時でもお前は絶好調みたいで少し安心したよ』
『宇堂くん、落ち着いてね?春海ちゃんを支えてあげられるのは宇堂くんだけだから』
『ああ、そうだよな。ありがとう、少し落ち着いた気がする』
野口もいいやつだなと思う。
俺は友だちにも恵まれている気がする。
「姫沢さんの彼氏さんですよね、お入りいただけますか?」
メールを終えて少しして、俺も看護士に呼ばれた。
「え、俺ですか?入っていいんですか?」
「ええ、姫沢さんの意志ですので」
「わ、わかりました」
何だろう、思ったより悪いのかな。
今までよりも不安が大きくなるのを感じる。
「どうぞ、かけてください」
女医さんの勧めで俺も椅子にかける。
野口ならこの一言でまた妄想を爆発させられるんだろうな、などと考えてしまう辺り、毒されてきているのかもしれない。
「本題から行きますね。姫沢さんなんですが、どうも風邪にしてはおかしいんです。喉の腫れだとか、風邪らしい症状がないのに、熱だけが異常に上がっているというか……」
「あ……」
そういえば今日、春海は咳だとかくしゃみだとか、そういうのをしていない。
というか咳込んだりしてるのを見たことがない。
「思い当たることがあるみたいですね」
「ええ、本人も言ってたかもですが、咳したりとかそういうの、確かになかった気がします」
「この発熱が、別の要因で……つまり何か他の病気によるものである可能性があります。そうなると、危険な場合もあるので……」
病気……春海が?
どんな?元気の代名詞みたいな女なのに?
医学のことなど当然、知らない事だらけの俺だ。
病気といきなり言われても何が何やら。
想像もつかない。
「もし、まだ時間がある様ならこのまま詳細な検査に移りたいと思うのですが、その間ご両親に連絡を取って頂くことは出来ますか?」
「時間はありますが……確か父親の用事で母親も出るとさっき言ってたので、繋がるかはわかりませんがやってみます」
「わかりました。では、これから一、二時間ほど詳細な検査をします。着替え等ありますので、申し訳ないんですがまた出ていてもらっても良いですか?」
再び待合室に戻る俺。
病気だって?
いや、まだ可能性って……。
自然と手が震えるのがわかる。
落ち着け。
まずは連絡を入れないと……。
でも、大事な用事だったら……。
そう考えて、とりあえず秀美さんにメールを打つことにした。
『今、連絡大丈夫ですか?春海のことで話があるんですが』
震える手を必死で抑え込んで、秀美さんにメールを打つ。
返事はまだ来ない。
口の中と喉がカラカラに乾いている。
落ち着けと、心で念じても体は言うことを聞いてくれない。
不安を振り払う様に頭を振る。
気分を落ち着けようと、待合室の端にある自販機へ。
缶コーヒーを買おうと小銭を出した瞬間、携帯が振動して驚いて小銭をばらまいてしまった。
「ああああ……」
何をやってるんだ、俺は……落ち着け……。
慌てて小銭を拾い集め、自販機に必要金額を入れた。
普段ならミルクや砂糖が入っているものを選ぶが、何故かブラックを買ってしまう。
それを持って待合室のベンチに戻り、メールを開く。
『電話は難しいけど、メールなら何とか。何かあったの?』
秀美さんのメールにも、何となく焦りが読み取れた気がした。
『春海、風邪じゃないかもって医者が言っていました。喉の腫れとか風邪らしい症状が見受けられないって。別の病気の可能性があるから、って今検査受けてます』
送ってから数秒。
電話がかかってきた。
秀美さんからだ。
電話して大丈夫なのだろうか。
とりあえず入り口に移動して電話に出た。
「別の病気って、どういうこと?風邪じゃないかもって……」
「いや、俺にもそれはわかりません。ただ、風邪じゃないのに熱だけが異常に高いし、別の病気だったら危険だって、医者は言ってました」
「そう……そうなの……」
「それより、電話大丈夫なんですか?」
「それどころじゃないわよ!娘の一大事かもしれないんだから……」
普段冷静な秀美さんが軽くではあるが、ヒステリックに声を荒らげる。
俺は当然驚いて一瞬固まってしまった。
「ごめんなさい、取り乱して……」
秀美さんもやはり人の親なのだなと思う。
「もしもし、大輝くんかい?春喜です」
電話を代わった様で、いつもの春喜さんの声に何となく安心する。
「あ、春喜さん」
「春海が迷惑かけてるみたいで、ごめん」
「迷惑だなんて、とんでもない。春喜さんまで出てきちゃって、大丈夫なんですか?」
「今慌てて話まとめてきたから平気。それより、これからそっちに行くから病院の名前と大まかな位置教えてもらっていい?」
病院の名前と高校の近くであることを告げ、電話を切る。
三十分前後で着くはずだと春喜さんは言っていた。
それなりの人数が待合室にいるはずなのだが、何だか俺一人しかいない世界にでも迷い込んだ様な心細さを覚える。
春海は多分、苦しさやらでもっと心細く感じているのではないかと思った。
目安とは言え三十分という時間が、何時間もの長時間に感じた。
「大輝くん」
落ち着いた声で春喜さんが話しかけてくる。
とうやら待っている間で少し微睡んでいた様だ。
こんな時なのに、俺は何を……。
「疲れているみたいだね、大丈夫かい?」
春喜さんは俺を責めることなく、優しく肩に手を置いてくれた。
「大輝くん、春海はまだ検査中かしら」
秀美さんも春喜さんの後ろから声をかけてきた。
俺は時間にして十分程度寝てしまっていた様だ。
「まだ、戻っていないみたいです。俺が付いてながら、すみません……」
俺が付いてたからって、どうにもならないことなのはわかっていたが、どうしても謝らずにはいられなかった。
「大輝くんは、今日一番よくやってくれたよ。君がいなかったら、春海はあの性格だしまた無理してただろうからね」
「そうよ。どうなってたか、わからないわ……本当にありがとうね……」
「いえ、そんな……色々な人に、今日は助けてもらいましたから……」
事実、野口に宮本、保健室の先生……それに名前も知らないタクシーの運ちゃん。
みんなが俺を、春海を助けてくれた。
だから今まだ検査中ではあるが、この程度で済んだと言えなくもないのかもしれない。
「とりあえず、結果を待とうか」
二人も俺の隣に腰掛ける。
「それにしても、あの子が熱か……何年ぶりだっけ?」
「小学校に入ってすぐくらいだったかしら。それ以来、軽い風邪を引くことはあったけど、熱を出したりっていうのはなかったわね」
本当に元気だったんだな。
それが、今は高熱にうなされて苦しんでいる。
単に、熱を出した経験が少ないから耐性がなくて苦しんでいるだけならいいんだが。
さすがに二時間近くも経つと、患者の数も大分少なくなる様で待合室にいるのは俺たち三人と、他は片手で数えられる程度になっていた。
沈黙が、待合室を支配していた。
エレベーターの上にかかっている壁掛け時計の、秒針が刻む音がやけに大きく感じる。
そんなとき、こちらに向かって歩いてくる人影を確認することが出来た。
十八話に続きます。
「そうかな……でも少しダルいんだよね」
「ちょっと失礼……熱あんじゃん!」
「はは、大丈夫だよ……」
高校に通い出して早くも二ヶ月ほどが経過し、春海の誕生日を迎えた数日後。
春海は学校に登校してきていたが、発熱していた。
俺と春海、それから野口も別のクラスになっていたため、用事があればそれぞれのクラスに赴く必要があった。
昼休み、いつもの様に春海のいる教室で昼食を採ろうとしたときのことだった。
「食欲は?」
「今日はあんまり……大輝、食べる?」
「残しとけよ。もしかしたらあとで食べたくなるかもしれないし」
本当にダルそうで、こんな春海を見るのは初めてなので落ち着かない。
「保健室行くか?いや、行こう。何か危ないし」
「大丈夫だよ……」
「いや、どう考えても大丈夫じゃないってそれ」
半ば無理やりに春海を立たせ、肩を貸す。
教室にいた他の生徒がざわつき始めたが、無視することにした。
「春海ちゃん、調子悪いの?」
廊下にいた野口が俺たちを発見して、声をかけてきた。
「熱あるみたいなんだ。良かったら手伝ってくれるか?」
「春海ちゃん、大丈夫?」
野口も保健室に着いてきてくれた。
保健室の先生がいることを確認し、中に入る。
「どうしたの?何か凄い具合悪そうね」
「熱があるみたいなんです。頼めますか?」
「ちょっと待ってね」
女性の保健室の先生が体温計を取り出し、手早く春海の熱を計ろうとする。
「ちょっと、何見てるの!ちょっと出てなさい」
「あ、はい、すみません」
先生に怒られて慌てて保健室を出た。
熱か……水分だけでも採らせた方がいいよな。
階段近くに自販機があったはずだ。
吸収早いスポーツドリンクでも買っとくか。
スポーツドリンクを買って、保健室に戻る。
もうすぐ昼終わりそうな時間だな。
ドアをノックし、入って大丈夫か確認をする。
「どうぞ」
中に入ると、保健室のベッドのカーテンが閉まっていた。
「飲み物買ってきてくれたのね。あなた、姫沢さんの彼氏だったの、さっきはごめんなさい」
「いえ、常識的な行動かと思いますから。これ、渡してもいいですか?」
「そうしてあげて。あの子、熱が三十九度もあったのよ」
三十九度!?
どう考えても大丈夫な訳がない。
「一応解熱剤飲ませたけど……多分あんまり意味ないわね。このまま様子見て、危なそうなら病院行った方がいい。親御さんと連絡取れる?」
「あ、はい取れます」
「宇堂くん」
付き添いでいてくれた野口が、先に教室に戻る旨を俺に伝える。
「あ、悪いんだけどさ、俺少し遅れるって伝えといてくれないか?」
「了解、宇堂くんしっかりね」
「ああ、ありがとう」
珍しく真面目な表情を見せる野口。
まだ眠りに落ちてはいない様子の春海に、飲み物を渡す。
「少しでも腹に入れとけよ」
「ごめんね……」
「謝るなよ。俺に気なんか遣わなくていいから。とりあえず秀美さんに電話するわ」
「うん、ありがと……」
いつになく弱々しい春海。
こんな春海を見ていると、不安しかない。
「突然すみません秀美さん」
秀美さんの携帯に電話を入れる。
こんな状態になってしまったことを伝えるのはやや気が引けるが、伝えないことにはどうにもならない。
「どうしたの、大輝くん。元気ないみたいだけど」
「春海が、熱を出しました。それも、三十九度くらいあるみたいで……」
「えっ!?今はどうしてるの?」
「昼食べられなくて、そのまま保健室で薬貰って寝かせてます」
「あの子が、食べられなかったですって?」
「そうなんです。今までこんなことなかったから、俺どうしたら良いか……」
「落ち着いて、大輝くん。今はあなたしか頼れる人がいないのよ。保健室の先生は何て?」
「とりあえず起きるまで様子見て……」
と言ったところで予鈴が鳴った。
空気読めよチャイム!
「あら、チャイム?」
「あ、大丈夫です。友だちに遅れることは伝えてもらってるので」
「そう……様子見て、どうするって言ってたの?」
「ああ、そうでした。良くならないなら、病院に連れて行った方がいいって」
「なるほどね……大輝くん、今日はこのあと、何か予定ある?」
「あ、いえ……今日はバイトもないんで」
「なら、申し訳ないんだけど春海を病院に連れて行ってもらっても良いかしら。私が連れて行ってあげたいんだけど、今日はこれから主人の用事で出ないといけないの」
「そうだったんですね……忙しい中、すみません」
「大丈夫よ。大輝くんだから、お願いするし、任せられるの頼めるかしら?」
「わかりました。命に替えても、春海は守ります」
「そんな、大袈裟よ。何かあったら連絡してね?」
ふふっと秀美さんが笑ってくれたおかげで少しだけ気分が軽くなった気がした。
本鈴が鳴って、秀美さんが帰宅する時間等確認して、保健室に戻る。
「親御さんと連絡取れた?」
「あ、はいとれました……取れたんですが……」
事情を説明する。
「そう……家庭の都合ならやむを得ないわよね。宇堂くん、放課後に彼女を病院に連れて行ってもらっていい?」
「はい、秀美さん……春海の母親にも頼まれてますので」
「ごめんね、大変だと思うけど宜しく」
カーテンを少しずらして、春海を見る。
軽く寝息を立てている様だが、その息は荒い。
苦しいのだろうか。
少しだけ一人にしちゃうけど、ごめんな。
またすぐ来るから。
心の中で言い、先生に授業の間春海をお願いし、俺も教室へ戻った。
教室へ戻ると、当たり前だが既に授業中だった。
「遅れてすみません」
「事情は聞いてるよ。さ、席につきなさい」
教科担当の教師は特に怒ってもいない様で、すぐに授業を再開した。
俺の頭の中は春海のことばかりで、授業などまるで頭に入ってこなかった。
「宇堂、中間テスト終わったばかりだけど、ちゃんと聞いとかないと危ないぞ」
「あっ、すみません」
ぼーっとしていて先生に叱られた。
何とか意識を授業に向ける。
季節の変わり目ということもあるし、気候も不安定だし風邪の一つくらい引くこともあるだろう。
だが、今まで……春海と知り合ってから約八年経つが、こんなことは一度もなかった。
それだけに、不安は大きい。
六時間目の授業を終えると、俺は一目散に保健室へと駆け出した。
途中、野口が見えたので急ブレーキ。
「野口、さっきはサンキュな。助かった」
「大したことないよ。いいから春海ちゃんのところ行った行った」
「お、おう。今度お礼に何か奢るから!」
保健室に行くと、春海は起きていた。
もう起きて大丈夫なのかと言う思いもあるが、先生が大丈夫と判断したのだろうか。
「春海!」
「大輝……」
「大丈夫か?熱は?」
「さっきと変わってないみたい」
「薬、効いてないのか……飯食ってないからかな」
「それもあるかもだけど、大丈夫だよ。とりあえず行こう?」
「宇堂くん、気をつけてね」
先生が声をかけてくる。
先生の表情もやや不安が見えた。
「ありがとうございます、じゃあ連れて行きますね」
しかし春海を伴って保健室を出たとこで、肝心なことを忘れていることに気付いた。
「春海の荷物……」
俺としたことが、慌て過ぎだ。
こう言う時こそ、落ち着いて行動しないと……。
「春海、ちょっと待っててくれるか?お前の荷物取って
……」
「その必要はないわ」
後ろから声がかかった。
春海のクラスの女子だ。
ツインテールが特徴的な、可愛い系の顔した女子。
俺より少し背が高い。
名前は確か……何だっけ。
「宮本さん……?」
春海が声を上げる。
そうだ、宮本だ。
「宇堂くんが走ってくのが見えたから。ほら、鞄」
「持ってきてくれたのか、助かる」
「姫沢さん、思ってたより良くなさそうね。病院行くんでしょ?」
「何でそれを?……あ、野口か」
俺は宮本と数回程度しか顔を合わせたことがないはずだが、宮本の方は俺のことを覚えていた様だ。
「おっと、話は後だ。ごめん、急いでてさ。恩に着るよ、今度お礼に何か奢るわ」
「そんなのいいわ。姫沢さん、お大事にね」
宮本に礼を言って、俺は春海を連れて校外に出た。
「あいつ、いいやつだな……あ、タクシーきた」
「惚れちゃダメだよ……?」
「お前、こんなときまで冗談かよ……」
タクシーを停め、近くの病院へと行き先を告げる。
「大丈夫か?辛かったらすぐ言えよな」
「大丈夫だって、大袈裟だよ……」
大袈裟って、この親子は……。
「お姉さん調子悪いの?」
タクシーの運ちゃんが声をかけてきた。
人当たり良さそうな人だ。
「ええ、熱があって……」
「そうか、じゃあ安全運転で急いでやるからな」
何だか頼もしい。
思えば今日は色々な人に助けられている気がするな。
優しい運ちゃんのおかげで、予想していたよりも早く病院に着くことが出来た。
午後の診療には間にあった様でほっと息をつく。
待合室で再度熱を計り、呼ばれるのを待つ。
保険証は秀美さんが予め持たせてくれていた様だ。
「診察、結構かかりそうかな」
「どうだろうな。春海、苦しくないか?」
「大輝、過保護だよ……」
「バカ、心配するのは当たり前だろ……」
強がって心配をかけまいとする春海を見ていると、更に不安になってくる。
早く診察が始まらないかな、と周りを見回した。
「姫沢さん、二番へどうぞ」
看護士の声がして、春海の番になった。
俺も一旦は立ち上がるが、看護士に止められた。
「あ、彼氏さんはすみませんがこちらでお待ちくださいね」
当然だよな。
中がチラリと見えたが、女医さんみたいで少し安心した。
春海の診察の間、急に手持ち無沙汰になった。
タイミングを見計らった様に、野口からメールがきた。
『姫沢さん、どう?』
『今まさに診察中』
『エロい先生とかにあたったらピンチだね』
『こんな時でもお前は絶好調みたいで少し安心したよ』
『宇堂くん、落ち着いてね?春海ちゃんを支えてあげられるのは宇堂くんだけだから』
『ああ、そうだよな。ありがとう、少し落ち着いた気がする』
野口もいいやつだなと思う。
俺は友だちにも恵まれている気がする。
「姫沢さんの彼氏さんですよね、お入りいただけますか?」
メールを終えて少しして、俺も看護士に呼ばれた。
「え、俺ですか?入っていいんですか?」
「ええ、姫沢さんの意志ですので」
「わ、わかりました」
何だろう、思ったより悪いのかな。
今までよりも不安が大きくなるのを感じる。
「どうぞ、かけてください」
女医さんの勧めで俺も椅子にかける。
野口ならこの一言でまた妄想を爆発させられるんだろうな、などと考えてしまう辺り、毒されてきているのかもしれない。
「本題から行きますね。姫沢さんなんですが、どうも風邪にしてはおかしいんです。喉の腫れだとか、風邪らしい症状がないのに、熱だけが異常に上がっているというか……」
「あ……」
そういえば今日、春海は咳だとかくしゃみだとか、そういうのをしていない。
というか咳込んだりしてるのを見たことがない。
「思い当たることがあるみたいですね」
「ええ、本人も言ってたかもですが、咳したりとかそういうの、確かになかった気がします」
「この発熱が、別の要因で……つまり何か他の病気によるものである可能性があります。そうなると、危険な場合もあるので……」
病気……春海が?
どんな?元気の代名詞みたいな女なのに?
医学のことなど当然、知らない事だらけの俺だ。
病気といきなり言われても何が何やら。
想像もつかない。
「もし、まだ時間がある様ならこのまま詳細な検査に移りたいと思うのですが、その間ご両親に連絡を取って頂くことは出来ますか?」
「時間はありますが……確か父親の用事で母親も出るとさっき言ってたので、繋がるかはわかりませんがやってみます」
「わかりました。では、これから一、二時間ほど詳細な検査をします。着替え等ありますので、申し訳ないんですがまた出ていてもらっても良いですか?」
再び待合室に戻る俺。
病気だって?
いや、まだ可能性って……。
自然と手が震えるのがわかる。
落ち着け。
まずは連絡を入れないと……。
でも、大事な用事だったら……。
そう考えて、とりあえず秀美さんにメールを打つことにした。
『今、連絡大丈夫ですか?春海のことで話があるんですが』
震える手を必死で抑え込んで、秀美さんにメールを打つ。
返事はまだ来ない。
口の中と喉がカラカラに乾いている。
落ち着けと、心で念じても体は言うことを聞いてくれない。
不安を振り払う様に頭を振る。
気分を落ち着けようと、待合室の端にある自販機へ。
缶コーヒーを買おうと小銭を出した瞬間、携帯が振動して驚いて小銭をばらまいてしまった。
「ああああ……」
何をやってるんだ、俺は……落ち着け……。
慌てて小銭を拾い集め、自販機に必要金額を入れた。
普段ならミルクや砂糖が入っているものを選ぶが、何故かブラックを買ってしまう。
それを持って待合室のベンチに戻り、メールを開く。
『電話は難しいけど、メールなら何とか。何かあったの?』
秀美さんのメールにも、何となく焦りが読み取れた気がした。
『春海、風邪じゃないかもって医者が言っていました。喉の腫れとか風邪らしい症状が見受けられないって。別の病気の可能性があるから、って今検査受けてます』
送ってから数秒。
電話がかかってきた。
秀美さんからだ。
電話して大丈夫なのだろうか。
とりあえず入り口に移動して電話に出た。
「別の病気って、どういうこと?風邪じゃないかもって……」
「いや、俺にもそれはわかりません。ただ、風邪じゃないのに熱だけが異常に高いし、別の病気だったら危険だって、医者は言ってました」
「そう……そうなの……」
「それより、電話大丈夫なんですか?」
「それどころじゃないわよ!娘の一大事かもしれないんだから……」
普段冷静な秀美さんが軽くではあるが、ヒステリックに声を荒らげる。
俺は当然驚いて一瞬固まってしまった。
「ごめんなさい、取り乱して……」
秀美さんもやはり人の親なのだなと思う。
「もしもし、大輝くんかい?春喜です」
電話を代わった様で、いつもの春喜さんの声に何となく安心する。
「あ、春喜さん」
「春海が迷惑かけてるみたいで、ごめん」
「迷惑だなんて、とんでもない。春喜さんまで出てきちゃって、大丈夫なんですか?」
「今慌てて話まとめてきたから平気。それより、これからそっちに行くから病院の名前と大まかな位置教えてもらっていい?」
病院の名前と高校の近くであることを告げ、電話を切る。
三十分前後で着くはずだと春喜さんは言っていた。
それなりの人数が待合室にいるはずなのだが、何だか俺一人しかいない世界にでも迷い込んだ様な心細さを覚える。
春海は多分、苦しさやらでもっと心細く感じているのではないかと思った。
目安とは言え三十分という時間が、何時間もの長時間に感じた。
「大輝くん」
落ち着いた声で春喜さんが話しかけてくる。
とうやら待っている間で少し微睡んでいた様だ。
こんな時なのに、俺は何を……。
「疲れているみたいだね、大丈夫かい?」
春喜さんは俺を責めることなく、優しく肩に手を置いてくれた。
「大輝くん、春海はまだ検査中かしら」
秀美さんも春喜さんの後ろから声をかけてきた。
俺は時間にして十分程度寝てしまっていた様だ。
「まだ、戻っていないみたいです。俺が付いてながら、すみません……」
俺が付いてたからって、どうにもならないことなのはわかっていたが、どうしても謝らずにはいられなかった。
「大輝くんは、今日一番よくやってくれたよ。君がいなかったら、春海はあの性格だしまた無理してただろうからね」
「そうよ。どうなってたか、わからないわ……本当にありがとうね……」
「いえ、そんな……色々な人に、今日は助けてもらいましたから……」
事実、野口に宮本、保健室の先生……それに名前も知らないタクシーの運ちゃん。
みんなが俺を、春海を助けてくれた。
だから今まだ検査中ではあるが、この程度で済んだと言えなくもないのかもしれない。
「とりあえず、結果を待とうか」
二人も俺の隣に腰掛ける。
「それにしても、あの子が熱か……何年ぶりだっけ?」
「小学校に入ってすぐくらいだったかしら。それ以来、軽い風邪を引くことはあったけど、熱を出したりっていうのはなかったわね」
本当に元気だったんだな。
それが、今は高熱にうなされて苦しんでいる。
単に、熱を出した経験が少ないから耐性がなくて苦しんでいるだけならいいんだが。
さすがに二時間近くも経つと、患者の数も大分少なくなる様で待合室にいるのは俺たち三人と、他は片手で数えられる程度になっていた。
沈黙が、待合室を支配していた。
エレベーターの上にかかっている壁掛け時計の、秒針が刻む音がやけに大きく感じる。
そんなとき、こちらに向かって歩いてくる人影を確認することが出来た。
十八話に続きます。
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