手の届く存在

スカーレット

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大輝編21話~色欲の黒渦~

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「大輝くん、これはどういうことなの?」

俺は、野口、宮本、それから柏木さんという異色の面子に囲まれて、問い詰められていた。
場所は、柏木さんの家。
彼女は一人暮らしで、俺がその家に入るところを、尾行してきた二人が突撃してきた。

どうしてこうなったのかというと……。


話は一週間ほど前に遡る。

野口と宮本に小芝居をしかけてそれがバレ、見事に搾り取られ尽くした翌日。
俺は学校に行った。

三人仲良く(?)泊まって一旦制服に着替えて登校。
俺は気が重い中、よく頑張った方だっただろう。
昼はベタベタと二人からひっつかれ、それでも俺は一人になりたかった。

まだ、余韻に浸っていたかったのだ。
二人との余韻ではなく、春海のことだ。
何だかんだまだそんなに日数経ってなかったというのもあるし、二人を俺のこんな暗い心境に巻き込みたくないというのも本音。

それを余計なことして体の関係を持ってしまったというのは、明らかに俺のミスだ。
どう言い繕っても、最低の一言に尽きる。
何とか二人を言いくるめて、その日の予定に組み込まれていたバイトに出る。

ほとんど無断で休んでいたバイトだったが、オーナーは許してくれた。
それどころか、暗くボロボロな表情の俺を気遣ってさえくれた。

奥さんもその日はいたが、すぐに帰らなければならないらしく、助っ人に柏木さんが呼ばれた。
この人は異常に勘が鋭いのであんまりいい予感はしなかったが、その嫌な予感は普通に的中してしまうこととなった。

「なぁ、大丈夫か?」
「……何が?」
「随分長いこと休んでたしさ。何か大分痩せた様に見える」

それはきっと、痩せたんじゃなくてやつれたんだと思うが。
昨日アホなことを企んだ報いでもあると思っている。

「ご心配なく。別に体調悪いとかじゃないから」
「……その、彼女さんのことはさ、残念だったと思う」

やっぱりくるのか、その話題。
春海がいたという記憶を、忘れてしまいたくなくて。
いたんだという証を胸に刻み込む。
だが、他の誰かからそれを語られるのはやはり辛かった。

「ありきたりな言い方になっちゃうけど……そんな姿、あの子は見たくないんじゃないかな」

あんたに何がわかる。
そう思う一方で、この人の優しさも痛いほどわかる。
そう思うと、そう強いことは言えなくなる。

「そうだとして、別に問題ないですよ。もうあいつはいないんですから」
「お前っ……!」

先ほどまで優しく慈愛に満ちた様な、何だか似合わない顔をしていた柏木さんの表情に、怒りの色が滲む。
そうだよ、これでこそこの人だ。

しかしタイミングよくお客さんがきてしまって、会話は中断される。
柏木さんがレジを打ち、俺は陳列の乱れを直したりして、レジが混めばもう一台開ける。
そんなことを繰り返して、二十二時を待つ。

仕事をしていれば、ほぼオートで体は動いてくれる。
言葉も紡いでくれる。
春海のことだけ考えていられる。

「さっきはついカッとなって、悪かった」
「別に、いいですよ。普通に考えたら俺の発言が無神経でした」
「ちょっとさ、付き合わないか?」

仕事終わりの事務所での会話。
高校生をこんな時間から連れまわそうって言うのか。
なかなか怖いもの知らずなんだな、この人。
警察にでも見咎められたら、逮捕案件じゃないのか。

「いいですよ、どこ行くんですか」

けど、そんなこと別にどうでも良かった。
俺たちより長く生きてるだけあって、空気も読めるし、そうそう俺の神経を逆撫でしてくることもないだろう。
そう思うと野口や宮本といるよりある意味で楽かなと思った。

「着いてきて」

柏木さんは先に歩いて、店を出る。

「お腹空いてない?いや、空いてるよな」
「ええ、まぁ。何か食べに行くんですか?」
「いや……買ってくか」

もう一軒、近くには別系統のコンビニがある。
そこで柏木さんが二人分の弁当を買う。
自分の分くらい出すと言ったら、生意気言うなと小突かれた。

「もしかして」
「ああ、こんな時間に連れ回すのもちょっとな。だからうちでいいだろ」

事も無げに言っているが、結構大それたことをしようとしているって自覚はあるんだろうか。
店から出て、歩いて五分くらいだろうか。
ちょっと小洒落た感じの建物が見えた。

「あれだよ」
「へぇ……」

いずれは今の施設からも出ないといけない。
そう考えると、柏木さんの家に来るのも社会勉強の一環になるか。
五階建の三階に、柏木さんの部屋はあった。

意外なことに、果てしなく意外なことに、ちゃんと整理されて片付けが行き届いている。

「何だよその顔……私が暮らす家が綺麗なのがそんなに意外か?」

苦笑いで俺に言う。
さすがにわかるか。

「いや、まぁ別に……綺麗なのはいいことなんじゃないですかね」
「なーんか引っかかる言い方だな」

まぁいいけど、と呟きながら柏木さんは二人分の弁当を温めにかかる。
二DK……っていうのか、この間取り。
一人で暮らしてるんだとしたら、かなり広い。
風呂とトイレも分かれているし、都内だったらそこそこの家賃なんじゃないだろうか。

「とりあえず、座ってなよ」

促され、テーブルの前に座る。
柏木さんは毎日、一人でこんな広い部屋で暮らしているのか。
そう考えると少し、この人って可哀想なのかなって思えてくる。

「ほら、食え」

柏木さんが俺の前に弁当を置く。
温められて湯気が上がっている弁当を見たら、急激に食欲が湧いてきた。

「……いい食いっぷりだな」

気づいたら弁当は空になっていた。
特別旨かったってほどでもないが、空腹には勝てなかったということか。

「何か、飲むものない?」
「あー……そうだよな、待ってて」

柏木さんはまだ食べてる途中なのに立ち上がって、冷蔵庫を漁りに行った。
それくらいフットワーク軽く、男漁りできたら彼氏とかすぐ出来そうなのに、なんてちょっと失礼なことを考えた。

「苦いの平気だよな?これ飲んでてくれ」

そう言って渡されたのは、レモン味の炭酸だった。
ちょっとお高そうな瓶に入っている。

「おっとなだね」
「酒ってわけにも行かないからね。まぁ、私は酒だけど」

げ、また絡むつもりかこの人。
絡んでこなきゃ、何杯飲んでもらってもかまわないのに。

「別に、俺も酒でよかったけど」
「生意気」

この人は本当に美味しそうに酒を飲む。
大人の嗜みというやつなのだろうか。

「さて、今お前が溜め込んでるもの、吐き出してしまえよ」

二人ともが食事を終えて、柏木さんはビールを飲みながら言う。
吐き出せって言われてもな。

「ここなら、誰も聞いてないから」

優しく言う。
いつの間にか、俺の隣に座っていた柏木さんが、俺の頭を撫でた。

「お前みたいに若いやつが、これからのやつが、そんなになるまで自分を押し殺す必要なんてないんだよ」

俺は最初、その手を振り払おうとしたが、やがてそんな気力も削がれる。
心地よさに負けたのだ。
普段のあのズボラな感じの、男勝りの毒婦とは思えない優しさに、俺は負けた。

「俺は、今でもあいつが、死んだなんて信じられないんです。線香あげに行ったりもしましたけど」
「うん」
「突然目の前に現れて、俺を驚かせてくれるんじゃないかって、今も思ってます」
「うん」
「でも、そんなこと考えてるとか周りに知れたら。周りのやつらはいいやつばっかりだから」
「そうだな」
「俺のこと、ほっといてなんかくれないから」
「うんうん」
「それでも、俺は今でも春海を……」

忘れることなんか、できない。
いつの間にか嗚咽が漏れる。
前に進まないといけない、なんて無理やり自分に言い聞かせて、前に進んだつもりで。

進んだのは時間だけだった。
心はきっと、まだあのときから立ち止まったままだった。

「忘れる必要、あるか?お前が忘れちゃったら、あの子は本当の意味で死んじゃうんじゃないかってあたしは思う」

そう言って柏木さんは俺の頭を抱きしめる。
ふわっと、いい匂いがした。
その匂いに、少しだけ安らぎを感じた。

「なぁ宇堂さ。人間、ずっと動き続けるなんて無理なんだよ。休まないと、体だって心だって、壊れちゃうんだ」
「でも……」
「思い出とかって確かに風化しちゃうもんだし、あたしだって、もう元彼のこととか割と忘れちゃってるからね」
「…………」
「ああ、言ってなかったっけ。元彼とはね、実は結婚の約束してたんだよ。まぁダメになったから今があるんだけど」
「結婚……」
「うん……半年ちょっと前になるかな。私、妊娠してたんだ」

ちょっと衝撃的だった。
彼氏くらいは何人かいても不思議なかったが……。

「式場選びとか二人でしてさ、お腹に負担にならないドレスとか選んで」

少し遠い目をする柏木さん。
本当はあんまり思い出したくないんじゃないだろうか。

「けど、私の我が儘で仕事続けてたら、流れちゃったんだ。流産ってやつ」

俺の頭を抱えたまま、柏木さんは言う。
ありがちだが、それからの柏木さんは自暴自棄になった。
彼の制止も聞かず、酒に溺れた。

彼はそんな柏木さんを見ていられなくて、二人で暮らしていたこのマンションを出たのだという。

「今でもちょっと、思い出すと締め付けられる思いはある」

そう簡単に忘れられるものでもない。
まだ子どもの俺にもわかる。

「あのコンビニでバイトしてるのはね、今のあんたと同じ様な理由からなんだ」

仕事をしている間だけは、そのことを思い出さないでいられるから。
一人でいる時間を、限りなく少なくする為に。

「体は多少しんどいんだけどね。それでも、前より気分的に楽だったよ」

似た理由ではあるけど、俺とは逆だ。
俺は、一人の時間がほしい。

「とりあえず、これ渡しとくよ」

そう言って柏木さんが俺に渡したのは、鍵だった。

「これって」
「この部屋の鍵。好きなときに逃げてきていいから」
「逃げるって……」
「今のあんたに必要なのは、心の休養。逃げ道を与えるのも、大人の役目だからね」
「わかった、ありがとう。多分しょっちゅうくると思う」
「それだと、私も寂しい思いしなくて済むけどね。けどあんたの言う、周りのいいやつらっての、蔑ろにしたらダメだからね」

柏木さんには悪いが、多分逃げ道としての利用は大いにさせてもらうことになりそうだ。

「早速で申し訳ないんだけど、今日泊まってっていい?」

それを聞いた柏木さんは、ちょっと驚いた顔をしている。
酒のせいか俺のせいか、顔を赤くして目を丸くしていた。

「そりゃ、構わないけど……いいの?」
「いいも悪いも、聞いてるの俺なんだけど……」
「部屋は一個空いてるけど、そっちには寝具ないからさ。同じ部屋で寝ることになるけど」

柏木さんが先に入浴して、俺も風呂を借りる。
割とちゃんとした風呂で、柏木さんの使っているであろうシャンプーやらを借りて俺も体を清めた。


「じゃ、じゃあ電気、消すからな」
「うん」

二人で一つの布団に入っている。
多分何事もなく寝ておきて、なんてことにはならないだろう。
きっと、二人は迷いもなく一線など飛び越えてしまう。
以前感じた、黒い渦がそれを予感させる。

同じ布団で、俺は横になって目を閉じる。
少しするとまどろみそうになるが、ふと気配を感じる。
柏木さんは、必死で何かを堪えているのか、ふーっ、ふーっ、と息遣いが聞こえる。

そんなに我慢することはない。
そう言う様に、俺は柏木さんの肩を掴む。
未成年の男を襲った、なんて事実は残させてはいけない。

もちろん、関係を持つこと自体が罪ではある。
けれども、その罪を少しでも軽くしてあげたかった。
罪悪感を、持たせたくなかった。
少しビクっとして、柏木さんがこっちを見るのがわかる。

「ん……」

俺は柏木さんの唇を奪う。
それに応えるかの様に、柏木さんは俺の口に舌を滑り込ませる。
黒い渦が、俺を蝕むのを感じる。

このまま、思うままにしてしまえ。
脳内で声が響いた気がした。

俺は、それまでの鬱憤をぶちまける様に、柏木さんを抱いた。
時折柏木さんが俺を包み込む様な、心地よさが俺の中で広がっていくのを感じた気がする。


「お前……本当に高一か?普通の大人って言われても信じるくらいには上手かったんだけど」

事後のピロートークが展開される。

「柏木さんが思ってるよりは、多分俺経験つんでるから」
「うわぁ、ろくでなしの才能だ」
「そのろくでなしにひーひー言わされてたくせに」
「!……そ、それは……その、溜まってたから棒がほしかったっていうか……」
「……言い訳はもうちょっとスマートに、上品にしませんか……」

こんなことがあって、俺は翌日も、その翌日も、毎日柏木さんの家に入り浸った。
もちろん学校にもバイトにもちゃんと顔を出していたし、バレない様に細心の注意を払っていたつもりだった。

ところが、ある日誤算があった。
野口と宮本を傷つけない様、上手く回避していたはずだったのだが、この日に限って引き下がる様子がない。

「私たち、鬱陶しい?大輝くんの邪魔?」

二人は俺のことを、大輝くんと呼ぶ様になっていた。
俺はあえて呼び方を変えなかったが、それも気に入らないんだろうと思う。

「いや、そんなことはないよ。けど、まだ一人でいたいっていうか」
「私たちが一緒にいると、辛い?」

そうだよ、とか言えば引き下がるんだろうか。
おそらく答えはノー。
更に追求を受けるだけだと思った。

彼女らも、十分魅力的な女性だ。
だが、それだけに俺なんかに構って青春を無駄にしてほしくないというのもあるし、俺自身まだほっといてほしいという思いもあった。
どの答えを述べたところできっと、彼女らは納得しない。

正直に言えば俺にもっと、構ってほしいんだというのが伝わってくる。
わかってはいるし、希望には応えてあげたい。
先日俺がバカな真似をして返り討ちにあった件も、特に気にしてはいない。
それでも、今はまだ、という思いがある。

「今日はちょっと行くとこあるから、すまん」

そう言って俺は二人と別行動を取る。
二人は不満そうだったが、駅までは、ということになって俺もそれには了承した。
何もかもダメ、じゃ不満は募る一方になってしまう。

二人が改札を通るのを見送って、俺も逆方向の、自分の行く方向の改札へ行く。
これがよくなかった。

二人は俺が思っているよりも頭が回り、狡猾であることを計算に入れていなかった。
それに、まだ愛美さんは仕事から帰っていないはず、という思い込みもあった。

愛美さんの部屋の鍵を開けようとして、鍵が開いていることに気づく。
部屋に入ると、愛美さんがエプロンをして夕飯の支度をしていた。

「あれ、今日早かったんだ?」
「ああ、今日はちょっと、早めに終わってね」

鼻歌交じりに愛美さんが夕食を作る。
手料理は食べたことなかったが、特に問題なさそうに見えた。

と、そこで玄関のチャイムが鳴る。
俺の心臓が高鳴るのを感じる。

「ああ、あたし出るよ」

愛美さんが、ガスの火を止めて玄関に向かう。
何故か心臓が跳ねる。
嫌な予感再び。

「はいはーい」

陽気にドアを開ける愛美さん。
恐る恐る玄関を見ると、野口と宮本の二人が笑顔で立っている。
目が、笑っていない。
愛美さんを見ると、友達?みたいな顔をしている。

「お前ら……何で……」

嫌な汗が背中を伝うのを感じる。

「えーと、よくわかんないけど、上がってく?」

愛美さんはよくわからない人を家にあげる様な寛大な人なのか、とちょっと驚く。

「お邪魔しまーす」

二人は遠慮なしに、上がってくる。
俺とすれ違う瞬間の二人の顔は、般若のそれだった。
そして二人は、俺との関係を愛美さんに打ち明ける。
それから、冒頭に至るというわけだ。

「どういう……か」

愛美さんは二人にお茶を出して、座る様言う。
俺も問答無用で座らされる。

「あー……なんつーの、これ、修羅場だよな」

よ、余計なことを……。

「そうですね。大輝くんとどういう関係なのか、お伺いしてもいいですか?」
「ん?バイト先の先輩後輩だな。あと、想像通りだと思うけど。もう少し詳しく聞きたいか?」

何でそう煽る様な言い方するんだ……。

「詳しい内容って、ここで行われてることですか?」

宮本が少し、赤い顔で言う。
言って恥ずかしくなるくらいなら、言わない方が賢明だと思うけどな……さすがに相手が悪い。

「そういうことじゃねぇの?あんたたちが聞きたいのって」

愛美さんはさすが、大人の余裕ってやつを滲ませる。

「そ、そうですけど……」
「何だ、何なら実演するか?」
「ちょっ……」
「じ、実演!?」

愛美さん以外の全員が動揺する。
そりゃそうだろう。
まさか本当に実演するわけはないとして、それでも連想しないわけがない。

「あたしたち、あんたらが考えてるよりディープなことしてるよ?」

意地悪そうに愛美さんが言う。
やめろ、これ以上刺激しないで……。
こいつら多分ムキになって……。

「ええ、じゃあぜ、是非見せてもらいましょうか!」

ほらな。

「けど、お姉さんがやってることって、犯罪ですよ?わかってますか?」

やはりきたか。
まぁ、確かに現行の法律じゃ、愛美さんは百対〇で悪くなってしまう。

「そうですね、性犯罪です」

宮本も勢いに乗ってきたみたいだ。
だけど性犯罪って言い方はやめてくれ。

「あのな、お前ら。聞いてくれ」
「私たち今、柏木さんと話してるんだけど」

野口が憤怒の表情で言う。
でかい目に怒りがこもり、充血している。

「そうだけど、聞いてくれ。愛美さんは、俺が襲ったんだ」

無理やり言い切る。
愛美さんに目配せをすると、通じたのか頷いて見せた。

「まぁ、そうだな。襲ってきたのは大輝からだ。もしあんたらがあたしを警察に、って言うなら未成年とは言え女を襲ったって言う事実があるからな。大輝も警察の厄介になるかもなぁ。痛みわけってことになるんだが。それがあんたらの望みか?」
「そ、それは……」

さすがにそこまでは想定していなかったのか、宮本も野口も黙った。

「世の中、女側が悪かったとしても女に有利に出来てたりするからなぁ。試してみても、あたしは構わないよ」
「は、犯罪っていうのは一旦忘れましょう」

宮本が言うが、この勝負は既に決している。
ここから何を言ってもきっと、この二人じゃ愛美さんに勝つことは出来ないだろう。

「けど、ここまで尾けてきたって度胸は認めるよ。大輝、お前愛されてんじゃねーか」

何故だろう、愛美さんは俺を責めたりしない。
それどころか野口や宮本のことも責めない。

「ま、だからってあたしは身を引いたりしねぇけどな」

更に挑発する。
だが奪って見せろ、と言ってるわけではない様だ。

「どんなことしてるか、だっけ。見せてやるよ」

そう言うと、愛美さんは俺にいきなりキスをして、俺の口内を犯し始めた。
二人の息を呑む音が聞こえる。

「あ、あの愛美さん?本当にやるつもりなのか?」
「あ?ビビってんのかよ。こんなにしてるくせによ」

そういいながら、愛美さんは俺の相棒を弄びはじめる。
確かに、これ以上ないくらいカチコチになってしまってはいる。
弄びながら、耳、唇、首筋とあらゆるところを嘗め回す愛美さん。
その部分が下に行くにつれて、二人の息が荒くなる。
愛美さんはそんな二人を確認すると、わざとらしく俺の相棒をゆっくりと取り出し、ちろちろと舌で弄び始めた。
二人の我慢も、そろそろ限界だろうか。

「んじゃ、本番いこっか」
「ず、ずるいです!!」

野口が叫ぶ。

「私たちだって、ずっと我慢してたのに……こんな羨ましいこと!」

宮本も、普段からは考えられない発言をする。

「羨ましかったら、どうすんだ?知ってると思うけど、大輝はインターバル長めだからな。一発出しちまったら、次まで結構時間かかるぞ」

愛美さんは更に二人を挑発する。

「くっ……」
「いきなり脱いで襲い掛かるなんて、はしたないとか、言ってる場合じゃなさそうね」

そう言いながら二人とも制服を脱ぎ捨てる。
靴下まで脱いで、完全な全裸になって、俺に群がる。
俺と愛美さんの行為を見て出来上がってしまっているらしく、愛美さんはその場を二人に譲った。

「わかってきたじゃねーか。ちなみにあたしは、男も女もいけるクチだから。お前らも相手してやるよ」
「わ、私たちだって両方いけますよ!」

もう、なんていうか酒池肉林ってこういうのを言うの?
っていうくらいカオスな空間が出来上がっていた。
部屋に女の匂いが充満し、濃密なその匂いの中、俺はぐったりしていた。

インターバル長いはずの俺は、賢者タイム中でもある程度刺激を与えられると復活するらしく、三人から限界まで搾られたのだ。

すっかりと機嫌が直った様子の野口と宮本。

「さて、二人の機嫌が直ったとこで取引と行こうか。私は場所と、私の知識をあんたらに提供してやるよ」
「なら、大輝くんを三人で共有するってことですね?」

俺の身動きできないとこで、俺自身が取引材料になっている。

「もちろん、ここの家主はあたしだからね、あたしがいるときはあたしも混ぜてもらう」

こんなハードなのを、またやるつもりなのか。
さすがに俺死ぬんじゃないだろうか。

「おい大輝、腹決めろよ。もう逃げられないからな。一人になれる時間は考慮するけど、お前の言ういい奴らはやっぱほっといてくれねーだろ、この調子だと」

愛美さんの言うことはもっともだ。
本当に一人になりたかったら、何処かに雲隠れするしかない。
……どうせすぐ見つかっちゃうんだろうけど。

「無理やり押しかけてこんなことになっておいてアレだけど……ちゃんと大事にしていくから」

野口が言う。

「私たちは、私たちの意志でこういうことになったから、時間の無駄とは思わないわ」

宮本も言う。
お前ら心なしかツヤツヤしてないか?

「わかった……避けたりして悪かったよ。愛美さんも、面倒かけてごめん」
「いいよ、あたしは。こいつら、可愛いしなぁ。教え甲斐あるから」

まだ食い足りないのか、軽く舌なめずりして見せる。

「ただ、平日はそんな頻繁に来るの大変だろ?大輝もあたしもバイトのときあるし。お前ら二人で百合百合しとく?」

そういうと、二人は顔を赤くした。

「実は、二人で練習してたことは何度か……」

そういうのぶっちゃけなくていいから。
想像して思わず復活しかけちゃうだろ。

「だとさ、楽しみだなぁ、大輝」
「まぁ、平日は学校あるから、愛美さんの言うとおり頻繁にはこられないので……大輝くんは愛美さんの下で修行してもらいましょう」

週末はみんなの時間。
もう確定事項の様だ。

「今度ドンキで、近藤さんダンボール買いしとくわ」

もう好きにしてくれ。
何だか、一人でいることにこだわっていた自分自身が少しアホらしく思えてきた。

こいつらがそれを望むなら、以前よりもかなり歪な関係ではあるが、全うしてみせよう。
自分を想ってくれる人は、こんなにいるんだから。
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