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本編
大輝編25話~神々の遊び~
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和歌さんを女にして、その日の夕方。
睦月から連絡が来る。
『ちょっと、お願いというか、頼みがあるんだけど』
はっきり内容を言わない睦月のメール。
こんな歯切れの悪い睦月は珍しい。
何か言いにくい事なんだろうか。
あまりいい予感はしない。
バイトがあるので返信は後回しにしようと考え、ひとまず仕事に集中する。
「お前、昨日新しい女作ったって?」
愛美さんが客のいない時間に話しかけてくる。
そんなことを言ってる愛美さんも、比較的新しい女なわけだが。
気づけば俺の周り、既に五人が俺と関係を持ってしまっている。
普通に考えたらキャパオーバーだし、贅沢だし後ろから刺されて死んでいても不思議がない。
良平は高校に入ってからあまり会っていない。
何だかんだ施設にいる時間の方が珍しい生活をしているので、ほとんど帰れていないのが現状だ。
そんな中、たまに顔を合わせると、割と嫌味を言ってくる。
「お前、すごいことになってんな。そんな何人も囲って、将来とかどうすんの?」
ごもっともな疑問だ。
俺自身も正直将来どうするかなんて考えていないし、半分ヤケで行き当たりばったりになってしまってるのも否めない。
ぶっちゃけると、睦月がどうにかしてくれちゃうんじゃないかなんて、密かに期待はしている。
だが、自分自身の問題は自分自身で。
これは人間としての基本である。
「まぁ、作ったというか……作ったんですね、はい」
「どんな女?良かった?」
質問がゲスいの一言に尽きる。
安定のゲスっぷりだった。
「まぁ……昨日まで処女でしたから」
「え?あたしと同じくらいの歳じゃなかった?」
「あれ、愛美さんて今年二十七ですか?」
「ぶっ殺されてぇのか、バカ!!あたしは今年二十六になったばっかりだ!!」
女の歳を間違えるととんでもないことになるらしい。
今後は気をつけよう。
「だ、だとしたら同い年……だと思います……」
たかが一年、されど一年。
二十代も半ばに入ると、たかがでは済まされないのだということを学んだ。
「ほーん。けど、その歳で処女って、何か問題とかあったんじゃねぇの?」
あれ、背景までは聞いてないのかな。
「問題っていうか……ヤクザの若頭ですよ」
「はぁ!?お前……見境いないとは思ってたけど……まさか筋モンにまで手出してたのかよ……」
「そ、そういう言い方はやめてもらえませんか…考えない様にしてるのに……」
今朝の若い衆に囲まれた件を思い出して、むず痒い思いをしたことを思い出す。
これはもう、ちょっとやそっとじゃ和歌さんは離れてはくれないだろう。
「明日香の知り合いだったよな」
「知り合いっていうか、明日香の世話役も兼ねてるみたいですよ」
「ってことはあいつん家もヤクザなのか。お前……」
「言わないで!現実に押しつぶされちゃうから!」
「おっと、お客さんだ。あとでその辺詳しく聞かせろよな」
仕事が終わり、例によって愛美さんのマンションへ。
晩御飯は支度してないというので、二人分の食事を買って向かう。
「あ、忘れてた。ちょっとメールするんで、先食べててもらえますか」
「お?例の謎多き彼女か?」
「ええ、まぁ……」
携帯を取り出し、睦月にメールを返す。
『悪い、バイトだった。お願いって?』
『今どこ?愛美さんのとこ?』
『そうだよ。急ぎの用件か?電話にする?』
『必要ない、待ってて』
何だろう、と思っていると、目の前にふっと現れる睦月。
口に入れようとしていた愛美さんの唐揚げが、ぽとりと落ちる。
睦月を見て、唖然としている。
「あ、あれ、お前……てか、え?どうやって入って…」
「お久しぶりです、愛美さん。ゆっくり話したいところだけど、時間がないので、ちょっと大輝借りますね」
「え、あ、おう……?」
睦月は俺の意思を確認することもなく、手を掴んでまたワープした。
ワープした先は睦月の部屋だった。
「お、お前……愛美さんめちゃくちゃびっくりしてたじゃんか。あれ多分ダブルで驚いてたぞ」
「私の見た目と、出現方法だよね。それより、ちょっとこっちきて」
再度手を引っ張られる。
黙ってついていくと、見たことのない女の人がいた。
……あれ?羽生えてねぇ?
ってことは……。
「私の神界での親友の、ノルン。運命の女神って言ったらわかる?」
は?運命の女神って……またとんでもない人が親友なんだな。
「あ、えっと……」
「ノルン、こっちが大輝ね。会ったことはないと思うけど、見たことはあるでしょ?」
「うわぁ、生大輝くんだ!」
「な、生?」
「ノルンはね、大輝と私のことをよく見守ってくれてたんだよ」
「そ、そうなんですね、えーと、宇堂大輝です。よろしくお願いします」
「実物も可愛いねぇ……ねぇ、スルーズ、食べちゃっていいの?」
いきなりとんでもないことを言い出す。
「は!?食べるって!?」
「いや、ちょっと待ってノルン。一応ほら、大輝の意思も確認しないと。一応、私が請け負ったのは紹介するまでだから」
「むむ……確かに……じゃあ大輝くん」
「あ、はい」
「私、あなたを食べたいの。主にあっちの意味で」
「あ、あっちって……」
「大輝、聞いて。ノルンはね、大輝とセックスしたいんだって」
「はぁ!?」
ちょっと待て。
この人は……睦月は、何を言ってるんだ?
神とセックス?
いやいやいや、冗談だろ。
「あの、ちょっとはっきり言いすぎだよ、スルーズ……」
「何言ってるの?大輝みたいな朴念仁は、はっきり言わないと通じないから」
「いや、通じてるから。ちゃんと、わかってたから」
強がりでも何でもなく、さすがにわかった。
「睦月、お前も神なんだったよな?いいのかよ、そんな神が人間なんかと……何人もさ」
「大輝、あなたは私に見初められた時点でもう特別なんだよ。それに、神って言ってもちょっと特殊で死なないってだけで、造りはちゃんと女の子だから」
「いや、そういう話してるんじゃないんだが……立場とか、大丈夫なのかってことだよ」
「神が人間を殺すことは禁止されてるけど、肉体関係持ったり恋愛したりするのは、特に制限ないよ」
ノルンさんが言う。
恋愛?
神が?
俺みたいなのと?
「あの、ノルンさん?」
「何かな、大輝くん」
「こんなこと言うのもアレなんですけど……俺じゃなくても良くないですか?」
「何を言うのかな、大輝くん」
顔はニコニコしているが、纏っている雰囲気が一気に変わった。
あ、これ怒っちゃったパターンだろうか。
俺生きて帰れるかな。
「あ、あの、落ち着いて聞いてください……俺今既に五人囲ってる様な状態で……そのうち一人は神で……もう何かいっぱいいっぱいって言うか……」
「それで?」
「だからその……正直ノルンさんまで手が回るかどうか……」
「回るよ。大丈夫」
何を根拠にそんなこと……。
「見た目が好みじゃなかった?」
「い、いえ、そんなんじゃないです!そうじゃないんですけど……」
「私じゃ、不満なんだね……」
これは…なんかヤバイ気がする。
助けを求めるべく、睦月を見るが、睦月はそっぽを向いた。
あ、俺見捨てられてる。
自分で何とかしろってことかよ。
「ノルンさん、俺なんかの、何が良いんです?単に睦月が……スルーズが羨ましいとかそういうのとは違うんですか?」
「だって、今までずっと君のこと見てきたんだよ?あんなに凄いところ沢山見せられたらさすがに惚れるって」
「い、一体何を見てきたんですか……」
神なんだし、きっと何でも見ようと思えば見ることは出来るんだろう。
それこそ、俺が自家発電してるところだって、誰かとパコっていたって、全部見られてて不思議はない。
「大輝、一ついいこと教えてあげる」
ここへきて、睦月が俺に耳打ちする。
「ノルンはね、処女だよ」
「は?」
いや待て、そういうのを知りたいわけじゃないし、別に初物信仰は特にしてないから。
「処女って、やっぱり重いかな……」
ちょっと本気で落ち込んで見えるノルンさん。
「いやあの、重いとか軽いとか、別にそういうのは……」
「非処女の方が気軽に出来るもんね……私、ちょっとそこらで処女捨ててくる!!」
言うなりノルンさんは部屋を出ようとする。
「ちょ、ちょっと待った!話が飛躍しすぎですから!」
慌ててノルンさんの腕を掴む。
何だろう、不思議な感触がした。
心地よい柔らかさだ。
つい、プニプニと弄んでしまう。
「ちょっと!女の子の腕をプニプニするなんて……」
「あ、ごめんなさい」
「女の『子』じゃないけどね。何万歳ってスケールだし」
「神に年齢の概念なんかないもん……」
確かに、何万年も生きているんだろうけど、見た目は俺たちとそんなに変わらない様に見える。
胸はぺったんこ……とまで言わないけど、小さめだしそれが幼い感じに見える原因だろうか。
「今、ぺったんことか思ってなかった?」
「と、とんでもない!」
「嘘だ、私の胸ガン見してたもん」
女は神でも人間でも、そういうの気づくって本当なんですね。
「もうちょっと大きいのが好みなら、大きさ変えるけど」
そんなことまで出来るのか。
それを聞いて、睦月が何か思いついた様だった。
「あー、大輝。マシンガン好き?昔豆まきで使ったみたいなやつ」
「は?何だよいきなり」
「もしノルンをこのまま振るつもりなら、大輝のそれ……マシンガンみたいに秒間三十発発射できる様に、仕様変更しちゃおうかなって思うんだけど、どう?」
笑顔でとんでもないことを言い出す睦月。
ちょっとそれは酷すぎやしませんかね?
大体そんなに出しちゃったら俺、テクノブレイクとかで死んじゃうんじゃないの?
「お前……それはさすがに不尽じゃないか?」
「神に逆らう愚か者には、鉄槌がってやつだね」
「お、俺の意思は?」
「大輝の意思か……なら聞くけど、ノルンは大輝の好みじゃない?」
ノルンさんは期待の籠もった目で俺を見る。
神ってのはみんな、こんな目をしてるのか?
何か吸い込まれそうだよ、俺。
「どっちかって言われたら……そりゃ好み……かな。というかあんま見た目って気にしないけど」
「大輝は、ノルンを抱きたくはない、ってこと?」
「そういうんでもないけど……無闇に女増やすのも、ってことだよ」
「なら、別にいいじゃん。私、大輝の女が何人増えてもいいよ。それこそ人類(女だけ)総彼女化計画とかでも」
さすがにそれは俺が困る。
というか、世の男どもに殺されるわ。
「そこに一人神が増えたら何か不都合ある?」
「いや、ないけどさ……」
「私が、神だからダメなの?」
「違いますって……」
どう答えても抜け出せない無限ループ。
これはもう、ノルンさんにも加わって頂くしかないのだろうか。
「私、尽くすよ?重いかもしれないけど」
ノルンさんはこれでもかってくらいに押してくる。
そこに睦月のサポートが加わっていれば、俺などは一捻りだろう。
「わかった、わかりました。けど今日はその、愛美さんと先約があるから……」
「なら、愛美さんに言って混ぜてもらっちゃう?」
またもとんでもないことを言う睦月。
「でもでも、初めては二人でしたいっていうか…」
乙女みたいなことを言う。
「ま、でもいっか。行こう行こう」
こうして俺たちは三人で愛美さんの部屋へ。
「お、お帰り……って、何か一人増えてねぇ?」
「これにはですね、マリアナ海溝よりも深い事情がありまして……」
愛美さんに、もう全部説明した。
何から何まで。
明日学校休みだし、もう何でもこいよ!って気持ちで。
「えーっと……あたしあんまり頭良い方じゃないから悪いんだけど、この子が元々付き合ってた、春海ちゃん?だった存在で、今はこの体に乗り移ってる、みたいなこと?」
「厳密にはちょっと違いますが、大体合ってます」
「で、この二人は二人ともが神、と」
「そうですね……」
改めて聞くと常識からかなりかけ離れている。
その感想は愛美さんも同じだった様だ。
「大輝、お前何者なの?」
「いや、普通の人間のはずなんですけど……俺も知りたいです」
「まぁ、そういうわけなんで……大輝がこのノルンの処女奪うの許してやってくれませんか?そのあと混ざってもらうのは全然構わないので」
睦月がさらっと言うが、どうせお前も混ざるつもりなんだろ。
「あ、ああ……すげぇな、しかし……神とセックスするだけじゃなくて、神の処女までもらっちゃうなんて」
「……そうですね」
「何だよ、もっと喜べよ!相手は神だぞ?神!」
「愛美さん、順応性高過ぎでしょ……」
「だって、こんなことそうそうないぞ?それにこの羽とか纏ってる雰囲気?オーラ?人間じゃまずありえねーもん。信じるだろそりゃ」
この人、人生楽しそうでいいなぁ。
「あ、大輝。勘違いしちゃうとアレだから、一応言っとくね」
「何だよ、ここまできて……」
「今回の件、事の発端になったのは桜子の発言だから」
「……あいつ……」
やっぱりあいつか。
どうせ彼氏作らないんですか、とか言ったんだろ。
そんでいじけたノルンさんが不憫になって、俺を……。
「これ、何て人身御供?」
「おお、大輝難しい言葉知ってるね。まさにそんな感じだよね」
「ほめてるんだろうけど、ちっとも嬉しくないのは何でだ?」
「つーか大輝、まだ飯食ってないだろ。まだ弁当あっためてないから、先食ったら?」
そう言われれば確かに、腹が減ってる。
忘れてしまうほどに事態が衝撃的だったというのもあるが、食っとかないともたないか。
食事を終え、俺は先にシャワーを浴びた。
もうここまできたら逃げることも出来ない。
神だの何だのって、もう頭がついていかない。
ついていこうっていうのがそもそも間違ってるんだろうか。
倫理観だのなんて頭がいいやつが考えたらいい話、そんな考えが頭に浮かんでくる。
さすがに人としてどうかとは思うが、深く考えてもいい結論とか出る気がしない。
元々流されやすい性質ではあるし、もうなる様にしかならないだろう。
睦月だって女が何人増えようが構わないなんて言ってたし。
さぁ行くぜ相棒、準備はいいか?
「さぁ、ノルンさん!覚悟はできてますか!?俺はできてる!」
どこかで聞いたセリフを口にする。
こうなったらもう、全力でお相手するまでだ。
何、あとで女子の誰かに包丁で滅多刺しなんて事にはならないだろう。
「お、おお、気合い入ってるね……」
「あたしもシャワー浴びてくるから、そっちの部屋使う?」
普段使っている寝室を指して愛美さんが言う。
「じゃあ、ノルン。とりあえず二人にしてあげるね。まぁ、愛美さん辺りは途中で覗くかもしれないけど」
「それくらいは、譲ってもらってるんだしいいよ」
二人で寝室に移動するのを見届けて、睦月はリビングに残った様だった。
てっきり混ざってくるものだと思っていただけに、意外の一言だ。
ノルンさんは少し紅潮した顔を俺に向けて、部屋のドアを閉めた。
「さ、いつでもどうぞ」
「え、ええ」
手始めにノルンさんに口づけて、男に慣れてもらうことから始めた。
知識として色々知ってはいる様で、すぐにノルンさんは俺の動きに対応してきた。
「さすがですね」
「そういう言い方、好きじゃないなぁ」
そっち方面のスペシャリストみたいなニュアンスに取られたのかもしれない、と思い、謝りながら服を脱がせた。
神のイメージとしてワンピースみたいなのを着ていることが多いのだが、ノルンさんも実際にワンピースみたいな衣装だ。
脱がせるのは簡単だった。
下着の類はつけていない様で、脱がすと完全に全裸になった。
「大輝、私も脱がしていい?」
いちいち断らなくていいのに、と思うが首肯で答えるとノルンさんは器用に俺の服も脱がしてきた。
確かに胸は小さい。
けど、見た目と胸とのイメージが一致している気がして、俺はそれが良いところなのかもと思った。
互いに纏うものがなくなり、二人はお互いの体を求め合い、晴れて一つとなることができたのだった。
その結合の際に、ノルンさんは痛みのあまり俺の背中を抉らんばかりの勢いで爪を立てた。
背中を何かが伝う感じがあったし、出血したんだろうな。
普段ならティッシュなんかを使ってする後始末を、ノルンさんは指先一つでやってのける。
「ノルンさん、大丈夫ですか?まだ痛みます?」
「痛みは……ないこともないけど、今は満足。ありがとうね」
「それより、怪我何とかした方がいいね」
睦月が部屋に入ってくる。
「割と冗談とかで済まない出血してるよ」
とりあえず、と睦月は血だけ止めることにしたみたいだ。
力を使ったのか、痛みも多少和らいだ気がする。
「神様も、普通にあんな感じなんだな……」
続いて入ってきたのは愛美さん。
「どの辺りから見てたんです?」
「七色の潮吹きあたりかな。あれだけはちょっとびっくりしたわ」
ああ、俺もそれは驚いた。
「あたしは潮吹き経験ないからさ、尚更かな。体質じゃないのかもしれないけど」
確かに、どれだけ責めようと愛美さんはイくことはあっても、潮を吹いたことはなかった。
「経験してみたいなら、可能ではあるよ」
睦月が言い、愛美さんを見る。
「え、本当?」
そんなに潮吹きが楽しみなのか、というほど舞い上がる愛美さん。
潮吹き潮吹き♪と口ずさむのはさすがに女子力低すぎますよ。
「じゃあ、ちょっとノルン、手伝って」
「え、私?」
「私の神力だけじゃ、愛美さんが死んじゃうから。ノルンの力で中和しつつ、効果だけ残すんだけど、出来る?」
「ああ、そういうことか。なら大丈夫だよ」
何やら物騒な相談をしてる様な予感がする。
「愛美さん、行くよ?」
「どんとこい!」
何をされるのかもわからないのに、相手が神ってだけで丸ごと信じちゃう愛美さん……尊敬するわ。
愛美さんの額の辺りに、睦月が手を当てる。
ノルンさんは、後頭部から手を当てている。
こういうのって何か不思議な光とか出るんだと思ったけど、そういうのって漫画とかの演出なんだよな、きっと。
「できた。……大輝、愛美さんに触ってみて。愛美さんは、動かない方がいいかも」
何が変わったのかわからないが、とりあえず愛美さんの肩に手を触れてみる。
「っあ!!はぁぁああああ!!!!」
愛美さんがのけぞり、絶叫した。
「おいこれ……大丈夫なんだろうな……」
「通常の五倍くらいの感度になってるから……もう少しいじったら勢い良く吹くんじゃないかと思うんだけど」
「ご、五倍!?」
そんなことして、本当に大丈夫なのか?
快楽でも人は死ぬって聞いたことあるぞ……。
だが、そう思う一方で俺は好奇心が勝ってしまうのを感じる。
「た、大輝待って……」
「大丈夫ですよ、愛美さん。もう少しですから」
「や、やめろ……」
先ほどのがよほど強烈だったのか、恐怖に顔を歪めている。
俺に嗜虐趣味はないはずだったが、普段強気な愛美さんの怯えた顔というのは何処かそそられるものがあった。
「では……」
「ま、待て……ああああああ!!!」
色々あって、愛美さんは気を失い、ちょろろろ…と失禁した。
「こ、これ……」
「大輝、私たちは何も見なかった。いいね?」
「そ、そうだな。始末、するか」
「大丈夫。ほら、元通り」
愛美さんの体も元に戻して、何とか事なきを得る。
「このまま寝かせとくか」
「そうだね……まぁ本人が希望するなら記憶も消してあげられるから」
ノルンさんがやや心配そうに愛美さんを見た。
「そういえばね、大輝」
再びノルンさんと睦月の相手もして後、睦月が思い出したかの様に言う。
「どうも、睦月と春海は簡単には説明できない事情がありそう」
「どういうことだ?まさか双子だとか?」
「その可能性が高い。で、パパと睦月の父親も全くの他人ってわけじゃないみたい」
「となると……やっぱ春喜さんに一回会っておくのが正解か。いつ行く?」
「次の休みに行こうと思ってたから、明日だね。大輝、連絡取ってもらえるかな」
「また突然だけど……万一空いてなかったらどうするんだ?」
「その時は、空いてる人間だけでデート行こうか」
随分とお気楽な話だ。
今日はもう遅いので、明日起きたら連絡してみることにする。
何事もなく、明日が過ぎればいいと思う。
布団に体を横たえ、そんなことを考えた。
愛美さんにも明日、謝ろう。
マジで殺されるかもしれないけど……。
睦月から連絡が来る。
『ちょっと、お願いというか、頼みがあるんだけど』
はっきり内容を言わない睦月のメール。
こんな歯切れの悪い睦月は珍しい。
何か言いにくい事なんだろうか。
あまりいい予感はしない。
バイトがあるので返信は後回しにしようと考え、ひとまず仕事に集中する。
「お前、昨日新しい女作ったって?」
愛美さんが客のいない時間に話しかけてくる。
そんなことを言ってる愛美さんも、比較的新しい女なわけだが。
気づけば俺の周り、既に五人が俺と関係を持ってしまっている。
普通に考えたらキャパオーバーだし、贅沢だし後ろから刺されて死んでいても不思議がない。
良平は高校に入ってからあまり会っていない。
何だかんだ施設にいる時間の方が珍しい生活をしているので、ほとんど帰れていないのが現状だ。
そんな中、たまに顔を合わせると、割と嫌味を言ってくる。
「お前、すごいことになってんな。そんな何人も囲って、将来とかどうすんの?」
ごもっともな疑問だ。
俺自身も正直将来どうするかなんて考えていないし、半分ヤケで行き当たりばったりになってしまってるのも否めない。
ぶっちゃけると、睦月がどうにかしてくれちゃうんじゃないかなんて、密かに期待はしている。
だが、自分自身の問題は自分自身で。
これは人間としての基本である。
「まぁ、作ったというか……作ったんですね、はい」
「どんな女?良かった?」
質問がゲスいの一言に尽きる。
安定のゲスっぷりだった。
「まぁ……昨日まで処女でしたから」
「え?あたしと同じくらいの歳じゃなかった?」
「あれ、愛美さんて今年二十七ですか?」
「ぶっ殺されてぇのか、バカ!!あたしは今年二十六になったばっかりだ!!」
女の歳を間違えるととんでもないことになるらしい。
今後は気をつけよう。
「だ、だとしたら同い年……だと思います……」
たかが一年、されど一年。
二十代も半ばに入ると、たかがでは済まされないのだということを学んだ。
「ほーん。けど、その歳で処女って、何か問題とかあったんじゃねぇの?」
あれ、背景までは聞いてないのかな。
「問題っていうか……ヤクザの若頭ですよ」
「はぁ!?お前……見境いないとは思ってたけど……まさか筋モンにまで手出してたのかよ……」
「そ、そういう言い方はやめてもらえませんか…考えない様にしてるのに……」
今朝の若い衆に囲まれた件を思い出して、むず痒い思いをしたことを思い出す。
これはもう、ちょっとやそっとじゃ和歌さんは離れてはくれないだろう。
「明日香の知り合いだったよな」
「知り合いっていうか、明日香の世話役も兼ねてるみたいですよ」
「ってことはあいつん家もヤクザなのか。お前……」
「言わないで!現実に押しつぶされちゃうから!」
「おっと、お客さんだ。あとでその辺詳しく聞かせろよな」
仕事が終わり、例によって愛美さんのマンションへ。
晩御飯は支度してないというので、二人分の食事を買って向かう。
「あ、忘れてた。ちょっとメールするんで、先食べててもらえますか」
「お?例の謎多き彼女か?」
「ええ、まぁ……」
携帯を取り出し、睦月にメールを返す。
『悪い、バイトだった。お願いって?』
『今どこ?愛美さんのとこ?』
『そうだよ。急ぎの用件か?電話にする?』
『必要ない、待ってて』
何だろう、と思っていると、目の前にふっと現れる睦月。
口に入れようとしていた愛美さんの唐揚げが、ぽとりと落ちる。
睦月を見て、唖然としている。
「あ、あれ、お前……てか、え?どうやって入って…」
「お久しぶりです、愛美さん。ゆっくり話したいところだけど、時間がないので、ちょっと大輝借りますね」
「え、あ、おう……?」
睦月は俺の意思を確認することもなく、手を掴んでまたワープした。
ワープした先は睦月の部屋だった。
「お、お前……愛美さんめちゃくちゃびっくりしてたじゃんか。あれ多分ダブルで驚いてたぞ」
「私の見た目と、出現方法だよね。それより、ちょっとこっちきて」
再度手を引っ張られる。
黙ってついていくと、見たことのない女の人がいた。
……あれ?羽生えてねぇ?
ってことは……。
「私の神界での親友の、ノルン。運命の女神って言ったらわかる?」
は?運命の女神って……またとんでもない人が親友なんだな。
「あ、えっと……」
「ノルン、こっちが大輝ね。会ったことはないと思うけど、見たことはあるでしょ?」
「うわぁ、生大輝くんだ!」
「な、生?」
「ノルンはね、大輝と私のことをよく見守ってくれてたんだよ」
「そ、そうなんですね、えーと、宇堂大輝です。よろしくお願いします」
「実物も可愛いねぇ……ねぇ、スルーズ、食べちゃっていいの?」
いきなりとんでもないことを言い出す。
「は!?食べるって!?」
「いや、ちょっと待ってノルン。一応ほら、大輝の意思も確認しないと。一応、私が請け負ったのは紹介するまでだから」
「むむ……確かに……じゃあ大輝くん」
「あ、はい」
「私、あなたを食べたいの。主にあっちの意味で」
「あ、あっちって……」
「大輝、聞いて。ノルンはね、大輝とセックスしたいんだって」
「はぁ!?」
ちょっと待て。
この人は……睦月は、何を言ってるんだ?
神とセックス?
いやいやいや、冗談だろ。
「あの、ちょっとはっきり言いすぎだよ、スルーズ……」
「何言ってるの?大輝みたいな朴念仁は、はっきり言わないと通じないから」
「いや、通じてるから。ちゃんと、わかってたから」
強がりでも何でもなく、さすがにわかった。
「睦月、お前も神なんだったよな?いいのかよ、そんな神が人間なんかと……何人もさ」
「大輝、あなたは私に見初められた時点でもう特別なんだよ。それに、神って言ってもちょっと特殊で死なないってだけで、造りはちゃんと女の子だから」
「いや、そういう話してるんじゃないんだが……立場とか、大丈夫なのかってことだよ」
「神が人間を殺すことは禁止されてるけど、肉体関係持ったり恋愛したりするのは、特に制限ないよ」
ノルンさんが言う。
恋愛?
神が?
俺みたいなのと?
「あの、ノルンさん?」
「何かな、大輝くん」
「こんなこと言うのもアレなんですけど……俺じゃなくても良くないですか?」
「何を言うのかな、大輝くん」
顔はニコニコしているが、纏っている雰囲気が一気に変わった。
あ、これ怒っちゃったパターンだろうか。
俺生きて帰れるかな。
「あ、あの、落ち着いて聞いてください……俺今既に五人囲ってる様な状態で……そのうち一人は神で……もう何かいっぱいいっぱいって言うか……」
「それで?」
「だからその……正直ノルンさんまで手が回るかどうか……」
「回るよ。大丈夫」
何を根拠にそんなこと……。
「見た目が好みじゃなかった?」
「い、いえ、そんなんじゃないです!そうじゃないんですけど……」
「私じゃ、不満なんだね……」
これは…なんかヤバイ気がする。
助けを求めるべく、睦月を見るが、睦月はそっぽを向いた。
あ、俺見捨てられてる。
自分で何とかしろってことかよ。
「ノルンさん、俺なんかの、何が良いんです?単に睦月が……スルーズが羨ましいとかそういうのとは違うんですか?」
「だって、今までずっと君のこと見てきたんだよ?あんなに凄いところ沢山見せられたらさすがに惚れるって」
「い、一体何を見てきたんですか……」
神なんだし、きっと何でも見ようと思えば見ることは出来るんだろう。
それこそ、俺が自家発電してるところだって、誰かとパコっていたって、全部見られてて不思議はない。
「大輝、一ついいこと教えてあげる」
ここへきて、睦月が俺に耳打ちする。
「ノルンはね、処女だよ」
「は?」
いや待て、そういうのを知りたいわけじゃないし、別に初物信仰は特にしてないから。
「処女って、やっぱり重いかな……」
ちょっと本気で落ち込んで見えるノルンさん。
「いやあの、重いとか軽いとか、別にそういうのは……」
「非処女の方が気軽に出来るもんね……私、ちょっとそこらで処女捨ててくる!!」
言うなりノルンさんは部屋を出ようとする。
「ちょ、ちょっと待った!話が飛躍しすぎですから!」
慌ててノルンさんの腕を掴む。
何だろう、不思議な感触がした。
心地よい柔らかさだ。
つい、プニプニと弄んでしまう。
「ちょっと!女の子の腕をプニプニするなんて……」
「あ、ごめんなさい」
「女の『子』じゃないけどね。何万歳ってスケールだし」
「神に年齢の概念なんかないもん……」
確かに、何万年も生きているんだろうけど、見た目は俺たちとそんなに変わらない様に見える。
胸はぺったんこ……とまで言わないけど、小さめだしそれが幼い感じに見える原因だろうか。
「今、ぺったんことか思ってなかった?」
「と、とんでもない!」
「嘘だ、私の胸ガン見してたもん」
女は神でも人間でも、そういうの気づくって本当なんですね。
「もうちょっと大きいのが好みなら、大きさ変えるけど」
そんなことまで出来るのか。
それを聞いて、睦月が何か思いついた様だった。
「あー、大輝。マシンガン好き?昔豆まきで使ったみたいなやつ」
「は?何だよいきなり」
「もしノルンをこのまま振るつもりなら、大輝のそれ……マシンガンみたいに秒間三十発発射できる様に、仕様変更しちゃおうかなって思うんだけど、どう?」
笑顔でとんでもないことを言い出す睦月。
ちょっとそれは酷すぎやしませんかね?
大体そんなに出しちゃったら俺、テクノブレイクとかで死んじゃうんじゃないの?
「お前……それはさすがに不尽じゃないか?」
「神に逆らう愚か者には、鉄槌がってやつだね」
「お、俺の意思は?」
「大輝の意思か……なら聞くけど、ノルンは大輝の好みじゃない?」
ノルンさんは期待の籠もった目で俺を見る。
神ってのはみんな、こんな目をしてるのか?
何か吸い込まれそうだよ、俺。
「どっちかって言われたら……そりゃ好み……かな。というかあんま見た目って気にしないけど」
「大輝は、ノルンを抱きたくはない、ってこと?」
「そういうんでもないけど……無闇に女増やすのも、ってことだよ」
「なら、別にいいじゃん。私、大輝の女が何人増えてもいいよ。それこそ人類(女だけ)総彼女化計画とかでも」
さすがにそれは俺が困る。
というか、世の男どもに殺されるわ。
「そこに一人神が増えたら何か不都合ある?」
「いや、ないけどさ……」
「私が、神だからダメなの?」
「違いますって……」
どう答えても抜け出せない無限ループ。
これはもう、ノルンさんにも加わって頂くしかないのだろうか。
「私、尽くすよ?重いかもしれないけど」
ノルンさんはこれでもかってくらいに押してくる。
そこに睦月のサポートが加わっていれば、俺などは一捻りだろう。
「わかった、わかりました。けど今日はその、愛美さんと先約があるから……」
「なら、愛美さんに言って混ぜてもらっちゃう?」
またもとんでもないことを言う睦月。
「でもでも、初めては二人でしたいっていうか…」
乙女みたいなことを言う。
「ま、でもいっか。行こう行こう」
こうして俺たちは三人で愛美さんの部屋へ。
「お、お帰り……って、何か一人増えてねぇ?」
「これにはですね、マリアナ海溝よりも深い事情がありまして……」
愛美さんに、もう全部説明した。
何から何まで。
明日学校休みだし、もう何でもこいよ!って気持ちで。
「えーっと……あたしあんまり頭良い方じゃないから悪いんだけど、この子が元々付き合ってた、春海ちゃん?だった存在で、今はこの体に乗り移ってる、みたいなこと?」
「厳密にはちょっと違いますが、大体合ってます」
「で、この二人は二人ともが神、と」
「そうですね……」
改めて聞くと常識からかなりかけ離れている。
その感想は愛美さんも同じだった様だ。
「大輝、お前何者なの?」
「いや、普通の人間のはずなんですけど……俺も知りたいです」
「まぁ、そういうわけなんで……大輝がこのノルンの処女奪うの許してやってくれませんか?そのあと混ざってもらうのは全然構わないので」
睦月がさらっと言うが、どうせお前も混ざるつもりなんだろ。
「あ、ああ……すげぇな、しかし……神とセックスするだけじゃなくて、神の処女までもらっちゃうなんて」
「……そうですね」
「何だよ、もっと喜べよ!相手は神だぞ?神!」
「愛美さん、順応性高過ぎでしょ……」
「だって、こんなことそうそうないぞ?それにこの羽とか纏ってる雰囲気?オーラ?人間じゃまずありえねーもん。信じるだろそりゃ」
この人、人生楽しそうでいいなぁ。
「あ、大輝。勘違いしちゃうとアレだから、一応言っとくね」
「何だよ、ここまできて……」
「今回の件、事の発端になったのは桜子の発言だから」
「……あいつ……」
やっぱりあいつか。
どうせ彼氏作らないんですか、とか言ったんだろ。
そんでいじけたノルンさんが不憫になって、俺を……。
「これ、何て人身御供?」
「おお、大輝難しい言葉知ってるね。まさにそんな感じだよね」
「ほめてるんだろうけど、ちっとも嬉しくないのは何でだ?」
「つーか大輝、まだ飯食ってないだろ。まだ弁当あっためてないから、先食ったら?」
そう言われれば確かに、腹が減ってる。
忘れてしまうほどに事態が衝撃的だったというのもあるが、食っとかないともたないか。
食事を終え、俺は先にシャワーを浴びた。
もうここまできたら逃げることも出来ない。
神だの何だのって、もう頭がついていかない。
ついていこうっていうのがそもそも間違ってるんだろうか。
倫理観だのなんて頭がいいやつが考えたらいい話、そんな考えが頭に浮かんでくる。
さすがに人としてどうかとは思うが、深く考えてもいい結論とか出る気がしない。
元々流されやすい性質ではあるし、もうなる様にしかならないだろう。
睦月だって女が何人増えようが構わないなんて言ってたし。
さぁ行くぜ相棒、準備はいいか?
「さぁ、ノルンさん!覚悟はできてますか!?俺はできてる!」
どこかで聞いたセリフを口にする。
こうなったらもう、全力でお相手するまでだ。
何、あとで女子の誰かに包丁で滅多刺しなんて事にはならないだろう。
「お、おお、気合い入ってるね……」
「あたしもシャワー浴びてくるから、そっちの部屋使う?」
普段使っている寝室を指して愛美さんが言う。
「じゃあ、ノルン。とりあえず二人にしてあげるね。まぁ、愛美さん辺りは途中で覗くかもしれないけど」
「それくらいは、譲ってもらってるんだしいいよ」
二人で寝室に移動するのを見届けて、睦月はリビングに残った様だった。
てっきり混ざってくるものだと思っていただけに、意外の一言だ。
ノルンさんは少し紅潮した顔を俺に向けて、部屋のドアを閉めた。
「さ、いつでもどうぞ」
「え、ええ」
手始めにノルンさんに口づけて、男に慣れてもらうことから始めた。
知識として色々知ってはいる様で、すぐにノルンさんは俺の動きに対応してきた。
「さすがですね」
「そういう言い方、好きじゃないなぁ」
そっち方面のスペシャリストみたいなニュアンスに取られたのかもしれない、と思い、謝りながら服を脱がせた。
神のイメージとしてワンピースみたいなのを着ていることが多いのだが、ノルンさんも実際にワンピースみたいな衣装だ。
脱がせるのは簡単だった。
下着の類はつけていない様で、脱がすと完全に全裸になった。
「大輝、私も脱がしていい?」
いちいち断らなくていいのに、と思うが首肯で答えるとノルンさんは器用に俺の服も脱がしてきた。
確かに胸は小さい。
けど、見た目と胸とのイメージが一致している気がして、俺はそれが良いところなのかもと思った。
互いに纏うものがなくなり、二人はお互いの体を求め合い、晴れて一つとなることができたのだった。
その結合の際に、ノルンさんは痛みのあまり俺の背中を抉らんばかりの勢いで爪を立てた。
背中を何かが伝う感じがあったし、出血したんだろうな。
普段ならティッシュなんかを使ってする後始末を、ノルンさんは指先一つでやってのける。
「ノルンさん、大丈夫ですか?まだ痛みます?」
「痛みは……ないこともないけど、今は満足。ありがとうね」
「それより、怪我何とかした方がいいね」
睦月が部屋に入ってくる。
「割と冗談とかで済まない出血してるよ」
とりあえず、と睦月は血だけ止めることにしたみたいだ。
力を使ったのか、痛みも多少和らいだ気がする。
「神様も、普通にあんな感じなんだな……」
続いて入ってきたのは愛美さん。
「どの辺りから見てたんです?」
「七色の潮吹きあたりかな。あれだけはちょっとびっくりしたわ」
ああ、俺もそれは驚いた。
「あたしは潮吹き経験ないからさ、尚更かな。体質じゃないのかもしれないけど」
確かに、どれだけ責めようと愛美さんはイくことはあっても、潮を吹いたことはなかった。
「経験してみたいなら、可能ではあるよ」
睦月が言い、愛美さんを見る。
「え、本当?」
そんなに潮吹きが楽しみなのか、というほど舞い上がる愛美さん。
潮吹き潮吹き♪と口ずさむのはさすがに女子力低すぎますよ。
「じゃあ、ちょっとノルン、手伝って」
「え、私?」
「私の神力だけじゃ、愛美さんが死んじゃうから。ノルンの力で中和しつつ、効果だけ残すんだけど、出来る?」
「ああ、そういうことか。なら大丈夫だよ」
何やら物騒な相談をしてる様な予感がする。
「愛美さん、行くよ?」
「どんとこい!」
何をされるのかもわからないのに、相手が神ってだけで丸ごと信じちゃう愛美さん……尊敬するわ。
愛美さんの額の辺りに、睦月が手を当てる。
ノルンさんは、後頭部から手を当てている。
こういうのって何か不思議な光とか出るんだと思ったけど、そういうのって漫画とかの演出なんだよな、きっと。
「できた。……大輝、愛美さんに触ってみて。愛美さんは、動かない方がいいかも」
何が変わったのかわからないが、とりあえず愛美さんの肩に手を触れてみる。
「っあ!!はぁぁああああ!!!!」
愛美さんがのけぞり、絶叫した。
「おいこれ……大丈夫なんだろうな……」
「通常の五倍くらいの感度になってるから……もう少しいじったら勢い良く吹くんじゃないかと思うんだけど」
「ご、五倍!?」
そんなことして、本当に大丈夫なのか?
快楽でも人は死ぬって聞いたことあるぞ……。
だが、そう思う一方で俺は好奇心が勝ってしまうのを感じる。
「た、大輝待って……」
「大丈夫ですよ、愛美さん。もう少しですから」
「や、やめろ……」
先ほどのがよほど強烈だったのか、恐怖に顔を歪めている。
俺に嗜虐趣味はないはずだったが、普段強気な愛美さんの怯えた顔というのは何処かそそられるものがあった。
「では……」
「ま、待て……ああああああ!!!」
色々あって、愛美さんは気を失い、ちょろろろ…と失禁した。
「こ、これ……」
「大輝、私たちは何も見なかった。いいね?」
「そ、そうだな。始末、するか」
「大丈夫。ほら、元通り」
愛美さんの体も元に戻して、何とか事なきを得る。
「このまま寝かせとくか」
「そうだね……まぁ本人が希望するなら記憶も消してあげられるから」
ノルンさんがやや心配そうに愛美さんを見た。
「そういえばね、大輝」
再びノルンさんと睦月の相手もして後、睦月が思い出したかの様に言う。
「どうも、睦月と春海は簡単には説明できない事情がありそう」
「どういうことだ?まさか双子だとか?」
「その可能性が高い。で、パパと睦月の父親も全くの他人ってわけじゃないみたい」
「となると……やっぱ春喜さんに一回会っておくのが正解か。いつ行く?」
「次の休みに行こうと思ってたから、明日だね。大輝、連絡取ってもらえるかな」
「また突然だけど……万一空いてなかったらどうするんだ?」
「その時は、空いてる人間だけでデート行こうか」
随分とお気楽な話だ。
今日はもう遅いので、明日起きたら連絡してみることにする。
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布団に体を横たえ、そんなことを考えた。
愛美さんにも明日、謝ろう。
マジで殺されるかもしれないけど……。
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